ENEOS CO2排出量削減に向けた環境価値取引事業

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2021年3月25日

 ENEOSホールディングスとウェイストボックス(名古屋市中区)は24日、CO2クレジットに代表される環境価値取引事業の協業を開始したことについて、記者説明会を行った。

 ENEOSグループは「2040年に自社排出CO2のカーボンニュートラル実現」を掲げ、2019年に未来事業推進部を立ち上げ、CO2排出量削減に資する事業の創出に向け、スタートアップなどとの協業を積極的に推進している。1700万tのCO2排出量を相殺するために、再生可能エネルギーやCCS/CCUS、省エネ、環境配慮型商品の強化だけでなく、未来事業・オープンイノベーションによる数百万t規模の削減を目指している。

 今回注力するのは「Nature based Solutions(NbS、自然を活用した解決策)」で、森林によるCO2吸収・固定(グリーンカーボン)、海洋生物による吸収・固定(ブルーカーボン)に加え、新たに営農型太陽発電事業で収穫した大豆を使う代替肉事業によるCO2排出量削減(食でカーボン)の取り組みも始めた。そして、こうした協業によるCO2削減量をクレジット化し、ENEOSが買い取り自社CO2排出削減量として適用する「ENEOS環境価値エコシステム」の構築を目指している。

 今回、ENEOSは100%出資会社ENEOSイノベーションパートナーズを通じてウェイストボックスに資本参画した。これにより、国際的なイニシアチブとも連携するウェイストボックスのCO2クレジットの権利化やカーボンオフセットの知見と経験を活用し、環境価値取引事業を構築する。価値の算出方法はグローバルスタンダードの第3者認証を取り、国内をはじめ国際的なネットゼロの最新動向なども踏まえて実施する。さらに両社は森林や海洋などの生態系の再生による環境価値の算定方法を調査し、ENEOSが推進するNbS分野のCO2クレジット創出事業への活用を目指す。

 ENEOSイノベーションパートナーズの矢崎靖典社長は「低酸素化に向けては炭素の固定化が必要で、その活動を立ち上げ持続可能にするために、投資だけではなくメンバーが事業化に向けて共に活動している」と継続的な事業の創出を強調した。