新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、横浜国立大学と共同で、従来不可能であった100分の1を超えるような高い減速比の減速機でも、逆駆動が可能なギヤ(バイラテラル・ドライブ・ギヤ)を開発した。
同開発は逆駆動のメカニズムに特徴がある。ロボットの関節が外力に対して柔軟に動くことを可能にするだけでなく、逆駆動制動時の熱を電気エネルギーとして回収する(エネルギー回生)際の効率化を図ることができる。
モーター情報による負荷トルクの推定が行え、小型軽量化・低コスト化・省エネ化を同時に達成する。今後は協働ロボット、アシストロボット、移動ロボットなどの関節部材や、電気自動車(EV)、電動自転車の変速機などへの展開が期待される。
高齢化社会では、ロボットが産業界だけでなく社会全体で人の役割の一部を担う、人とロボットが共存する社会の実現が期待されている。このような共存社会では、人とロボットの意図しない接触により危険が生じるおそれがある。
これまでは、ロボットの関節に使用されている減速機が、外力に対して柔軟に動く逆駆動性がないため接触の衝撃を吸収できず、結果として人の安全を十分に確保できなかった。さらにロボットの中核部品である減速機は、古くから数多く研究されてきたため、大きな改善の余地はないと考えられていた。
なお、横浜国立大学は今回の開発品を、パシフィコ横浜で2月6~8日に開催される工業技術見本市「テクニカルショウ ヨコハマ2019」に出展する。