東洋紡 セラコン用離型フィルム強化、宇都宮に設備新設

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2021年11月1日

宇都宮工場に新設するセラコン用離型フィルム製造設備(イメージ)

 東洋紡はこのほど、積層セラミックコンデンサ(セラコン)用離型フィルム(工業用ポリエステルフィルム)の製造設備を宇都宮工場(栃木県宇都宮市)内に新設することを決定した。2022年夏に着工し、2024年秋の稼働開始を目指す。年産能力は2万t。同工場のインフラ整備費などを含め、投資額は約200億円となる見込み。今後も拡大が見込まれるセラコン需要に対応するため、生産体制の強化を図る考えだ。

 セラコンは、電流の調整や、電気を一時的に蓄積する汎用的な電子部品。様々な電子回路に搭載されており、データ通信の高速化やDXの進展、電装化・自動運転といった自動車産業の発展に伴い需要の拡大が継続、今後も年率7%以上での市場成長が見込まれている。

 同社は、セラコンの製造工程に不可欠な離型フィルムを生産。平滑性や離型性に優れ、セラコン製造時の製品不良率を低減できる点や、ハイエンド品と位置づけられる超小型セラコンに対応している点などが評価され、セラコン市場の成長を背景に採用が拡大している。敦賀事業所(福井県敦賀市)に離型層のコーティング加工設備を導入し、一号機は昨年6月から本格稼働を開始、2号機は来春の稼働を予定するなど、これまでも生産体制を強化してきた。

 宇都宮工場は、同社が今年4月に吸収合併した東洋紡フイルムソリューション(TFS)の主力工場として、セラコン用離型フィルムや高耐久・高耐熱性を特長とするポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムなど、長年にわたり高機能フィルムの生産を手掛けてきた。新設備では、TFSが培ってきたインラインコーティング技術と、東洋紡がもつクリーン環境下でのオフラインコーティング技術を融合し、高機能な離型フィルム製品のラインアップを拡充する。

 東洋紡は「世界№1のグリーンフィルムメーカー」を長期的な目標に、環境負荷の低いフィルム製品の開発や生産効率向上によるエネルギー使用量の削減に、業界に先駆けて取り組んできた。宇都宮工場でも、持続可能な社会の実現に貢献するため、使用済みの離型フィルムを原料として再利用する技術の開発や、より生産効率を高めた最新鋭の設備の導入を推進していく。