三菱ケミカル 高温多湿地域の植物工場システム開発を報告

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2021年4月5日

 三菱ケミカルはこのほど、同社が代表機関を務める「アジアモンスーンPFS(植物工場システム)コンソーシアム」が取り組んできた「植物工場システム開発プロジェクト」について、当初の目標を達成し、今年3月末をもって終了するのに際し、これまでの成果や今後の取り組みについて報告した。

 PFSコンソーシアムは、3つの国立研究開発法人(農業・食品産業技術総合研究機構、国際農林水産業研究センター、産業技術総合研究所)、4つの大学(名古屋大学、大阪大学、東京大学、北海道大学)、6つの民間企業(三菱ケミカル、パナソニック、富士フイルム、シチズン電子、タキイ種苗、堀場製作所)によって構成され、2016年から、生物系特定産業技術研究支援センターに採択されたプロジェクト「農林水産・食品産業の情報化と生産システムの革新を推進するアジアモンスーンモデル植物工場システムの開発」に取り組んできた。

 同プロジェクトは、日本の農業と工業のコア技術を融合することで、高温多湿地域でも、日本国内の温帯地域と同様に、安全・安心で美味しい日本品種野菜を安定的かつ低価格で生産する技術の開発を目指した。高温多湿地域向け太陽光型植物工場の代表的な成果として、①植物工場および温湿度制御技術の開発と実証、②ランニングコスト低減のための素材開発と実証、③栽培技術の開発と評価、④ジャパンプレミアム野菜のブランド化を支える認証指標、育苗装置の開発、⑤ICTを活用した植物工場管理システムと農業経営の育成システムの開発、などが挙げられる。 

 同システムは、日本国内のほか、東南アジアをはじめとした国外の高温多湿地域に社会実装されることで、農業生産者の収益力向上やSDGsへの貢献が期待される。

 今後は、国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点の研究設備を継続使用する新しいコンソーシアムを形成し、熱帯・亜熱帯地域での栽培を前提に、トマトの環境制御最適化(裂果等品質安定化)、イチゴ栽培技術最適化(LED補光による収量アップ)に取り組み、同システムのさらなる発展を目指す。

 また、新しいコンソーシアムでは同システムの国内外の普及を推進するため、農林水産省や各国大使館と連携をとりながら、海外を含む遠隔栽培指導サービスを視野に入れた社会実装を推進し、国内外の生産者の収益力向上とSDGsへの貢献に取り組んでいく。