リケンテクノスはこのほど、2023年3月期の連結業績を発表した。売上高は前年比12%増の1235億円、営業利益19%増の75億円、経常利益16%増の80億円、純利益16%増の46億円の増収増益で、過去最高の収益となった。
会見において常盤和明社長は「販売価格の上昇と円安効果、生産性改善による増益効果を、物流費と電力料の上昇と、中国のロックダウンと北米の景気減速による販売数量減少が押し下げた」と総括した。
セグメント別では、トランスポーテーションは増収増益。国内外自動車生産の回復と原材料価格高騰分の製品価格への転嫁、販売数量の増加で41%の増益となった。
デイリーライフ&ヘルスケアは増収減益。新型コロナから回復傾向にあり、国内は医療・生活資材市場向けエラストマーコンパウンドが、アセアンでは医療用塩ビコンパウンドが増加したが、食品包材での原材料費高騰の価格転嫁が遅れ、減益となった。
エレクトロニクスは増収増益。国内の電力・産業電線向け塩ビコンパウンドと、米国、アセアン、中国での塩ビコンパウンドと車載用遮熱フィルムが伸長し、127%の大幅増益となった。
ビルディング&コンストラクションは増収減益。国内住宅市場は横ばいだったが、政府の住宅省エネキャンペーンによる樹脂サッシ用塩ビコンパウンドと、北米の塩ビコンパウンドとフィルムが増加。しかし国内でのフィルム減少と、価格転嫁の遅れで減益となった。
2023年度の通期連結業績予想は、売上高4%増の1280億円、営業利益1%増の76億円、経常利益2%減の78億円、純利益1%減の45億円を見込む。各セグメントで需要は伸長するが、電力コストなどの上昇で、各段階の利益は横ばいと予想する。常盤社長は、昨年度から始まった新中計の四つの戦略「グローバル経営の深化とシナジー」「顧客の期待の先を行く」「新規事業/新製品への挑戦」「環境/社会課題解決への貢献」の進捗にも触れ、『基盤技術の強化・融合を促進するために、62億円の研究開発投資を行う』と、イノベーション創出に向けた取り組みを強調した。