可塑剤工業会が発表した5月の需給実績によると、フタル酸系可塑剤の国内出荷は、前年同月比1.6%増の1万2800tと、2021年12月以来、17ヵ月ぶりにプラスに転じた。
主要品目では、DOPは同4.5%減の5700tと13ヵ月連続で減少したが、DINPは同10.3%増の6200tと17ヵ月ぶりに前年を上回った。ただ、昨年5月の出荷は5600tと大きく落ち込んでいた。3月に発生した原料アルコールメーカーのトラブル要因により定修前の十分な生産・在庫積み増しができず、顧客注文への全量出荷に対応できない状態だった。今回のプラス転換はその反動によるところが大きいものの、業界筋によれば、DINPの国内出荷は上向いているとの見方が強く、6月以降の出荷動向が注目される。
一方、財務省の貿易統計から輸入品の動きを追うと、5月はフタル酸系可塑剤合計で、前年同月比9.8%増の3700tと拡大した。輸入量の多いDINP(DIDP含む)は、同8.1%減の2900tと落ち込んだが、DOPが同5.7倍の660tと伸びたのが要因。貿易統計から算出した5月の輸入品の平均単価は、DOPが191円/kg(前月比12円安)、DINP(同)は206円/kg(同一円高)だった。国内出荷と輸入を合わせた内需の動向を見ると、1―5月累計はフタル酸系可塑剤合計で前年同期比8.0%減(前月までの累計から2.3ポイント上昇)、そのうちDOPは10.7%減(同2.9ポイント上昇)、DINP(同)は5.3%減(同1.9ポイント上昇)と、マイナス幅は縮小しており、内需は徐々に回復傾向にあるようだ。
なお、5月の生産は、DOPが前年同月比1.7%減の4500t、DINPが同12.5%増の5200tだった。月末在庫はDOPが前月比15.8%減の7400t、DINPが同7.5%減の1万1800tだった。DINPの在庫は依然高めとなっている。