住友ベークライト 飛沫感染防護マスクの生産を開始

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2020年5月8日

 住友ベークライトはこのほど、これまで培ってきたプラスチック加工技術を生かした飛沫感染防護マスク「フェイスシールド」を生産することを決定したと発表した。フェイスシールドは、感染者治療に従事する医療関係者の二次感染を防ぐ防護具。プラスチック板などで顔面を覆い、飛沫によるウイルス感染を防ぐ機能がある。

装着イメージ 正面
装着イメージ 正面

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、国内の医療現場のひっ迫した状況の改善を支援するため、同社グループでの生産を決定した。同社は、プラスチック配合技術とシート化技術を生かし、医療用ゴーグルやサングラス用のポリカーボネート(PC)樹脂シートを生産している。

 今回、透明性などの光学特性に優れ、ゆがみ無く軽量で高強度のPC樹脂を用いたフェイスシールドの生産・供給体制を整えた。また、同製品は、消毒用アルコールなどによる曇りや強度低下を起こしにくく繰り返し使用することも可能。頭部への装着部分には工業用ヘルメットの内部に採用しているホルダーの技術を応用し、細やかなサイズの調整、ボタンをワンプッシュすることでホルダーを緩めることができる。

装着イメージ 斜面
装着イメージ 斜面

 供給計画として、まずは①試供品100セット(1セット:ホルダー1個+交換用面体10枚入り)を東京都および神奈川県内の病院に無償提供。続けて同数を所管省庁に無償提供する。さらに、②5月中に月産1万セット(ホルダー1万個+交換用面体10万枚)の生産体制を整え順次販売を開始する予定。当面、医療機関向けの供給を最優先に行い、コンビニ・スーパーマーケットなどの民生用についても今後販売していく考えだ。

北海道大学 AIプラットフォームの開発を成功、触媒設計を加速

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2020年5月8日

 北海道大学はこのほど、触媒データをオープンに共有でき、プログラミングを必要としない機械学習・データ可視化を可能とした触媒インフォマティクス・プラットフォーム「Catalyst Aquisition by Data Science(CADS)」の開発に成功し、ウェブ上で公開を開始した。近年、AIを適用した触媒開発が活発化しており、触媒インフォマティクスと呼ばれる新規分野として、学術界・産業界から注目されている。

 触媒インフォマティクスは多くの技術の融合分野で専門性が高い上、高度なプログラミング技術を必要とすること、各々の触媒研究者の所有するデータを統合的に蓄積・共有するデータセンターが存在しないことが、触媒インフォマティクスを推進する上で大きな障害であった。

 今回開発されたプラットフォームによって、研究者が持つデータの可視化や機械学習による触媒設計が可能となった。プログラミングやデータ科学の事前知識がなくても、ウェブブラウザ上での簡単なマウス操作で、触媒インフォマティクスを用いた触媒設計ができる。

 また、各自の触媒データをアップロードすることにより、世界の触媒研究者と情報共有でき、触媒データセンターとしての役割も果たせる。実際にOCM(メタン酸化カップリング)触媒データをCADSで分析し、インタラクティブ可視化などによって、OCMの反応収率に影響する要因の切り口を見いだした。今後CADSの普及により、データ駆動型の効率的かつ直接的な触媒設計が加速すると期待される。

 なお、同研究は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業CREST研究領域「多様な天然炭素資源の活用に資する革新的触媒と創出技術」研究課題「実験・計算・データ科学の統合によるメタン変換触媒の探索・発見と反応機構の解明・制御」の支援を受けて実施された。また、研究成果は4月に「Reaction Chemistry & Engineering」誌にオンライン公開された。

丸紅 フィンテック企業と戦略的パートナーシップを締結

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2020年5月8日

 丸紅はこのほど、AND Global社(シンガポール)と、AND Global社が提供するフィンテックソリューションの海外展開を目的とした戦略的パートナーシップを締結した。

 AND Global社は、IT分野の人材育成が急速に進むモンゴル・ウランバートルに開発拠点を持ち、モンゴル国内の一般消費者にモバイル・レンディングやe‐Walletなどの自社開発アプリを提供。これらのアプリに付随してモバイル・コマース事業を展開するなど、デジタル・エコシステムも構築しており、同国内では約38万人のユーザーが利用している。

 また、AND Global社は自社フィンテック技術を活用し、金融サービスのデジタル化や独自のデジタル・エコシステムの構築を図る海外の金融機関や事業会社向けに、フィンテックをサービスとして提供するFaaS(フィンテック・アズ・ア・サービス)事業も手掛ける。

 世界には金融サービスへアクセスできない人々が依然として多数存在する中、近年は急速に普及するモバイル端末を顧客接点とした金融サービスが拡大。丸紅は、消費者向けデジタル金融サービスを成長領域と捉え、フィンテックソリューションの活用を検討してきた。一方、AND Global社も、FaaS事業の海外展開を目指していることから互いの戦略が一致し、戦略的パートナーシップの締結に至った。

 丸紅は、グローバルビジネスネットワークや金融事業での知見を生かし、AND Global社が提供するフィンテックソリューションの海外展開を支援するとともに、同社と協力し、デジタル金融サービスを通じた消費者の生活の利便性向上に貢献していく。

 

帝人 CFRTP製の荷台が「PACEアワード」を受賞

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2020年5月8日

 帝人は7日、同社グループで軽量複合材料部品の開発・生産・販売を手がける米国のコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(CSP社)とともに、「PACE(Premier Automotive Suppliers, Contribution to Excellence)アワード」を受賞したと発表した。 

 帝人 2020-PACE-Winnerロゴ米国の自動車専門媒体「オートモーティブ・ニュース」が主催する「PACEアワード」は、自動車産業の革新的な技術に贈られる賞で、20年以上の歴史がある。

 今回受賞したのは、帝人の熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRTP)製品である「Sereebo(セリーボ)」を利用し、帝人とCSP社が、米ゼネラルモーターズとの共同によりピックアップトラック向けに開発したピックアップボックス(荷台)の「カーボン・プロ」。

 世界初の量産自動車向けCFRTP部品「カーボン・プロ」は、「Sereebo」を用いることで、スチールを使用したピックアップボックスに比べて約40%の軽量化を実現するとともに、約10倍の耐衝撃性を持つほか、耐腐食性にも優れる。

 また、従来の素材では量産できなかった複雑なデザインの成形にも対応することができ、リサイクルも容易になった。今回の受賞は、こうした特性が高く評価された。なお、「カーボン・プロ」はこれまでにも数々の受賞実績があり、「PACEアワード」は4回目の受賞となった。

 帝人グループは、「自動車向け複合材料事業の展開」を「将来の収益源育成:ストラテジックフォーカス」分野に位置づけている。今後も、複合化を強みとした技術開発に一層注力し、車体の軽量性と強度に加え、デザイン・生産性・コスト効率など、様々な顧客ニーズに対応できるソリューションプロバイダーとして、グローバルに事業を展開していく考えだ。

2019 GMC Sierra Denali CarbonPro Edition
CFRTP製品「Sereebo(セリーボ)」を用い、帝人とCSP社が、GMとの共同によりピックアップトラック向けに開発したピックアップボックス(荷台)「カーボン・プロ」

三菱ケミカルホールディングス 3月期業績予想を修正(28日)

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2020年5月7日

[三菱ケミカルホールディングス/3月期業績予想を修正](28日)単位億円、カッコ内は前回予想(2020年2月6日発表)。▽連結(通期)=売上収益35,810(36,300)、コア営業利益1,950(2,100)、親会社の所有者に帰属する当期利益560(810)。

JXTGホールディングス 量子コンピュータでの計算化学、共同研究促進

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2020年5月7日

 JXTGホールディングスはこのほど、量子コンピュータを用いた計算化学手法開発に関する共同研究契約をQunaSysと締結したと発表した。JXTGグループは、基盤事業の競争力強化や成長事業の収益力強化を目指し、昨年度よりQunaSysと量子コンピュータの活用可能性について検討を続けてきた。

 QunaSysは、JXTG開催の2018年度アクセラレータープログラムで採択されたスタートアップ企業。量子コンピュータ活用のための新しいアルゴリズム(計算手法)を数多く開発・提案してきた。量子コンピュータは従来のコンピュータとは概念の異なる計算方法を特徴とし、計算速度が圧倒的に速いとされる。

 計算化学は、コンピュータ上で実験結果を計算・予測する化学の1分野であるが、同社グループの持つ技術を組み合わせることで、研究開発の大幅な加速や新製品探索の可能性が確認できた。共同研究契約の締結により、今後は、人材の育成や具体的なトライアルの展開など、これまで以上に踏み込んだ連携を目指し、2022年度末を目途に、計算手法の開発・実証を行っていく。

 JXTGは量子コンピュータのアルゴリズム開発に主体的にかかわり、これを活用することで、「2040年JXTGグループ長期ビジョン」に掲げる基盤事業のキャッシュフローの最大化に向けて取り組む方針だ。

DIC 産官学連携の接着技術開発プロジェクトに参画

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2020年5月7日

 DICはこのほど、科学技術振興機構(JST)が推進する未来社会創造事業の研究プロジェクト「Society5.0の実現をもたらす革新的接着技術の開発」(CREAプロジェクト)に今年度より参画したと発表した。

 同プロジェクトは、電気自動車(EV)や自動走行車など次世代モビリティの軽量化や部材リサイクルに貢献する、「革新的な接着技術」の研究開発を目的としている。九州大学の田中敬二教授らの研究グループが提案し、2018年度に文部科学省から示された大規模プロジェクト型の技術テーマの1つ。高分子科学、先端計測および数理科学を専門とする研究者と連携企業の連合体が、接着現象に関連する界面の学理からものづくりまで一貫して研究開発を行うもので、2022年には実証実験フェーズへの移行を目指す。

 Society5.0は、仮想と現実の空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会のことで、第5期科学技術基本計画により、日本のあるべき未来社会の姿として提唱されたもの。その中に自動車産業の変革(CASE:つながる、自動運転、共有、電動)があり、「革新的な接着技術」は、それを実現するための重要な基盤技術の1つである。

 人命に関わるモビリティの接着技術には、強度や耐久性の保証と、それらに基づいた健全性や信頼性が求められる。共同研究では、モビリティの構造接着で重要な異種材料接合の高耐熱・高耐久機能と、廃棄の際に従来以上に容易に解体できる資源リサイクルに適した易解体性を兼備したエポキシ系接着樹脂の開発を目指す。

 DICグループは、新たなモビリティ社会に貢献するリサイクル性を兼備した複合材料の開発を進めることで、循環型社会の実現とSociety5.0の実現に貢献していく。

住友化学と東北大学 アルミ負極の劣化回避、新しい機構を解明

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2020年5月7日

 住友化学はこのほど、東北大学金属材料研究所の李弘毅特任助教、市坪哲教授をはじめとする研究グループと共同で、リチウムイオン二次電池(LIB)の負極の材料を高純度アルミニウム箔のみで、充放電時に起こる巨大体積ひずみを回避するという新しい機構を解明したと発表した。両者は2019年4月より連携して、LIB高容量化のための新しい負極の研究開発を行っている。

 LIBは、リチウムイオンが正極と負極間を移動することで充放電が行われ、負極は、充電時に正極から移動してきたリチウムイオンを取り込む役割を果たしている。現在の負極は炭素系材料が主流だが、電池のさらなる高容量化のために、炭素系材料に比べて3~10倍のエネルギーを蓄えられるシリコンのほか、スズやアルミニウムなどの金属系材料の使用が期待されている。しかし、それらの材料は、大きなエネルギーを蓄えられる反面、充放電時に2~4倍も膨縮するため内部の電極構造が崩れやすい点が、実用化の課題となっていた。

 今回、両者の研究グループは、高純度アルミニウム箔の硬さを最適化することにより、課題であった充放電時の体積膨縮の制御が可能なことを見出だした。今回の解明は、東北大学金属材料研究所の物質・材料に関する科学の力と、住友化学が長年にわたり高純度アルミニウム事業で培ってきた技術の融合による成果と言える。一体型アルミニウム負極の実現により、従来のLIBに比べて、電池製造のプロセスを大幅に簡素化できることから、製造工程の環境負荷低減とともに、高容量化や軽量化、低価格化なども期待できる。また、次世代電池として注目される全固体電池にも、研究成果を適用できる可能性がある。

 両者は引き続き、一体型アルミニウム負極の実現に向けて研究開発に励み、持続可能な社会の構築に取り組んでいく考えだ。

住友化学と東北大学アルミ負荷の劣化回避

日本ゼオンの3月期 エラストマー素材の落ち込みで減収減益

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2020年5月7日

 日本ゼオンは28日、2020年3月期の連結決算を発表した。売上高は前年度比5%減の3220億円、営業利益は21%減の261億円、経常利益は21%減の287億円、純利益は9%増の202億円となった。

 同日開催された決算説明会において、松浦一慶取締役執行役員は「高機能材料は増収増益となったが、エラストマー素材の落ち込みにより全体で減収減益となった。コロナによる直接的な業績への影響は軽微だった」と総括した。 

 セグメント別では、エラストマー素材事業は売上高10%減の1788億円、営業利益は45%減の96億円だった。合成ゴム関連では、世界経済減速の影響を受け自動車産業向けを含む一般工業品用途の需要が弱く、国内販売・輸出・海外子会社とも低調に推移した。合成ゴムの出荷量では、汎用ゴム(主にタイヤ用途)は前年度並みだったが、特殊ゴム(主に自動車産業用途)は需要が弱く減少した。

 合成ラテックス関連では、経済減速の影響による化粧品材料や一般工業品用途などの需要減に加え、原料動向に連動した手袋用途の販売価格が下落した。化成品関連では、主力の水島工場での定期検査実施に伴い生産量見合いの出荷を継続したことに加え、アジア市況が軟化したことも重なった。

 高機能材料事業は、売上高8%増の917億円、営業利益7%増の173億円。高機能樹脂関連では、光学樹脂は、主にスマートフォン向けが堅調で、医療向けなども安定して成長した。光学フィルムでは、中小型向けはコロナ影響でパソコンやタブレット向けの需要が増え、大型テレビ向けは販路拡大が奏功した。高機能ケミカル関連では、化学品とトナーは売上高、営業利益ともに前期を下回ったものの、電池材料の販売は堅調に推移した。電子材料は増収減益だった。

 なお、2021年3月期の業績予想については、「コロナ感染症の影響で合理的な業績予想の算出が困難だ」とし、今後、予想が可能となった段階で発表するとしている。

 

信越化学の3月期 経常利益は1%増の4182億円

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2020年5月7日

 信越化学工業は28日、2020年3月期の連結業績を発表した。売上高は前年度比3%減の1兆5435億円、営業利益1%増の4060億円、経常利益1%増の4182億円、純利益2%増の3140億円となった。各利益項目は過去最高益を更新している。

 セグメント別に見ると、塩ビ・化成品事業は売上高8%減の4843億円、営業利益14%減の921億円。米国のシンテック社では、塩化ビニル、カセイソーダともに高水準の出荷を継続したが市況の影響を受けた。欧州拠点も販売数量の維持に注力したものの、市況の影響を受けた。国内拠点は堅調に推移した。

 シリコーン事業は、売上高3%減の2268億円、営業利益5%増の614億円。機能製品を中心に拡販を進めたが、汎用製品の価格下落の影響を受けた。

 機能性化学品事業は、売上高5%減の1147億円、営業利益4%増の277億円。セルロース誘導体は、医薬用製品は底堅く推移したが、建材用製品が振るわなかった。フェロモン製品は堅調な出荷となったが、ポバール製品は市況の影響を受けた。

 半導体シリコン事業は、売上高2%増の3876億円、営業利益9%増の1432億円。半導体デバイス市場での調整局面が続いたが、販売価格と出荷水準の維持に努めた。

 電子・機能材料事業は、売上高微減の2251億円、営業利益2%増の685億円。希土類磁石は産業機器向けが需要鈍化の影響を受けたが、環境対応自動車向けを中心に販売を維持した。フォトレジスト製品はArFレジストやEUVレジストを中心に総じて好調だった。マスクブランクスも堅調に推移した。光ファイバー用プリフォームは市況悪化の影響を受けて厳しい状況となったが、大型パネル用フォトマスク基板は好調に推移した。

 加工・商事・技術サービス事業は、売上高4%減の1047億円、営業利益12%増の148億円だった。

 なお、今期の通期見通しについては、現時点で今後1年間の業績予想を合理的に行うことは困難なことから未定とし、今後、連結業績予想の開示が可能となった時点で速やかに開示する。