帝人ファーマ 骨粗鬆症剤、厚労省から製造販売承認を取得

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2021年4月23日

 帝人ファーマはこのほど、「オスタバロ皮下注カートリッジ 3mg」(一般名:アバロパラチド酢酸塩)について、骨折の危険性の高い骨粗鬆症を効能・効果として、厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表した。なお、同剤は、新医薬品の処方日数制限に対応する製剤を開発中であるため、現時点での上市時期は未定となっている。

 同社はこれまで関節領域に関しては、骨粗鬆症治療剤や超音波骨折治療器など、様々なソリューションの提供を通じて、患者のQOL(生活の質)向上に貢献してきた。一方、現在、日本国内の骨粗鬆症の患者数は約1300万人と推定されており、骨粗鬆症に伴い骨折が発生した場合、ADL(日常生活動作)やQOLの低下、生命予後の悪化につながるとされる。そして、特に低骨密度、脆弱性骨折の既往や高齢を伴う「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」には、短期間で骨量を増やし、骨折の発生を抑制できる薬剤が求められている。

 「オスタバロ」は、ヒト副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTHrP)のN末端から34個のアミノ酸配列のうち、一部を改変したポリペプチドであるアバロパラチド酢酸塩が有効成分。アバロパラチド酢酸塩は、骨代謝に関わる副甲状腺ホルモン一型受容体を選択的に刺激する作用をもち、1日1回の皮下投与により、骨芽細胞の増加を介して骨形成を促進することで、骨量の増加効果が期待できる。

 同剤は、骨折の危険性の高い骨粗鬆症の患者を対象とした国内および海外の臨床試験により有効性と安全性が確認されたことから、昨年5月に製造販売承認申請していた。また同剤は、ラディウス・ヘルス社(米国マサチューセッツ州)が、骨折の危険性の高い閉経後女性の骨粗鬆症治療薬として、2017年に米国で承認を取得し販売している。

生命科学インスティテュート Muse細胞製品

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2021年4月22日

新型コロナ感染症の肺疾患対象に臨床試験を開始

 生命科学インスティテュート(LSII)は20日、新型コロナウイルス感染症に伴う急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を対象疾患としたMuse(ミューズ)細胞製品「CL2020」の国内臨床試験開始の記者会見を開いた。

記者会見の様子

 同社は三菱ケミカルホールディングスグループの事業会社の1つで、健康・医療ICT、次世代ヘルスケア、創薬ソリューションを担っている。名古屋大学医学部附属病院病院などでの臨床試験を来月から開始し、今年度内の申請、来年度内の承認取得を目指す。

 Muse細胞は

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DSM 代謝型ビタミンD3製剤、アジア地域で発売

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2021年4月8日

 DSMはこのほど、サプリメント市場に向けて、一般的なビタミンD3に比べて3倍速く血中ビタミンD濃度を引き上げることができる代謝型ビタミンD3製剤「ampli-D」をアジア太平洋地域で上市したと発表した。すでに豪州で販売を開始。まもなくシンガポールでも上市が予定され、ほかのグローバル市場でも順次上市していく。なお日本では、政府機関で同製品の使用について審議中だが、指定が取れ次第、製品を上市させる考えだ。

 同製品の成分は人の体内に存在する代謝型ビタミンD3「25-ヒドロキシコレカルシフェロール(25OHD3)」。「太陽のビタミン」といわれるビタミンDは、骨や筋肉の健康に関連していることや、健康な免疫機能の維持にも寄与することが分かっている。現在その役割に対する認識が高まっているが、ビタミンDの不足・欠乏が世界的な課題だ。

 ビタミンDは、供給源となる食品群が非常に限られている上に、体内で生合成するには直射日光を浴びる必要がある。そのため、個人のライフスタイルによっては、十分なレベルの体内ビタミンD濃度を達成できない。また、既存のサプリメントや栄養強化食品を摂取しても、骨の健康や免疫などに直接影響する血中25OHD3濃度が健康なレベルに達するには、数カ月かかる場合もある。

 それに対し同製品は、ビタミンDの主要な循環形態である25OHD3であることから、サプリメントとして摂取することで体内の25OHD3濃度を数週間という短期間で適切なレベルに引き上げ、免疫機能を健康な状態に維持することができる。

 同社は、同製品をグローバル規模で上市し、またビタミン製剤として供給するだけでなくサプリメントして提供することで、業界をリードする新しい栄養ソリューションの普及に注力していく考えだ。

東洋紡 新型コロナ迅速プール検査法を共同開発・実用化

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2021年4月8日

 東洋紡は7日、プレシジョン・システム・サイエンス(PSS社)と共同で、新型コロナウイルスに対する迅速プール検査法の開発と実用化に成功したと発表した。

 検体プール検査法は、唾液などの検体を複数混合して検査するもので、検査数を大幅に増やすことができる。その一方で、検体の前処理に人手と時間が必要なことや、プール検体で陽性を検出した場合の再検作業などにより、検体採取から結果報告までに約2日を要していた。

 両社は今回、筑波大学医学医療系の鈴木広道教授による発案・指導の下で迅速プール検査法を開発。東洋紡が販売する遺伝子解析装置「GENECUBE(ジーンキューブ)」(モデルC)と、PSS社が販売する全自動核酸抽出装置「magLEAD(マグリード)12gC」を連携する最適化プログラムを開発することで、人手をほとんど介さずに、唾液検体到着から結果報告まで最短約1時間の迅速プール検査を実現した。

 同検査法は、チップ操作が不要であることに加え、設置幅が約1mと省スペースであり、1時間に120件程度の処理が行える。なお、両装置の連携を最適化する専用カードとラックアダプターは、今月中旬にPSS社から発売される。既存の「magLEAD 12gC」に搭載するのみで速やかな運用開始が可能になる。

迅速プール検査法の流れ。検体採取から結果まで約2日を要していた検体プール検査を、最短約1時間に短縮する
迅速プール検査法の流れ。検体採取から結果まで約2日を要していた検体プール検査を、最短約1時間に短縮する

東ソー 新規卵巣がんマーカーTFPI2の測定試薬開発

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2021年4月7日

 東ソーは6日、卵巣がんの診断の補助に使用される新規マーカー「組織因子経路インヒビター2(TFPI2)」の測定試薬である「Eテスト「TOSOH」Ⅱ(TFPI2)」 を開発したと発表した。 同製品は、昨年6月に体外診断用医薬品として製造販売承認を取得。今年4月1日付で保険適用を受けており、7月下旬から販売を開始する予定だ。

 同製品は、文部科学省イノベーションシステム整備事業「翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点の形成」の中で、横浜市立大学と共同で卵巣がん新規診断マーカー探索研究を実施し、得られた成果をもとに開発された。

 特長として、①健常人や子宮内膜症を含む良性腫瘍ではほとんど上昇せず、卵巣腫瘍の良性・悪性の判別に有効、②卵巣がんの中で、他の組織型と比較して卵巣明細胞がんで特に高値を示し、組織型(明細胞がん)の推定に有効、③同社専用装置(全自動エンザイムイムノアッセイ装置「AIA-2000」)により、短時間(約20分)での測定が可能、などが挙げられる。

 東ソーは、ライフサイエンス分野の製品やサービスの提供を通じて、人々の健康と福祉に関する社会課題の解決に貢献できるよう、今後も積極的に取り組んでいく考えだ。

日本触媒 第Ⅰ相臨床試験向けに核酸医薬の原薬を製造

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2021年3月30日

 日本触媒は29日、TAK-Circulator(TAK)とプロジェクトを進める、ステロイド抵抗性難治重症喘息を対象とした核酸医薬品「TAKC-02(開発コード)」について、中分子原薬製造施設で第Ⅰ相臨床試験向け原薬のGMP製造を完了し出荷したと発表した。

中分子原薬合成施設
中分子原薬合成施設

 両社はTAKが東京大学との共同研究成果を基盤に開発した「TAKC-02」の共同商業化契約を締結しプロジェクトを推進。「TAKC-02」はサイトカイン類の産生に関与するMex3B遺伝子を標的とするアンチセンス核酸医薬。吸入投与によりMex3B遺伝子の発現が抑制されると、炎症性サイトカイン類の産生が抑制され、難治性重症喘息の改善が期待される。既存医薬品が有効性を示さないステロイド抵抗性難治重症喘息に関し「TAKC-02」が承認されれば医療ニーズに応える治療薬となる。日本触媒は原薬の供給者として、また、パートナーとして「TAKC‐02」開発に寄与していく。

 一方、日本触媒にとっては、2019年に竣工したGMP準拠の中分子原薬製造施設による初の製造・出荷となる。同製造施設は、核酸医薬をはじめとする中分子原薬製造のための複数の製造ラインをもち、様々な顧客からのニーズに対応した核酸原薬製造を受託できる体制を整えている。今回の製造実績をもとに、4月から本格的に中分子原薬の受託製造事業を展開する。同社は、様々な核酸医薬品の供給を推進し、人々の生命・健康を支え、社会の継続的発展に貢献していく考えだ。

デンカ ヘリコバクター・ピロリ抗原迅速診断キット発売

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2021年3月26日

 デンカはこのほど、体外診断用医薬品「クイックナビ」シリーズの新製品として、ヘリコバクター・ピロリ抗原迅速診断キット「クイックナビ-H.ピロリ」を4月14日から全国の医療機関向けに発売すると発表した。

ヘリコバクター・ピロリ抗原迅速診断キット「クイックナビ‐H.ピロリ」
ヘリコバクター・ピロリ抗原迅速診断キット「クイックナビ‐H.ピロリ」

 ヘリコバクター・ピロリは胃の粘膜に生息しているらせん形をした細菌で、一般に「ピロリ菌」とも呼ばれる。ピロリ菌による胃の粘膜の炎症で、胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍が起きると言われており、さらに喫煙や食生活の乱れ、ストレスなどの外的要因が加わると胃がんの発生リスクが高まるとされている。

 同診断キットは、糞便中のヘリコバクター・ピロリ抗原の有無をイムノクロマト法により判定。テストデバイスへ試料滴加後、8分で抗原の有無を迅速に判定することができる。同製品は販売提携先の大塚製薬とデンカの二社が販売する。「クイックナビ」シリーズは、すでにインフルエンザウイルス、ノロウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、A群β溶血性連鎖球菌、マイコプラズマをはじめ、昨年8月には新型コロナウイルス迅速診断キットを販売している。

 同社は、感染症対策を社会的責務と捉え、各種ウイルス抗原迅速診断キットだけでなくインフルエンザワクチンも製造・販売する国内唯一のメーカーとして、予防と診断の両面から感染拡大防止に取り組んでいる。今後も医療現場のニーズに応え、予防・検査体制の拡充を通じて人々のQOL向上に貢献していく考えだ。

デンカ エボラウイルス診断キットの国内製販承認を取得

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2021年3月25日

 デンカはこのほど、北海道大学と共同開発したエボラウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ-Ebola」について、医薬品医療機器総合機構(PMDA)から国内製造販売承認を取得したと発表した。同社は国内防疫の観点で、関係官庁や公的機関、研究機関などの協力を仰ぎながら、同キットの活用の可能性を検討していく考えだ。

 同キットは診断結果を約10分で判定し、特別な器具や装置を必要としないことから、医療施設が十分に整っていない地域でも有効に使用が可能。同社は、現在でもエボラウイルス病の発生が確認されているアフリカでの感染拡大予防対策にさらに貢献するために、アフリカ諸国の医療機関への同キットの情報提供を通じて、正式供給の可能性を探るとともに、世界保健機関(WHO)による緊急使用承認を2022年に取得することを目指していく。

 同社は経営計画の中で、ヘルスケア事業を重点分野の1つに位置づける。今後も感染症の予防と早期診断を通じて世界の医療の課題解決に取り組み、人々のQOL向上に貢献していく。

中外製薬 コロナ経口薬、ロシュから日本の開発・販売権取得

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2021年3月15日

 中外製薬はこのほど、ロシュと、新型コロナウイルス感染症に対する経口の新薬候補品「AT-527」について、日本での開発および販売に関するライセンス契約を締結した。

 「AT-527」は、RNAウイルスの複製に必要なウイルスRNAポリメラーゼの阻害作用をもつ直接作用型抗ウイルス剤。米国・アテアが創製し、コロナ感染症に対する経口治療薬としての可能性が検討されている。ロシュとアテアは、同剤の開発を共同で実施し、承認された場合は、米国での販売はアテア、全世界での製造および米国外の販売はロシュが担う。今回、ロシュと中外製薬のライセンス契約により、中外製薬は日本での「AT-527」に対する独占的な開発権と販売権を取得する。

 現在、グローバルでは、入院を要する中等症コロナ患者に対する第Ⅱ相臨床試験、並びに入院をしていない軽症から中等症コロナ患者に対する第Ⅱ相臨床試験が進行中。今年上半期までに第Ⅲ相臨床試験の開始が見込まれ、軽症から中等症の外来コロナ患者に対する有効性・安全性を評価する予定だ。

 中外製薬の奥田修社長COOは、「変異種の感染が拡大するなど、コロナ感染症の世界的流行は衰えを見せておらず、新たな医薬品の選択肢が引き続き必要とされている。ロシュおよびアテアとともに、軽症から中等症の幅広い患者への医療に貢献することを目指す同剤の開発に取り組むことに、強い使命感を抱いている」とした上で、「利便性の高い経口抗ウイルス剤である「AT-527」を日本においてもいち早く届けられるよう、国内の承認申請に向け必要な対応に尽力していく」と述べている。

富士フイルム 英米で新型コロナワクチン候補原薬の量産推進

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2021年3月12日

 富士フイルムはこのほど、バイオ医薬品の開発・製造受託会社フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(FDB)が米国ノースカロライナ拠点に続きテキサス拠点でも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン候補の原薬製造を開始したと発表した。英国拠点でも量産準備をスタートするなど、同ワクチンの迅速かつ安定的な供給に向けた取り組みを加速させている。

 FDBは、米国バイオテクノロジー企業ノババックス社が開発中で、米国政府が立ち上げた官民連携プロジェクト「Operation Warp Speed」が開発支援するCOVID-19ワクチン候補「NVX-CoV2373」の原薬製造を受託し、ノースカロライナ拠点で昨年7月より量産している。今回米国政府の助成の下、テキサス拠点の2㎘細胞培養タンク9基の設置が完了し、原薬製造を開始した。また英国拠点では、米国ノースカロライナ拠点より移管した生産プロセス技術と2㎘細胞培養タンクで、英国政府が調達する「NVX-CoV2373」の原薬製造を行っていく。

 「NVX-CoV2373」は、新型コロナウイルスの遺伝子情報をもとに作った抗原のタンパク質の一部を用いたワクチン候補で、ノババックス社は昨年より南アフリカで後期臨床第Ⅱ相試験、英国で臨床第Ⅲ相試験を開始し、1月には各試験の中間解析結果として主要評価項目を達成し有効性を示したと発表した。また米国やメキシコで臨床第Ⅲ相試験を進めている。

 なおCOVID-19治療薬候補の受託では、COVID-19治療推進プロジェクト「COVID‐19 Therapeutics Accelerator」が開発・製造を支援する米国イーライ・リリー社の抗体医薬品の原薬の量産を、デンマーク拠点で4月より開始する予定だ。

 今後、FDBの米国テキサス、ノースカロライナ、英国、デンマークの全拠点の製造インフラを活用して、COVID-19ワクチン・治療薬の開発・製造に協力していく考えだ。