三井化学と三菱ガス化学は9日、バイオマスポリカーボネート(バイオマスPC)の生産・販売に向けた取り組みを開始したと発表した。
三井化学は、バイオマス化を加速する「BePLAYER(ビープレイヤー)」ブランドから展開予定のバイオマスビスフェノールA(バイオマスBPA)を、三菱ガス化学のPC樹脂「ユーピロン」のモノマー原料として供給する。三菱ガス化学はバイオマスBPAを活用し、バイオマスPCの生産と販売を行う。両社は同取り組みを通じて、サプライチェーン全体の温室効果ガス(GHG)排出量削減に貢献することで、カーボンニュートラル社会の実現を目指していく考えだ。
三井化学は帝人とも同様な取り組みを進めているが、ISCC PLUS認証のバイオマスBPAを国内出荷するのは今回が初。今月中の三菱ガス化学への出荷を予定する。一方、三菱ガス化学は、鹿島工場(茨城県神栖市)で界面重合法によるバイオマスPCの生産を行う。また、グループ会社の鹿島ポリマーではペレット賦形品や機能性コンパウンド製品の、MGCフィルシートでは高硬度高透明のシート製品や成形用フィルム製品の加工設備を生かすことで、バイオマスPCに機能性を付与することが可能となる。最終製品は、三菱エンジニアリングプラスチックスと三菱ガス化学トレーディングの全世界的な販売網を通じて市場展開していく。製販一貫でバイオマスPC製品のサプライチェーン構築を進めていく考えだ。
現在、三菱ガス化学は、鹿島工場や前述のグループ会社各社で、今年末までのISCC PLUS認証取得を目指している。海外では、PC素材の製造拠点であるタイポリカ―ボネート社(タイ)、三菱瓦斯化学工程塑料上海社(中国)でISCC PLUS認証を取得する準備にも取り掛かった。取得後はサプライチェーンを通じて、マスバランス方式により自動車、電気電子、光学、OA、半導体といった様々な分野にこれまで困難だったバイオマスPC製品群を広く展開・提供していく。さらに、三菱ガス化学が取り組んでいる「環境循環型メタノール」を使い、PCの全骨格をCO2由来または植物由来とする計画もある。