東洋紡は13日、研究開発機能の強化策の一環として進める総合研究所(滋賀県大津市)の大規模リニューアルについて、第1期工事の「パイロットプラント棟」が完成し竣工式を行ったと発表した。延床面積約3100㎡、鉄骨・平屋建て(一部2階建て)、4月からの運用開始を予定する。
約20億円を投じたパイロットプラント棟は、高機能フィルムを中心とした新たな製品・技術の実用化に向け、試作品の開発や実験などを行う施設。最新の防災設備や浸水対策として高床式構造を採用するなど、安全・防災機能を充実させたほか、太陽光発電の活用や冷却水の循環利用を促進するといった環境に配慮した設計を取り入れた。
今月12日の竣工式には約30人の関係者が出席。同社イノベーション部門統括の大田康雄常務執行役員は、工事関係者へ感謝の意を伝えるとともに、今後の研究開発の強化に向け、「待望のパイロットプラント棟が無事に竣工を迎え、社員一同大変喜んでいる」と述べた。
東洋紡は、昨年5月に公表した長期ビジョン「サステナブル・ビジョン 2030」に基づき、同社が蓄積してきた四つのコア技術(高分子、環境、快適性設計、バイオ・メディカル)を活用・融合しながら、社会課題の解決に貢献するイノベーションの創出を加速するため、総合研究所の大規模なリニューアルを実施している。今後、社内外の多様なパートナーとの連携・協業を通じてオープンイノベーションを促進するための研究棟や、新たなソリューションを提案するため研究開発設備の配置自由度を高める大空間構造の施設などを順次新設していく。
総合研究所は、1976年に各地の研究所を統合・集約させて発足。中長期的な基礎研究や新規事業の創出を担う「コーポレート研究部門」と、各事業に直結した研究開発を行う「事業部研究部門」から成る、同社グループの研究開発活動の中心拠点となっている。