NEDOと山形大学 起業家支援に関する相互協力で覚書

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2019年8月29日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と山形大学は、起業家支援に関する相互協力の覚書を締結した。ビジネスプランコンテストなどを通じた大学発ベンチャーの創出に関する取り組みのほか、ベンチャー支援人材やオープンイノベーション推進人材の育成などを実施していく予定。

 具体的には、同大が実施する大学発ベンチャー創出に向けたビジネスプランコンテストなどについて、NEDOが実施する「NEDO Technology Commercialization Program(TCP)」と連携して、ベンチャー創出に向けた支援を行う。

 また、NEDOの高度専門支援人材育成プログラム「NEDO Technology Startup Supporters Academy(SSA)」や、オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)の活動で、同大のベンチャー創出現場から優先的に人材を受け入れ、研究開発型ベンチャーのための伴走支援人材や、オープンイノベーション推進人材を育成する。

 さらに、同大発ベンチャーや企業化を目指す相談案件に対し、NEDO委嘱カタライザー(ベンチャー支援経験の豊富な有識者)を無料で派遣する。

 国内の産業技術のイノベーションで、シーズとなる技術をもつ大学の存在がさらに注目される中、知的財産や研究開発成果の社会実装の手段として、大学発ベンチャーの創出・育成が重要視されている。こうした背景から、NEDOは大学発ベンチャーや起業家支援を積極的に行っている大学と、起業家支援に関する相互協力の覚書を順次締結し、大学発ベンチャーへの支援を行っている。

 NEDOが大学と覚書を締結するのは、東京工業大学や山口大学などに続き、山形大学が9例目となる。

 今後、NEDOと同大は、大学発ベンチャーの創出やオープンイノベーションの推進を通じて、研究開発型ベンチャーが次々と誕生し、成功事例を積み重ねていくベンチャーエコシステムのさらなる裾野拡大や、イノベーション創出環境の整備に貢献していく。

JXTGエネルギー CO2フリー水素を活用へ 研究組合に参画

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2019年8月29日

 JXTGエネルギーは「技術研究組合 CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)」に、商用化検討を進める企業メンバーとして参画した。

 HySTRAはオーストラリアで未利用褐炭から製造された、CO2フリー水素を液化して日本へ輸送する、国際的なサプライチェーン構築に向けた実証事業に取り組んでいる。将来の安価で安定的なCO2フリー水素の本格活用に向け、「褐炭からの水素製造」「液化水素の長距離大量輸送」「液化水素荷役」という、製造、輸送・貯蔵、利用までのサプライチェーンで必要になる技術の確立と実証を目的として、2016年に結成された。

 現在、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受け、パイロット実証に取り組むとともに、2030年頃の当該技術の大規模な社会実装に向けて商用化検討が実施されている。

 JXTGエネルギーは石油精製事業で大量の水素を製造・消費すると同時に、水素ステーションでの水素供給事業を展開している。将来、水素の活用範囲が大規模発電や産業用途に拡大していく大量消費時代が到来した際には、CO2フリー水素のサプライチェーン構築に先駆的に挑んできたHySTRAの取り組みが、新たなエネルギーインフラの基盤になり得ると考え、今回、HySTRAに参画することにした。

 これにより、同社は石油関連施設や水素ステーションなどの既存インフラに加え、長年、水素を取り扱ってきたノウハウを活用することで、CO2フリー水素の需要先創出の側面から早期のサプライチェーン構築に貢献できるよう、商用化検討に取り組んでいく。

積水化学 スマートハイムのレジリエンス機能が縮災に貢献

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2019年8月29日

 積水化学工業の住宅カンパニーはこのほど、スマートハイムの災害時の貢献度と実態を調査するため「スマートハイム安心度調査」を実施した結果、スマートハイムのレジリエンス機能が、「減災」にとどまらず、1日も早い生活再建を目指す「縮災」にも貢献していることが判明したと報告した。

 同社は、社会課題の解決や盤石な経営基盤の構築を事業の成長力として位置づけることでESG経営を推進。2013年から都市災害研究の第一人者である河田惠昭教授が提唱する「減災指針」を分譲事業「スマートハイムシティ」にも取り入れている。

 今回の調査結果として、①スマートハイムの入居者のうち、被災経験があるスマートハイム入居者の91.5%が、「災害時への安心」になっているか、という質問に対して、「非常になっている」「なっている」と回答。また、「近所の友人のスマートフォンの充電をしてあげた」などの回答もみられ、お互いに助け合うことによる「減災」が実践されていることがうかがえた。

 また、「(災害時も)ほぼ普通の生活ができた」といった回答もあり、1日も早い生活再建を目指す「縮災」にスマートハイムが貢献していることが分かった。

 ②今回の調査では被災経験の有無で意識に差があった。被災経験がない入居者にもレジリエンス機能の重要性をより理解するための啓発活動として、河田教授による「縮災」の必要性についての解説動画を用意。9月1日より全国のセキスイハイム展示場にて展開を開始し、スマートハイムのレジリエンス機能のさらなる強化と普及を進めていく。

 同社は今後も、スマートハイムのレジリエンス機能の啓発活動に取り組み、より多くのユーザーに安心な暮らしを提供し、社会全体の「縮災」の一助となるよう努めていく考えだ。

三菱ケミカル 生分解性ストローを「ミズカフェ」で展開

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2019年8月29日

 三菱ケミカルは今月下旬から、グループ会社が運営するカフェでの生分解性バイオマスプラスチック「BioPBS」を用いたストローの展開を決めた。

菱ケミ用写真 東京・原宿で展開する
東京・原宿で展開する「MIZUcafe(ミズカフェ)」

「BioPBS」は同社が開発し、タイにあるグループ会社・PTT MCC バイオケム社が製造・販売を行う植物由来の生分解性プラスチック。自然界の微生物によって水とCO2に分解されるため、自然環境への負荷が少ないという特長をもつ。

 同生分解性ストローは、今年4月から京急グループ各社が運営する飲食店や百貨店、ホテルなどでの採用を皮切りに、5月からはワシントンホテルのすべてのホテルや飲食店などの施設での使用も始まっている。

 今回、新たに採用を決めた「MIZUcafe PRODUCED BY Cleansui」は、グループ会社で浄水器の販売を行う三菱ケミカル・クリンスイが展開するカフェ。水の魅力を通して「クリンスイ」のブランド価値を直接実感してもらう場として、2013年12月に東京・原宿にオープンした。店内で提供される料理とお冷やに「クリンスイ」の浄水を使用している。

旭化成 米医療機器メーカーの買収を完了、AED事業加速

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2019年8月29日

 旭化成は28日、子会社のゾール・メディカル社(米国マサチューセッツ州)が、AED(自動体外式除細動器)の製造・販売を行う米国の医療機器メーカー、カーディアック・サイエンス社(CS社:ウィスコンシン州)の買収を26日(米国東部時間)に完了したと発表した。同買収については、今年6月に買収に関する契約締結を公表していた。

 CS社は、製造拠点を北米にもち、北米や欧州などを主要な事業拠点とする。従業員は約220人。主なAED製品では「Powerheart」シリーズを、AEDの使用を補助するマネージメントシステムでは「Rescue Ready」を扱う。

 一方、ゾール社は救命救急医療の「救命の連鎖」全体を網羅する製品群を展開する企業であり、医療機関・医療従事者向けの製品で強固な事業基盤がある。なかでも、AEDを含む除細動器事業は北米随一のシェアで、医療機関向けに関してはグローバルなトップシェアを誇る。

 今回の買収は、AEDの製品群拡充により、救命救急医療の現場でより多くの命を救うことに貢献するというゾール社の使命に合致したもの。

 ゾール社は、CS社の製品ラインアップや販路を獲得することで、成長が見込まれるAED事業の強化を図る。また、CS社がもつ米国以外の販売網を取り込むことで、グローバル展開をさらに加速していく考えだ。

 なお、CS社のAEDは、販売国は約100ヵ国、設置台数は50万台にのぼる。ゾール社は2012年に旭化成グループの一員となって以降、積極的なM&Aなどにより救命救急医療領域の事業を拡大し、着実な成長を遂げてきた。

 今後も〝人びとのいのちを救う〟ために、技術革新による先進的な治療方法の提供やM&Aを推進し、さらなる事業拡大に取り組んでいく。

宇部興産など4社 廃プラのガス化CR 協業の検討を開始

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2019年8月29日

 宇部興産、昭和電工、日揮、荏原環境プラントは28日、先月31日に秘密保持契約を締結の上、EUP(Ebara Ube Process)を活用した廃プラスチックのガス化処理設備の EPC(設計・調達・建設)に関わる協業の検討を開始したと発表した。

 昨今、海洋マイクロプラスチック問題に代表されるように、廃プラのリサイクル推進は世界的な課題となっている。

 日本でのプラのリサイクル率は86%だが、その内資源循環されているプラの割合は13.5%に留まり、残りは海外輸出やサーマルリサイクル(TR)などへ利用されている(2017年度)。

 さらに、中国や東南アジア諸国に見られる固体廃棄物輸入の規制強化の流れが強まる中、日本のみならず各国内での資源循環システムの確立が急務となっている。

 廃プラのガス化ケミカルリサイクル(CR)は、他の手法ではリサイクルが困難である異種素材や不純物を含むプラを分子レベルに分解し、さまざまな化学物質に再生することが可能であり、リサイクル率の大幅な向上への貢献が期待されている。

 2000年に荏原製作所(2009年に荏原環境プラントに事業承継)と宇部興産が開発したEUPは、廃プラを酸素と蒸気による部分酸化によりガス化し、アンモニアやオレフィンなどの化学品合成に利用可能な合成ガスを生産するプロセス。

 2003年から昭和電工川崎事業所で稼働を続けているガス化設備(廃プラの年間処理量約7万t)には、このEUPが採用されており、ガス化CR用途では、世界で唯一の長期商業運転実績をもつ技術。

 今後、4社は、年内を目途にEUPのライセンス契約を締結の上、国内外においてガス化処理設備に関わる積極的な営業活動を展開し、EUPを用いた廃プラガス化処理設備の提案とEPC業務遂行を目指す。

 さらに、EUPを含む設備により合成されるアンモニアやオレフィンなどを用いた化学品製造設備の提案を通じ、国内外でのガス化CRの普及と資源循環推進に取り組んでいく。

 

ダウ 再生プラプロジェクトで「チェンジ・ザ・ワールド」に選出

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2019年8月27日

 ダウは26日、フォーチュン誌の2019年度「チェンジ・ザ・ワールド」リストに選出されたと発表した。

 同リストは利益を生む戦略や事業を通じて、社会または環境に重要なインパクトを与えた52社を選出するもの。同社の持続可能なソリューションを推進する長年の取り組みの一環として実施した、プラスチックごみを削減するための再生プラスチックを用いた道路舗装の試験プログラムが評価され、26位に選出された。

 同社はバリューチェーンパートナーと協働し、アジア・欧州・北米・南米で再生プラスチックを使い、約100kmのアスファルト製道路を舗装。このプロジェクトでは、同社の「ELVALOY RET」アスファルト改質技術も一部使用され、廃棄する代わりに約200t(5000万個の軟包装パウチに相当)のプラスチックが活用されている。

 多くの場合、ポリマーが改質された道路は、通常のアスファルトと比較し天候や車両による腐食に強く、危険な道路のくぼみを防ぎ、交通渋滞も防ぐことができる。ダウは、「プラスチックごみには価値があり、新しい製品やエネルギーに転換することができる」と考えている。

 プラスチック道路に加え、南アメリカでは主要なパートナーと共に、再生プラスチックを用いて建築材料を開発し、コロンビアで学校を建設するプロジェクトを推進。また、ケミカルリサイクル技術をスケールアップし、再生プラスチックごみを原料に戻し、新製品を作る技術開発の最先端にいる。

 プラスチックごみをリユース、リサイクル、リパーパス(別のものに再利用)する新しいアイデアを創造することで、ダウとダウのパートナーは、革新的な循環型経済のソリューションの開発を先導している。

カネカ 生分解性ポリマーの設備増強でグリーンボンド発行

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2019年8月27日

 カネカは26日、第7回無担保普通社債として、カネカ生分解性ポリマー「PHBH」の製造設備と研究開発の資金調達を目的とするグリーンボンド(環境債)を発行すると発表した。

 募集金額は50億円、発行年限は5年で、今年9月の発行を予定している。グリーンボンドは環境問題の解決に貢献する事業に資金使途を限定したESG債の1つで、事業債として日本の化学会社では初めての発行となる。

 「PHBH」は同社が開発した100%植物由来の幅広い環境下で優れた生分解性を有するポリマーで、海水でも生分解するユニークな物性を持っている。近年、マイクロプラスチックによる海洋汚染が生態系への影響を与えるとして世界的な社会問題となっているが、「PHBH」は海水中で生分解する認証「OK Biodegradable MARINE」を取得しており、海洋汚染低減に大いに貢献すると期待されている。

 欧州では使い捨てプラスチック削減に向けて各種規制が強化され、「PHBH」は果物・野菜袋やコンポスト(有機物を微生物の働きで分解させて堆肥化)袋などへの採用が進み、販売量が増加。また、国内ではコンビニエンスストアや化粧品メーカーなど大手顧客による、ストローやレジ袋、包装材など幅広い用途で採用が進んでいる。

 同社は、今後さらなる需要拡大に向けて、「PHBH」の製造設備(高砂工業所)の現行生産能力を年間1000tから5000tに増強することを決定、今年12月の稼働を予定している。

ハイケム アミノ酸系界面活性剤の中国からの輸入を拡大

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2019年8月26日

 ハイケムは自社のネットワークを通じて、国内・アジア諸国で供給がタイトな、アミノ酸系界面活性剤の中国からの輸入販売を拡大する。

 同社が扱うアミノ酸系界面活性剤は、植物性由来の油脂にアミノ酸を反応させて作られた洗浄剤。皮膚・毛髪に優しい低刺激性が特徴の「ココイルグルタミン酸ナトリウム」と、洗浄力・泡立ちの良い活性剤「ココイルグリシンカリウム」の2種類。主にシャンプーや洗顔剤などに使われており、その優しい洗浄力からベビーソープなどのベビー用品にも多く用いられている。

 一般的にアミノ酸系シャンプーは、肌や髪の毛を保湿するスキンケア効果が高く、頭皮の改善につながるとされている。また、保湿力が高く、しっとりとした仕上がりになるため、アジア人の髪質にマッチしているとして、日本を含めたアジア諸国で大人気の洗浄剤となっているが、国内の供給メーカーが限られているため、供給が需要に追いついていないのが現状だ。

 今回、ハイケムが取り扱いを拡大するメーカーの中国工場は、製造管理・衛生管理が徹底しており、日本の香粧品メーカーの採用基準である、医薬部外品原料規格をクリアしている。さらに、欧米の大手化粧品・香粧品メーカーとの取引実績も多数あり、顧客ごとのいろいろな荷姿要求にも対応している。

 ハイケムは中国からの輸入品を取り扱うことで供給不足を解消し、顧客にコストメリットをもたらすことに加え、信頼できるメーカーを選定し、徹底した品質管理・供給体制による、安心・安全な製品の提供に努めていく。

BASF ソルベイのPA欧州事業を独社が買収で合意

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2019年8月26日

 BASFはこのほど、ベルギーのソルベイから買収するポリアミド(PA)66事業のうち、関係当局の承認の関係で、欧州の事業をドイツのドーモ・ケミカルスが買収することで合意したと発表した。

 BASFはエンジニアリングプラスチックのグローバルサプライヤーとしての地位を強化するため、2017年9月にソルベイとPA関連事業の買収に関する契約を締結した。しかし、欧州委員会は今年1月の買収承認に当たり、ソルベイの欧州でのPA66製造施設をBASF以外の企業に売却するなどの条件を付けていた。

 ドーモとソルベイの取引は、今年末までに完了する予定だが、関連する競争当局の承認が必要となる。

 一方、BASFは当初の契約に基づき、ソルベイと米国インビスタの合弁事業である、ブタシミーのアジポニトリル(ADN)生産の50%のシェアを含む、欧州以外のグローバルPA66事業をソルベイから買収する。

 ドーモとソルベイ間の取引の承認と、関連する競争当局の最終承認を条件として、BASFとソルベイ間の取引も今年末までに完了する予定。これにより、BASFはドイツ・フランス・中国・インド・韓国・ブラジル・メキシコで八つの生産拠点を取得することになる。

 フランスでは、BASFとドーモがアジピン酸製造の合弁会社を設立する。さらに、韓国・中国・ブラジルの3つの研究開発施設と、アジア・北米・南米の6つの技術サポート拠点を、ソルベイからBASFに移管する。

 BASFのキャッシュフリー・デットフリーベースの購入価格は13億ユーロ。BASFが買収するソルベイの事業の昨年の売上は約10億ユーロだった。

 取引完了後、ソルベイの従業員約700人がBASFに移籍する。フランスのBASFとドーモとの合弁会社は、約650人を雇用する予定。また、BASFはこれらの事業を、モノマーとパフォーマンスマテリアルズ事業本部に統合する予定だ。

 今回の買収により、重要成長市場であるアジアと南米でBASFの事業を促進し、現地顧客とのさらなる緊密な連携が可能になる。