出光興産は15日、連結子会社である東亜石油を公開買い付けにより完全子会社化すると発表した。買い付け価格は1株2450円で、買付代金は152億円。買付期間は今月16日から2021年2月2日までを予定している。
東亜石油は、出光と昭シェルの合併に伴い出光興産の連結子会社となった。東亜石油の京浜製油所は、重質油熱分解装置を始めとした設備により、残油処理装置の装備率は99%と平均装備率(50.5%)と比較して高い。東亜石油はそうした設備を活用することで、重質原油および原料油の精製に特化し、ガソリン、灯油、軽油といった付加価値の高い製品を効率的に精製。また、それに連携した発電設備を有効に活用して、製油所と発電所の一体運営を効率的に行い、高いエネルギー効率と資源の有効利用を実現している。
一方、出光興産は中計において「レジリエントな事業ポートフォリオの実現」を掲げており、燃料油事業を強化し、グループ全体の企業価値の最大化を目指している。その実現のためには、国内最大の需要地である首都圏への石油供給を担い、重要な基幹製油所を運営する東亜石油について、上場会社としての独立性を維持するよりも、完全子会社化し、出光興産グループの一体経営により経営の効率化や最適化、また意思決定の柔軟化と迅速化を図ることが必要不可欠であると判断した。