AGC 新型コロナワクチン関連の受託製造規模を拡大

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2020年9月8日

 AGCはこのほど、CDMO事業子会社のAGCバイオロジクス(米国)が、米国ノババックス社からの新型コロナウイルス感染症ワクチン候補「NVX-CoV2373」のアジュバント(性能促進剤)「Matrix-M」の受託規模を従来の約1.5倍に拡大したと発表した。追加受託分は、米国シアトル工場で製造する。

 ノババックス社は、重篤な感染症の次世代ワクチン開発を行うバイオテクノロジー企業で、独自のナノ粒子技術で製造する「NVX-CoV2373」は、新型コロナウイルス感染症ワクチン候補だ。従前からのCEPI(感染症流行対策イノベーション連合)の支援に加え、今年7月には米国政府がワクチン開発の目的で立ち上げた官民連携プロジェクト「Operation Warp Speed」から16億ドルの助成を受け、ワクチンの臨床開発を進めている。

 「Matrix-M」は「NVX-CoV2373」の免疫応答を増強し、中和抗体産生を刺激する、同社占有のアジュバントだ。AGCバイオロジクスは現在、ノババックス社のワクチン供給量の大幅増強に向けて、「Matrix‐M」製造のプロセス最適化の段階から受託し、現在コペンハーゲン工場で実施中。受託拡大分は米国シアトル工場で製造する。

 AGCグループは日米欧に製造拠点をもち、プロセス開発、スケールアップ、治験段階から商用医薬品原薬の製造まで、様々な高付加価値サービスを提供。引き続き、製薬会社の新型コロナウイルス感染症ワクチンや治療薬の製造を担うことで、新型コロナウイルスの感染拡大抑止や流行の終息に貢献していく考えだ。

東洋紡 新型コロナウイルス検出キットが医療保険適用に

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2020年9月4日

 東洋紡はこのほど、新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit〈Multi〉」について、厚生労働省および国立感染症研究所発行の「臨床検体を用いた評価結果が取得された2019-nCoV遺伝子検査方法について」(2020年8月18日版)で、陽性一致率100%、陰性一致率100%である遺伝子検査方法として結果が公表されたと発表した。

 これにより、同キットは国立感染症研究所作成の「病原体検出マニュアル 2019-nCoV」に準じた方法に該当し、公的医療保険適用の対象となった。

 

デンカ コロナ抗原迅速診断キットの国内製販承認を取得

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2020年8月20日

 デンカはこのほど、新型コロナウイルスの抗原迅速診断キットの国内製造販売承認を取得したと発表した。体外診断用医薬品「クイックナビ‐COVID19 Ag」として、五泉事業所(新潟県五泉市)で最大1日10万検査分の量産体制の下、今月13日から順次医療機関への販売を開始。また、販売提携先の大塚製薬は9月1日から販売する。

コロナウイルス抗原キット「クイックナビ‐COVID19 Ag」
コロナウイルス抗原キット「クイックナビ‐COVID19 Ag」

 診断キットは特別な検査機器を必要とせず、鼻咽頭ぬぐい液中の新型コロナウイルス抗原の有無を約15分で診断。一般の医療機関でも迅速かつ簡便に検査を行うことができる。また、インフルエンザの流行に備え1度の検体採取で新型コロナウイルスとインフルエンザのウイルス抗原を診断できるよう準備を進めている。判定時間のさらなる短縮や検体種の適用拡大などにも積極的に取り組んでいく方針だ。

 デンカはインフルエンザをはじめとする長年の感染症検査試薬の開発・製造で蓄積してきた技術とノウハウを生かし、コロナ対策を社会的責務と捉え今年2月に同診断キットの開発に着手。同感染症が世界的に拡大し国内でも早急な検査体制の強化が求められる中、国立感染症研究所と開発に関する共同研究を進め、AMED(日本医療研究開発機構)の研究班への参画を通じて国立感染症研究所より抗体と抗原の分与を受け、開発を加速させてきた。通常は開発から製造販売承認取得までに最短でも1年半から2年を要するところ、関係官庁や公的機関、国内外の研究機関の協力と支援を仰ぎ約半年で承認を得ることができた。

 デンカは、「同製品が現在求められている新型コロナウイルスの検査体制のさらなる拡充に活用されることで、人々のQOL向上に貢献できるものと確信している」とコメントしている。

東ソー コロナ検査試薬、体外診断用医薬品で販売開始

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2020年8月17日

 東ソーは7日、新型コロナウイルス(SARS‐CoV‐2)検査試薬「TRCReady SARS‐CoV‐2」を体外診断用医薬品として、同日から販売を開始したと発表した。

新型コロナウイルス検査試薬「TRCReady SARS-CoV-2」
新型コロナウイルス検査試薬「TRCReady SARS-CoV-2」

 同製品は、同社の自動遺伝子検査装置「TRCReady‐80」の専用試薬。生体試料を検体として新型コロナウイルスを高感度かつ簡便な操作で、約40分程度での検出が可能なもの。検査作業の効率化、医療・検査従事者の作業負担を大幅に軽減でき、感染拡大防止や検査体制の拡充への貢献が期待されている。

 同検査試薬は、先月末に体外診断用医薬品製造販売承認を取得し、医療機関や検査施設に向むけた販売準備を進めていた。1箱24テスト分で販売する。

 

AGC スイス社から新型コロナ向け治療薬の製造を受託

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2020年7月29日

 AGCはこのほど、CDMO事業子会社であるAGCバイオロジクス(米国)がスイスのモレキュラー・パートナーズの開発する新型コロナウイルス感染症向け治療薬候補「MP0420」の製造を受託したと発表した。同治療薬は、今年後半の臨床試験開始を目指し開発されている。

 モレキュラー・パートナーズの保有する「DARPin」技術を用いた「MP0420」は、新型コロナウイルスの表面に存在するスパイクたんぱく質に特異的に結合することで、感染症を治療する効果だけでなく予防する効果もあり得ると考えられている。臨床試験用に100リットルおよび1000リットルの微生物バイオリアクターを使い製造を開始する。

 AGCバイオロジクスは、日本・米国・欧州に製造拠点をもち、プロセス開発、スケールアップ、治験段階から商用医薬品原薬の製造に至るまで、様々な高付加価値サービスを提供している。今回、数十年にわたるCDMOの実績と、グローバルで統一された高水準の品質・サービス力を評価され、治療薬候補の製造パートナーとして選定された。

 AGCグループは、製薬会社のワクチンや治療薬の製造を担い、新型コロナウイルスの感染拡大の抑止や流行の終息に貢献していく。

デンカ 新型コロナの簡易検査キット、国内薬事承認を申請

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2020年7月28日

 デンカはこのほど、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)簡易検査キットの体外診断薬としての国内薬事承認を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請したと発表した。

 同社はこれまで国立感染症研究所と同キットの開発に関する共同研究を進め、日本医療研究開発機構(AMED)の研究班への参画を通じて国立感染症研究所より抗体と抗原の分与を受けるなど、関係官庁や公的機関、国内外の研究機関の協力と支援を仰ぎながら開発を進めてきた。

 同キットではイムノクロマト法により新型コロナウイルス(SARS‐CoV‐2)抗原を検出し、特別な検査機器を必要とせず、短時間で簡易に陽性/陰性の検出結果を識別する。同社では最大1日10万検査分の量産体制を構築し、国内薬事承認後には速やかに各医療機関へ供給できるよう準備を進めている。

 同社は新型コロナウイルス感染症への対策を社会的責務と捉え、今後も関係各方面と連携しながら、医療現場のニーズに応えるとともに、検査体制の拡充に貢献していく考えだ。

協和キリン富士フイルム バイオシミラーが米国販売承認を取得

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2020年7月17日

 協和キリンと富士フイルムの合弁会社である協和キリン富士フイルムバイオロジクスはこのほど、マイラン社とヒト型抗ヒトTNF‐αモノクローナル抗体製剤「アダリムマブ」のバイオシミラー医薬品「Hulio」に関し、米食品医薬品局(FDA)より販売承認を取得したと発表した。

 「Hulio」は、アッヴィ社が開発し、世界で最も販売されている医薬品「ヒュミラ」(一般名:アダリムマブ)のバイオシミラー医薬品。協和キリン富士フイルムバイオロジクスとマイラン社は、2018年に欧州での「アダリムマブ」のバイオシミラー医薬品の販売で提携した。現在、マイラン社が欧州で「Hulio」として販売している。

 また、2019年には、欧州以外の地域でもグローバルに販売提携を行い、両社のパートナーシップを拡大。マイラン社は、協和キリン富士フイルムバイオロジクスが欧州や米国などで実施した第3相国際共同治験の結果をもとに、米国で販売承認申請を実施し、今回の承認取得に至った。マイラン社は、アッヴィ社とのライセンス契約に基づき、2023年7月に「Hulio」を米国市場に投入できる見込み。なお、日本では協和キリン富士フイルムバイオロジクスが、今年6月に「アダリムマブBS皮下注「FKB」」の製造販売承認を取得している。

 両社は、「アダリムマブ」のバイオシミラー医薬品の提供を通じて、今後も新たな治療の選択肢の普及を図っていく。

 

ロート 気象と購買行動の関係を1kmメッシュで可視化

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2020年7月13日

 ロート製薬はこのほど、ウェザーニューズ(千葉県千葉市)の業界一の高解像度過去気象データおよび独自の体感指数と、ロート製薬のヘルスケアに関するデータを掛け合わせ、消費・購買行動の傾向に一定の方向性を見出したと発表した。気象を軸にきめ細かいヘルスケアを提供する目的で、今年3月から始めた協業の成果だ。

 同社は、気圧の変化による頭痛など、気象に関わる健康の悩みを商品や情報誌などを通じてサポートしてきた。一方、ウェザーニューズは、「船乗りの命を守りたい」という原点の想いから、気象要因の心身の変調に、地球環境視点での対応を考えている。両分野の緊密な連携が健康の悩みを解決すると考え、過去の気象データと消費・購買動向を総合的に分析し、消費者行動予測の実証研究を行った。

 ウェザーニューズの1kmメッシュの気象データ(気温・降水量・天気・湿度・気圧・風速・風向・日射量)、独自の体感指数(「暑い」「寒い」などの10段階指数)と、ロート製薬の3商品(基礎化粧品、皮膚薬、漢方薬)の東京都内の店舗ごとの出荷データを掛け合わせ、相関関係を分析した。

 基礎化粧品は夏季に気温と、皮膚薬と漢方薬は春季に体感指数と相関がみられた。しかしその傾向と度合は1kmメッシュごと、あるいは同じメッシュ内でも店舗ごとに異なるケースも見られ、エリアごと店舗ごとに購買傾向が異なることが明らかとなった。

 今後は、新型コロナウイルスの影響も加味し、他の商品データや対象エリアの拡大、リアルタイムの気象データも取り入れながら、気象要因で発生する心身の変調に関する実証研究を継続していく考えだ。

東洋紡 新型コロナ遺伝子検査試薬を今月下旬から販売へ

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2020年7月10日

 東洋紡はこのほど、新型コロナウイルス遺伝子(SARS‐CoV‐2)検査試薬「ジーンキューブ SARS‐CoV‐2」が、厚生労働省より製造販売承認を取得し、今月下旬から、医療機関と検査施設向けに販売開始すると発表した。同社は先月10日に厚労省への申請を行っていた。

 同製品は、生体試料(唾液を含む)から抽出されたRNAを用い、最短約30分で新型コロナウイルスの検出を行う、同社が販売する全自動遺伝子解析装置「GENECUBE(ジーンキューブ)」専用の検査試薬。同装置は、試料と試薬の混合から増幅・検出までを全自動で処理できることから、検査者の作業負担の軽減や、感染リスクの低減に寄与する。

 東洋紡は今後も、解析装置の増産と体外診断用医薬品の普及・安定供給を通じて、医療現場での遺伝子検査体制の充実を支援し、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と医療従事者の負担軽減に貢献していく。

カネカ 新型コロナ感染症に対する治療薬開発を加速

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2020年6月23日

 カネカは22日、日本医療研究開発機構(AMED)の「新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)に対する治療薬開発」の採択を受けた、と発表した。同社は国立感染症研究所と「COVID‐19の治療用ウイルス中和抗体の開発」を共同で進めてきており、今後、治療薬開発を加速していく方針だ。

 現在、世界中でCOVID‐19に対する医薬品として、治療薬やワクチンの開発が急速に進められている。カネカは、東京理科大学と共同で開発した体外免疫法を用いることによって、新型コロナウイルスとその変異型に対する抗体医薬品を開発する計画。同社は製薬企業と共同で2021年度中に臨床試験の開始を目指していく。

 同社はCOVID‐19に対し「アビガン錠」の原薬生産、またカネカユーロジェンテック社(ベルギー)ではベルギー政府の要請によりPCR検査試薬の製造供給を強化している。さらにワクチンとして早期実用化が期待されているmRNAやプラスミドDNAの製造体制をすでに整えている。カネカはこれからも革新技術を駆使して、感染症に対抗するための多面的なソリューションを提供していく考えだ。