バイエルの2020年度業績 力強い業績も訴訟で損益

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2021年3月22日

 バイエルの2020年度通期(1-12月期)のグループ業績は、売上高は前年比微増の414億ユーロ、特別項目計上前EBITDAは同水準の115億ユーロ、EBITDAは除草剤グリホサート、Dicamba、PCBと「Essure」訴訟の引当金とクロップサイエンス部門の減損費用などの特別項目を考慮しマイナス162億ユーロ、当期利益はマイナス105億ユーロだった。

 セグメント別では、農業関連事業(クロップサイエンス部門)は増収減益。中南米とアジア・太平洋地域で販売増加の一方、北米地域で減少。特に殺菌剤とエンバイロサイエンスはすべての地域で拡大した。殺菌剤と大豆種子、形質は中南米地域で増加するも、北米地域は競争激化で販売価格と販売量が低下した。北米を除く地域で売上高が増加した。

 医療用医薬品部門は減収増益。パンデミックに伴う治療数と検査数の減少に対し、経口抗凝固剤が中国とヨーロッパ地域で、抗悪性腫瘍剤が中国と米国で大幅に売上が増加した。そんな中、25件超の買収・提携契約を締結した。特にAskBio社などと有望かつ急成長分野の細胞・遺伝子治療プラットフォームを構築し、バイオ医薬品のCureVac社とのパートナーシップでワクチンの臨床試験・承認、製造を支援している。

 セルフケア製品(コンシューマーヘルス部門)は増収減益。すべての地域で業績が市場を上回り、成長した。パンデミックにより健康と安全への注目が高まり、栄養補助食品、解熱鎮痛薬、循環器・皮膚科・胃腸薬領域が増加した一方、咳・感冒薬やアレルギー薬が減少した。非財務目標については、2030年の野心的なサステナビリティ目標の達成に向け、スペインとメキシコではグリーン電力への100%切り替えや、米国とブラジルでは農業従事者がCO2回収・貯留工程の導入で商業利益を得るパイロット・プロジェクト、小規模生産者への農業支援、アフリカの女性・女児への教育支援を行っている。

 2021年の業績予測については、パンデミック下でも事業の回復力は強く、昨年は会社の変革と製品パイプラインを前進させ全事業部にわたり新たなテクノロジーに投資したことから安定した利益の達成を見込むとし、売上高は3%増の約420~430億ユーロ、特別項目計上前EBITDAは112~115億ユーロとの予測を公表した。

 

BASFの2020年業績 減収減益も来期は増収増益に

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2021年3月18日

 BASFはこのほど、2020年通期(1-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比微減の591億ユーロ、特別項目控除前EBITDAは同11%減の74億ユーロ、特別項目控除前営業利益は同23%減の36億ユーロだった。

 売上高は、販売価格上昇とポートフォリオ変更のプラス効果を為替と販売量減少が相殺し減収となった。利益は、インダストリアル・ソリューション事業は前年同水準の営業利益を達成したが、ケミカル事業とマテリアル事業は川上事業からの貢献が大幅に減少し減益となった。中でもサーフェステクノロジー事業は、自動車産業の需要減が利益を圧迫する結果となっている。ただ第4四半期で見ると、全ての地域、ほぼ全ての事業セグメントで販売量が増加した。特にグレーターチャイナ(中国大陸・台湾・香港)は2桁の伸びを見せ、一部の汎用品の利益率も大幅に向上している。

 一方、カーボンニュートラルの取り組みも開示した。温室効果ガス排出量はエネルギー効率向上やプロセス最適化などの対策と生産減によりマイナスとなったが、昨年ソルベー社から買収したポリアミド事業の統合で相殺され、CO2換算で前年比3.5%増加した。

 サステナビリティ貢献製品は、2025年までに売上高220億ユーロを目指す計画だが、サーフェステクノロジーとアグロソリューション事業の売上増で、対前年比11%増の167億ユーロとなった。またサステナビリティ分野では、中期的に水電解に代わる高エネルギー効率の水素生産手段として、メタン熱分解反応器を使用したパイロットプラントを始動している。さらにサーキュラー・エコノミープログラムの一環として、ケミカルリサイクル原料を使う「Ccycled」製品の商業生産を開始しており、今年は生産量をさらに増やす予定だ。

 2021年の業績予想ついては、売上高610~640億ユーロ、特別項目控除前営業利益は41~50億ユーロを見込む。前提条件として、自動車産業を軸に世界経済は4.3%増、世界の化学品生産も4.4%増を想定した。なお、今後の設備投資については、2021~25年に229億ユーロを計画しており、アジア太平洋地域に41%、欧州に39%を実施する。今年度は、総額36億ユーロの投資を予定している。

 

コベストロの12月期 需要回復で下半期業績が大幅改善

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2021年3月16日

 コベストロの2020年12月期の連結決算は、売上高が前年同期比14%減の107億1000万ユーロ、EBITDAは同8%減の14億7000万ユーロ、純利益は同17%減の4億6000万ユーロとなった。主要製品の販売量は、10-12月期は好調だったが、1-6月期のコロナによる落ち込みをカバーできず同6%減となっている。ただ、コスト削減策に注力し、EBITDAは15億ユーロを確保した。

 セグメント別にみると、ポリウレタン事業は、売上高13%減の50億ユーロ、EBITDA4%減の6億3000万ユーロ。コロナ禍により1-6月期の需要が大きく落ち込み、7-12月期に需要が急回復したものの減収減益となった。主要製品の販売量は6%減少している。

 ポリカーボネート事業は売上高14%減の30億ユーロ、EBITDA3%増の5億5000万ユーロ。ポリウレタンと同様に上半期の落ち込みが響き減収となったが、原材料価格の低下とコスト削減が寄与し増益となった。主要製品の販売量は3%減少している。

 塗料・接着剤・スペシャリティーズ事業は、売上高14%減の20億ユーロ、EBITDA27%減の3億4000万ユーロ。販売量の減少と販売価格の低下により減収となり、利益率の低下とDSMからレジンズ&ファンクショナルマテリアルズ(RFM)事業買収に伴う支出が発生し減益となった。主要製品の販売量は9%減少している。

 なお、2021年度の業績予想については、EBITDA17億~22億ユーロの増益を見込む。主要製品の販売量の成長率を10~15%としたが、このうち6%はRFM事業買収に伴う販売量の増加を織り込んでいる。

 

星光PMCの12月期 減収減益も今期は最高益に挑戦

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2021年3月1日

 星光PMCは22日、2020年12月期(1-12月期)連結業績の説明会をウェブで行った。売上高は前年同期比7%減の260億円、営業利益6%減の26億円、経常利益6%減の27億円、純利益14%減の17億円となった。滝沢智社長は「コロナウイルスの影響で事業環境は悪化し、国内は厳しい1年だったが、海外は “星光PMCの12月期 減収減益も今期は最高益に挑戦” の続きを読む

DICの12月期 第4四半期の販売回復で営利益は微減

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2021年2月22日

 DICは19日、2020年12月期(1-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年比9%減の7012億円、営業利益4%減の397億円、経常利益12%減の365億円、純利益44%減の132億円となった。

 オンラインによる決算会見の中で、古田修司執行役員・最高財務責任者は「通期ではコロナ禍の影響による落ち込みが響き減収減益となった。第4四半期(10-12月期)は、

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宇部興産 スペイン子会社の繰延税金負債を一部取り崩し

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2021年2月22日

 宇部興産は19日、2021年3月期の連結決算において、繰延税金負債の一部を取崩すと発表した。

 今月12日に日本とスペインとの間で「所得に対する租税に関する二重課税の除去ならびに脱税及び租税回避の防止のための条約」の発行手続きが完了。これにより、同社のスペイン連結子会社からの受取配当金に係る源泉所得税が2022年1月以降免除になることに伴い、これまで留保利益に対し計上していた繰延税金負債の一部を取崩すこととなった。このため、今期の連結決算において、法人税など調整額が約34億円減少し、当期純利益が約34億円増加する見込み。

東亞合成 中計2年目、変化に対応し施策を推進

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2021年2月22日

積極投資とR&D強化、高付加価値化の拡大図る

 東亞合成は今年、中期経営計画「Stage up for the Future」(2020~22年)の2年目に入った。17日に開催の決算説明会で進捗報告があった。高付加価値製品事業の拡大や新事業の創出に向けて新たなスタートを切った昨年(1-12月期)は、コロナ禍の影響を受けて減収減益となったが、髙村美己志社長は「事業環境の大きな変化は、我々にとってはむしろチャンスになるのではないか」と捉える。

髙村美己志社長

 その理由の1つは、世界経済が減速する中でも、5Gの拡大やテレワークの増加を背景に成長を続ける半導体産業にある。リーマンショック時には大きく落ち込んだ同社の半導体関連事業も、コロナ禍ではプラスに動いており期待を寄せる。エレクトロニクス分野では、半導体製造用高純度ガスと

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昭和電工 2021年度はすべての事業が回復傾向

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2021年2月19日

森川社長「実質統合で、世界で戦える会社になる」

森川宏平社長

 昭和電工は17日に開催した決算説明会で、2021年度の経営課題などについて説明を行った。昨年度の業績はコロナ禍の影響を受けたことや、黒鉛電極の回復が遅れたことなどにより利益項目は赤字となったが、下期からの自動車・鉄鋼生産の回復を背景に、業績は改善傾向にある。森川宏平社長は「コア成長事業(モビリティ、エレクトロニクス)がけん引することに加え、石化やハードディスク(HD)といった安定収益事業もしっかりキャッシュを稼ぐ」とし、今年度の業績回復を見込む。

 事業環境が改善する中、コア成長事業ではプレゼンスの向上が期待される。エレクトロニクス市場は昨年、5Gやテレワーク進展により成長軌道に回帰し、今年度以降は市場拡大が予想される。森川社長は

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昭和電工の12月期 利益項目が赤字も今年度は改善見込む

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2021年2月18日

 昭和電工は17日、2020年12月期(1-12月期)の連結決算を発表した。売上高は前年比7%増の9737億円、営業損失194億円(同1402億円減)、経常損失440億円(同1633億円減)、純損失763億円(同1494億円減)となった。

 オンラインによる決算会見の中で森川宏平社長は、「昨年はコロナによる市況悪化の影響を大きく受け、様々な製品で出荷量が減少した。特に黒鉛電極は、 “昭和電工の12月期 利益項目が赤字も今年度は改善見込む” の続きを読む

東海カーボン 中計発表を5月に延期、現時点で見通せず

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2021年2月18日

長坂社長「今年後半から、電極事業は回復傾向に」

 東海カーボンはこのほど、決算説明会において中期経営計画「T-2022」(2020~2022年度)の進捗状況を説明した。同社は、コロナ禍により経済の先行き不透明となっていることから、中計を年次で見直す方針を取っている。長坂一社長は「ミクロ・マクロの両面で事業環境を見直す」とし、ローリング中計「T-2023」(2021~2023年度)については5月を目途に改めて発表する考えを示した。

 続いて、中計の進捗について説明。3つの基本方針である収益基盤の強化、成長機会の拡大、連結ガバナンス体制構築に引き続き注力するとし、成長市場への戦略投資で行ったM&AのPMI(経営統合)の進捗を示した。

 電極事業は回復が遅れているとしたが、「世の中の景気を見ると鉄鋼生産だけでなく全体が

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