ダイセルの4-12月期 減収減益も通期予想を上方修正

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2021年2月4日

 ダイセルは3日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比10%減の2814億円、営業利益17%減の187億円、経常利益17%減の202億円、純利益142%増の112億円となった。

 セグメント別に見ると、メディカル・ヘルスケア事業は増収減益。コスメ・健康食品事業は中国の需要回復などで化粧品原料の増販となったが、その他域の需要減少で減収。キラル分離事業はカラムの販売増加や、中国とインドでの事業が好調で増収となった。

 スマート事業は減収減益。ディスプレイ事業は液晶表示向けフィルム用の酢酸セルロースや、高機能フィルムの需要低迷などで数量減少。IC/半導体事業は電子材料向け溶剤やレジスト材などの堅調な需要で増収だった。

 セイフティ事業は減収減益。モビリティ事業はエアバッグ用インフレータなどが数量減少で減収だった。

 マテリアル事業は減収減益。酢酸は需要減少と市況の下落、酢酸誘導体は一部製品の需要増加があったものの市況下落の影響で減収となった。アセテート・トウは海外主要顧客向けで数量を保つも為替影響などで減収。カプロラクトン誘導体やエポキシ化合物などは一部用途の需要回復はあったが、欧州市場やFRP向け需要の低調で数量減少した。

 エンジニアリングプラスチック事業は減収減益。POM樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどは次世代通信用途で増加したが、自動車減産やスマートフォン需要の低迷で減収。ABS樹脂やエンプラアロイなどのコンパウンド事業も自動車生産や住宅着工の減少が響いた。樹脂加工事業は包装フィルムの販売減少などで減収した。

 その他部門は防衛関連事業の数量増加で増収増益。期初の様々な産業の需要低迷で減収減益となったが、徹底したコストダウンと自動車生産などの需要回復を着実に捉え、各セグメントで想定を上回る結果となった。

 第4四半期(1-3月期)も新型コロナの感染再拡大や半導体不足による自動車生産への影響など先行き不透明だが、経営成績、需要予測や販売価格是正などを踏まえ、通期業績予想を、売上高3880億円(前回発表比200億円増)、営業利益280億円(同60億円増)、経常利益295億円(同65億円増)、純利益180億円(同40億円増)に上方修正した。