東洋紡はこのほど、PBO繊維「ザイロン」を10月1日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は現行価格から「5~11%」。
昨今の原油・ナフサ価格の高値水準の継続を背景に、対象製品の原料や副原料価格の上昇が継続しており、今後も一層の高騰が懸念されている。加えて、燃料費や電力費、物流経費などの諸経費も上昇し、製造コストを押し上げている。こうした状況下、同社では徹底したコスト削減を行っているものの、現在の価格体系では顧客への安定的な製品供給が困難と判断し、価格改定の実施を決めた。
2022年8月12日
2022年8月12日
旭化成はこのほど、スチレン系熱可塑性エラストマーについて今月15日から値上げすると発表した。対象製品は、スチレン系熱可塑性エラストマー(「タフプレン」「アサプレンT」など)、および水添スチレン系熱可塑性エラストマー(「タフテック」「S.O.E」)で、改定幅はいずれも「100円/kg以上」となっている。
昨今の原油価格の高騰や急速な円安の進行などに伴い、主原料価格が今年1月の価格改定時から大幅に上昇し、同様に用役、副原料コスト、物流費も上昇を継続している。同社は、これらの製造コストが自助努力の範囲を超えた状態が続いていることから、製品の安定供給を維持するために、値上げせざるを得ないと判断した。なお、今後の原料市況動向次第では、再度の改定の可能性があるとしている。
2022年8月12日
2022年8月12日
2022年8月12日
2022年8月12日
2022年8月12日
2022年8月12日
2022年8月12日
2022年8月10日
脱炭素化も急務の課題、新たな挑戦で成長を実現
わが国化学産業は、好業績となった昨年度から一転して、事業環境に暗雲が立ち込めている。ウクライナ問題を背景に原油価格が高止まりし、原燃料価格の高騰や物流費などのコストアップが収益を圧迫してきた。また中国では、ゼロコロナ政策の強化により景気が悪化。巣ごもり需要で好調だった半導体メモリやディスプレイ材料などでは在庫調整の動きも出始め、自動車生産も半導体不足の影響から計画の見直しが進む。
こうした最終製品の需要低迷が素材分野に及び、わが国エチレン稼働率は8年7ヵ月ぶりに90%台を2ヵ月連続で割り込む事態となった。各社は、価格是正やコストダウンに取り組むなど、変動への耐性が問われる1年となっている。
一方、化石資源がひっ迫しているものの、将来に向けた脱炭素化も急務の課題だ。環境に貢献する技術開発では、業界を超えたアライアンスや、NEDO事業などに参画する動きが活発化している。装置産業にとって脱炭素はハードルが高いものの、この転換期を乗り越え、いかにビジネスにつなげるかが、生き残りを図るカギになってくる。
今回の特集では、既存事業の強化とともに、新たな分野にどう挑戦して企業成長を実現していくのか、業界を代表する方々に話を聞いた。
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◇インタビュー◇
三菱ケミカルグループ 代表執行役EVP 福田信夫氏
▽物流・サプライチェーン改革を推進、DXで可視化し最適化へ
旭化成 社長 工藤幸四郎氏
▽アニマルスピリットを覚醒、積極的に挑戦し道を切り拓く
三井化学 社長 橋本 修氏
▽社会課題解決にソリューションを提供、CVCで新事業創出へ
昭和電工 社長 髙橋秀仁氏
▽来年1月に統合新会社が発足、新社名と新体制で共創を実現
東ソー 社長 桒田 守氏
▽ハイブリッド経営で着実な成長、環境貢献と企業成長に挑む
JSR 社長兼COO 川橋信夫氏
▽成長投資を継続、技術力を強化し最先端分野を切り拓く
プライムポリマー 社長 藤本健介氏
▽ポリオレフィンは差別化に注力、MRとバイオマスで環境貢献
PSジャパン 社長 室園康博氏
▽長期ビジョンでは利益を追求、CR設備や環境製品開発に投資