《化学企業トップ年頭所感》日本触媒 五嶋祐治朗社長

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2022年1月12日

 当社グループの業績は、2019年からコロナ禍の波に大きく揺さぶられはしたものの昨年末にはようやく災禍の静まる兆しが見え、回復してきている。一方で、昨年末からの原料高や海上輸送費の高騰などの影響により、先を見通すのが難しくなっている。業績回復に気を緩めることなく、来年度に繋げられる好業績を目指していく。

 さて、4月からは3年間の中期経営計画を開始し、長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」で示す「2030年の目指す姿」と、その実現に向けた3つの変革を成し遂げるための活動を本格的に始動する。

 1つは「事業の変革」。収益を安定的に確保できる強靭な事業体質へと変革するため、市況に左右されにくいソリューションズ事業(生活消費財、自動車、建材、電池、エレクトロニクス、健康医療、化粧品分野など)の比率を高めていく。それには、マーケティング力の強化が柱となる。マテリアルズ事業(酸化エチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、高吸水性樹脂事業など)も、主力事業として稼ぐ力を継続的に強化するため、あらゆる手段を講じていく。大胆で革新的な発想と合理的で迅速な決断ができる組織への再編、制度構築を計画・実行し、大きな変革を起こしていく。

 次に「環境対応への変革」。2050年カーボンニュートラル実現という社会課題解決への貢献と同時に当社成長のため、当社グループが果たすべき役割と目標を定め、必要な変革を実行していく。当社の強みが生かせる取り組みに焦点を当て、環境貢献製品の販売拡大、主要製品原料のバイオマス化など、実現可能な戦略への大転換を図っていく。他社との協業も含め、2050年に向けた実現シナリオを策定していく。

 そして「組織の変革」。人と人とのコミュニケーションを円滑化し深化させる仕組みや環境づくり、個人と組織が成長できる仕組みづくりを早期に実現するための取り組みを進めていく。具体的には、より一層の権限移譲、人事制度・教育制度の刷新などだ。ステークホルダーから納得いただけるような公正な仕組みに仕上げていく。