【カーボンリサイクル特集】三菱ケミカル

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2020年11月21日

サーキュラーエコノミー推進部長  金沢大輔氏

サステナビリティ事業をサポート、会社全体でCEを加速

 ━サーキュラーエコノミー推進部が発足した背景について。

サーキュラーエコノミー推進部 金沢部長

 当社は、2017年に3社(三菱化学、三菱レイヨン、三菱樹脂)が統合して発足する前から、親会社である三菱ケミカルホールディングス(MCHC)のオリジナルコンセプト、人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくことを意味する「KAITEKI」の実現を目指しており、10年近くサステナビリティを会社の軸に据えて、環境に貢献する多くの製品を手掛けてきている。こうした中、世の中のトレンドとして、環境や社会の問題解決への期待が高まっており、会社全体としてサーキュラーエコノミー(CE)を推進する部署が必要となってきた。MCHCはCEを重要な戦略と位置づけ、グループ全体の方針を打ち出しているが、当社としての戦略も重要となってくる。また、所管の官庁や業界団体と連携するケースが増加していることや、新領域であるケミカルリサイクル(CR)の一環として、廃プラスチックを収集するリサイクル業界との連携も想定される。こうしたCEに関する案件に対し、窓口を一本化して対応を図るとともに、各事業のCEの取り組みをサポートすることを目的に、CE推進部が4月に立ち上げられた。

 ━部署の概要についてお聞かせください。

 CE推進部は社長直轄であり、まさに和賀昌之社長肝煎りの部署だ。社内横断的に、技術開発者やビジネス担当、また部門もカーボンケミカル(石油化学)などの素材から機能商品まで、年代を含め多種多様な人材が集まっており、まさにダイバーシティを有する組織となっている。私は5月まで、新事業創出部長を務めていたが、それまでもCEやサステナビリティを大きな軸として捉えていた。CE推進部でも、その時の経験が役に立つと考えており、会社全体でCEを加速させていく。

 ━具体的な数値目標などはありますか。

 MCHCの中長期経営基本戦略「KAITEKI VISION 30」では、社会課題の解決に貢献する事業の柱として、6つの成長事業群を掲げた。2030年の売上高目標6兆円のうち成長事業が7割超を占める計画であり、三菱ケミカルとしても思い切ってそちらに舵を切っていかなければならない。CE推進部では全ての成長事業群が関連するが、特に

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中外製薬 ESG投資指数「DJSI World」に初選定

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2020年11月19日

 中外製薬はこのほど、世界の代表的なESG投資指数であるDJSIの全世界版である「DJSI World」の構成銘柄に初めて選定され、アジア・太平洋版である「DJSI Asia Pacific」に3年連続6回目の選定を受けた。

 DJSIは、米ダウ・ジョーンズ・インデックス社が作成する代表的なESG指数であり、企業の持続可能性(サステナビリティ)に関心をもつ世界中の投資家にとって重要な投資選択基準の1つ。同指数の構成銘柄は、企業の経済・環境・社会面でのサステナビリティの評価により毎年選定される。

 「DJSI World」の医薬品セクターには、全世界の医薬品企業の中でサステナビリティ評価が世界3位となった中外製薬も含め、上位8社が構成銘柄として選定された。DJSI World全体では323社(日本企業39社)が選定されている。なお、アジア・太平洋版「DJSI Asia Pacific」には、同社を含め5社が選定された。

 中外製薬は中期経営計画の中で、イノベーションへの挑戦を支える「サステナブル基盤の強化」を5つの戦略の1つとして掲げ、社会との共有価値創造実現のため六分野の重点強化領域を特定し、DJSIをはじめとするESG外部評価のギャップ分析に基づいて、6分野を中心にPDCAサイクルを回すことで、継続的なサステナブル基盤の強化に取り組んでいる。その結果、今年はサプライヤーの人権デュー・デリジェンスやサプライチェーンマネジメントに関する評価が昨年を大きく上回った。

 同社は、「すべての革新は患者さんのために」という事業哲学の下、革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献することで、生命関連企業として積極的に社会責任を果たしていく。

 

エボニックとシーメンス CO2原料の化学品製造を開始

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2020年11月19日

 エボニックインダストリーズとシーメンスエナジーはこのほど、CO2と水からスペシャルティケミカルを製造するテストプラントの稼働を開始したと発表した。

 「レティクス(Rheticus)Ⅰ、Ⅱ」プロジェクトは再生可能資源由来の電力と人工光合成技術を利用したエネルギー革命を目指し、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)から総額630万ユーロの助成を受けている。

 エボニックの最大拠点マールで稼働するテストプラントは、シーメンスエナジーのCO2/水電気分解装置とエボニックのバイオリアクターから成る。CO2と水をCOと水素に電気分解した後、微生物(バクテリア)を利用してプラスチックや栄養補助食品などの出発物質を製造する。このような人工光合成はエネルギー貯蔵庫の役割も果たし、炭素循環による大気中CO2の低減にも寄与する。今後数週間で合成ガスの組成、電気分解と発酵の相互作用の最適化を行い、高純度化学品製造のための液体処理ユニットを設置する。

 同プロジェクトの成功により、CO2から高付加価値スペシャルティケミカルや高エネルギー人工燃料などをモジュール方式で柔軟に生成できるプラットフォーム技術が実現する。A・カルリチェクBMBF大臣は「この最高水準の技術はドイツだけでなく世界中で実現する可能性があり、技術輸出を行う絶好のチャンスだ。効果的な地球環境保護の推進と、ドイツの強力な産業基盤の維持の両方を、このプロジェクトで実現できると確信している」と述べ、ドイツ連邦議会議員でグリーン水素担当の連邦委員を務めるS・カウフマン氏は「グリーン水素経済はイノベーション大国ドイツで革新的な技術が使われた場合のみ成功する。そのために必要な勇気と研究精神を、レティクスのプロジェクトパートナーは模範的に示している」と述べている。

 またエボニックのイノベーション担当のH・シュヴァーガー副会長は「化学産業のエネルギー転換ソリューションや開発なしに地球環境保護は不可能だ。政治的決定による供給安定性と信頼が、新しいものを生み出すフレームワークを設定する」と化石燃料の段階的廃止に関するスピードに警鐘を鳴らしている。

 

DIC 肌のバリア機能を高める機能性表示食品を新発売

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2020年11月19日

 DICはこのほど、食用藍藻(らんそう)スピルリナを中心とした健康食品を製造・販売する100%子会社DICライフテックが、肌のバリア機能を高める機能性表示食品「フィコナ スキン モイストリフティング タブレット」の販売を開始したと発表した。

PHYCONA フィコナ
フィコナ スキン モイストリフティング タブレット

 同製品は、食用藍藻スピルリナから独自の特許製法で抽出した青色素「フィコシアニン」を関与成分とし、最終製品によるヒト臨床試験で保湿効果が確認された機能性表示食品。保湿効果を含む有用成分は多数あるが、タンパク質の一種であるフィコシアニンは肌の水分保持に役立ち、乾燥を緩和する機能があることが報告されている。製品にはC-フィコシアニン、アロフィコシアニンが含まれており、内側から肌のバリア機能(保湿力)を高める今までの保湿成分にはない新しい有用成分をもつ。

 フィコシアニンの原料となるスピルリナは、約30億年前に誕生した食用藍藻で、50種以上の健康・栄養成分を含むスーパーフードの王様とも呼ばれる。DICグループは、その可能性にいち早く着目し、50年にわたって研究を続けてきた。藻類研究のパイオニアとしてスピルリナ粉末を健康食品や、食用色素、食品素材や飼料分野へ展開してきた結果、青い色素成分「フィコシアニン」が秘めている優れたパワーを独自に見出だした。

 DICグループは、中期経営計画「DIC111」の中で、今後の新事業の柱の1つとしてヘルスケア分野の強化に注力している。消費者の健康志向を背景に今後も同社が得意とする藻類培養技術を活用した〝食の安全・安心〟に注力した食品やサプリメントなどの製品開発を進めていく。

デンカ 国際プラスチックフェア バーチャルに初出展

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2020年11月19日

 デンカは、国際プラスチックフェア(IPF)協議会主催のオンライン展示会「IPF Japan 2020 Virtual(国際プラスチックフェア バーチャル)」(11月18~20日)に初出展。エラストマー・機能樹脂・化成品の主力製品を紹介する中、基盤技術を応用した2つの新規開発品を展示している。

デンカIP
デンカIP

 1つが、塩ビ向け耐熱付与剤の新機能性樹脂。自動車内装材などで高い評価を得ている耐熱付与剤「デンカIP」で培った基盤技術を応用し開発され、高耐熱性と低VOCの特長を備える。塩ビ樹脂へ優れた熱安定性を付与できることから、塩素化塩ビ代替として住設資材などへ幅広く提案する。

デンカポバール
デンカポバール

 2つ目が、新規高機能塩ビ分散剤「デンカポバール」ULTIOLシリーズ。水溶性の合成樹脂「デンカポバール」は、土木・建材、乳化分散剤、接着剤など幅広い用途に使用されている。新開発したULTIOLシリーズは、塩ビ樹脂製造の様々な重合条件下で高い分散安定性を発揮し、生産性向上をもたらす。

 なお、展示会は会期終了後も来年5月21日まで継続され、閲覧が可能だ。展示会詳細についてはIPF公式ホームページ(https://www.ipfjapan.jp/)を参照のこと。

 

経産省 9月のエチレン換算輸出入は16万3000tの出超に

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2020年11月19日

 経済産業省が18日に発表したエチレン換算輸出入実績によると、9月は16万3400tの出超となった。エチレン換算輸出は前年同月比8.9%増の23万500tとなり、2カ月連続でプラスとなった。スチレンモノマーは大幅に減少したが、ポリエチレン(低密度、高密度)やエチレン酢ビコポリマー、エチレングリコールなどが2桁増と大幅に伸びたことが背景にある。

 一方、輸入は

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経産省 10月のエチレン生産は8カ月連続でマイナスに

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2020年11月19日

 経済産業省が18日に発表したエチレン生産速報によると、10月の生産量は前年同月比7.1%減の51万9100tとなり、8カ月連続で前年実績を下回った。前月比では6.5%増とプラスに転じている。前年同月は定修がなかったのに対し、10月は1プラントの定修があったことが影響したと見られる。

経産省 エチレン用輸入ナフサ、2万9100円と微減

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2020年11月19日

 経済産業省が18日に発表したエチレン用輸入ナフサ通関実績によると、10月の輸入単価は400ドル/t、円換算で2万9089円/kl(為替:105.5円/ドル)となり、前月の2万9397円から微減となった。ドルベースでは前月比1.5ドル安、円換算でも同308円安となり、いずれも4カ月ぶりに値下がりした。

 

三井化学 歯科材事業を拡充、入れ歯をクラウドでデザイン

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2020年11月19日

 三井化学はこのほど、グループ会社のクルツァージャパンが、今月から歯科用3Dプリンターで作製するデンチャー(入れ歯)のデザインを行える、クラウドベースのプラットフォームサービスの販売を開始したと発表した。

DENTCAのデザインシステムを使ったデンチャー(入れ歯)のデザイン
DENTCAのデザインシステムを使ったデンチャー(入れ歯)のデザイン

 同サービスは、三井化学の米国子会社DENTCA(カリフォルニア州)が米国を中心に展開していたもので、このほどクルツァージャパンが日本でのサービスを開始した。同社はまた、先月から三井化学の高分子・合成技術を生かした、今年5製品目となる3Dプリンター用ソフトスプリント(=マウスピース)向けの新規レジンインクの販売も始めており、3Dプリンターを活用した歯科材料事業の拡充を進めている。今回開始したクラウドベースのデザインプラットフォームサービスにより、歯科技工士の省力化や熟練した歯科技工士の人手不足解消、患者の負担軽減などに貢献していく考えだ。

 従来は、歯科技工士が模型を使い歯列や歯肉のデザインを手作業で行っていたが、同サービスでは、クラウドベースのソフトウェア上で全てデザインできるようになる。そのデザインをもとに、薬事認証を取得した歯と歯肉造形用のレジンインクを使い3Dプリンターでデンチャーを作製する。これにより、これまで歯科技工士が長時間かけて作成していた作業時間を10分の1程度に短縮するほか、患者はデンチャー作製のための通院を従来の最低5回から3回程度まで減らすことが可能になる。

 三井化学グループの歯科材料事業は、長年のビジネスで現場のニーズを知り抜いたドイツのクルツァー、先進的なデザインシステムの提供により安定した品質の歯科技工をサポートするDENTCA、そして歯科に特化した3Dプリンターを開発し、安定した品質で機器を供給する米国B9Creations、さらに三井化学のポリマーテクノロジーを組み合わせて、顧客に最適なソリューションを提供することで事業拡大を図っている。

 今後もデジタル化を推進し、歯科医療従事者と患者のQOL向上に貢献していく考えだ。