DICは14日、2021年度第1四半期(1-3月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比5%増の1903億円、営業利益41%増の140億円、経常利益79%増の148億円、純利益121%増の102億円と増収増益だった。
世界経済が米国や中国を中心に回復し、国内でも自動車を中心に幅広い産業で経済活動が戻る中、高付加価値製品である半導体、電機・電子、自動車向け材料など広範な分野で出荷が伸びた。また、生活必需品である食品包装分野でも、海外を中心に引き続き出荷が堅調に推移した。利益面では、高付加価値製品を中心に出荷が全般的に伸長したことに加え、活動経費の抑制や米州・欧州での原料コスト上昇に対する価格対応などが寄与した結果、大幅な増益となった。
セグメント別に見ると、パッケージング&グラフィックは増収増益。出版用インキの比率が高い国内は1~3月の緊急事態宣言による需要減少の影響があり、前年並みで推移した。米州・欧州ではパッケージ用インキの出荷が伸び、アジアは中国を中心に大幅な増収となった。利益面では、海外を中心に原料価格の値上がり影響が出始めているものの、米州・欧州での価格対応が寄与し大幅な増益となった。
カラー&ディスプレイは減収増益。自動車を中心とした経済回復に伴い、塗料・プラスチック用顔料の出荷が回復した。スペシャリティ用途が中心となる光輝材は、引き続き好調な出荷が継続。中国ローカルメーカーとの競争が激しく、TFT液晶は振るわなかった。利益面では、カラーフィルタ用顔料や光輝材などの堅調な出荷に加え、合理化効果が増益に貢献した。
ファンクショナルプロダクツは増収増益。自動車やエレクトロニクス関連を中心に出荷が伸びた。需要の急回復に加え、原料の先高感や物流の乱れなどの要因が重なり、顧客サイドの在庫確保の動きが売上を押し上げた。利益面では、エポキシ樹脂など高付加価値製品の好調な出荷により大幅な増益となった。
1-3月期の業績動向などを踏まえ、上期(1-6月期)の業績予想を上方修正している。売上高は3750億円(前回予想比70億円増)、営業利益は235億円(同30億円増)、経常利益は230億円(同40億円増)、純利益は125億円(同35億円増)。なお、通期業績の見通しについては、コロナ影響の不透明感、原料価格の値上がり懸念などから据え置いている。