デンカ 5G通信向け機能性セラミックスを本格投入

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2021年10月12日

 デンカはこのほど、5G通信向けに伝送損失を低減し、高速・大容量通信の実現に欠かせない最先端機能性セラミックス「デンカ溶融シリカ(DF)低誘電正接タイプ」を本格的に市場投入したと発表した。

「デンカ溶融シリカ(DF)低誘電正接タイプ」

 同製品は東京ビッグサイトで開催される「電子機器トータルソリューション展2021(JPCA Show)」(10月27~29日)に展示する。

 5G移動通信ならびにミリ波帯電磁波の利用は、スマホのみならず、高速・大容量である特色を生かした遠隔医療や防災、農業・製造現場の効率化など幅広い分野に導入が進み、持続可能な社会の実現に重要な役割を担っている。

 これに伴い、飛躍的に増加する通信の量・質の低下を最小限に留め伝送するための低伝送損失・低誘電正接の配線材料の開発が強く求められてきた。

 こうした中、同社は、樹脂や銅箔・ガラスクロスのみならず、フィラーにおいて低伝送損失を達成するために同製品を開発。半導体封止材向け絶縁フィラーとして国内外のユーザーから高い評価を得ている「デンカ球状溶融シリカ(FB・SFPグレード)」をベースに、均一な球状と粒度分布はそのままに独自の表面処理改質を施したことで、同社比で約40~50%の誘電正接低減を実現した。5G通信実現に寄与する材料として、主に通信用樹脂材料(樹脂基板・封止材など)向けに展開し、SDGsに掲げる産業と技術革新の基盤をつくることに貢献していく。

 同社は創業以来培ってきた無機材料の高温焼成・窒化反応・粒径制御等の基盤技術を元に、球状溶融シリカをはじめ、窒化ケイ素、窒化ホウ素(BN)、球状アルミナ、蛍光体などの様々な機能性セラミックスを製造し、これらの製品は半導体・電子機器、風力発電、通信基地局、自動車等に幅広く使用されている。

 昨年には高熱伝導材料「デンカ球状マグネシア」を投入。さらに今後は球状チタン酸バリウムなどの新規機能性セラミックスや低誘電有機絶縁材料(LDM)、LCPフィルムなどの開発も進めていく。

三井化学 自己密着性をもつ新規コート剤、市場開発着手

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2021年10月12日

 

新開発の「特殊ポリオレフィンコート剤」
新開発の「特殊ポリオレフィンコート剤」

 三井化学は11日、自己密着性とガス透過性を発現できる新素材「溶剤系特殊ポリオレフィンコート剤」(開発品)の市場開発を開始したと発表した。

新開発のコート剤を塗布したPMPフィルム
新開発のコート剤を塗布したPMPフィルム

 同コート剤の特長の1つは「自己密着性」。基材に塗布して乾燥成膜後、コート面同士を重ねて人の力で数秒押すだけでコート剤同士がくっつく。また温度をかけるほど、より密着する特性がある。この特性を生かし、衣料への用途展開の可能性を検討しており、従来の面ファスナーでは困難であった歪曲面への適用や、縫製の手間・脱着時の異音の解消に加えて、素材の質感を発揮できるデザイン設計に貢献していく考えだ。

引張せん断強度(試験方法:JIS L 3416)
引張せん断強度(試験方法:JIS L 3416)

 一方、もう1つの特長の「ガス透過性」では、ポリメチルペンテン(PMP)のガス透過性を維持しつつ、ヒートシール性を付加する。PMPフィルムと同コート剤の組み合せは、一般フィルムと同様に液体や菌などは通さず気体のみを透過する。その上で特定のガスを選択的に高く透過するため、ヒートシールパッケージにも適した素材となる。細胞培養キットの保護用途、医療用器具のパッケージ、特定ガスの分離膜といった産業分野などの用途を想定している。

PMPフィルム(50㎛)のガス透過性(コート剤膜厚:3㎛)
PMPフィルム(50㎛)のガス透過性(コート剤膜厚:3㎛)

 三井化学は同コート剤の訴求と用途開拓を図るため、「ものづくりパートナーフォーラム大阪2021」(梅田ハービスホール:10月28日)をはじめ、「高機能プラスチック展」(幕張メッセ:12月8~10日)、「コンバーティングテクノロジー総合展2022」(東京ビッグサイト:2022年1月26~28日)などへの出展を予定する。

NEDOなど 冷却過程のナノ構造形成メカニズムを解明

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2021年10月11日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、産業技術総合研究所(産総研)、九州大学と共同で人工知能(AI)と分子シミュレーションを組み合わせた世界初の解析技術を開発し、液晶がナノ構造化する際の新たな現象を発見した。

 プラスチックや合金、加工食品などの固形物の多くは、液状物から固形物へ冷却して加工。液晶や溶液、ポリマー、生体材料などは冷却プロセスで多彩な構造を形成し、機能や性能を左右する。冷却プロセスの理解は重要だが、ナノ構造や生成速度などの定量的説明はできていない。

 今回、「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」での計算・プロセス・計測の三位一体による有機・ポリマー系機能性材料開発の高速化への取り組みの一環で、新たな解析技術を開発。冷却前の分子構造の中から、冷却後の構造に似たナノ構造だけを精密に抜き出すことで、ナノ構造のサイズや生成のしやすさが解析できる。

 構造生成のきっかけとなるナノ構造、臨界核(CN)、より生成しやすくサイズの小さな2種類のナノ構造を発見。CNは3段階のプロセスを経て生成することが示唆された。ナノ構造サイズがCNを超えると構造生成が始まり超臨界核になるとされるため、超臨界核の数の時間的変化を観察。その生成は3段階に分かれ、段階を踏むごとに生成速度が上がることが分った。

 超臨界核に成長できずに分裂したCN(残留クラスター)数の変化を見ると、超臨界核の生成タイミングと一致する3つのピークがあったことから、超臨界核の生成は、CNではなく残留クラスターが中心となって起こることが分った。この解析技術は物質によらず、またナノ構造の生成プロセスだけでなく成長や構造パターンの形成を経た固形化まで適用できる。

 液晶のほか溶液やポリマー、生体材料などの精製プロセス、結晶化プロセスなどが高精度で観察でき、製品性能を左右する結晶の大きさや純度など材料の構造パターンを最適化する「コツ」をつかむことが可能になる。高機能材料創製のための材料性能向上や開発期間短縮につながることが期待される。

産総研 熱や光の刺激で自在に剥がせるプライマーを開発

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2021年10月8日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、接着力が強く、光や熱の刺激で容易に剥離できる解体性プライマーを開発した。化学結合の開裂を利用するため、刺激を加える前は基材・接着剤間の化学結合で接着力は強く、光や熱などの刺激で化学結合が切断し簡単にきれいに剥がれる。

 従来の光液化-固化型接着剤は、接着成分の形状や硬さの変化を利用するため、加熱や光照射に多くのエネルギーが必要な上、高い接着力と剥離性能の両立が困難であった。新しいプライマーは接着力が強く、わずかなエネルギーで剥離できる。

 アントラセンは特定波長の光を吸収して二量体となり、高温もしくは紫外光(波長300㎚以下)で開裂して元のアントラセンに戻る。今回、ガラス基板に化学的に吸着するアルコキシシリル基を導入したアントラセンに波長405㎚の光を照射し、光二量化させた。

 その溶液をガラス基板に塗布・乾燥して解体性プライマー層を形成。その表面に湿気硬化型接着剤で柔軟な樹脂フィルムを貼り合わせて剥離試験を行った。90度剥離強度はプライマー不塗布時の約2倍に増加し、ガラス基板表面には接着剤が残った。180℃で1分間加熱すると剥離強度は60%低下し、接着剤はガラス基板表面には残らずきれいに剥離した。

 また波長254㎚の光を1分間照射した場合、剥離強度は33%低下し、使った光照射エネルギーは30mJ/㎠で、光液化-固化型接着剤の場合の5%未満だ。剥離後のガラス基板表面にアントラセン単量体が確認されたことから、プライマーの分解により剥離が進行したことがわかった。

 この解体性プライマーにより異種素材の接着・解体ができるため、リサイクルやリユースの促進に有効だ。接着以外にも、インクの除去や、刺激に応じて摩擦力が変化する表面処理剤などへの応用が期待される。

 今後、プライマーの構成分子を検討し接着強度の向上を目指すとともに、刺激の種類と条件や適用可能な基板の種類を拡大させ、省エネルギーで汎用性の高い剥離技術として展開できるよう、研究開発を進めていく予定だ。

BASF プラのメカニカルリサイクル向け添加剤を上市

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2021年10月8日

 BASFはこのほど、プラスチックリサイクルにおける喫緊の課題やニーズに対応する新しい添加剤「イルガサイクル」を上市した。

 メカニカルリサイクルによるプラスチックの生産量は2030年までにほぼ3倍になるとの予想で、年率約10%の成長に相当する。プラスチック業界はリサイクルポリマーの含有量を上げる検討を行う中、リサイクルプロセスにおける熱・機械的ストレスの品質への影響が課題だ。

 再生プラスチックに含まれる不純物や汚れに起因する樹脂の劣化促進や物性変化は、添加剤の配合で解決できる。「イルガサイクル」シリーズは包装材、自動車やモビリティ、建築や建設などの最終用途でのリサイクル含有率向上に向け、限られた加工性、不十分な長期熱安定性や屋外耐候性不足など、再生樹脂関連の品質問題に対処する。

 再生高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリオレフィン、混合ポリマーの硬質用途での長期的な耐熱安定性を高める「PS030G」、フィルムや軟包装用の再生低密度ポリエチレン(LDPE)と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の加工性と長期熱安定性を上げる「PS031G」、不純物を含む再生ポリプロピレン(PP)とポリオレフィンブレンドの加工安定性と長期的熱保護を提供する「PS032G」、屋外用の再生HDPEとPPブレンドの耐候性、熱・加工安定性を強化する「UV033DD」、ポリオレフィンリサイクル材料の加工安定性と長期的な熱安定性を付与し、残留不純物を中和し物性を向上させる「XT034DD」などのラインアップがある。これらは顆粒状・非発塵性で、リサイクルの各段階で安全かつ容易に使用できる。

 プラスチック業界での豊富な経験、酸化防止剤や光安定剤の高品質なシステムとアプリケーションに関する専門知識を組み合わせたソリューション「バレラス」のポートフォリオの一部として「イルガサイクル」は、プラスチックの循環、耐久性の向上、廃棄物の削減、省エネルギー、排出量の削減および生物多様性を促進し、プラスチック用途に持続可能性の価値をもたらすとしている。

出光興産 保育・介護施設に再エネ100%電気の供給を開始

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2021年10月8日

 出光興産はこのほど、100%子会社の出光グリーンパワーを通じ、ライクグループの運営施設へ、再生可能エネルギー100%の電力を今月9日から随時供給すると発表した。供給先はライクグループが東京都・神奈川県を中心に運営する保育・介護施設など82カ所で、年間約6300tのCO2排出量削減に貢献する。

 「プレミアムゼロプラン」は、再エネ(FIT電気含む)100%の電源構成に、トラッキング付非化石証書を組み合わせることで、供給する電力のCO2排出量をゼロとするプラン。今回の導入により、ライクグループで使用する年間約1335万kWhの電気が再エネ由来となり、約6300tのCO2削減に貢献する。なお、同プランは、再エネ100%の電力使用を目標とするRE100加盟企業も利用できる。

 ライクグループは保育・人材・介護事業を展開。待機児童の解消・女性活躍の推進・労働力人口の増加・介護離職の解消・介護需要への対応といった社会課題の解決に事業を通じて取り組むため、持続的な未来を創造することが前提であるとし、2050年までに事業活動で消費する電力を100%再エネに転換することを目標に掲げている。

 ライクグループが運営する施設のうち、82カ所の電力を同プランへ切り替えることで、ライクグループが掲げる「事業活動で消費する電力の40%を再エネに転換する」という2030年までの中間目標を、大幅に前倒して達成する見込み。

 出光興産は、引き続きライクグループの再エネ電力への転換をサポートするとともに、低炭素社会の実現に向けた経営をより一層支援するため、グループのソーラーフロンティアを通じた自家消費型太陽光発電システムの提供も今後進めていく予定。

100%再エネ由来の電気をライクグループに供給
100%再エネ由来の電気をライクグループに供給

産総研とJARI モビリティ研究の連携・協力協定締結

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2021年10月7日

 産業技術総合研究所(産総研)と日本自動車研究所(JARI)はこのほど、モビリティ・サービス分野における連携・協力の推進に関する協定を締結したと発表した。

 若年者や高齢者など年齢に関わらず安心・安全で誰でも自由に移動でき、都市部や過疎地域といった地域性に依存することなく持続的に運用可能なモビリティ・サービスの創出と社会実装の促進を図る。これにより、過疎化に伴う地方公共交通機関の衰退、加齢に伴う移動の制限や不自由などの社会課題を解決し、誰でも楽しく移動できる社会の実現を目指す。

 歩行支援、パーソナルモビリティから公共交通機関まで幅広く多様なモビリティに必要な生体計測、安全評価、データ解析、データ連携などの要素技術の研究が対象となる。また、MaaSや3Dマップなどの基盤を構築し、交通量の多い都市部や交通インフラが不十分な過疎地域など、どのような地域でも対応可能なモビリティ・サービスに関する研究協力を行う。

 両者の産業界とのネットワークを相互活用し、技術やサービスの社会実装を促進していく考えだ。

 

積水化学工業 ウイルス除去スプレー発売、ライトで噴霧を確認

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2021年10月7日

 

ブラックライトを照射して噴霧状況が分かる
ブラックライトを照射して噴霧状況が分かる

 積水化学工業はこのほど、100%子会社である積水マテリアルソリューションズが、ウイルス除去・除菌スプレー「ナウケアプラス」(内容量420㎖、20ℓ)を11月1日から発売すると発表した。

 2017年に「ナウケア」シリーズの第1弾として「ナウケア ウイルス除去(エンベロープ有)エアゾールスプレー」(同100㎖)を発売し、2018年には第2弾として、ウイルス除去機能を最大1カ月効果持続にパワーアップし、除菌機能も付与した「ナウケア業務用大容量AS」を発売した。

 医療、介護施設、ショールーム、受験会場など様々な現場で好評を得ていたが、噴霧された場所がわからないため、「きちんと噴霧されているか確認できない」「次の噴霧時期がわからない」といった声も寄せられた。こうした中、今回、第3弾として「ナウケアプラス」を新発売する。

 特長として、①独自の抗ウイルス加工剤「ウィルテイカー」を含有し、99.9%ウイルスを除去、②ウイルス除去機能に除菌機能をプラス、③スプレー対象物のウイルス除去効果が最大1カ月持続、などが挙げられ、さらに、④市販のブラックライトで照らすと噴霧場所が見える機能を追加。着実に効率よくウイルス除去機能を利用できるようになり、新しい生活様式に貢献する。

 積水マテリアルソリューションズは、〝セルフケア〟をコンセプトとした製品の開発を進め、「ナウケア」シリーズとして事業展開している。2023年度には同シリーズの売上高5億円を目指す。

 

日本製紙 CNF強化樹脂の実証生産を本格化

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2021年10月6日

 

CNF強化樹脂混練設備

 日本製紙はこのほど、富士工場(静岡県富士市)内のセルロースナノファイバー(CNF)強化樹脂の実証生産設備を拡張したと発表した。

 混練を中心とする実証設備の拡張で、CNF強化樹脂マスターバッチ(CNF含有率30~50%)の製造能力は年間50t以上になった。また新たにCNF強化樹脂の設計・開発、製造についてISO9001の認証を取得したことで、マスターバッチの品質マネジメントを徹底させる。

 CNF強化樹脂「セレンピア プラス」は、ポリプロピレン(PP)やナイロン6(PA6)などの樹脂へCNFを混練・分散した高強度の新素材で、自動車、建材、家電などでの利用が期待されている。部材の軽量化に加え、マテリアルリサイクル性に優れるため、プラスチック使用量の削減とCO2などの温暖化ガス排出削減にもつながる。

 同社は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業プロジェクト「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発/革新的CNF製造プロセス技術開発/CNF強化樹脂の低コスト製造プロセス技術の開発」に宇部興産と共に参画しており、今回はその助成金を活用した。

 今後は安定して大量生産する製造技術の確立を目指すとともに、CNF強化PA6については10月、CNF強化PPは来年4月よりサンプル提供を拡大し、自動車用部品を始めとする幅広い産業への用途開発を加速させていく。

 なお同社は、すでにTEMPO酸化CNF(宮城県・石巻工場)を産業用途全般向けに、カルボキシメチル化CNF(島根県・江津工場)を食品、化粧品用途向けに営業生産・販売しており、CNF強化樹脂の大量製造技術と本格的供給体制を早期に確立することで、「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」として、CNFの市場創出の強化と、減プラスチック社会の構築や地球温暖化対策(温暖化ガス排出削減)に貢献していく考えだ。

エレファンテック 電子部品に向けNiナノインク開発へ

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2021年10月6日

 プリンテッド・エレクトロニクス製造技術の開発やサービス提供を行うエレファンテックは5日、SSテクノ(福岡県小郡市)、大阪産業技術研究所(大阪技術研)と共同で、インクジェット(IJ)用ニッケル(Ni)ナノインク開発とNi電極・配線形成IJプロセス開発に向けた評価を開始したと発表した。エレファンテックはこのプロジェクトにより、電子部品製造プロセスに貢献する金属ナノインクの開発を目指す考えだ。

ニッケル(Ni)インクをバーコート塗布し、無電解銅(Cu)めっきで積層したサンプルの断面
ニッケル(Ni)インクをバーコート塗布し、無電解銅(Cu)めっきで積層したサンプルの断面

 IJ印刷の対象となる基材は、焼成温度が比較的高温になるセラミクスやガラス、シリコンウエハなどを想定する。 

 Niナノインクを利用した電極の形成は、薄膜化のメリットがある。例えば、積層セラミックコンデンサにNi電極を展開した場合、内部電極の薄膜化により、コンデンサのさらなる小型化や大容量化が期待される。

 また、銀(Ag)ナノインクと比べてコスト削減になるほか、セラミクス層内への拡散が抑えられることから、絶縁不良の原因となる金属成分の移動現象(マイグレーション)の防止効果も期待される。共同開発では、IJヘッドと相性のよいNiナノインクの組成検討や、印刷後の導電性確保に向けた焼成条件を検討していく。

 具体的には、大阪技術研が開発に成功した直径50㎚以下のNiナノ粒子を使って、SSテクノがインク調合開発を行い、エレファンテックがIJプロセスの開発を推進することで、電極層のさらなる薄膜化を目指していく。

 エレファンテックによれば「IJ印刷可能なインクがなかなか見つからないため、今回の開発に踏み切った」とのこと。同社は金属インク種のバリエーション拡充を図り、電子部品製造プロセスをはじめとする新しい分野でのIJ活用事業をより一層推進していく考えだ。