トクヤマは26日、新ビジョン「中期経営計画2025」(2021~2025年度)について、オンラインによる説明会を開催した。
横田浩社長は、「当社は石炭火力発電を中核にインテグレートされた徳山製造所のコスト競争力が利益の源泉だった。ただ、産業構造の変化の加速、国内需要の縮小、地球規模で環境意識の高まり、といった経営課題に直面している。これまでの延長線上にない事業の構築・成長が必要であり、収益力・競争力を確保しなければならない」との認識を示した。現中計については「コロナの影響を受けトップラインを伸ばせず、また効率性の追求では課題が残ったが、利益率が向上しD/Eレシオが前倒しで改善した」と振り返った。
それを踏まえ、新中計では3つの柱を設定。1つ目の柱の事業ポートフォリオの転換では、成長事業(電子・健康・環境)を強力に推進・成長させ、連結売上高比率50%以上、さらに2030年度は60%以上を掲げた。
成長ドライバーである電子材料事業は半導体の微細化・高純度・放熱分野でトップシェアを獲得し国際展開を加速。開発・投資を引き続き加速し、2025年度は売上高1020億円、営業利益200億円に拡大する。
ライフサイエンス事業については、特有技術で差別化可能な領域(目・歯・診断)でニッチトップの獲得が目標。国際展開を強化し2025年度は売上高460億円、営業利益75億円に引き上げ、「次期中計で事業の道筋をつけていく」意向だ。
環境事業については、イオン交換膜や廃石膏ボードリサイクルなどに注力。2025年度は売上高180億円、営業利益15億円に高めていく。
一方、伝統事業については効率化を進め持続的なキャッシュの創出を目指す。化成品事業はCO2削減を目指しながらも収益性を維持。セメント事業はエネ効率を国内トップクラスに高め生き残りを図るとした。
2つ目の柱である地球温暖化防止への貢献では、次世代エネルギーの技術開発に取り組みながら、2030年度にCO2排出量を2019年度比30%削減する。さらに原燃料の脱炭素と環境貢献製品の開発・実装により2050年カーボンニュートラルを達成させる考え。
3つ目の柱のCSR経営の推進では、成長の土台であるマテリアリティへの取り組みを強化する。横田社長は「これを実現するには人づくりがすべてだ。人づくりが組織風土改革を促し、価値創造型企業に転換し、結果としてグローバルな企業として発展していく」と強調した。
2025年度の数値目標は、売上高は収益認識基準で3200億円、営業利益は400億円、成長事業の売上高成長率はCAGR10%以上とし、ROEについては「積極的な設備投資、研究開発投資を行っていくが、株主資本効率と財務基盤の両立を図り」10%以上を目指す。
また国際展開の加速では、成長事業の市場開拓を行い2030年度に連結海外売上高比率50%以上に高めていく考えだ。設備投資については、前中計の約2倍となる2000億円を計画。積極的な成長事業への投資により事業ポートフォリオ転換を図っていく。さらに、戦略的投資として、電子・健康分野のM&Aを視野に300億円の枠を設けた。