日本ガイシはこのほど、産業排ガス向けのCO2分離膜を開発、CO2分離精度を従来型ゼオライト膜の約5倍に向上させた。
同社はこれまでDDR型ゼオライト膜の開発に成功し、原油随伴ガスや天然ガスからのCO2分離の実証試験を進めている。これは分子の大きさの違いで分離するため、CO2より大きな分子であるメタンを主成分とする原油随伴ガスや天然ガスからは、CO2を容易に分離できる。
一方、産業排ガスの主成分である窒素や酸素はCO2と分子サイズが近いため、CO2を高い精度で分離することは難しい。工場などから排出される産業排ガスについてもCO2を分離回収する技術の社会的なニーズが高まっていることから、同社の大型膜・均一膜製造技術を生かし、産業排ガス向けCO2分離膜を開発した。
これは、分子の大きさではなく分子の吸着性(親和性)の違いを利用して分離するため、窒素や酸素からのCO2分離精度はDDR型ゼオライト膜の約5倍(CO2/N2比は約300)に向上した。苛酷な条件下でも使用できるセラミックスの特長を生かし、高温の産業排ガスをターゲットにさらなる分離性能の向上などに取り組み、実証試験を経て2030年の実用化を目指している。