日本触媒 触媒工業協会の技術賞に、脱硝触媒の仕組みを解明

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2021年7月1日

 日本触媒はこのほど、「高活性・高耐久性脱硝触媒の開発および高性能発現メカニズムの解明」の研究に対し、触媒工業協会の令和3年度協会表彰「技術賞」を受賞したと発表した。同社が行った実用触媒の研究に関する論文が、触媒研究の分野で権威ある学術誌である「ChemCatChem」などに掲載され、その内容が学術的成果として顕著であることから受賞に至った。

触媒技術賞 触媒上での硫酸アンモニウム塩分解モデル
触媒技術賞 触媒上での硫酸アンモニウム塩分解モデル

 研究の主な対象である「V/TSM触媒」は同社が触媒技術を駆使して開発。発電所や都市ごみ焼却施設排ガスの窒素酸化物(NOx)を無害化する脱硝触媒として、多くの実用実績をもつ。特長として、従来の触媒で困難だった200℃未満の低温でも十分な性能を発揮。また、排ガス中の硫黄酸化物による劣化にも強い耐久性がある。「V/TSM触媒」を使用することで必要触媒量の低減、触媒交換頻度の削減が可能となるだけでなく、排ガスの再加熱に要するエネルギーも削減でき、CO2削減効果も期待される。

 こうした中、同社は、同触媒の高活性と高耐久性発現のメカニズムを解明するため、京都大学の協力の下に解析を続けてきた。その結果、同触媒は、TiO2-SiO2-MoO3固溶体とバナジウム活性種との相互作用により酸化還元能力が向上するため脱硝活性に優れるとともに、一般的な劣化原因物質である硫酸水素アンモニウムに加え、200℃未満の低温で生成するチオ硫酸アンモニウムを分解する能力にも優れるため、硫黄酸化物による劣化が抑制されることを解明した。

 同社は、引き続き脱硝触媒の改良研究に取り組み、得られた知見を活用しさらなる高活性・高耐久性触媒の開発を目指す。