プラ循環協 ハムの機能性包装に関するLCA調査を報告

, ,

2020年6月11日

 プラスチック循環利用協会はこのほど、プラスチック製食品容器包装に関するLCA(ライフサイクルアセスメント)調査研究を報告した。同協会では、プラ製食品容器包装について、使用段階を含めた製品トータル(容器包装とその中身食品)のライフサイクル全体での環境影響評価を実施している。

 今回は、機能性包装が適用されたハムの消費スタイルに基づいて、環境負荷削減効果に係る定量的解析を行った。研究調査内容として、消費者アンケートを実施し、世帯類型別にハムの購入から消費の頻度や量、時期などの定量情報分析を行い、ハムの消費シナリオを、機能性包装(小分けスキンパック)、トレイ包装、経木包装に適用し、現在のライフスタイル維持を前提としたLCAを実施した。

 調査結果として、環境負荷(温室効果ガス=GHG排出量、エネルギー消費量、水消費量)は、機能性包装品の負荷を1とした場合、トレイ包装品は1.5倍、経木包装品は3.3倍であり、機能性包装品の環境負荷削減効果が高いことが明らかとなった。

 一方、日本全体のハム生産量を考慮して、全ての包装を機能性包装に置き換えた場合のGHG削減貢献の可能性量は、2020年に最大258万t、2030年にはハム生産量の増加を見込み272万tと推算された。また、世帯類型別の2030年のGHG削減貢献の可能性量は、一般世帯が98万tと対1970年比で約6倍であるのに対し、単独世帯は46万tと約26倍も大きく伸長する推算結果を得た。

 これらのことから、ハムに適用されたプラスチック製機能性包装は、①消費期限を長くし、小分け包装の効果と合わせ、家庭での食品ロス発生を抑制することや、②加工食品では、機能性容器包装自体はわずかに環境負荷を増大させるが、環境負荷が高い中身食品に対し、保護効果や品質保持効果が高く、廃棄ロスを削減し、環境負荷削減貢献に高く寄与していることが判明した。

 さらに、消費スタイルの変化については、1人暮らし世帯では、1人当たりの環境負荷削減貢献の可能性量が大きく、現代の食に係るライフスタイルを容器包装が下支えしていることが示された。

 今後、日本の単独世帯比率の増加が予測される中、機能性包装は環境負荷削減にますます貢献していくことが期待される。

 

ヘンケル マスク寄付で大阪府知事から感謝状を授与

, ,

2020年6月11日

 ドイツの化学・消費財メーカーヘンケルの日本法人、ヘンケルジャパンはこのほど、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)対策への支援として、大阪府にN95規格の医療用マスクを寄付し、府知事から感謝状を授与されたと発表した。

 今回のN95マスクの寄付は、ヘンケルグループが顧客や社員、地域社会への支援を目的に、包括的な世界連携プログラムの一環として実施したもの。ヘンケルジャパンは、4月7日に最初の緊急事態宣言が発令された7都府県のうち、同社が事業所を置く地域に対して、事業所に備蓄していたN95マスクの寄付申し出を行った。その結果、大阪府からの要請を受け、N95マスク1520枚を寄付した。

 同社は、「一刻も早いCOVID‐19の終息を心より祈念いたします」とコメント。引き続き、コロナ禍の影響を最小限に留められるよう、ステークホルダーへの協力やサポートを検討していく。

JXTGエネルギー EV・HV向け専用フルードの新シリーズを開発

,

2020年6月11日

 JXTGエネルギーはこのほど、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の各駆動システムの特性に合わせた専用フルード「ENEOS EV FLUID」を開発したと発表した。EVやHVは今後さらに普及が見込まれている。それらのシステムには高い絶縁性能や冷却性能、ギヤ保護性能などを兼ね備えた専用フルードが求められる。

 同社は、自動車潤滑油をはじめとした幅広い種類のオイル開発に長年にわたり携わっている。これらの開発を通じて蓄積された知見を活用することで、オイルに対する新たな必要性能を高いレベルで満足させる独自の潤滑油技術を確立した。様々な使用環境下でベストなパフォーマンスを発揮することができるよう、それぞれ特長を持った同シリーズを全6種類のラインアップで提供する。

 まず、日本国内と中国を中心に、EVメーカーやHVメーカー、その関連部品メーカー向けに商品提案することを予定。その後、各国・地域の需要やニーズに応じて対象を全世界へ拡げることを目指す。また、将来的には一般消費者向け商品としての展開も検討していく。

 同社グループは長期ビジョンの中で、「グローバルトレンドに適応する商品開発の推進」を潤滑油事業の将来像として掲げている。日々進歩を続けるEVやHVの駆動システムに対応する独自の潤滑油技術を通じて、今後も同社は、革新的な技術と有用な商品・サービスを開発・提供し続けることで、顧客の満足と信頼獲得に努めていく。

三菱ケミカル 食品向け抗菌・鮮度保持シートを無償で提供

, , ,

2020年6月11日

 三菱ケミカルは10日、グループ会社である三菱ケミカルフーズが、新型コロナウイルス感染症対策の支援として、食品向け抗菌・鮮度保持シート「ワサオーロ」の無償提供を開始すると発表した。無償提供の対象は、感染者受け入れ先へ弁当などを提供する事業者、および営業自粛により弁当販売を開始した飲食店。

ワサオーロ使用イメージ
ワサオーロ使用イメージ

 「ワサオーロ」は、ワサビやカラシの辛味主成分であるアリルカラシ油(AIT:アリルイソチオシアネート)を主剤とした抗菌・鮮度保持シートで、消費期限の短い弁当や持ち帰り食品の品質保持に適している。菌やカビ・酵母の増殖を抑える特性があり、食品にシートをかぶせて蓋をすることで、速やかに抗菌効果を発揮する。また、電子レンジでの加熱に対応したタイプもある。

 「ワサオーロ」の無償提供の申し込みや詳細については、三菱ケミカルフーズのウェブサイト(https://www.mfc.co.jp/)に掲載している。

 同社グループは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI」実現に向け、総合化学メーカーとして、世の中に貢献する製品を提供していく考えだ。

 

東ソー 韓国に合弁会社を設立 低燃費タイヤ用シリカの生産拠点を建設

, , , ,

2020年6月11日

 東ソーは10日、同社100%子会社の東ソー・シリカが韓国の南海化学と合弁会社を設立し、低燃費タイヤ用シリカの生産拠点の建設を決定したと発表した。韓国に設立した合弁会社の名称は、東ソー南海シリカ(全羅南道麗水市)。出資比率は、東ソー・シリカが67%、南海化学が33%。来年10月の商業運転開始を予定する。

 低燃費タイヤ用シリカは、転がり抵抗を減少させることで、自動車の燃費改善などのタイヤ性能向上に優れた効果を発揮する材料。自動車の低燃費化や電動化にともない、今後も需要の拡大が見込まれている。東ソー・シリカは現在、山口県周南市にある南陽工場で各種シリカの製造を行う。

 今回、これまで培ってきた高い技術力を背景に、旺盛な需要に対応するために、生産能力を増強し製品の安定供給を目的として、海外に第2の生産拠点を確保した。事業基盤のさらなる強化を図っていく考えだ。

 

AGC 低環境負荷型HFO、GSC賞環境大臣賞を受賞

, ,

2020年6月10日

 AGCはこのほど、低環境負荷型HFO(ハイドロフルオロオレフィン)「AMOLEA」が、その優れた環境技術を認められ、新化学技術推進協会の第19回「Green & Sustainable Chemistry(GSC)賞環境大臣賞」を受賞したと発表した。

AMOLEA溶剤外観
AMOLEA溶剤外観

 GSC賞とは、GSC(人と環境にやさしく、持続可能な社会の発展)を支える化学の推進に貢献する優れた業績が表彰されるもの。中でも環境大臣賞は、総合的な環境負荷低減に著しく貢献したものが選定される。

 オゾン層破壊問題を背景に、フロンガスに代わり使用が拡大しているHFC(ハイドロフルオロカーボン)による地球温暖化が新たな問題となっており、従来の性能を維持しながら環境負荷の小さい代替品の開発が求められている。

 同社の「AMOLEA」は、冷媒や溶剤としての性能はそのままに、地球温暖化係数を大幅に低減することをコンセプトに開発された次世代冷媒・溶剤ブランド。現在は用途ごとに3つの製品を展開しており、今後さらに拡張していく予定だ。

 いずれも大気中で容易に分解するHFOを選定しているため、従来の安全性などの優れた性能を維持しながら、地球温暖化係数を大幅に低減することができる。例えば冷媒、発泡剤用途では、従来製品から「AMOLEA」製品への代替でLCAが10分の1程度に低減可能となり、温室効果ガス排出量削減効果は、CO2換算で年間1000万t規模に相当する。同製品への転換により、大きな環境負荷低減が期待できることから、今回の受賞に至った。

 同社グループは今後も、長年培ったフッ素化学の技術力を生かし、環境負荷低減に貢献する製品を開発・提供し続けていく方針だ。

ダイセル 硬化性樹脂のウェハーレンズ開発で化学技術賞を受賞

, , , ,

2020年6月10日

 ダイセルはこのほど、「硬化性樹脂によるウェハーレンズの開発と製品化」が、近畿化学協会の2019年度「第72回化学技術賞」を受賞したと発表した。

本技術で製造されたウェハーレンズ(中央の丸状のもの一つひとつがレンズ)
本技術で製造されたウェハーレンズ(中央の丸状のもの一つひとつがレンズ)

 化学技術賞は、化学に関する研究・技術で、工業化・製品化に対して顕著な業績があると認められた45歳未満の研究者・技術者に贈られる。

 今回、「硬化性樹脂によるウェハーレンズの開発と製品化」の功績が認められ、同社の研究開発チーム(竹中啓起氏、藤川武氏、福井貞之氏、本間大海氏)の受賞に至った。

 小型レンズが広く使用されるモバイル機器や車載、医療、ヘルスケアなどの領域では、さらなる高機能化が求められている。こうした中、研究開発チームは、耐熱性、小型・薄型化、形状の複雑さを達成するために、材料と成型技術の開発を同時に取り組み、硬化性樹脂を用いたウェハー状のレンズ成型により、世界で初めて商業レベルでの実用・製品化に成功した。

 同社のウェハーレンズは、スマートフォンなど3Dセンシング機能のある製品への搭載をはじめ、先進の医療機器やAR/VR、虹彩/表情認証システムなど、今後の5G社会を支えるデバイスへの採用が計画されている。今後は品揃えの充実や製造プロセスの精度向上に取り組み、市場が求める製品開発を進めていく考えだ。

 

出光など3社 EVを活用した充放電遠隔制御実証を開始

, , ,

2020年6月10日

 出光興産、関西電力、住友電気工業はこのほど、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)を活用した卸電力市場価格に連動する電気料金に基づく充放電遠隔制御実証を開始したと発表した。なお同実証は、令和2年度需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業費補助金の交付決定を受けたことによるもので、今年5月29日~来年2月17日までを予定している。

 VPP構築実証事業である「関西VPPプロジェクト」では、2016年度からEV/PHEVをエネルギーリソースとして活用する取り組みを推進。今年度は、日本卸電力取引所(JEPX)の卸電力市場価格と連動した時間帯別のダイナミックプライシング(DP)料金メニューに基づき、一般家庭に設置する充電器などを、効果的なエネルギーマネジメントサービスを提供するアグリゲーターが遠隔制御することで、市場価格の安い時間帯にEV/PHEVの充電時間をシフトする実証に取り組む。

 具体的には、充放電を制御するサーバにより、小売電気事業者が提供するDP料金メニューの情報と、制御機器の情報から把握した充電可能量を組み合わせることで、ユーザーが必要とする充電量を、価格の安い時間帯に充電するようアグリゲーターが最適な制御を行う。また、EV/PHEVユーザーにサーバと連携するスマートフォンアプリを提供し、運行計画を入力することで、より実運用を想定した実証を行う。

 今回の実証を通じて、VPPに関するEV/PHEVの新たな活用に向けた技術的知見を蓄積するとともに、今後のEV/PHEV普及による運輸部門の低炭素化や電力の安定供給、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大を目指すことで、エネルギーを効率的に活用する社会の実現に貢献していく考えだ。

三菱ケミカル 生分解性樹脂と紙製バリア素材の包装材を開発

, , , ,

2020年6月10日

 三菱ケミカルと日本製紙は9日、生分解性樹脂「BioPBS」と紙製バリア素材「シールドプラス」という、共に再生可能な原料から製造される生分解素材を用いた循環型包装材を共同開発したと発表した。

フラットボトム袋、角底袋 (製造協力)共同紙工
フラットボトム袋、角底袋 (製造協力)共同紙工

 「BioPBS」は、三菱ケミカルが開発し基本特許を持つ植物由来の生分解性樹脂で、タイのPTT MCC Biochem(PTT GC社と折半出資)で製造されている。自然界の微生物によって水とCO2に分解されるため、自然環境への負荷が少なく、他の生分解性樹脂に比べ、低温ヒートシール性・耐熱性・柔軟性などで優れた性能を発揮する。

 一方、「シールドプラス」は、日本製紙が長年培ってきた紙の製造技術と塗工技術を応用した再生可能な循環型素材。生分解性を持つ「紙」に酸素・香りのバリア性を付与しており環境に優しい。バリア機能により、主に食品など内容物の品質を維持し、外からのにおい移りを抑えることができる。また、「紙製」なので、フィルムとは異なる紙独特の風合いがあるのも特徴だ。

 近年、プラスチックごみ問題への対策が求められていることを背景に、菓子のパッケージやストローなどで従来のプラスチック製から生分解性のある樹脂や紙製への代替需要が高まっている。

 今回開発した包装材は、再生可能な原料を用いた生分解性のある循環型の製品でありながら、「BioPBS」のヒートシール性と「シールドプラス」のバリア性により内容物の品質劣化を防止する高い機能性を付与。今後は菓子やコーヒー豆などの食品をはじめとしたパッケージ用途に展開していく。

 三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI」の実現に向け、今後も「BioPBS」をはじめとする生分解性樹脂や植物由来樹脂の研究開発・用途展開を加速させ、サーキュラーエコノミー(循環型社会)の構築やSDGsの達成に貢献していく考えだ。

NEDO CO2回収・貯留大規模実証試験の総括を報告

, ,

2020年6月9日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、北海道苫小牧市でのCO2回収・貯留(CCS)大規模実証試験で、昨年11月にCO2の累計圧入量が目標値である30万tを達成したと発表した。

 今回、そこで得られた成果と課題を、機械工学、化学工学、地質学、地球物理学など幅広い分野の専門家による議論を踏まえて「苫小牧におけるCCS大規模実証試験30万t圧入時点報告書(総括報告書)」を取りまとめた。

 CCS(CO2 Capture and Storage)は、工場や発電所などから排出されるCO2を大気放散する前に回収し、地下へ貯留する技術のこと。昨年6月に閣議決定した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」の中で、「とりわけ石炭火力発電については、商用化を前提に、2030年までにCCSを導入することを検討する」と位置づけられている。

 経済産業省は、12年度から「CO2削減技術実証試験事業」を日本CCS調査に委託し苫小牧市での実証試験を開始。18年度からはNEDOに移管され「CCS研究開発・実証関連事業/苫小牧におけるCCS大規模実証試験」として推進してきた。12年度からの4年間は必要な設備の設計・建設や調査を実施。16年度からは、年間10万t規模で海底下約1000mと約2400mの各地層へのCO2圧入を始め、昨年11月に累計圧入量が目標の30万tに達した。

 今回の「総括報告書」は、同実証試験の目的と結果概要、分離・回収・圧入設備、圧入井と圧入・貯留およびモニタリングと海洋環境調査の結果、平成30年北海道胆振東部地震の影響、コスト試算、社会的受容性の醸成と法規制対応から成り、得られた知見と残された課題をまとめている。

 今後、NEDOは、貯留地点周辺地域での微小振動観測や海洋環境調査、圧入したCO2の移動や広がりのモニタリングなどを継続する。また、同設備を有効活用し、メタノール合成などのカーボンリサイクル実証を行い、苫小牧でのCCS/カーボンリサイクル実証拠点化を進める考えだ。