積水化学 在宅避難が評価され「地球環境大賞」環境大臣賞を受賞

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2020年3月12日

 積水化学工業はこのほど、「自然災害時の被害を抑制し『在宅避難』ができる家」の取り組みや実績が評価され、第29回「地球環境大賞」で「環境大臣賞」を受賞した。昨年の「国土交通大臣賞」に続き、2年連続の受賞となる。

 同社は、社会課題の解決や盤石な経営基盤の構築を事業の成長力として位置づけ、ESG経営を推進。「自然災害時の被害を抑制し『在宅避難』ができる家」は、このような考え方の下、近年多発している大規模災害時でも在宅避難を可能にするための備えを搭載することで、より多くのユーザーに、災害時の安心を提供する。

 「地球環境大賞」は1992年、「産業の発展と地球環境との共生」を目指し、産業界を対象とする顕彰制度として、世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)の特別協力を得て創設。同制度は地球温暖化防止や循環型社会の実現に寄与する新技術・新製品の開発、環境保全活動・事業の促進や、21世紀の社会システムの探求、地球環境に対する保全意識の一段の向上を目的としている。

 なお、授賞式は4月8日に明治記念館(東京都港区元赤坂)で行われる予定。

三井化学 大牟田・専用線廃止へ、「炭鉱電車」PJ開始

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2020年3月12日

 三井化学は、大牟田工場(福岡県大牟田市)で運用する三井化学専用線の新たな活用に向けプロジェクトを開始した。今は原材料の搬入などを行う同専用線は、旧三池炭鉱専用鉄道の一部区間。三池炭鉱の炭鉱電車の時代から現在に至るまで、100年以上の長きにわたり活躍している。

炭鉱電車
炭鉱電車

 同社はこのほど、今年5月をめどに同専用線の廃止を決定。炭鉱電車への感謝の思いを込めて、炭鉱電車の軌跡を未来へとつなぐ「ありがとう 炭鉱電車プロジェクト」を立ち上げた。「風景の資産」の記録として、映画監督の瀬木直貴氏がメモリアル映像を制作する。

 同氏は大牟田市の小さな動物園を舞台にした、映画「いのちスケッチ」(2019年公開)などを監督。今回は炭鉱電車の歴史を振り返りつつ、1915(大正4)年以来、現在もなお現役で走り続ける姿を記録映像にする。

 瀬木氏の事務所・ソウルボートのウェブサイト(http://soul-boat.com/)では、炭鉱電車にまつわる思い出やエピソード、往時をしのぶ動画や写真の募集を始めた。完成した映像は、大牟田市と関係団体へ寄付・提供される。

 一方、炭鉱電車から出る音は、人が心地よさを感じるASMR音源にアーカイブ化。quantumとオトバンクが手掛ける、企業・ブランド・商品の音を価値化するブランデッド・オーディオ・レーベルのSOUNDS GOODとのコラボを通じ、多くの人々が楽しめる「音の資産」にコンテンツ化し、公開していく。また、Seiho(セイホー)氏による炭鉱電車のASMR音源を使用した楽曲の制作も企画中だ。

 旧三池炭鉱専用鉄道は、1878(明治11)年、三池炭鉱の大浦坑から石炭を搬出するために敷設された馬車鉄道がその歴史のはじまり。1891年には蒸気機関車の運転が開始され、三池港が開港した翌年、1909年から電化が進められた。支線を含む総延長は約18.5㎞におよんだ。

 昭和の一時期、1964~72年は地方鉄道として旅客の輸送も担い、町の人々から「炭鉱電車」の愛称で親しまれた。平成初期、1997年の三井三池炭鉱の閉山とともに、その多くの路線は廃止になり、一部区間(1.8㎞)は三井化学専用線として当時の車両とともに運行を継続してきた。また、三池炭鉱専用鉄道敷跡は2015年に、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成遺産に登録された。

 6月にはメモリアル映像の完成披露試写会に併せ、5つの時代を見守った炭鉱電車のラストランイベントが開催される予定だ。

 

三井化学 尿素と微生物培養でアマモ場の再生を支援

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2020年3月11日

 三井化学は、和歌山工業高等専門学校(和歌山県御坊市)の楠部真崇准教授が進めるアマモ場再生のフィールド試験を、同社が持つ微生物培養技術で支援した。

アマモ場の様子
アマモ場の様子

 アマモは、海中の有機物の無機化や海中へ酸素を供給する役割を担う海草で、その群生地のアマモ場は、水生生物の産卵場所や幼稚仔魚の成育の場になっている。

 環境変化により減少を続けるアマモ場の再生には、従来、生分解性プラスチック容器を用いた植え付けや、アマモ種子を織り込んだ麻シートの沈設などが行われてきた。しかし、いずれも海洋ゴミを増加させる可能性があり、さらなる技術開発が必要とされていた。

 そこで楠部准教授らは、微生物の尿素の代謝を利用して砂を固化させたバイオセメントを開発。海水中で徐々に崩壊する性質があるため、バイオセメントでアマモ種子を埋包して海底に沈設すれば、アマモの成長に合わせてセメントが崩壊し、最終的には元の砂に戻る。用いる砂や微生物をアマモ場から採取し、外部環境から異物を持ち込まないことから、環境負荷をかけない海洋環境保全が期待されている。

バイオエンジベンチで微生物を培養する様子
バイオエンジベンチで微生物を培養する様子

 三井化学は今回のフィールド試験に向け、バイオセメントの原料の1つとして使用する尿素を提供するとともに、微生物の大量培養を同社茂原研究・開発センター(千葉県茂原市)にあるバイオエンジベンチで行った。同装置は、パイロットレベルの培養設備で、通常はバイオ関連製品開発のスケールアップの検討に使用されている。

 昨年12月、楠部准教授と和歌山高専の学生たちにより、同校に隣接する日高町の方杭(かたくい)海岸でフィールド試験を開始。アマモの種子を埋め込んだバイオセメントの海底への散布を行った。2月末時点ではアマモの出芽は確認されていないが、天然のアマモの出芽も見られていないとのこと。海水温15℃。出芽には海水の温度変化なども影響するという。アマモの出芽が待たれる。

アマモの種子を埋め込んだバイオセメントを散布する学生たち
アマモの種子を埋め込んだバイオセメントを散布する学生たち

 楠部准教授らは、数年をかけて定点観測と海水採取を実施し、アマモ場の拡大と水生生物の回復・維持を評価していく。なお、三井化学が今回大量培養した微生物は、今後のフィールド試験への利用を視野に入れ、和歌山高専で保管されている。

 同社は引き続き、さまざまな社会課題解決に向け、事業活動を通じて広く貢献していく。

SEMI CEOがシリコンバレー工学功労者に選出

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2020年3月11日

 SEMIはこのほど、プレジデント兼CEOのアジット・マノチャ氏が、シリコンバレー工学功労者の一員に選ばれたと発表した。

 シリコンバレー工学評議会(SVEC)は、マノチャ氏が業界でのコラボレーションを推進し、指導的役割として製造効率を向上させたことを評価した。また、現代のマイクロエレクトロニクス製造の基盤となる、ロジックとメモリーチップの反応性イオンエッチング、および製造プロセスフローを確立させたパイオニアとして、その業績を称えた。マノチャ氏は世界中のSEMI会員の新たな課題と機会に対処するために、組織を再編。

 SEMIは、エレクトロニクス製造サプライチェーン全体で公正な取引を促し、グローバルなアドボカシープログラムを拡充することで、公的機関への働きかけを強化している。また、人材育成やダイバーシティプログラム、その他のイニシアチブを展開することで、業界全体でイノベーションを推進している。

 一方、マノチャ氏は、VLSIリサーチの「2019年半導体産業のオールスター」にも選出。SEMIの事業領域をより広範なエレクトロニクスサプライチェーンへと拡大したことが評価された。

 どちらの栄誉も、SEMIとこれまでのキャリアを通じて、業界の成長とイノベーションを実現するというマノチャ氏の情熱に根ざしている。

 

積水化学 「ESGファイナンス・アワード銀賞」を受賞

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2020年3月10日

 積水化学工業はこのほど、ESG金融の普及・拡大に向け環境省により昨年10月に新設された「ESGファイナンス・アワード・ジャパン(環境サステナブル企業部門)」の銀賞(環境大臣賞)を受賞した。

表彰式の様子
表彰式の様子

 「環境サステナブル企業」とは、環境関連の重要な機会とリスクを、企業価値向上に向け経営戦略に取り込み、企業価値にもつなげつつ環境への正の効果を生み出している企業のこと。

 同アワードは、サステナブルファイナンスの普及のためには、金融機関と投資対象となる企業双方の活動を促進する必要があるとの考えから、「投資家部門」「融資部門」「金融サービス部門」「ボンド部門」に加え、金融環境アクションが先進的な企業を表彰する部門(環境サステナブル企業部門)も創設されている。

 同社グループは、グループビジョンに掲げる「世界のひとびとのくらしと地球環境の向上への貢献」を目指し、ESG視点で持続可能な経営基盤の構築を目指している。

 ESG視点の中でも「E(環境)」については、環境長期ビジョン「SEKISUI環境サステナブルビジョン2030」の下、気候変動や水リスク、資源循環、生態系劣化といった環境課題の解決に製品・事業を通じて貢献していくことで、〝生物多様性が保全された地球〟の実現を目指し活動を行っている。

 今回の表彰では、事業経営の中で長く環境貢献を価値創出のドライバーとしてきた歴史と環境課題解決を経営の根幹に据えている点、施策推進の明確な方針と着実な実践などが評価された。特に従業員が通常の事業活動に邁進することによって社会価値の増大につながるモデルが構築できている点も受賞理由となっている。

 同社グループは、今後も環境課題の解決に向けて取り組みを加速し、地球・社会のサステナビリテイ向上に貢献し、企業としてのサステナビリテイを向上させていく方針だ。

ランクセス 新型コロナウイルスで特別対応措置を実施

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2020年3月10日

 ランクセスの日本法人はこのほど、国内で拡大傾向にある新型コロナウイルス感染症への防止対策として、東京・豊橋・姫路の国内3事業所の従業員に対し、在宅勤務の推奨(製造工場を除く)を含めた特別対応措置を実施した。

 在宅勤務の推奨以外では、電話会議などリモートでの会議実施の推奨、不要不急の海外渡航や出張の自粛、人的接触の抑制、手洗い・うがい・外出時マスク着用などの予防徹底、毎日の社員と家族の健康状態の確認。この特別対応措置は2月25日から国内にある全3事業所の従業員を対象に実施しており、今後新たな情報・状況が確認されるまで継続される。

 同社には国内3拠点に92人の従業員がおり、全拠点で事業を継続している。なお、豊橋事業所にあるゴム用添加剤「レノグラン」の製造工場は通常通り稼働している。

 ランクセスは、中国でも新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた支援を実施しており、このほど同社の消毒剤「Rely+Onビルコン」1tを、武漢市と湖北省内の2つの市にある複数の病院に寄付した。各病院には同月16日に到着している。この1tの消毒剤を水で希釈することで、10万リットルの消毒剤をつくることができる。

三洋化成 全樹脂電池開発の子会社が資金調達を実施

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2020年3月10日

 三洋化成工業はこのほど、子会社で、次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発を行うAPBが、JFEケミカル、JXTGイノベーションパートナーズ、大林組、慶應イノベーション・イニシアティブ一号投資事業有限責任組合、帝人、長瀬産業、横河電機の計7社を引受先とする第3者割当増資により、総額約80億円の資金調達を実施したと発表した。

 APBは、三洋化成とAPBの現代表取締役である堀江英明氏が共同で開発したバイポーラ積層型のリチウムイオン電池である全樹脂電池の製造と販売を行うスタートアップ企業。

 全樹脂電池は、界面活性制御技術を持つ三洋化成が新開発した樹脂を用い、活物質に樹脂被覆を行い、樹脂集電体に塗布をすることで電極を形成している。

 こうした独自の製造プロセスにより、従来よりも工程を短縮することで、製造コスト・リードタイムの削減を実現するとともに、これまでにない高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現した。部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型で、樹脂で構成しているため、電極の厚膜化が容易に行え、セルの大型化が可能で形状自由度が高いことも特長であり、リチウムイオン電池の理想構造ともいえる。

 今回の資金調達は、APBが開発する全樹脂電池の量産工場設立を主たる目的としており、全樹脂電池の量産技術の確立、製造販売の開始に向けて投資を実施する。また、APBは、全樹脂電池の量産やその後の市場展開に必要となる各分野に関し、豊富な経験を持つ新たなパートナーの支援を得ることで、成長を加速していく。

 三洋化成の安藤孝夫社長は「曲げても釘を打ちつけても発火せず安全で、形状自由度が高く、低コストにつくれるという革新的でユニークな全樹脂電池は、あらゆる生活の場面を豊かにし、持続可能な社会の創造に貢献できるものだ。三洋化成はAPBの株主としてそのような全樹脂電池の事業化を支援し、パートナー企業とともに『オールジャパン』の体制を作っていければと考えている。10月に統合を控えているが、三洋化成・日本触媒の強みを融合し、経営リソースを投入して統合後も引き続きAPBをサポートしていく。そして10年後には数千億円程度の事業へと成長させたい」とコメントしている。

出光興産 シェルブランド潤滑油事業を譲渡、シェルと協議

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2020年3月10日

 出光興産は9日、完全子会社であるシェルルブリカンツジャパン(SLJ)の全株式と、シェルブランド潤滑油事業に関して、出光興産が持つ資産および権利を、シェル・インターナショナル・ペトロリウム(シェル・インターナショナル)の関係会社(シェル)に譲渡することについて具体的な協議を開始することとし、シェル・インターナショナルとの間で基本合意書を締結したと発表した。

 潤滑油事業の維持・発展を目的として、出光興産は出光ブランドの潤滑油事業を、SLJではシェルブランドの潤滑油事業をそれぞれ行ってきた。今回、シェル・インターナショナルからの要請により、SLJの全株式とシェルブランド潤滑油事業に関して出光興産が持つ資産と権利をシェルに譲渡することで、競合する両ブランド事業の独立した運営体制を確立し、両ブランド事業がより一層成長・発展することを目的として、協議を開始することを決定した。

 出光興産とシェル・インターナショナルは、SLJが営むシェルブランド潤滑油事業に関して出光興産が持つ資産・権利をSLJに承継させた上で、SLJの全株式をシェルが出光興産から取得することで譲渡を行う予定。譲渡の詳細については、両社間の協議により今後決定する。

三菱ケミカル 半導体関連事業を強化、MCSSブランドで展開

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2020年3月10日

 三菱ケミカルは9日、半導体関連事業の強化を目的に、今年4月1日付で情電・ディスプレイ部門に半導体本部を設置し、関連する事業を集約すると発表した。

 同時に、グローバルなバーチャル組織として「MC Chemical Solution for Semiconductor」を立ち上げ、「MCSS」の統一ブランドの下、海外の現地法人を含め既存の組織・会社の枠にとらわれないスピーディな事業運営を行う方針だ。

 昨今のAI、IoT導入の広がり、自動車産業のCASEの潮流などに伴い、半導体市場は大きく成長を遂げており、今後も高機能化が進みつつ一層伸長することが見込まれている。

 同社はこれまで、情電・ディスプレイ部門内の各事業部や高機能化学部門で、半導体製造に関連する製品やサービスなどの事業を行ってきたが、これらを新設する半導体本部に移管・集約し、一体的に運営することで、事業基盤の強化とともに業界内での存在感の向上を図る。

 また、同本部内の各事業部や所管する関係会社の枠にとらわれず、グローバルに「MCSS」の統一ブランドを用いて事業を展開することで、世界各国・地域の顧客に対して、半導体関連のソリューションをワンストップで提供する体制を立ち上げる。

 同社は今後も、三菱ケミカルホールディングスグループの中期経営計画「APTSIS 20」に基づき、フォーカスマーケットの1つである「IT・エレクトロニクス・ディスプレイ」について、半導体関連事業の拡大を図っていく考えだ

JXTGホールディングス 「ENEOS童話賞」の作品募集を開始

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2020年3月9日

 JXTGホールディングスは、「心のふれあい」をテーマとした「第51回ENEOS童話賞」の作品募集を3月2日から開始した。なお、6月に予定している商号変更に伴い、今回の募集より「ENEOS童話賞」に改称している。

 童話賞は、1970年に設立し、児童福祉施設などで暮らす子どもたちの大学や専門学校進学を支援してきた。毎年応募された中から優秀作品を選考し、1冊にまとめた童話集「童話の花束」をチャリティー販売。その売上金の全ては全国社会福祉協議会へ寄付し、同協会が設立した「JXTG奨学助成制度」を通して子どもたちへ贈られている。

 「童話の花束」の作成には同社グループが取り組んでいる森林活動「ENEOSの森」での間伐採材を製紙原料の一部に使用。同社は、今後も次世代育成や環境保全の取り組み、社会の発展と活力ある未来づくりに貢献していく考えだ。