東レはミヤコシらとともに、食品や生活用品など身近な商品の軟包装材向けで世界初となる「水なしオフセット(平板)印刷機」を共同開発した。
同印刷機は、東レ独自の水なし平版と水溶性UVインキの併用により、印刷時にVOCを含む液体(湿し水)を使う必要がないほか、印刷後の設備洗浄にVOCが発生しない水系洗浄液を利用できる。
加えて、UVインキの乾燥に省電力性が高いLED-UVを使うことで溶剤乾燥と排気処理を省き、グラビア(凹版)印刷方式に比べてVOC排出量を98%以上削減し、印刷機1台あたり約80%減となる年間96万kWhの電力消費量削減を実現した。
VOCフリーシステムのため、排気処理装置や防爆対応設備も不要。また、平版の使用により版代コストを安く抑えられるなど、設備導入コストとランニングコストを低減できるため、軟包装用印刷の多品種化・小ロット化が進む市場に、優れたパフォーマンスで対応する。
同社は今後も、世界が直面する「発展」と「サステナビリティ(持続可能性)」の両立をめぐる問題の解決に向けて、革新技術と先端材料で本質的なソリューションの提供をしていく。
今回開発した水なしオフセット印刷機と水なし平版、水溶性UVインキを組み合わせた軟包装用水なしオフセット印刷システムは、その取り組みの一貫として印刷業界の環境負荷低減に貢献していく考えだ。
なお同開発は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)事業によるもの。東レは2016年度から、VOCフリー化や省電力性など環境性能の高い軟包装用水なしオフセット印刷システムの開発を開始。2017年度には印刷機メーカーのミヤコシ、印刷用インキメーカーのT&K TOKA、印刷システムのユーザーである光村印刷が参画し、開発を推進してきた。