東芝 指紋認証ICカードソリューション「BISCADE(ビスケード)」 非接触式の多要素認証に対応

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2025年11月7日

 東芝は6日、2020年に製品化した指紋認証ICカードソリューション「BISCADE(ビスケード)」の新製品の提供を開始すると発表した。新製品は、市販のICカードリーダにかざして使える非接触式に対応。また、指紋登録やデータ設定をクラウドサービスで行えるようにし、PCのシステムログインや入退室ゲート、ICカードロッカーなど様々なICカードシステムにおいて、1枚のICカードで複数のシステム向けの多要素認証を実現し、生体認証の本人確認によるなりすまし防止が可能になる。
  昨今、システムログインのID・パスワードの漏えいやなりすましによるシステムの不正利用の被害が発生しており、ID・パスワードのような「記憶情報」に加えて、ICカードを所持しているという「所持情報」、指紋や顔などの「生体情報」など、異なる種類の認証情報を2つ以上組み合わせて本人確認を行う多要素認証の採用が多くのシステムで検討されている。厚生労働省のガイドラインでは、令和9年度(2027年度)時点で稼働を想定する医療情報システムを、今後新規導入または更新する場合は、二要素認証を採用するシステムの導入、またはこれに相当する対応を行うことが求められており、特に医療業界では多要素認証への対応が急務となっている。
 さらに、従来のICカードを利用したシステムで、新たに生体認証を追加するためには、生体認証サーバや生体情報を取得するためのカメラ、センサなどの機器の導入コストが発生する課題や、システムごとに個別のICカードが必要になり、認証操作が複雑化するといった課題もある。

 同社の指紋認証ICカード「BISCADE カード」は、従来、接触式のカードリーダに挿入し、指をカードのセンサに当て、カードと指紋の二要素認証を行っていたが、新製品は市販のICカードリーダの非接触式に対応したため、利便性が向上した。また、従来1枚の「BISCADE カード」で1システムのみの適用だったが、新製品では指紋登録やカードへの情報設定をクラウドサービスで実施するため、複数のシステムの認証情報を登録でき、1枚のICカードで複数のシステムの二要素認証が可能となった。なお、「BISCADE カード」はカード内で指紋照合を行って認証処理を完結するため、指紋認証のためのサーバは不要で、照合のために指紋情報を外部に出力することもない。

 同社は、今後も、医療業界の二要素認証対応をはじめ、様々な業界で使用されているICカードシステムにおいて多要素認証を実現し、不正アクセスの防止に貢献していく。

サービス概要
指紋認証カード情報設定クラウドサービス画面