大阪ソーダはこのほど、山形大学とBIH社(山形大学内)との次世代リチウムイオン電池(LIB)の共同開発で、特殊ポリエーテルによるゲル状電解質を用いた安全性の高い半固体電池を開発した。
従来のLIBは低粘度の液体電解質を使用するため、液漏れや発火などの安全性に課題がある。今回開発した半固体電池は、大阪ソーダ独自の特殊ポリエーテルを用いて電解液をゲル状にしたもの。ゲル状電解質は柔軟性・伸縮性があり、液体電解質と同等のリチウムイオン伝導性と高い保液性をもつ。また電池内の抵抗成分である電解質の分解ガスを抑制するため、電池の長寿命化と急速充電、過充電や短絡による熱暴走を防ぐ。
釘刺し試験による液漏れ・発火はなく、充放電サイクル数は1000回以上(従来LIBは500回)、充電時間(80%充電)は半分の30分であり、安全性の大幅向上と充放電サイクル数や充電時間などの高い電池性能を両立できた。
大阪ソーダはこの特殊ポリエーテルの量産技術開発に成功しており、今後は半固体電池の量産化に向けて供給体制を構築するとともに、ウェアラブル機器や家電などの民生用から高い安全性が求められる車載用電池まで幅広い産業用途での展開を視野に、半固体電池のさらなる性能向上や薄型化・大型化などの実用化開発を進めていく。