三菱ケミカル 薄膜・高強度のPP系多孔質フィルムを開発

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2018年9月6日

 三菱ケミカルはこのほど、リチウムイオン電池(LiB)や分離膜などで省エネ・省資源に貢献できるポリプロピレン(PP)系多孔質フィルムを開発したと発表した。

 この研究成果は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の1つである「超薄膜化・強靭化『しなやかなタフポリマー』の実現」の一環として取り組んだもの。

 同プログラムでは、PP系の多孔質フィルムであるLiBのセパレーターに着目し、そのタフ化を目指した研究開発に取り組んできた。車載用への需要が高まっているLiBは、高容量化が重要課題であり、セパレーターの薄膜化が有効であると言われている。しかし、単に薄くすると機械的強度が下がり、本来のセパレーターの機能を担保できないという問題があった。

 同プログラムではセパレーターを構成する多孔質フィルムの薄膜化と高強度化の両立を目指し、各種製法による多孔質フィルムについて、放射光X線散乱法などを用いた高次構造解析と機械的特性試験との結果から、高強度化するための材料設計指針を構築し、それを具現化するため、材料と製膜プロセスの両面から検討を重ねた。

 その結果、従来の性能(電気絶縁性、リチウムイオン透過性)を維持しながら、厚みを従来の主流であった20~30μmから5μmまで薄膜化するとともに、単位厚みあたりの突き刺し強度を2~3倍まで高めることに成功。これにより、理論上、電池容量を20%程度向上させることが可能となった。

 ImPACTプログラム・マネージャーの伊藤耕三氏(東京大学教授)は「今回の研究は多孔質フィルムをタフ化する新たな材料設計指針の確立につながるとともに、LiBの高容量化を実現可能な画期的成果と言える。今後は同成果が他の多孔質フィルムにも適用され、幅広い用途に展開されることを期待している」と話している。

ハネウェル プラント最適化ソリューションが日本で初採用

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2018年9月6日

 ハネウェルはこのほど、「つながる工場」製品群の「ハネウェル・コネクテッド・プラント」が提供する、クラウドベースのプラント最適化ソリューション「アセット・パフォーマンス・スイート」が、アジアで初めて日本国内で採用されたと発表した。 同社のトランスポーテーションシステムズ事業部が所有する、自動車用ターボチャージャー製造施設である児玉工場(埼玉県)で新規に導入した。

 ハネウェル・コネクテッド・プラントは、同社が長年にわたりプラント業界で蓄積した、専門性と制御技術の実績を集約した顧客のプラントに最高レベルの安全性と信頼性、効率性や収益性を可能にするソリューション。オペレーションのデータを「対応するための」情報として提示することで、プラントの稼働状態の最適化、異常の予測検知や不測の操業停止の防止に寄与する。

 プラントの稼働状態を常に高いレベルに維持することで、「毎日の操業をベスト」にする。児玉工場では工場内に設置した、標準的な産業通信プロトコルで接続した約70台のサードパーティー製の電気メーターや流量メーター、エアコンプレッサなどのフィールド機器からデータを取得。収集したデータはワイヤレス通信ゲートウェイから、安全にクラウドベースのアセット・パフォーマンス環境に送信する。

 アセット・パフォーマンスでプロセスデータと設備データから、アナリティクスとKPI(主要パフォーマンス指標)を作成。設備の稼働状態やエネルギー消費状況と参照することで、オペレーションを最適な稼働状態に維持するための対応に必要な情報を提示する。

 また、アセット・パフォーマンスの高精度の解析結果を、トランスポーテーションシステムズが運用する他社製のISO50001(エネルギーマネジメントシステム)プラットフォームに安全に統合し、将来のエネルギー消費を予測し計画運用する。

 ハネウェルトランスポーテーションシステムズの木下靖博・日本カントリーリーダーは「アセット・パフォーマンスを導入し、設備レベルの詳細な運転パフォーマンスをモニタリングし可視化することで、製造現場での空気漏れなどのエネルギーロスに至る要因を容易に特定し、省エネ化とエネルギーコストの削減ができるようになった」と話している

日本ソーダ工業会 7月のカセイソーダ出荷は4%増

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2018年9月6日

 日本ソーダ工業会がこのほど発表したソーダ工業薬品需給実績によると、7月のカセイソーダの出荷合計は前年同月比4%増の34万600tだった。

 内需が

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NEDO 「超スマート社会」で研究開発テーマを採択

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2018年9月6日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、人工知能(AI)などの先進技術を活用した「超スマート社会」の実現に向けた研究開発プロジェクトを開始し、新たに6件の研究開発テーマを採択した。

 今回は大学を中心に各種デバイスメーカーなどを委託先として、「生産性」分野から3件、「健康、医療・介護」分野2件、「空間の移動」分野1件のテーマが採択された。NEDOは各事業を通じ、スマートモビリティ、地域介護システム、食品バリューチェーンなど、社会の様々なニーズにきめ細かく対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられる「超スマート社会」の構築を推進していく。

 政府が2017年に策定した「人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップ」の中で、AI技術の社会実装が求められる重点分野として、「生産性」「健康、医療・介護」「空間の移動」の3つを設定。これを受けNEDOは、三分野を対象に研究開発プロジェクトを開始した。

 同プロジェクトでは、これまで開発や導入が進められてきたAIモジュール、データ取得のためのセンサー技術、研究インフラを活用しながら、サイバー(仮想)とフィジカル(現実)の両空間が高度に融合した「超スマート社会」を実現するための研究開発・実証を行う。

 AI技術は、欧米を中心に先行的なソフトウエアプラットフォームの研究開発が盛んだが、社会実装の実用例はまだ少ない。NEDOは同プロジェクトを通じて、日本の得意分野にAI技術を応用することで競争優位性を確保するとともに、AIの有効活用に不可欠な現場データの明確化と取得・蓄積・加工のノウハウを確立し、AIの社会実装の先行的な成功事例を創出していく考えだ。

 なお、同プロジェクトは「人工知能技術適用によるスマート社会の実現」として、実施期間は18~22年度(予定)、予算は約59億円を見込んでいる。

信越化学 シリコーン事業で1100億円の設備投資

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2018年9月5日

 信越化学工業はこのほど、主力事業の一つであるシリコーン事業で1100億円近くの設備投資を実施すると発表した。シリコーンの中間製品のモノマーとオイル系・樹脂系・ゴム系のさまざまな最終製品の生産能力を、国内外の主要な拠点で増強する。

タイのシリコーン拠点で100%子会社のアジア・シリコーンズ・モノマー社

 同社は世界の多くのユーザーから多種多様な要望を受けており、これに応えていくために一連の投資を行い、一貫生産体制をさらに強化するとともに、ユーザーの課題解決に貢献できる力を高める方針だ。

 今回の設備投資は約2年半にわたり段階的に実施し、モノマーの増強と最終製品の増強を並行して進めていく計画で、投資の内訳は、モノマーなど中間製品の生産能力の増強に約500億円、最終製品の生産能力の増強に約500億円、その他インフラや出荷など付帯設備の増強に約100億円を見込んでいる。

 モノマーは日本とタイの既存の拠点、最終製品群は日本に加え、海外にある6カ国

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信越化学 塩ビの国内向け価格を10月1日納入分から値上げ

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2018年9月5日

 信越化学工業は4日、塩化ビニル樹脂の国内向け販売価格を、10月1日納入分から、12円/kg以上値上げすると発表した。

 同社は4月にエチレンやナフサをはじめとする原燃料価格の急騰を理由に、値上げを実施した。しかし、ナフサ価格はその後も相場が上昇し、不安定な動きを続けた後、騰勢を強めている。さらに、ユーティリティや輸送のコストも上昇している。また、既存の生産設備は操業開始から長期間が経過し、安全・安定操業と品質の維持を継続するための設備メンテナンス費用が、従来以上に必要となっている。

 同社では継続的にあらゆるコスト低減に努めているが、現在の原燃料価格の上昇は、企業努力の限界をはるかに超えるものとなっており、塩ビの今後の安定供給を維持するためにも、今回改めて価格改定を実施せざるを得ない状況となった。

 なお、塩ビの国内外の需要は堅調に推移。一方、中国の環境規制の強化などで、塩ビの供給量が減少していることから、世界の需給はひっ迫しており、価格は高値で推移しているという。

旭化成 欧州でキュプラ繊維の商標を「Bemberg」に統一

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2018年9月5日

 旭化成は4日、欧州でキュプラ繊維の商標を「Bemberg」に統一すると発表した。また、欧州でのBembergブランドの使用開始と同時に、今後はインド・パキスタンでも「Asahi Bemberg」からBembergに商標を統一する。これにより、同社はキュプラ繊維「ベンベルグ」のプロモーションをグローバルに強化していく。

 Bembergの商標は、欧州では他社の商標として登録されていたが、このほど世界唯一のキュプラ繊維製造会社として当該商標を取得した。同社はこれまで、欧州などでは「Cupro」の名称でマーケティング活動を行っていた。

 旭化成のベンベルは、1931年に生産を開始し、87年の歴史がある。今後も素材特性や生産技術に磨きをかけ、サステナブルなオンリーワン素材としてベンベルグブランドの展開を推進していく。

 プロモーション強化策として①新ビジュアルによる新たなイメージを欧州中心に発信(欧州で製作中)②サステナブルな素材としての発信強化③ベンベルグ特有の、糸を細かく毛羽立たせ光沢感を抑えたフィブリル加工の環境対応型新技術の紹介④コンポスタブル(堆肥化可能)な生分解糸としてのアピール⑤日欧とアジアのコンバーターと生地の開発強化⑥各展示会への出展(Premiere Vision Paris、Intertextile 上海など)⑦アパレル・ブランドとのコラボ企画検討(百貨店での消費者への販促イベントなど)⑧社会貢献活動の強化(インドにおけるビジネス行動要請〈BCtA〉、中国での〈旭化成・中国未来の星デザインイノベーション大賞〉など)を計画中だ。

 なお、パリで19~21日に開催される「Premiere Vision Paris」で8つの強化策の発表を予定している。