新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、脱炭素化の実現に必要不可欠な再生可能エネルギーの主力電源化へ向けて太陽光発電の普及を後押しする「次世代型太陽電池の開発」の6プロジェクトを採択し着手すると発表した。グリーンイノベーション基金事業の一環で、2025年度までの5年間、予算額は200億円。
耐荷重の小さい工場の屋根やビル壁面など、既存の太陽電池を設置できない場所や建物の曲面などにも設置できる、軽量性と柔軟性をもち変換効率や耐久性なども既存電池に匹敵する、次世代型太陽電池「ペロブスカイト太陽電池(PSC)」の実用化を目指す。
PSCは鉛・ヨウ素・メチルアンモニウムからなる有機無機ハイブリッド型ペロブスカイト材料(結晶)を薄いガラスやプラスチック基板に印刷・形成したもので、桐蔭横浜大学によって開発された。その後、東芝が新たな成膜方法を開発し、多結晶シリコン型と同等のエネルギー変換効率15.1%を達成。印刷で製造できるため、生産の効率化と低コスト化が可能だ。
今回の事業は、次世代型太陽電池の実用化に取り組む企業などが製造から分析・評価まで一気通貫で利用できる研究基盤整備と基盤技術開発、事業者が大学などと連携して行うセルや材料に係る基盤技術開発、大型化のための各製造プロセス(塗布工程、電極形成、封止工程など)の個別要素技術の研究開発を行う実用化事業からなる。
開発テーマは、ロールツーロール製造技術(積水化学工業、東京大学、立命館大学)、実用化技術(東芝、東京大学、立命館大学)、社会実装(エネコートテクノロジーズ、京都大学)、高効率・高耐久モジュールの実用化技術(アイシン、東京大学)、高性能PSC技術(カネカ)、実用化のための共通基盤技術(産業技術総合研究所)の6件だ。実用サイズのモジュール(9㎡以上)と、発電コスト20円/kwh以下の実現を目指す。