住友化学 持続的な価値創出へ最重要課題を特定

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2019年3月8日

 住友化学は7日、3カ年の新中期経営計画が4月1日からスタートするのに先立ち、経済価値と社会価値をともに継続的に創出するため、経営として取り組む7つの最重要課題(マテリアリティ)を特定したと発表した。

 7つのマテリアリティは「持続可能な社会の実現への貢献」を明示的に推進すべく特定したもので、主として、同社の事業と直接関係する「社会価値創出に関するマテリアリティ」と、将来を見据えた取り組み課題である「将来の価値創造に向けたマテリアリティ」の2つの観点から抽出している。

 「社会価値創出に関するマテリアリティ」では「環境負荷への貢献」「食糧問題への貢献」「ヘルスケア分野への貢献」「ICT技術革新への貢献」、「将来の価値創造に向けたマテリアリティ」については「技術・研究開発の推進」「デジタル革新への取り組み」「ダイバーシティ推進」を最重要課題とした。

 7つのマテリアリティに対する取り組みを着実に進めるため、今後、それぞれの項目に対して重要業績評価指標(KPI)を設定し、新中期経営計画の中で進捗を確認するとともに、それらを社内外のステークホルダーとの対話の推進にも生かしていく。

 同社は今年1月、住友の事業精神の1つである「自利利他 公私一如」に基づき「サステナビリティ推進基本原則」を新たに制定した。基本原則では、同社にとってのサステナビリティの推進を「事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献するとともに、自らの持続的な成長を実現する」と定義し、その達成を通じて企業価値の向上に取り組むこととしている。

 同社グループでは、持続可能な社会の実現に向けて、引き続きグループ一丸となって創造力を最大限に発揮し、化学の力による新たな価値創造を通じた社会課題の解決を目指していく方針だ。

 

三井化学 中国で長繊維GFPP設備の新設で1万t体制に

2019年3月6日

 三井化学は5日、同社グループの中国の製造拠点である三井化学複合塑料(中山)〈広東省中山市〉に、ガラス長繊維強化ポリプロピレン(長繊維GFPP)の生産設備新設を決定したと発表した。生産能力は年産3500t。2020年2月に完工、9月の営業運転開始を予定する。

長繊維GFPP
長繊維GFPP

 同拠点は、日本・米国に続く3つ目の製造拠点。今回の設備新設によりグローバル供給体制の強化を図り、生産能力は合計で年産1万500tとなる。

 プライムポリマー(三井化学:65%、出光興産:35%)が開発した長繊維GFPPは、繊維状のガラスとポリプロピレン樹脂を溶融・混練して得られる複合材料。軽量で、ガラス繊維が長いことによる剛性や、耐衝撃性のバランスに優れていることに加え、外観性が良いことから、無塗装による自動車向けバックドアインナーなどに採用されている。

 昨今の環境規制の強化やEV化の進展を背景に、自動車にはより一層の軽量化が求められている。こうした中、バックドアなどの金属代替素材として、繊維強化樹脂の需要は増加が見込まれる。

 三井化学は、世界的に拡大する需要を的確に捉え、重点分野の1つであるモビリティのさらなる事業拡大を進めていく考え。なお、同社では長繊維GFPPを環境貢献価値が高い製品に位置づけ、展開している。

 

三井化学と三井化学東セロ 「ホワイト500」に認定

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2019年3月6日

 三井化学と三井化学東セロはこのほど、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2019(大規模法人部門)ホワイト500」に認定されたと発表した。三井化学は3年連続、三井化学東セロは初めての認定となった。

 同制度は、地域の健康課題に即した取り組みや、日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰するもの。

 三井化学は、本社や研究所、主要4工場の健康管理室に専属産業医や保健師、衛生管理者を配置し社員の健康管理を推進するとともに、その他の工場や関係会社の主要工場にも嘱託産業医、保健師などを配置し、グループ社員も含めた健康増進を図っている。同時に、メンタルヘルス不全・生活習慣病の予防や、衛生リスクの継続的低減にも注力し、同社ウェブサイトなどで結果を公開している。

 また、同制度の認定や「健康経営銘柄」の選定に使用される〝健康経営度調査〟のアンケートでは、「健康経営をする上で手本としている、または参考としている法人」として、他社から多くの推薦を得ている。

 一方、三井化学東セロは、産業医、保健師、健康保険組合、労働組合と連携し、社員の健康保持・増進に取り組んでいる。「働き方改革」社長宣言のもと、長時間労働の撲滅や会議運営の効率化推進など、社員の活力向上や生産性向上にむけて包括的に各種施策を実施している。

 同グループは今後も、「社員の健康は会社の健康に直結する」との基本理念に基づき、社員の健康づくりを経営課題と位置づけ、グループ社員の健康増進活動に積極的に推進していく考え。

AGC スペイン合成医薬品原薬製造会社の買収が完了

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2019年3月6日

 AGCはこのほど、昨年12月に発表したスペイン合成医薬品原薬製造会社であるMalgrat Pharma Chemicals社(MPC社)の買収手続きを3月1日に完了したと発表した。なお、連結決算への反映は、今年度第1四半期から行う予定。

 独自のフッ素技術と、自社創薬を含む豊富な経験をもつAGCにMPC社が加わることで、AGCとして初めて欧州で合成医薬品中間体から原薬までの欧州での一貫製造が可能となる。

 MPC社は、cGMP(製造管理と品質管理の基準)に対応していることに加え、合成医薬品原薬の製造では長い歴史と豊富な実績があり、開発医薬品から商用医薬品まで幅広いスケールの生産に対応している。

 今回の買収により今後も大きな需要の伸びが見込まれる欧州市場でのプレゼンスを高めるとともに、世界中の顧客に向けた合成医薬品CDMO(製造受託に加え、製造方法の開発を受託・代行する会社)事業をより一層拡大していく。

 AGCグループは、経営方針「AGC plus」の下、ライフサイエンス事業を戦略事業のひとつと位置づけており、2020年に売上高650億円以上、2025年に1000億円以上を目指している。MPC社買収は、同事業において、バイオ医薬品CDMO事業のBiomeva社(2016年)、CMC Biologics社(2017年)の買収に継ぐ、欧米での製造販売拠点獲得となる。

 今回のMPC社買収の完了を成長に向けた重要な一歩とし、今後も大きな需要の伸びが見込まれる合成医薬品・バイオ医薬品事業において、必要な買収・設備投資を積極的に実施することで、製薬会社、患者、そして社会に貢献していく考えだ。

日本触媒 化粧品用素材事業で2社と共同開発契約を締結

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2019年3月6日

 日本触媒は5日、化粧品用素材事業において、ライラックファーマ(札幌市北区)および備前化成(岡山県赤磐市)と共同開発契約を締結したと発表した。医薬品や化粧品などの研究開発を手掛けるライラックファーマとの間では、化粧品用リポソーム素材に関する共同開発契約を締結。

 今回の契約により日本触媒は、ライラックファーマが開発したリポソーム素材、および両者で共同開発するリポソーム素材のマーケティング活動を4月1日から開始する。

 両者はマイクロ流路デバイス「iLiNP」を用いた化粧品用リポソームの工業的生産プロセスの開発および化粧品素材としての高品質リポソームの応用について共同研究を行う。

 なお「iLiNP」とは、北海道大学大学院工学研究院の渡慶次学教授、真栄城正寿助教らが開発し、ライラックファーマが技術導入した独自の設計理論により作られたリポソーム調製専用のマイクロミキサー。原料溶液を流すだけで好みのサイズのリポソームを粒径分布狭く連続的に作ることができる。

 一方、備前化成との間では、栗皮エキスを利用した化粧品用素材の共同開発契約を締結。今回の契約により、日本触媒は備前化成が開発した栗皮エキスの化粧品素材としてのマーケティング活動を開始する。

 備前化成は、医薬品・医薬部外品、機能性食品、健康食品の製造・販売会社であり、主として天然原料から有効成分を抽出した機能性エキスや機能性油脂の製造を行っている。これらの天然有効成分を日本触媒との協働により化粧品用途に展開することに関して、両社合意に至った。

 第1弾として、備前化成の独自技術により製造される栗皮エキスを利用した化粧品用素材の共同開発を開始。日本触媒の研究により、備前化成の栗皮エキスに化粧品素材として特長的な効果効能を見出した。

 これらの成果はパシフィコ横浜で開催される「CITE JAPAN2019」(5月15~17日)にて報告し、本格的なマーケティング活動を開始する。

 日本触媒は2017年度にスタートした後半中期経営計画「新生日本触媒2020 NEXT」において化粧品素材分野を新規事業ターゲットの1つと定めている。ニーズに対応した素材提供による早期の市場参入を目指し、両社との検討を進めていく考えだ。

 

ヘンケル パワートレインの電動化を推進

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2019年3月6日

 ドイツの化学・消費財メーカーのヘンケルは、バッテリー製造のバリューチェーンに包括的ソリューションを提供することで、パワートレインのエンジンから電動化への変換を推進する。

 同社がバッテリー産業の課題として認識しているのは3点。1つ目はバッテリーの「容量」。その課題解決のためには、何百・何千ものバッテリーパックの構成材料に接着剤を付ける組み立て工程で、高速に硬化し短いサイクルタイムを実現することが必要だという。

 2つ目は運転の「安全性」。例えばバッテリー材料は、UL94燃焼性基準といった難燃性要件に従わなければならない。

 3つ目は電気自動車(EV)性能のため「メンテナンス性」を確保すること。バッテリーパックのハウジング材が開閉できるように、シールする技術が必要となる。

 この課題に対し、同社では8つの従来ソリューション提案により、顧客にソリューションとサービスを提供している。 

 具体的には「バッテリーアッセンブリー用接着剤」「ギャップフィラー」「熱伝導性接着剤」「液状ガスケット」「バッテリー用構造接着剤」「金属の前処理」「導電性塗料」「含浸サービス」である。

 このうち、バッテリーアッセンブリー用接着剤では多数の製品を提供しており、例えば「Loctite AA 3525」は、紫外線を使うと15秒以内で固化できる。ギャップフィラーは新開発の特殊な熱伝導性シリコンフリー製品。最も厳しい環境下で3W/m・Kの放熱性能を発揮し、ギャップの安定性とロバスト性を長期に保証する。熱伝導性接着剤のうち、「Loctite UK 6800」は二液ポリウレタン製品で、1.9W/m・Kの熱伝導性を持つ。熱膨張率の異なる基板にも、10MPaの剪断強度と44%の伸び率により、優れた接着性を発揮する。

 同社では、これら既存のソリューションを顧客に提案していくが、それだけでは顧客の要望を賄いきれない可能性もある。その場合には「顧客ごとに既存のソリューションを改良したり、新たなソリューションを開発したりすることで、顧客ニーズに対応していく」(ヘンケルジャパン・トランスポート&メタル事業本部)方針だ。

 

 

三菱ケミカルHD 子ども向け仕事体験型テーマパークに出展

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2019年3月5日

 三菱ケミカルホールディングスは4日、千葉市美浜区のイオンモール幕張新都心内にある仕事体験型テーマパーク「Kandu(カンドゥー)」に、「ちきゅうKAITEKIスタジアム」を出展すると発表した。「カンドゥー」は、子どもたちがあこがれの仕事にチャレンジできる体験型テーマパークで、イオンモールキッズドリームが運営するもの。

 三菱ケミカルHDは今回、ブランドパートナーとして「ちきゅうKAITEKIスタジアム」を出展することで、地球温暖化の問題と、その対策のための取り組みを体験する機会を提供する。子どもたちが「地球まもり隊」の一員となり、体を動かしながら、大気中の二酸化炭素(CO2)を減らしたり、CO2を活用したりするゲームに挑戦。楽しみながら環境・社会課題への取り組みを学び、力を合わせてよりよい未来を創る一連の流れを「仕事」として設定した。

 同社は、「人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくこと」を意味する「KAITEKI」のコンセプトを掲げ、その実現を目指している。今回の出展を機に、地球温暖化という課題に関してCO2の排出削減のみならず、「活用すること」を含めた「新炭素社会」へ向けた技術開発の重要性や、自分たちの活動によって「KAITEKI」社会を実現できるということを、親子3代に訴求していく考え。なお、出展は今月26日から。

 

昭和電工 命名権取得の「昭和電工ドーム大分」で除幕式を開催

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2019年3月5日

 昭和電工は、ネーミングライツ(命名権)取得した大分スポーツ公園内の総合競技場「昭和電工ドーム大分」で、同施設をホームグラウンドとするJ1の大分トリニータのホーム開幕戦が行われた3月2日に除幕式を開催した。

 同社は3月1日から5年間、大分スポーツ公園内の7施設のネーミングライツを取得し、各施設に同社名を付与する。命名権料の一部は、地域貢献・スポーツ振興事業(パートナーシップ事業)に充当され、同県のスポーツ振興への寄与と地域社会の活性化に役立てられる。

 同社グループは、全てのステークホルダーに貢献する「社会貢献企業」の実現を目指し、CSR(企業の社会的責任)を果たすべくさまざまな取り組みを進めてきた。今後も、工場見学会の開催や地域の学校のインターンシップ生の受け入れなどを通じ、地域社会との対話を進めていく。

 なお、ネーミングライツの対象施設は、①総合競技場「昭和電工ドーム大分」(英文表記:SHOWA DENKO DOME OITA)②テニスコート「昭和電工テニスコート」③サブ競技場「昭和電工グラウンド」④サッカー・ラグビー場「昭和電工サッカー・ラグビー場」⑤野球場「昭和電工スタジアム」⑥投てき場「昭和電工フィールド」⑦武道スポーツセンター「昭和電工武道スポーツセンター」の7つ。

NEDO・川崎市 起業家支援拠点「K-NIC」開設へ

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2019年3月4日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と川崎市は1日、ベンチャー発掘から成長支援までを目的に、起業家支援拠点「Kawasaki-NEDO Innovation Center」(K-NIC)を今月18日に開設すると発表した。

K-NICの入口イメージ
K-NICの入口イメージ

 同支援拠点には、起業経験者、投資家、知的財産やマーケティングなどさまざまな専門家による相談窓口をはじめ、NEDOと川崎市の各種支援事業の相談窓口、ピッチイベントや交流機会の機能を集約する。起業家を次々に生み出す好循環の仕組みを構築し、イノベーションの創出による経済の活性化や雇用の拡大を目指す。

 また、同日には「K-NICオープニングイベント」が催される。「川崎モデル」知的財産マッチング会のほか、研究開発型ベンチャーなどのピッチを開催し、同支援拠点の多くの取り組みを発信することで、参加者の新たなイノベーション創出を図る。

 「川崎モデル」とは、川崎市と川崎市産業振興財団、金融機関が連携し、大企業・研究機関が保有する開放特許などの知的財産を中小企業に紹介し、中小企業の製品開発や技術力の高度化、高付加価値化を支援して地域産業活性化を目指す取り組み。

 なお、「K-NIC」は、JR川崎駅からほど近いNEDOと同じビル、ミューザ川崎セントラルタワーの5階(川崎市幸区大宮町1310番)に開設される。開設時間は午後1時~午後9時。休業日は土日祝日と年末年始(※イベント実施時は開設)。

東洋紡バイオテクノロジー研究財団 助成対象者を決定

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2019年3月4日

 東洋紡バイオテクノロジー研究財団はこのほど、平成30年度の研究助成の対象者を決定したと発表した。本年度はバイオテクノロジー分野の若手研究者7人に対し、総額3600万円の研究助成金を贈呈する。

 今月22日、東洋紡の本社で開催した贈呈式に留学を控えた2人が出席。津村準二理事長(東洋紡相談役)が目録を授与し、「助成金を活用し、皆さんが少しでも充実した留学生活を送ることで、バイオテクノロジーの発展に貢献する研究者となることを切に願っている」と、留学先での研究に向けて応援の言葉を贈った。

 贈呈式に出席した東京大学大学院医学研究科の根城尭英さんは、カリフォルニア大学サンフランシスコ校に留学する。研究テーマは「複合受容体システムを用いた次世代型の脳腫瘍免疫治療の開発」。「ゲノム解析の手法を腫瘍免疫の解析に応用する研究は世界でも盛んだが、留学を通して、それを臨床の場面にも生かしていきたい」と意気込みを語った。

 東京医科歯科大学生体材料工学研究所の松本大亮さんは、米スクリプス研究所に留学する。研究テーマは「人工塩基をもつmRNAから非天然アミノ酸への効率的な細胞内翻訳系の開発」。「4種類の塩基から構成される遺伝子の情報を拡張することで、新たな機能をもった薬剤の開発につなげ、今は解決法のない先天性疾患の治療に貢献したい」と抱負を語った。

 同財団は、東洋紡の創立100周年を記念して設立された研究助成団体。海外留学を助成する「長期研究助成」の受贈者は、今回を含めて201人を数え、バイオテクノロジーの研究や教育の第一線で活躍している。また、東洋紡のバイオ事業を遡ると、化学繊維の原料となるパルプの廃液処理研究にたどり着く。同研究が築いたバイオの礎が、その後同社の主要事業を担う診断薬用酵素や遺伝子解析技術へと発展していった。