昨年6月、大阪工場の定期修理中に火災事故が発生した。お客様への影響を最小限にすべく、生産現場では事業部門と連携した懸命な復旧作業により、何とか早期の復旧に繋げることができた。年頭にあたり、当社グループが全ての活動の根幹とする「安全は全てに優先する」方針を、今一度、社員一人ひとりが心に刻み、気を引き締めてほしいと思う。
「2025長期経営計画」を実行に移してから2年が経ったが、様々な環境変化を乗り越え、2018年度の業績は過去最高の営業利益1060億円を見込んでいる。多くの工場でフル稼働が継続しており、これは社員の皆さんが各々の仕事に真摯に取り組んだ成果の積み重ねだと考えている。
米中関係は経済的には相互に深く依存しつつ、貿易摩擦のリスクが高まる中、新興国経済へも影響が及んでいる。英国のEU離脱は予断を許さず、北朝鮮や中東は依然として地政学リスクがある。このように世界経済はリスクと不確実性に直面し、先行きの減速感が懸念される。こうした中で特に事業面では、自然災害を含めた様々なリスクについてアンテナを高くし、怠りなく備えるよう心掛けてほしい。
また昨年来、海洋プラ問題への関心が世界的に急速に高まってきている。この問題は個社を超えて、業界全体で対応していかなくてはならない。同問題に対しては引き続き、日化協、JaIME(海洋プラスチック問題対応協議会)会長として、政府や関連団体と連携しつつ、日本が取り組んできた実績や情報を積極的に国内外に発信していきたい。
「いい会社」とは、どのようなものだろうか。変化が激しい世の中で、当社は2025年長期目標に向かってどのような未来を予想しながら、イノベーションを起こしてゆくことができるだろうか。
ここ数年、「誇りを取り戻す戦い」として取り組んできた結果、数字的な目標は達成され「強い会社」になりつつある。一方、数字に表れない、公平性や透明性、ガバナンス、また社会・環境との調和・貢献などの施策も推進している。
「いい会社」とは、このような「無形の価値」を併せてもつことだと思っている。三井化学グループが社会から存在を認められ成長するためには、この両方の要素がますます重要になってくる。社員の皆さんが心の羅針盤をもち、いい会社について共に考え、行動してゆく1年になることを願っている。