APICマーケティングセミナー 原料や環境がテーマに

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2019年5月17日

 アジア石油化学工業会議(APIC2019)が16日に開幕し、初日は、IHS Markit、ICIS、Tecnon OrbiChem、S&P Global Plattsによるケミカルマーケティングセミナーが行われた。

会場の様子
会場の様子

 IHS Markitは、BRAD WIGlEシニアバイスプレジデントをモデレータに、4つのテーマで各担当者がプレゼンを行った。

 「2019年のエネルギー期待値および化学産業に対するIMO規制の意味」では、原油市場において、米国の原油輸出やIMO規制導入、自動車のEV化などのインパクトについて説明。地政学リスクやエネルギー転換が、精製やナフサ価格、ナフサ供給に強く影響するとの指摘がなされた。

 「世界化学工業の現状」では、地政学リスクの高まりなど2019年の収益は鈍化するが、中期的な見通しは業界にとって良好なままとの見通しが示された。

 「プラ廃棄物の危機」では、循環型経済が出現するにつれ、プラスチックの需要は幅広く多機能化し、リサイクル供給の増加が予想されるとした。ただ、プラ廃棄物問題は石油化学需要増加を脅かす可能性を示した。

 「エネルギーから化学への技術開発」では、リファイナリーが化学製品まで手掛ける「COTC(原油から化学)」について、Hengli Petrochemicalやサウジアラムコなどの事例について詳細に紹介した。

 続いて、ICISは3つのテーマについてプレゼン。「Demand Challenges and Opportunities」では、プラリサイクルの構築は、新たな製造プロセスを余儀なくさせる、との指摘があった。一方、中国では、EC(電子商取引)の普及により、PEなどのパッケージングは大きな可能性があるとの見方が示された。

 「スチームクラッカーとアロマの機会と挑戦」では、世界で大規模な新増設の計画について各地域の詳細が示された。米国の輸出能力は増加したが、アジアでは自給自足を目指しており、競争が激しくなっていると指摘した。

 「原料展望」では、脱炭素の動きで天然ガス需要が増加し、石化原料にエタンを利用する動きが出ている。ただ、新素材が将来のニーズに確実に応えるためには、精製会社と石油化学会社は「順応性」が必要であるとの見方を示した。

 午後からは、Tecnon OrbiChemが、「破壊的で持続可能な解決策」をテーマに、Plattsが「アジア石油化学製品の持続可能なフットプリント」をテーマに、プレゼンを行った。

 17日の総合会議では、オープニングセレモニーとして、PIAT(台湾石油化学協会)会長のウェルカムアドレス、運営委員会メンバー各協会(台湾、日本、韓国、マレーシア、タイ、シンガポール、インド)代表によるオープニングアドレスが行われる。

 続いて、「持続可能で責任ある石油化学産業に向けた協働」をテーマに円翔詩博士(持続可能な循環型経済発展協会会長・中原大学教授)による基調講演、およびパネルディスカッションが行われ、午後からは製品別の分科会が開かれる。

トクヤマ 中計進捗順調、昨年度ROA9.5%

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2019年5月17日

 トクヤマは、決算会見において中期経営計画(2016~2020年度)の進捗について説明した。横田浩社長は「中計5年計画の3年が経過した。経営指標としてROA(総資産利益率)10%を目指しているが、昨年度は9.5%まで上昇してきた」とし、総資産回転率が目標値を若干下回っているものの、売上高営業利益率は目標値を上回っており、進捗は順調だとした。

 D/Eレシオについても、0.8倍と目標値1.0倍を下回り目標水準を達成している。3年間の営業利益増減では、「原燃料コストの増加があったものの、TMSB(トクヤママレーシア)の譲渡に加え、増販や価格是正、また徳山製造所のコストダウンにより、2016年度から利益は大幅に改善した」との見方を示した。

 次に、重点課題の成果と施策について説明。組織風土の改革では、「当社にとって最も大きなポイントだが、まだ道半ばだ」とし、今後も社外人材の積極登用や、「残業ゼロ」といった働き方改革に注力していく。事業戦略の再構築では、AI・IoTの活用による業務やプラント運営の効率化に取り組み、発電所の燃焼効率最適化などを図る。今後の課題として、データ解析ができる人材の育成を工場内で展開していくことを挙げた。

 続いて、成長事業の取り組みを説明。ICT関連製品では、半導体ウェハ用原料、フォトレジスト用現像液、半導体精密洗浄、CMP用原料、放熱材などについて戦略を示した。ヘルスケア関連事業では、これまで医薬品原薬・中間体や医療診断、眼鏡関連材料に注力してきたが、「創薬分野に進出する。大学との共同研究により有機合成の新しいプロセスを開発しており、創薬の大幅なコストダウンに貢献できる」と明らかにした。

 このほかにも、病気を治すという観点に加え、病気になりにくい体づくりのため「保つ・防ぐ」分野に開発のパワーを注いでおり、人だけでなく、家畜やペットへの品揃えを進めている。また、歯科材料では2月に北米で新製品の大々的なキャンペーンを打ち、製品が不足していることから大増産を計画。

 横田社長は「ヘルスケア関連製品はラインアップが充実してきた。2018年度の売上高は230億円だったが、2025年度には550億円以上を目指していきたい」との意気込みを示した。

 一方、セメントや化成品などの伝統事業の取り組みでは、徳山事業所の競争力強化に力を注ぐ。市場の伸びが期待できない中、収益を上げていくためコスト削減を図っており、最終年度の目標値40億円に対し昨年度は37億円を達成した。

 今年度については、「計画を前倒しで達成してきたが45億円を目指す。最終的には50億円にしていきたい」とし、さらなる上積みを図っていく方針だ。

 

DIC 1-3月期決算(15日)

2019年5月16日

[DIC/1-3月期決算](15日)単位100万円、カッコ内は対前年同四半期増減率。▽連結=売上高190,708(▲2.8%)、営業利益8,086(▲26.7%)、経常利益8,134(▲26.3%)、純利益5,302(▲28.4%)。

 

旭有機材 3月期決算(15日)

2019年5月16日

[旭有機材/3月期決算](15日)単位100万円、カッコ内は対前期増減率。▽連結=売上高56,083(11.8%)、営業利益4,224(25.6%)、経常利益4,390(29.1%)、純利益3,902(40.1%)。

 

住友化学の3月期 石化製品など交易条件悪化で減益

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2019年5月16日

 住友化学は15日、2018年度(2019年3月期)の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前年度比6%増の2兆3186億円、コア営業利益22%減の2043億円、営業利益27%減の1830億円、親会社の所有者に帰属する当期利益12%減の1180億円。

 セグメント別で見ると、石油化学部門は売上収益7575億円(前年度比834億円増)、コア営業利益616億円(同330億円減)。

 石油化学品は、原料価格の上昇に伴い市況が上昇し、合繊原料やメタアクリルも市況が上昇した。ラービグ第2期計画の製品出荷が増加し増収となった。コア営業利益は、千葉工場やシンガポールでの定期修理の影響や石油化学品の交易条件の悪化などが響いた。

 エネルギー・機能材料部門は、売上収益2829億円(同319億円増)、コア営業利益230億円(同38億円増)。リチウムイオン二次電池用セパレータは需要増により、出荷が増加した。高純度アルミナも電池部材用途を中心に出荷が増加した。

 情報電子化学部門は、売上収益3968億円(同281億円増)、コア営業利益262億円(同139億円増)。偏光フィルムは販売価格が下落したが、テレビ用途、モバイル用途ともに需要増で出荷が増加した。タッチセンサーパネルも出荷が伸びた。

 健康・農業関連事業部門は、売上収益3381億円(同16億円減)、コア営業利益197億円(同242億円減)。医薬品部門は、売上収益4921億円(同81億円減)、コア営業利益808億円(同140億円減)となった。

 なお、2019年度(2020年3月期)の通期連結業績予想では、売上収益2兆4400億円、コア営業利益2050億円、営業利益1900億円、親会社の所有者に帰属する当期利益1000億円を見込んでいる。

 

 

クラレの1-3月期 減収減益で通期を全項目で下方修正

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2019年5月16日

 クラレが15日に発表した、2019年1-3月期の連結業績によると、売上高は前年同期比5%減の1416億円、営業利益35%減の146億円、経常利益42%減の128億円、純利益60%減の61億円となった。

 部門別で見ると、ビニルアセテートセグメントは売上高4%減の662億円、営業利益31%減の108億円。

 ポバール樹脂は汎用用途の販売量が減少した。光学用ポバールフィルムは、一部生産ラインの操業低下の影響を受け、前年同期並みの出荷となった。また、PVBフィルムは、景気減速の影響を受け、自動車、建築用途ともに販売量が減少。一方、水溶性ポバールフィルムは引き続き販売が拡大した。

 EVOH樹脂「エバール」は、昨年米国工場で発生した事故の影響が長引き、食品包材用途の販売量が減少した。また、自動車生産台数の減少に伴い、自動車ガソリンタンク用途も低調に推移した。

 イソプレンセグメントは、売上高7%減の136億円、営業利益13%減の37億円。イソプレン関連では、昨年まで上昇基調にあった原燃料価格が下落に転じ、熱可塑性エラストマー「セプトン」で中国を中心に需要が縮小し、販売量が減少した。ファインケミカルは堅調に推移した。

 耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」は、原燃料価格の下落が追い風となったが、電気・電子デバイスの需要低迷により、コネクタ用途の出荷が減少した。

 機能材料セグメントは、売上高3%減の305億円、営業利益26%減の11億円。メタクリルの販売量は減少したが、高付加価値化が進んだことに加え、原燃料価格の下落も寄与し、堅調に推移した。

 メディカルは、歯科材料の審美修復関連製品を中心に堅調に推移した。カルゴン・カーボン社では、堅調な需要が継続したが、米国工場で発生したユーティリティ設備の不調による操業低下が響いた。炭素材料は高付加価値製品の販売が拡大した。

 繊維セグメントは、売上高1%減の165億円、営業利益20%増の11億円。

 トレーディングセグメントの売上高は3%減の314億円、営業利益22%減の9億円となった。

 なお、通期連結業績予想は、2月の期初予想から全項目で下方修正した。売上高は期初予想比220億円減の6080億円、営業利益は同95億円減の695億円、経常利益は同100億円減の650億円、純利益は同70億円減の400億円としている。

出光興産の3月期 石油製品の在庫影響など響き減益に

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2019年5月16日

 出光興産が15日に発表した、2018年度(2019年3月期)の連結業績によると、売上高は前年度比19%増の4兆4251億円、営業利益11%減の1793億円、経常利益25%減の1691億円、純利益50%減の815億円となった。

 業績をセグメントで見ると、石油製品セグメントは売上高22%増の3兆4889億円、営業利益36%減の565億円。原油の輸入価格が上昇したことなどにより増収。製品マージンの改善があったものの、精製用燃料費の増加や在庫評価影響の減少などで減益となった。

 石油化学製品セグメントは、売上高11%増の5554億円、営業利益25%減の318億円。ナフサ価格が上昇し増収。製造用燃料費の増加およびスチレンモノマーなどの市況要因などにより減益となった。

 資源セグメントは、売上高6%増の3080億円、営業利益30%増の871億円。石炭事業では、石炭価格が大幅に上昇した影響などにより増収増益となった。

 その他セグメントは、売上高4%増の728億円、営業利益7%増の78億円となった。

なお、2019年度(2020年3月期)の通期連結業績予想では、売上高6兆7900億円、営業利益2200億円、経常利益2285億円、純利益1600億円を見込んでいる。

三井化学の3月期 関係会社の業績好調で純利益は最高益

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2019年5月16日

 三井化学は15日、2018年度(2019年3月期)の連結業績を発表した。売上高は前年度比12%増の1兆4829億円、営業利益10%減の934億円、経常利益7%減の1030億円、純利益6%増の761億円となった。

 久保雅晴代表取締役副社長は「営業利益は前年度比で約100億円の減益となったが、昨年6月に発生した大阪工場火災の影響、第4四半期の原料価格急落を受けた在庫評価損といった一過性の要因が主なものだった。販売数量面では各セグメントとも、おおむね堅調に推移しており、

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