石油化学産業に携わる者にとって重要なテーマのひとつに地球温暖化対策がある。日本政府は2050年カーボンニュートラル(CN)実現を目標に掲げ、グリーン成長戦略の策定、経済成長に資するカーボンプライシングの検討などの政策を進めている。CNに向けた個々の対応は会員各社の取り組みによるところが大きいが、石化協としても地球温暖化問題解決に向けて積極的に貢献する基本姿勢に立ち、課題の把握、共有化あるいは他団体との連携といった必要な取り組みに努めていきたい。
また、環境負荷低減に向けてはGHG問題以外にも、廃プラ問題も含めての客観的な判断指標LCAの普及も重要だと考える。さて、足元の世界経済を見ると、コロナ禍の収束については予断を許さない状況にあることに加え、半導体不足などの原材料の供給制約や原油価格の乱高下、米中関係の一層の緊張など国際情勢は多くの不確実要因を抱えている。我が国としては、引き続き環境変化に迅速かつ機敏に対応することが求められる年であり、コロナ禍以降も見据えて、石化業界としても正面から内外の課題に引き続き取り組んで行くことが重要と考えている。
一方、国内の石化業界の状況を見ると、エチレン設備の実質稼働率は、2020年6月~2021年11月まで18カ月連続90%を超え高稼働を維持している。協会長として、まず何よりも工場の24時間操業、製品の安定供給に尽力し高稼働を支えた製造現場の皆様の努力に感謝を申し上げたい。コロナ禍により石化産業が人々の生活に必要不可欠な産業と認識してもらっているが、高稼働が継続しているときこそ安定供給責任を果たすため、石化業界としては、これまでにも増してさらなる保安・安全の確保に努めていく。
当協会としては我が国の石油化学産業の持続的発展に向け、①保安・安全の確保・向上、②事業環境の基盤整備、③グローバル化対応の強化に取り組む。この他の広報活動として、毎年発行しているデータ集「石油化学工業の現状」について2022年版を作成・配布するほか、石化協ホームページ上で有益な情報の更新アップに努める。また、石化産業IT利活用の推進に努め、情報セキュリティ対策の強化を支援していく。