出光興産 需要拡大に備え中国で有機EL材料の工場建設

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2018年12月5日

 出光興産はこのほど、中国での有機EL材料のさらなる需要拡大に備え、中国・成都市内に、有機EL材料製造工場を建設するとともに、顧客への技術支援を強化すると発表した。

 近年、スマートフォンや大型テレビなど、多くの製品に有機ELディスプレイの採用が進んでいる。中国では、政府が推進するディスプレイ産業の振興政策を背景として、大手ディスプレイメーカー各社による有機ELディスプレイ製造設備への投資が加速しており、今後同国は、有機ELディスプレイ生産国として著しく成長する見込み。

 同社は、2007年に静岡県御前崎市、2012年に韓国・京幾道パジュ市で有機EL材料工場の稼働を開始し、これまで主に韓国の顧客向けに材料を提供してきた。今回、中国顧客への材料安定供給の責任を果たすべく、第3の製造拠点として中国内に有機EL材料の製造工場を建設する。なお、装置能力は年産12t。来年11月に竣工し、商業生産開始は、2019年度第4四半期を予定している。

 

大陽日酸 米社の欧州ガス関連事業を取得し子会社化

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2018年12月5日

 大陽日酸はこのほど、米国Praxair社がもつ欧州事業の一部を運営する法人の、株式を取得する手続きを完了したと発表した。

 大陽日酸は、今年7月にPraxair社との間で、Praxair社の欧州事業の一部(ドイツ・スペイン・ポルトガル・イタリア・ノルウェー・デンマーク・スウェーデン・オランダ・ベルギーの産業ガス事業、英国・アイルランド・オランダ・フランスの炭酸ガス事業と、ヘリウムに関連する事業)を運営する法人の、株式を取得する株式売買契約を締結した。

 同契約に基づき、同社が欧州に設立した子会社、TNSC Euro‐Holding(スペイン)、TNSC Germany(ドイツ)などを通じて、今月3日に対象事業を取得した。取得価格は49億1300万ユーロ(約6347億円)。

 大陽日酸は、業界再編が進む中でグローバル競争力を高め、確固たる地位を確立するために、長期経営ビジョンとして売上収益1兆円、営業利益率10%、ROCE10%以上、海外売上収益50%以上の実現を掲げている。

 今回の買収は同ビジョンの実現に向けて大きく前進する手段で、戦略的な意義を併せもつ投資となった。欧州の産業ガス市場は北米に次いで大きく、競争環境も安定しているという。

 同社は、未参入であった当該地域で一定シェアの事業を獲得することで、グローバル化を大きく進めることになる。また、収益性の高い事業を一定の規模・ネットワーク(製造拠点など)とともに取得したことに加え、現在のトップマネジメント層を含む有為な人材や事業プラットフォームも併せて獲得した。

 大陽日酸は、こうした事業基盤を背景に、同社がもつ環境規制対応などの製品を展開していくとともに、グローバル企業向けのマーケティング機能拡張など、グループの横串機能を強化していく方針だ。

クラレ 米エバール工場の発災ライン再稼働で定常運転に

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2018年12月4日

 クラレはこのほど、米国現地法人のクラレアメリカ(テキサス州)のEVOH樹脂「エバール」工場で、11月29日(現地時間28日)に発災ラインの稼働を再開し、全ラインで定常運転となったと発表した。

 同工場は、今年5月に発生した火災事故の影響で、定期修理と能力増強工事が遅延していた。なお、能力増強工事完了後のエバールのグローバル生産体制は、岡山事業所1万t、クラレアメリカ5万8000t、エバールヨーロッパ(ベルギー)3万5000tの合計10万3000tとなった。

 

JNC 負極材料の共同開発企業に250万ドル出資

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2018年12月4日

 JNCは3日、負極材料添加剤の共同開発先のナノグラフ・コーポレーション(法的所在地:米国デラウェア州)に対し、11月に250万ドル出資したと発表した。

 JNCグループは、リチウムイオン二次電池(LIB)向けの負極材料添加剤の研究開発を進めており、2015年度からナノグラフ・コーポレーションの前身である、米国ベンチャー企業のサイノード・システムズ社と共同開発を行ってきた。両社技術の組み合わせにより、顧客ニーズを満たせる見通しが得られたため、出資を行うことにした。

 両社で開発している負極材料添加剤は、革新的な層状構造のシリコンとグラフェンの複合技術を用いている。これにより、LIBの高容量化と、充放電を繰り返しても容量が落ちにくい長寿命化が可能となった。従来のLIBよりも1回の充電で長時間使用でき、寿命も延ばすことができる。

 今後、JNCでは市場拡大が期待されるLIBへの優れた部材供給を行うとともに、安定した品質の一層の向上を目指し、積極的に取り組みを行っていく。サイノード・システムズ社は2012年の創業で、今年から現社名となっている。

 

ポリプラスチックス 「地域元気プログラム」で借り入れを実施

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2018年12月3日

 ポリプラスチックスは30日、日本政策投資銀行が取り組む「地域元気プログラム」に基づいた、地域金融機関を含む五行の参加するシンジケート・ローンによる借り入れを実施することにしたと発表した。

 借入総額は50億円、借入先は日本政策投資銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、静岡銀行、清水銀行。「地域元気プログラム」は主要な工場・研究開発拠点など、地域での継続的な立地を支援することなどを通じて、地域を支える企業をサポートする日本政策投資銀行の取り組み。

 同社の富士工場は、これまで培った技術やノウハウを海外工場へ展開するマザー工場として、隣接する研究開発センターとテクニカルソリューションセンターとともに、地域の雇用の維持・創出などに大きく貢献する重要な拠点となっている。

 今回の借り入れは、富士工場の環境に配慮したエネルギー供給設備の導入、南海トラフ地震に備えた耐震強化工事などについて、プログラムの対象として認定されたもの。

 同社のCSR活動の重点項目の1つである「事業活動を通じて社会を良くする機会を提供する」という考え方に基づき、富士工場が立地する地域の金融機関も参加する、シンジケート・ローンによる借り入れを実施することにした。

DIC コベストロとの合弁会社の出資比率を引き下げ

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2018年12月3日

 DICはこのほど、コベストロジャパンとの合弁会社であるディーアイシーコベストロポリマー(DCP)の出資比率変更について合意したと発表した。

 同社が保有するDCPの普通株式30%をコベストロジャパンに譲渡し、譲渡完了後のDCPの出資比率はDIC20%、コベストロジャパン80%となる。株式譲渡・株式取得の実行は関係当局による承認の取得を前提として、2019年第2四半期を予定。

 DICは、コベストログループが持つ米州・欧州・アジアでの広範なグローバルネットワークを通じて、DCP独自のユニークなTPU製品を幅広く提供し、TPU事業全体の有機的成長に貢献していく戦略に共感し、今回の株式譲渡に合意した。

 今後も各種事業で培った国内ネットワークと強力なブランド力を持つ重要なビジネスパートナーとして、原料供給などで引き続きDCPを支援する。なお、DCPは、製造と技術開発を引き続きDIC堺工場内にあるDCP堺プラントで行う。

 DCPは、2000年に発足して以降、DICの既存製品であった「PANDEX」を主体に、コベストロジャパンの親会社であるコベストロ社の「Desmopan」と「Texin」を輸入販売し、リーディングメーカーとして日本の熱可塑性ポリウレタン(TPU)市場を牽引してきた。

 基本物性に優れ、環境に配慮したTPUは自動車・家電・通信機器・医療・ヘルスケア・スポーツ用品などの幅広い領域で使われている。

 

AGC EUVマスクブランクスの供給体制を追加増強

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2018年11月30日

 AGCはこのほど、グループ会社のAGCエレクトロニクスで、EUV露光用フォトマスクブランクス(EUVマスクブランクス)の供給体制増強を、今年2月の発表分に加えて追加実施することを決定した。

EUVマスクブランクス
EUVマスクブランクス

 今回の追加実施により、同社グループのEUVマスクブランクス生産能力は2020年に現在の約3倍になる。

 あらゆるモノがインターネットに接続するIoTの時代を迎え、電子機器が高機能・小型化し、半導体チップには計算処理の高速化やデータの大容量化、高集積化が求められている。

 これに対応するためには半導体チップの回路パターンを微細にする必要があるが、現行の光リソグラフィ技術では〝7ナノ世代〟と呼ばれる微細なパターン形成は理論上難しく、それに代わる技術として最有力とされているのがEUV露光技術だ。

 同社は、EUV露光技術で用いられるフォトマスクブランクスの研究開発を2003年に開始。ガラス材料、ガラス加工、コーティングなどの自社技術を統合することで、「ガラス材料」から「膜材料」までを一貫して手掛けることができる、世界で唯一のEUVマスクブランクスメーカーとなった。

 今後主流になるEUV露光技術の拡大を見据え、EUVマスクブランクスの供給体制をさらに増強することを決定した。

 同社グループは、経営方針「AGC plus」のもと、エレクトロニクス事業を戦略事業の1つと位置付けている。今後大きな需要の伸びが見込まれるEUVマスクブランクス事業に対し積極的な設備投資を実施し、半導体産業の発展に貢献していく考え。

三菱ケミカルHD 米国でAR・VRディスプレイ開発に出資

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2018年11月30日

 三菱ケミカルホールディングスは29日、米国シリコンバレーに設立したCVC子会社ダイヤモンド・エッジ・ベンチャーズ(DEV)を通じ、AR(拡張現実)・VR(仮想現実)向けディスプレイ部材を開発するスタートアップのDigiLens(カリフォルニア州)に出資したと発表した。

 DigiLensは、ヘッドアップディスプレイなどに用いられるホログラム光学技術の世界的リーダーで、自動車・航空機・工場・生活・エンターテイメントなど、さまざまな分野で用いられる透明なARディスプレイに対し、独自のナノ材料やコア技術を提供している。ARは、スマートフォンに続く次世代デジタルプラットフォームとして期待されており、大きな市場成長が予測されている。

 三菱ケミHDは、今年7月に米国シリコンバレーにDEVを設立。同社グループ事業に新たな成長をもたらすテクノロジーや、ビジネスモデルを持つスタートアップ企業との戦略的パートナーシップを進めており、今回の出資は第1号案件となる。

 DEVのパトリック・スエル社長は「この投資を通じて、B to B、B to Cにかかわらず、産業全般に広範な影響をもたらすと予想されるAR・VR技術のエコシステムに積極的に参画すると同時に、新たな技術プラットフォームの導入を加速させていく」とコメント。

 三菱ケミHDは、今後もDEVを通じて、同社グループの事業に新たな成長機会をもたらすスタートアップ企業とのパートナーシップを進めていく。

旭化成ファーマ 協業開発を促進する創薬研究公募を実施

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2018年11月29日

 旭化成ファーマはこのほど、オープンイノベーションの取り組みの一環として、国内の大学や研究機関、企業との協業による医薬品の研究開発を促進するために、今年度も創薬に関する研究の公募を実施すると発表した。公募期間は来年1月7日~2月8日。

 「慢性疼痛」「自己免疫疾患」「救急領域」「骨・軟骨領域」での創薬シーズや技術と「薬物動態・毒性予測」「製剤技術」をはじめとするさまざまな創薬基盤技術を広く募集し、共同研究や研究育成、適応疾患探索の可能性について検討が行われる。

 募集テーマとのマッチング、同社の創薬研究プロジェクトとのコンフリクト、研究内容の独創性や有用性、研究計画の実現性などを総合的に判断し採択案件が選考される。研究期間は原則1年間、研究費は1案件につき年間500万円を上限に個別に決定される。

 同社は、国内外からの導入や提携のより一層の推進・強化を図るため、2016年10月にオープンイノベーション部を新設し、前臨床段階までの新薬候補化合物や創薬に関する最先端技術の導入、提携、共同研究などのオープンイノベーション活動を推進している。今後も創薬や技術研究のフィールドで、世界の人びとの〝いのち〟と〝くらし〟に貢献しいく考えだ。

 なお、募集概要の詳細は、「旭化成ファーマオープンイノベーション」の専用公募サイト(https://www.asahikasei-pharma.co.jp/a-compass/jp/)に掲載されている。

昭和電工 レアアース磁石合金の研究開発事業をTDKに譲渡

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2018年11月28日

 昭和電工は27日、レアアース磁石合金の合金研究開発事業を、来年1月を目途にTDKに譲渡することで合意したと発表した。同日譲渡契約を締結した。

 昭和電工グループが行うレアアース磁石向け合金事業のうち、秩父事業所で行う技術研究開発事業と、同社が保有する知的財産権などが対象となる。

 レアアース磁石は、HDDや風力発電設備、FA(ファクトリーオートメーション、一般産業)機器などのモーターや家電製品の高性能・小型化・省エネ化に必要な材料として、社会のさまざまな場面で使われている。

 昭和電工は1986年にレアアース磁石向け合金の製造を開始して以降、新技術の開発に取り組み、ジスプロシウム(元素記号Dy)やテルビウム(同Tb)など、重希土類を使用せずに従来品と同様の性能をもつネオジム磁石用合金の開発に成功するなど、省資源・省エネルギー社会の実現に貢献してきた。またTDKは、独自の素材技術、特に磁性材料技術をベースとし、電子部品をはじめ様々な製品を展開している。

 このうち、磁石事業に関しては、レアアースを多く含むネオジム磁石と、フェライトをベースとしたフェライト磁石をラインアップしており、自動車向けをはじめ、産業機器、ICTなど、各分野で使われるモーター向けに幅広く提供している。

 最近はEV(電気自動車)化の進展に伴い、世界での磁石需要は大幅に増えることが予想されるとともに、用途に合わせた合金開発を含めた磁石開発の早期化が求められている。

 このような状況の下、高性能希土類磁石の製品化、ハイブリッド自動車や電気自動車用製品の開発など、マーケットをリードする製品の開発のスピードアップを図る目的から、昭和電工は技術・研究開発機能をTDKに譲渡することにした。

 なお、昭和電工は、技術・研究開発機能譲渡後も、秩父事業所で行っているレアアース合金の製造は継続する。