東洋紡はこのほど、敦賀事業所において、2021年春をめどにセラミックコンデンサ(セラコン)用離型フィルムのコーティング加工設備の2号機を増設すると発表した。現在、今夏の稼働予定で1号機を建設中だが、車載用セラコン需要の急増に対応するため、増設を決定し生産体制の強化を図る。
セラコンは、電流を調整したり、電気を一時的に蓄積したりする汎用的な電子部品として、さまざまな電子回路に搭載されている。スマートフォンの高機能化や、IoTやAIの普及・進展により市場が拡大しており、2017年度に約7000億円だった市場規模は、2023年度には1兆4000億円に達することが見込まれている。
同社は、ハイエンド品と位置づけられる超小型(0.6㎜×0.3㎜以下)セラコン用離型フィルムに関して、原反の製造から離型層のコーティング加工まで一貫して行える唯一のメーカー。平滑性に優れたフィルムを製造する独自技術と、高度なクリーン環境を維持できる加工技術を保有している。
セラコン市場の拡大する中、敦賀事業所に工場棟を新設し、今夏にも離型フィルムのコーティング加工設備の1号機を稼働する予定だった。今回、自動車の電装化や電動化の急ピッチな進展により、セラコンの自動車への搭載数が急増していることなどを受け、2号機の増設を決定した。
同社は1号機と2号機に総額で60億円を投資し、生産体制を強化。2023年度までに売上高の倍増を目指す。