旭化成ファーマ 関節リウマチ治療薬の在宅自己注射が保険適用に

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2018年12月4日

 旭化成ファーマは3日、関節リウマチ治療薬「ケブザラ皮下注150㎎シリンジ、同200㎎シリンジ」(一般名:サリルマブ/遺伝子組み換え)が、1日から在宅自己注射指導管理料対象薬剤となり、在宅自己注射が保険適用になったと発表した。また併せて、同日から投薬期間制限が解除された。

150㎎シリンジ
150㎎シリンジ

 ケブザラはインターロイキン 6(IL‐6)受容体に対するヒト型モノクローナル抗体で、関節滑膜での炎症に重要な役割を果たしていると考えられているIL‐6の作用を抑制する薬剤。同剤はサノフィ社とRegeneron社が共同で開発を行い、米国、カナダ、欧州をはじめ日本を含む世界19カ国で発売されている。

 日本ではサノフィ社が昨年9月に「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」の効能・効果で製造販売承認を取得し、11月に薬価基準に収載、今年2月から旭化成ファーマが発売している。

 関節リウマチの治療は長期に及ぶことがあり、患者の治療と日々の生活との両立を図る点で、通院の負担がより少ない治療が望まれるケースがある。旭化成ファーマは、ケブザラの在宅自己注射が保険適用になったことと、投薬期間制限の解除によって、患者や医療関係者に、より一層貢献できるものと考えている。

 なお、新医薬品は、厚生労働省告示第107号に基づき、薬価収載後1年を経過する月の末日までは、投薬は1回14日分を限度とされている。

住友ベークライト 抗体医薬品向け全自動糖鎖調製装置を発売

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2018年11月21日

 住友ベークライトはこのほど、抗体医薬品の糖鎖分析のためのサンプル調製を行う全自動糖鎖調製装置「GlycoAutoPrep」=写真=の販売を9月から開始したと発表した。

全自動糖鎖調整装置「GlycoAutoPrep」 同社が参画する次世代バイオ医薬品製造技術研究組合(MAB組合)の研究テーマとして、同社製品の抗体糖鎖分析キットを用いた抗体糖鎖サンプル調製の自動化の実現に取り組み、同装置を製品化・上市した。

 抗体精製から蛍光標識糖鎖の調製までを完全自動化するため、製薬企業などで行われている抗体の糖鎖分析の時間短縮や効率化が期待される。

 近年活発に開発が行われている抗体医薬品では、抗体に結合した糖鎖が医薬品としての効果や安定性に関与することが知られており、抗体医薬の糖鎖分析は、研究・開発から製造・品質管理に至るまで様々なステージで幅広く必要とされる。

 また、抗体医薬などの後続品であるバイオシミラーの開発でも、先行品との糖鎖の比較試験が品質管理項目の1つになっている。

 抗体は抗体産生細胞の培養液中に含まれるが、培養液には抗体以外のタンパク質や培地由来の物質などの夾雑(きょうざつ)物が多く含まれている。そのため、糖鎖分析をするまでに、①培養液からの抗体精製②抗体からの糖鎖切り出し③糖鎖精製④糖鎖の蛍光ラベル化といった複数の工程が必要となる。

 従来はこれら①~④の工程を単独で行うことが多く、それぞれ数時間~1日程度の時間がかかり、トータルで1~2日程度を要するため、迅速化・簡便化が求められていた。

 これらの課題を解決するため、同社では2016年に「抗体の糖鎖分析キットEZGlyco mAb‐N kit with 2‐AB」を発売。同キットは上記①~④の工程を約2時間半で完了できるもので、国内外の製薬企業などでの活用が進んでいる。

 一方で、同キットはマニュアル操作で使用するもののため、取り扱う抗体サンプル数が多くなると対応が難しくなるという課題があり、自動化の要望を受けていた。

 同社は今後、国内製薬企業などへの販売を行い、海外への準備も進めていく。また、同装置とキットとを組み合わせたシステムを顧客に提供することで、糖鎖分析のトータルソリューションプロバイダーとして事業を拡大していく考え。

東ソー 世界初の抗体医薬品活性分析用カラムを発売

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2018年11月2日

 東ソーは1日、独自に開発した世界初の抗体医薬品活性分析用アフィニティークロマトグラフィーカラム「TSKgel FcR-ⅢA-NPR」の国内販売を、同日から開始すると発表した。海外向けの販売開始は来年1月を予定している。

 新製品はヒトFcγレセプターⅢaをリガンドとして固定化した、微粒子分離剤を充填したアフィニティーカラム。抗体のN-結合型糖鎖に起因するFc領域の構造変化を識別し、ADCC活性の異なる抗体を分離することができる。ADCC活性が高い抗体は分離剤に強く保持される。

 遺伝子組換え技術を利用した分子改良により、FcγレセプターⅢaの安定性が大幅に向上。精製などの試料前処理が不要で、抗体分子を直接、短時間(約30分)で分析することが可能だ。

 抗体医薬品はがんや自己免疫疾患(リウマチなど)の治療薬として世界中で広く利用されており、高い治療効果と低い副作用が特徴。バイオ医薬品の中で最も高い成長率が予測されている。

 抗体医薬品の糖鎖構造の違いにより、免疫細胞表層に存在するタンパク質であるFcγレセプターⅢaとの親和性(結合の強さ)が異なり、抗体活性(例えばがん細胞などを破壊するADCC活性)が異なることが知られている。

 バイオ医薬品産業は、日米欧に加え、中国・インドなどの新興国で急速に拡大している。同産業の中でも需要が最も旺盛な抗体医薬品の研究開発・製造で、ADCC活性など原薬となる抗体の活性を分析することは、必須で最も重要な項目となっている。

 同社は、抗体医薬品の研究開発・製造で、抗体分析に最適なHPLC/UHPLC用カラムを品揃えしており、今後も新製品の上市などにより、バイオサイエンス事業のさらなる収益力強化を図る。

 なお、同研究の一部は、日本医療研究開発機構(AMED)の「次世代医療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業」の支援によって行われた。

帝人ファーマ 睡眠時無呼吸症候群検査の評価装置を販売

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2018年11月1日

 帝人ファーマは31日、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の最新型ワイヤレス精密検査機器「Nox A1システム」(一般的名称:睡眠評価装置)について、国内での独占提供を本格的に開始すると発表した。

製品本体
製品本体

 同装置はアイスランドの医療機器メーカーのノックス・メディカル社が製造するもの。SASの検査には、簡易検査と精密検査があるが、同装置はSASの疑いがある人の精密検査(確定診断)に用いられる。

 Nox A1システムは本体重量が92gと帝人ファーマの従来製品に比べて小型・軽量で、使いやすさを重視した設計のため、被検者の装着時の負担を軽減する。これにより睡眠を妨げることなく、日常に近い環境で検査を受けることが可能となった。

 また、専用アプリをインストールしたタブレット端末を使用し、ワイヤレスで簡便に睡眠や呼吸状態をモニタリングできるため、医療者の負担軽減にもつながることが期待されている。

 従来、SASの精密検査では、複数の機器がケーブルで接続されることなどにより、被検者にとってストレスになることがあった。また、検査の準備に手間を要したり、周辺機器が大型のため検査できる場所が限られたりするなど、医療機関が睡眠時無呼吸検査を導入する際に障壁となるケースがあった。

 なお、販売価格は、標準仕様が330万円(税別)、オンライン仕様が390万円(税別)。タブレットは別途手配が必要。帝人ファーマは同装置の販売により、SASの検査から治療に至るまでの製品やサービスをさらに拡充していく。今後も新たな製品やサービスの開発を通じ、SASの診療の質の向上、患者のQOL向上に貢献し続けていく考えだ。

旭化成ファーマ 骨粗鬆症治療剤の製造販売を承認申請

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2018年10月31日

 旭化成ファーマは30日、骨粗鬆症治療剤「テリボン皮下注28.2µgオートインジェクター(予定)」一般名:テリパラチド酢酸塩)について、骨折の危険性の高い骨粗鬆症を効能・効果として、日本での製造販売承認申請を行ったと発表した。

 同社が2011年11月から製造販売している現行製剤「テリボン皮下注用56.5µg」と同じテリパラチド酢酸塩を含有する製剤。用法・用量は「通常、成人には、オートインジェクター1本(テリパラチドとして28.2µgを含む)を1日1回、週に2回皮下注射する」として申請を行った。

 同剤は、骨折の危険性の高い骨粗鬆症患者を対象に実施した国内第3相骨量試験(MN-10-T-306試験)で、現行製剤に対する非劣性が検証された。また、1回投与量を現行製剤の半量としたことで、悪心・嘔吐などの副作用の発現が少なくなることも期待される。

 現行製剤の用法・用量は「通常、成人には、テリパラチドとして56.5µgを1週間に1回皮下注射する」。同社は、骨粗鬆症患者に対し新たな治療の選択肢を提供することで、今後も骨粗鬆症の治療に貢献していく考えだ。

デンカ生研 インフルエンザ診断用医療機器を新発売

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2018年10月16日

 デンカの連結子会社であるデンカ生研は15日、体外診断用医薬品「クイックナビ-Flu2」専用の、デンシトメトリー(光学密度測定)分析装置「クイックナビリーダー」を23日に発売すると発表した。

 同製品は光学センサーによりクイックナビ-Flu2のテストラインとコントロールラインを撮像・画像解析し、設定された閾値との比較により陽性・陰性を判定するデンシトメトリー分析装置。同製品を使用することでクイックナビ-Flu2の結果を客観的に個人差なく判定できる。

 また、選択できる2つのモードで、診療現場をサポートする。①「スグヨミトリモード」は、判定時間が経過した後のテストデバイスを挿入して結果を表示するモード。目視による判定の個人差をなくし、約五秒で判定する。

 ②「ジドウヨミトリモード」は、試料滴加後ただちにテストデバイスを挿入。1分ごとに読み取りを行い、陽性の閾値以上になった時点で結果を表示するモード。目視による判定の個人差をなくすことに加えて、デバイスを装置に入れると結果判定まで全自動で行える。最短1分で判定する。

 クイックナビ-Flu2は、検体中に存在するインフルエンザウイルスを迅速かつ高感度に検出できる国内トップシェアの迅速検査キット。検査キットに出現するラインの有無により5分で判定でき、クイックナビリーダーと組み合わせることで、インフルエンザ診療のさらなる効率化が図れる。

 現在、インフルエンザ検査は医療従事者が検査キットに出現するラインの有無を目視で判定している。しかし目視による判定は、判定できるラインの強度に個人差が生じる場合がある。新規開発品クイックナビリーダーを活用することで個人差なく客観的に同じ結果が得られ、より正確な判定が行えるようになる。

 なお、同製品は販売提携先の大塚製薬とデンカ生研の2社が販売。デンカ生研は、今後も感染症検査のためのラインアップを拡充し、医療の現場に貢献していく考えだ。

帝人ファーマ 高尿酸血症・痛風治療剤が中国で承認

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2018年10月15日

 帝人ファーマはこのほど、自社創製した高尿酸血症・痛風治療剤「フェブキソスタット」(一般名・中国販売名「非布司他片」、登録商標「FEBURIC(菲布力)」)について、中国の国家薬品監督管理局(NMPA)から輸入薬品承認を取得したと発表した。

 同剤の20mgと40mgの規格に「痛風患者における高尿酸血症治療」の適応が認められた。現地で販売委託契約を締結しているアステラス製薬(中国)と連携し、来年初頭の販売開始に向けて準備を進めていく。

 フェブキソスタットは、世界的に治療薬の種類が少なかった高尿酸血症・痛風治療の領域で、約40年ぶりに同社が開発に成功した医薬品。1日1回の服用で、腎機能が軽度から中等度低下した患者も、用量調節をせずに服用することが可能であることから、中国でも新たな選択肢として、患者の治療に貢献することが期待される。

 中国で実施された疫学調査の結果によると、中国国内の痛風の患者数は全人口の1.1%(約1500万人)。その主因となる高尿酸血症の患者数は、全人口の13.3%(約1億8000万人)に上ると推定されており、治療選択肢の多様化のニーズが高まっている。

 こうした中で、同社はフェブキソスタットをグローバル戦略品と位置づけ、世界第2位の医薬品市場である中国での上市に向けて、2010年からアステラス製薬(中国)と取り組んできた結果、承認を取得するに至った。

 現在、同社は米国や欧州、中国、東南アジア、中東など100以上の国や地域で、フェブキソスタットの独占販売契約を締結し、9月現在、すでに77カ国で販売している。今後もこうしたグローバル展開に注力するとともに、フェブキソスタットの価値向上に向けて臨床研究の支援や疾患啓発などの活動を行い、世界中の患者のQOL向上に貢献していく考えだ。

東洋紡 遺伝子解析装置用試薬を極東製薬と提携し拡販へ

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2018年10月15日

 東洋紡はこのほど、極東製薬工業(東京都中央区)と全自動遺伝子解析装置「GENECUBE(ジーンキューブ)」専用試薬の販売について、業務提携することで合意したと発表した。極東製薬がもつ販売網を新たに活用し、来年1月から専用試薬の拡販を進めていく。

 ジーンキューブは、遺伝子の抽出から増幅、検出までの操作を全自動で行える遺伝子解析装置。検査対象となる血液・組織などの生体試料と、専用試薬などを装置の指示に従ってセットするだけで、自動的に遺伝子検査を行い、最短30分で感染症などの病原因子を特定できる。

 東洋紡は現在、結核・マイコプラズマ肺炎・性感染症などが検査可能な15種類の専用試薬を提供している。一方、極東製薬には、感染症診断向けに微生物検査を行う全国の医療機関に対して広範なネットワークがある。

 今回の業務提携により、東洋紡は迅速な感染症診断に貢献するジーンキューブ専用試薬を幅広く供給することが可能になる。今後は、医療現場のニーズに応じて、感染症診断向けに新たな試薬もラインアップしながら、2022年度中に売上高8億円を目指す考えだ。

三井化学 敗血症の原因菌を同定する新検査法事業化へ

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2018年9月26日

 三井化学はこのほど、富山大学と共同で行う敗血症に対する新検査法(Tm mapping法)が、日本医療研究開発機構(AMED)の「産学連携医療イノベーション創出プログラム・基本スキーム」(ACT‐M)の今年度の課題に採択されたと発表した。

 同プログラムは、アカデミア発の技術シーズを実用化プロセスに乗せるため、AMEDが産学連携による研究開発を支援する制度。三井化学などは、敗血症の原因菌を迅速に同定する新規な遺伝子検査法の製品化に向け、共同研究を行っている。

 今回採択されたのは「感染菌迅速同定・定量検査創出を目指す研究」。同テーマは代表機関を富山大学大学院医学薬学研究部、課題リーダーを同大学院の仁井見英樹准教授、共同提案機関をニプロ、北里大学、埼玉県立小児医療センターとし、三井化学は共同研究開発企業として開発に携わる。実施予定期間は、18日~2021年3月31日。

 敗血症とは、血液中に細菌が感染する全身感染症のこと。近年、がん治療や臓器移植などの医療の高度化に伴い、重篤な感染症のリスクが増えている。実際、入院患者の主な死因は敗血症などの重篤な全身感染症であり、敗血症による死亡率は非常に高い。重篤な感染症患者を救命するためには、患者体内の感染症の起炎菌を迅速に検出・同定することが臨床上重要となっている。

 現在行われている血液培養検査は必ずしも完全ではなく、また、培養後に行う一般的な生化学的性状検査法では、検体提出から起炎菌の同定まで通常2~3日を要する。結果が判明するまでの間は、同定結果の無いままに抗菌薬の選択を余儀なくされており、その結果、多剤耐性菌の出現や、抗菌薬の選択ミスにより重篤患者が致死的となる危険性など、感染症早期の治療では未だ重大なリスクを抱えている。

 こうした問題解決のため、三井化学は富山大学が開発したTm mapping法の実用化に向けた共同研究に取り組んでいる。同検査法は、血液培養を行わず、採血から5時間程度で未知の起炎菌を同定する新たな遺伝子検査法であり、感染症早期に同定結果に基づいた適切な抗菌薬選択が可能になる。

 同社は同定のための検査キットを研究用試薬として提供開始しており、最終的な体外診断用医薬品としての上市を目指し、医薬品医療機器総合機構(PMDA)との事前相談を含めて開発を進めている。

宇部興産 緑内障・高眼圧症治療剤で製造販売承認を取得

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2018年9月26日

 宇部興産はこのほど、参天製薬と共同開発した緑内障・高眼圧症治療剤「エイベリス点眼液 0.002%」について、9月21日付で日本での製造販売承認を取得したと発表した。

 同剤の有効成分である「オミデネパグ イソプロピル」は、選択的にEP2受容体に作用して眼圧下降作用を示す、新規作用機序の化合物。

 緑内障は視神経の障害により視野の欠損が起こる疾患で、日本では眼疾患における視覚障害(視力低下、失明)の主な原因となっている。

 緑内障の視神経障害と視野障害は基本的に進行性で非可逆的であるため、早期発見・早期治療による障害の進行抑制が、治療上の重要な課題。眼圧を下降させることは、現在、緑内障の障害に対する最も確実な治療法であり、同剤はこの治療法に貢献する薬剤であると考えている。

 今後、新たな治療選択肢として同剤を医療現場に提供するとともに、同剤の適正使用のために、安全性に関する情報を医療関係者と患者に理解してもらえるよう努めていく。これにより、患者のQOLの向上に寄与できることを期待している。

 なお、同剤はグローバル開発品であり、日本以外での承認取得も目指し、現在アジアにおいてフェーズ3試験を実施中。今年度下期に、米国でのフェーズ3試験を開始する予定だ。