SABICはこのほど、フレキシブルエレクトロニクス用ポリイミド(PI)フィルム硬化用の高純度4,4’-ビスフェノールA型酸二無水物(BPADA)の粉末状製品「SD1100P BPADAパウダー」を発表した。
PIフィルムは機械的強度、高耐熱性、寸法安定性、銅に近い熱膨張係数、低誘電率といった特性から、5Gフレキシブルプリント基板や透明ディスプレイなどのフレキシブルエレクトロニクスに適した基板材料である。
BPADAはオキシジフタル酸無水物(ODPA)などの既存の酸二無水物と比べ、フレキシブル銅張積層板、カバーレイや接着剤に使用されるフィルムやワニスの製造時に、誘電率と誘電正接の低減、吸水率の低減、金属との接着性の改善など、各種性能を向上させる。金属への接着性向上により信頼性が高まる上、より薄く低粗度な銅箔の使用が可能となり、部品の小型化や信号伝達性能の向上が図れる。
熱ラミネート工程での金属への接着性や加工性が向上すると、必要な熱、圧力、時間が低減でき、両面ラミネート構造といったより薄肉のフレキシブル回路構成もサポートできる。またPIフィルムの着色性が低減するため、透明ガラスディスプレイなどの代替も可能だ。
5Gネットワークのインフラや接続端末の高速化・大容量化に対応して、フィルム特性が向上する。軽量で超薄型の折りたたみ可能なフレキシブルエレクトロニクスは、フレキシブルスマートフォン用の曲面ディスプレイやアンテナ用基板などの新たな用途への可能性が期待され、フレキシブルエレクトロニクス市場は2024年まで2桁成長すると予想されている。
同社は、熱硬化性新規用途のパフォーマンスを最適化する新たな材料開発に取り組み、酸二無水物ポートフォリオをさらに拡大していく考えだ。