SEMI 2020年の出荷面積は前年比2.4%の成長

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2020年10月22日

 SEMIはこのほど、半導体向けシリコンウェーハ出荷面積の年次予測を発表した。これによると、2020年の出荷面積は、2019年の落ち込みから回復し、前年比2.4%の成長となる。その後、2021年に5.0%成長、2022年に5.3%成長、2023年に4.1%成長と継続的な成長が見込まれる。

 SEMIの市場調査統計担当ディレクタのクラーク・ツェン氏は、「今年の出荷面積は、地政学的緊張、世界的な半導体サプライチェーンのシフト、新型コロナウイルス感染拡大の影響などにもかかわらず回復が進んでいる。新型コロナの感染拡大が加速させたデジタル化により、企業およびそのサービス提供方法が世界中で様変わりしており、この成長は2023年まで継続すると予測している」とコメントしている。

住友ベーク 5G対応基板材料を開発、サンプル供試を開始

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2020年10月16日

 住友ベークライトはこのほど、第5世代移動体通信システム(5G)の高周波回路基板用として誘電特性が優れかつ低熱膨張、高弾性率の基板材料「LαZ-4785KS-LE(コア材)」「LαZ-6785KS-LE(プリプレグ)」シリーズを開発し、サンプル供試を開始した。

 5Gは高速・大容量、低遅延、多数接続などのためより高い周波数領域を使用するが、アンテナをICパッケージ上に設置したAiP(アンテナ・イン・パッケージ)、RFモジュール(無線ICと周辺回路を実装した電子部品)、メモリーなどの高周波アプリケーションの回路基板材料には低消費電力、低遅延のための低誘電率、低誘電正接が求められる。

 同社が生産・販売する半導体パッケージ基板材料「LαZ」シリーズの特徴である低熱膨張、高剛性、高弾性率特性を維持しつつ、新たな樹脂設計や配合技術により誘電率3.4、誘電正接0.003(10GHz)を達成し、ビア形成プロセス性能(レーザー穿孔・ビア底のクリーニング性)も十分に確保。銅配線との密着性にも優れ、微細配線と銅表面の低粗度により、信号伝送損失の低減が期待できる。すでにいくつかの基板メーカー、エンドメーカーで評価を開始し、来年の量産化を予定している。半導体パッケージ基板関連材料全体で2023年度に売上50億円を目指す。

信越化学工業 半導体用レジストを増設、日本と台湾の2拠点

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2020年10月16日

 信越化学工業は15日、半導体用フォトレジストについて、日本と台湾の製造拠点で設備投資を行うと発表した。投資金額は合計で300億円。

信越電子材料(台湾雲林県)
信越電子材料(台湾雲林県)

 半導体は5GやCASEといった先端分野で需要が伸びていることに加え、微細化など製造プロセス技術も高度化している。こうした中、同社は、供給と技術の両面で顧客からの要望に応えるため、半導体製造に不可欠なフォトレジストの設備増強を、信越電子材料(台湾)と信越化学直江津工場(新潟県上越市)の2拠点で実施する。

 同社は昨年7月に台湾の信越電子材料で第1期工事を終了しフォトレジストの生産を開始。生産拠点の複数化を実現して供給安定性を高めた。同拠点ではすでに新たな工場棟の建設を進めており、今回さらに生産設備を増強し来年2月までの完工を目指す。一方、直江津工場でも、新たに建屋を建設し能力増強を進める計画で、2022年2月までの完工を目指す。

 同社は、高感度のArFフォトレジストや、回路パターンの寸法精度を向上させる多層レジスト材料を開発し量産化。最先端のフォトレジスト関連製品を顧客に提供してきている。

 今後も、半導体デバイス市場の拡大、トランジスタ数の増大と省電力化のためのデバイスプロセスの進化による半導体関連材料の需要を着実に取り込み、事業基盤の強化をさらに進めていく考えだ。

東京大など 高製造性・高性能両立の有機半導体を開発

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2020年9月11日

 東京大学、富山高等専門学校、筑波大学、北里大学と産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、特異な構造相転移挙動により高溶解性・高移動度・環境ストレス耐性をもち、高製造プロセス適性かつ高性能な有機半導体を開発したと発表した。その成果は、アメリカ化学会(ACS)学会誌のオンライン速報版で公開された。

 有機半導体は低分子間力の固体であり軽量・柔軟で、印刷で製造できるため低生産コスト・低環境負荷である。性能も市販アモルファスシリコンより1桁以上高い10㎠/Vs級の移動度をもち、次世代のプリンテッド・フレキシブルエレクトロニクス材料として期待される。しかし、高性能有機半導体分子の多くは有機溶媒への溶解性が乏しく、製造プロセスが限られることが課題であった。

 同研究グループが開発したデシル置換セレン架橋V字型分子C10-DNS-VWは、製造プロセス適性と高性能を両立している。SPring-8による構造解析で、高溶解性だが低電荷輸送性の1次元集合体構造と、高電荷輸送性だが低溶解性の2次元集合体構造の2種類の集合体構造を形成し、加熱処理により1次元から2次元に、良溶媒存在下では2次元から1次元へ相転移することが分かった。

 また分子動力学計算では基板表面では2次元集合体構造は1次元構造よりも安定であり、蒸着法や塗布結晶化法などの製造プロセスによらず、薄膜作製時に2次元構造が再現性よく得られた。一般的な芳香族溶媒に対して1重量%以上溶解するため、様々な印刷プロセスに適用できる。塗布プロセスで得られた単結晶薄膜を用いたトランジスタは、世界最高レベルの11㎠/Vsの移動度、良好な電荷注入特性、高環境ストレス耐性を示した。

 今回開発のC10-DNS-VWからなる有機半導体は、蒸着法や印刷法などの各種製造プロセスへの適合性が高い。電子タグやマルチセンサーなど各種ハイエンドデバイス開発を加速し、次世代プリンテッド・フレキシブルエレクトロニクス分野の起爆材料となることが期待される。

日立化成 低損失・低変形の5G対応プリント板材料を量産

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2020年9月11日

 日立化成はこのほど、第5世代移動通信システム(5G)や先進運転支援システム(ADAS)、人工知能(AI)などの半導体実装基板に求められる低伝送損失と低そり性を実現するプリント配線板用高機能積層材料「MCL-HS200」の量産を3月より開始したと発表した。

 エレクトロニクス関連製品のIoT(モノのインターネット)化やADAS、AIなどの普及には高速・大容量で低遅延、多数接続が可能な5Gが不可欠だ。またコロナ禍の影響によるリモートワークの増加など、5Gの需要はますます拡大している。

 5GやADASでは、4Gより高い周波数帯を使用するため、電気信号の減衰(伝送損失)が大きい。高周波向け回路基板には伝送損失に加え、信号遅延も低く抑えることが重要。さらにスマートフォンなどデバイスの小型化・高機能化に伴い回路基板も薄型化し、実装時の低そり性も求められるが、これらの両立は難しく課題だった。

 同社は、低極性樹脂と低誘電ガラスクロスの使用で伝送損失を低く抑え(低誘電正接特性)、信号遅延を低減した(低比誘電率)。また、低熱膨張樹脂とフィラー高充填化で低そり性を実現(低熱膨張特性)。

 さらに同社の半導体パッケージ用基材の低熱膨張化技術と高速通信用の多層基板材料の低誘電率化技術を融合し、誘電正接0.0028(10GHz)、誘電率3.4(10GHz)、熱膨張係数10PPM/℃と、高次元で低伝送損失と低信号遅延、低そり性を両立した。薄型基板に対応する回路充填性(樹脂の流動性)をもち、薄型化構造に対応する極薄プリプレグも揃えた。

 日立化成は、さらなる低誘電率化と薄型化の実現に向けて開発を進めており、今後も高度な技術と新製品の開発を通じて、プリント配線板の高機能化に貢献していく考えだ。

SEMI 半導体製造装置、来年の投資は過去最高を予測

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2020年8月4日

 SEMIはこのほど、オンラインで開催した「SEMICON West」の中で、半導体製造装置(新品)の世界販売額が、2021年には2桁成長を達成し、過去最高額となる700億ドルを記録するとの予測を発表した。これは世界半導体製造装置の年央市場予測によるもの。なお、2020年は前年比6%増の632億ドルに達するとしている。

 多くの半導体分野での成長が、この市場拡大を支える要因となる。ウェーハファブ装置分野(ウェーハプロセス処理装置、ファブ設備、マスク/レチクル製造装置)はメモリー投資の回復と先端プロセスへの投資、中国の投資にけん引されて、2020年に5%、2021年には13%の成長が見込まれる。ウェーハファブ装置販売額のほぼ半分を占めるファウンドリとロジックの投資は、2020年と2021年ともに一桁台での成長となる。DRAMとNANDの2020年の投資額はどちらも2019年の水準を上回り、2021年には20%を上回る成長が予測される。

 組み立ておよびパッケージング装置分野は、アドバンストパッケージングの生産能力拡大により2020年に10%成長の32億ドルに達し、2021年には8%成長の34億ドルとなると予測。半導体テスト装置市場は5G需要などにより2020年に13%成長し57億ドルに達し、2021年も成長が継続するとみられる。

 地域別では、中国、台湾、韓国が2020年の投資をリード。中国ファウンドリの旺盛な投資によって、同国は2020年と2021年の両年にわたり、世界最大の装置市場となる見込み。台湾の装置投資額は、2019年に68%の成長を遂げた。2020年は減額するものの、2021年は10%のプラス成長と反発し、世界第3位の市場となると見込まれる。韓国の装置投資額は、メモリー投資の回復により2021年に30%の成長を予想。その他の地域も、ほとんどで2020年から2021年にかけて成長が見込まれている。

NEDOなど 従来比6倍速の銅コーティング加工機を開発

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2020年7月28日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、大阪大学、ヤマザキマザック、島津製作所と共同で高輝度青色半導体レーザーを用いた、高速・精密銅コーティングが可能なハイブリッド複合加工機を開発した。

 レーザーコーティングは従来のスパッタやメッキ、溶射と異なり、レーザーで金属粉末を溶接する技術。密着強度が高く耐久性に優れ、大気雰囲気下で処理できる。また、マルチビームの加工技術により、1本の粉末ビームに複数のレーザービームを照射し効率的に加熱、溶融、凝固させる。従来の近赤外線レーザーでは金や銅の加工は困難であったが、青色半導体レーザーは金属への吸収効率が高く、金や銅などの加工に適する。特に銅は、その高い熱・電気伝導性から高精度が必要な航空・宇宙・電気自動車産業への活用が期待される。また細菌の殺菌・抗菌、ウイルスの不活化作用から、感染リスク低減のための手すりやドアノブへの利用が始まっている。

 今回、日亜化学工業と村谷機械製作所の技術協力で開発した200W高輝度青色半導体レーザーを3台装着し、600W級マルチビーム加工ヘッドを開発。レーザー集光スポットのパワー密度が上がり、金属材料への銅のコーティング速度が従来の6倍以上に向上、多層コーティングも可能になった。1走査あたりのコーティング幅も従来比2.5倍の1mm程度まで増大できる。

 噴射した銅粉末を直接加熱するため母材表面の溶融を必要最小限とし、母材金属の混入が少なくゆがみの小さな精密コーティングが可能である。直線3軸/回転2軸の5軸同時制御加工ヘッドのハイブリッド複合加工機で、複雑形状の部品に高速・精密コーティングできる。現在、石川県工業試験場と大阪富士工業で銅コーティングの基礎データベースの構築と銅コーティング部材の開発を進めている。

 NEDOプロジェクトは青色半導体レーザーのさらなる高輝度化を進め、ヤマザキマザックは?級青色半導体レーザーマルチビーム加工ヘッド搭載、コーティング速度十倍以上のハイブリッド複合加工機の来年の製品化を目指している。

三菱ケミHD 半導体材料開発の仏スタートアップに出資

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2020年7月21日

 三菱ケミカルホールディングスは20日、米国シリコンバレーに設立したCVC子会社であるDEV(Diamond Edge Ventures)を通じて、半導体材料開発スタートアップである仏・aveni社に出資したと発表した。同時に、事業会社の三菱ケミカル(MCC)が、aveni社と共同開発契約を締結している。

 aveni社は、3Dメモリ製造工程で用いられる薄膜形成用材料とプロセスの開発を手掛ける。AIやIoT技術の進展、5G通信技術の導入に伴い、半導体メモリの高容量化が求められる中、aveni社は競争力のある次世代技術をもっており、今後の成長が期待される。

 三菱ケミカルHDは、中期経営計画「APTSIS20」の中で「IT・エレクトロニクス・ディスプレイ」をフォーカスマーケットの1つと定め、関連する投資や研究開発、事業展開を推進。今年4月にはMCCが半導体関連事業を集約した組織「MC Chemical Solutions for Semiconductor(MCSS)」を立ち上げ、既存の組織・会社の枠にとらわれないスピーディな事業運営に注力。今回のaveni社への出資と共同開発によりその取り組みを加速させていく。

 三菱ケミカルHDは、今後もDEVを通じて、同社グループの新たな成長機会をもたらすスタートアップ企業との連携をさらに強化していく考えだ。

 

日本ゼオン ポジ型感光性絶縁材料の新製品販売を開始

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2020年7月20日

 日本ゼオンは17日、ポジ型感光性絶縁材料「ZEOCOAT ZC100」を開発し販売を開始したと発表した。アルカリ現像タイプのポジ型感光性絶縁材料である「ZC100」は、180℃の低温硬化が可能であり、高解像性、高絶縁信頼性といった特徴をもつ製品。

 スマートフォンをはじめとするデバイスの高機能化、多機能化に伴い、半導体パッケージや電子部品には微細化、高集積化が求められている。「ZC100」は解像性に優れるポジ型であるためデバイスの微細化に貢献。また、低温での硬化が可能であり、高い絶縁信頼性をもつため、デバイスの歩留まりや信頼性を向上させる。主な用途として、さらなる微細化や低温プロセスが求められる、次世代ウエハーレベルパッケージへの展開を目指していく。

 ゼオングループは、今後も独自技術を駆使した製品開発を推進し、顧客にとって価値ある製品の提供に注力していく考えだ。

「ZEOCOAT ZC100」の物性データ

 

昭和電工 高耐湿・高熱伝導の窒化アルミフィラーを開発

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2020年7月15日

 昭和電工は14日、半導体デバイスなどの放熱フィラー用の高耐湿・高熱伝導窒化アルミニウムフィラー(窒化アルミフィラー)を開発し、サンプル提供を開始したと発表した。

窒化アルミニウムフィラー
窒化アルミニウムフィラー

 半導体の高性能化によりデバイス内で発生する熱は増加しているが、デバイス自体の小型化、高集積化の進展により、発生した熱を外部に放熱することが難しくなっている。蓄積された熱は、デバイスそのものだけでなく、これらを組み込んだ電子機器の性能の低下や信頼性、安全性に影響を及ぼす恐れがあり、こうした熱による悪影響を避けるため、発生した熱をいかに素早く除去するかが非常に重要な課題となっている。

 窒化アルミニウムは高い絶縁性、シリコンと同程度の熱膨張係数、半導体製造時に使用される塩素系ガスに対する耐性といった優れた特性を持ち、アルミナや窒化ホウ素などの他のフィラー材料に比べて熱伝導率にも優れている。ただ、水分が付着すると加水分解を起こして腐食性のアンモニアが発生することが問題となっていた。

 こうした中、同社では、窒化アルミニウムの表面に独自の極薄膜による表面処理を行うことで高耐湿性・高熱伝導性のある窒化アルミフィラーの開発に成功。樹脂に充填したときの熱伝導率を低下させることなく、表面処理をしていない窒化アルミニウムに比べてアンモニアの発生を1万分の一に抑えることが可能となった。今後サンプル提供を通じて市場を開拓し、2023年から量産を開始する計画だ。

 同社グループは、個性派企業(収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体)の実現をVision(目指す姿)として掲げている。5GやCASEの進展で今後も高い成長が見込まれる半導体デバイス市場に対し、最適なソリューションを提供し顧客の要望に応え、個性派事業の確立を目指す。