帝人 抗菌・抗ウイルス性の人工皮革、ランドセルに展開

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2021年10月18日

 

帝人コードレの人工皮革「Virugurad」

 帝人フロンティアはこのほど、グループ会社の帝人コードレが、小林製薬の持続性抗菌剤「KOBA-GUARD(コバガード)」を活用し、抗菌・抗ウイルス人工皮革「Viruguard(ウイルガード)」を開発したと発表した。

 今年10月から、帝人コードレがランドセル向けに展開を開始。昨今のコロナ影響により、家庭や学校などの日常生活の様々なシーンで感染対策への関心が高まり、抗菌・抗ウイルス加工のニーズが拡大している。また、スポーツの大会などを通じて、衛生対策の重要性が議論されるようになっている。

「Viruguard」を使用した製品

 一方、一般の繊維製品に対する抗菌・抗ウイルス加工は実用化されているものの、人工皮革への加工は性能の維持が難しく、抗菌・抗ウイルス性能を発揮する製品は限られていた。

 こうした中、帝人コードレ独自の人工皮革の生産・加工技術と、抗菌・抗ウイルス性能をもつ小林製薬の「コバガード」とを融合することで、抗菌・抗ウイルス人工皮革「ウイルガード」の開発を実現。

 「ウイルガード」の表面に「コバガード」を使用し、「SIAA抗菌加工」「SIAA抗ウイルス加工」の認証を取得。独自の表面処理技術により、天然皮革調やエナメル、ヌバック調など一般的な人工皮革と同様の加工が可能で、幅広い用途に展開できる。また、リサイクルポリエステル原料を用いることで環境配慮型製品にも対応が可能だ。

 帝人コードレは、ランドセル向けに展開を開始した後もシューズやボールなどのスポーツ用品に幅広く展開し拡販を図っていく。そして2021年度には3万m、2024年度には58万mの販売を目指していく。

産総研 接着接合部の接着強度分布の推定手法を開発

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2021年10月15日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、水や熱で強度低下した接着接合部の破断時における接着強度の分布を評価する手法を開発した。

 自動車や航空機などの輸送機器の軽量化には、異種材料を適材適所で組み合わせたマルチマテリアル構造が注目される。異種材料間の接合には工程温度が低く変形が少なく、剛性を確保できる構造用接着剤が有望だが、経時的な接合強度の低下が予測できず、適用は進んでいない。

 構造用接着剤は、主に化学反応で三次元高分子構造を形成・硬化し、材料同士を強固に接着する。しかし、長期的には水や熱などの影響で劣化し、接着強度が低下する。劣化の進行は一様ではなく、強度の低い部位が接着破断の起点になるため、最も弱くなった部位の特定が重要となる。今回、分子構造と接着強度に注目し、劣化した接着剤の赤外線吸収スペクトル(IRスペクトル)と引張試験による接着強度との相関性に基づく接着強度の推定手法を開発した。

 IRスペクトルは分子構造固有のパターンを示すため、経時劣化に伴う接着剤の分子構造の変化を明らかにできる。温水浸漬で劣化させた接着試験片を用いた試験で、IR測定による推定値と実測値とはよく一致したことから、この評価法の信頼性が確認できた。接着破断面の局所的IRスペクトル測定により、強度低下部位が特定できる。エポキシ接着剤破断面の接着強度の分布を推定したところ周囲の強度が低く、周辺部から水が侵入して強度低下が早く進行したことを示唆した。

 このように、強度低下部位の特定や破断原因を究明し、接着剤と接着接合部の改良につなげ、耐久性向上に関わる技術開発を加速することが期待される。

 今後は、別途開発した接着接合部の加速劣化試験と組み合わせて、接着接合部の耐久性の評価手法を確立する予定。接着接合の長期的な信頼性を向上させ、自動車などの輸送機器における構造部材の接合法としての実用化を図っていく。

積水化学工業 セキスイハイム50周年記念モデル第5弾を発売

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2021年10月15日

 

「新スマートパワーステーションFRグリーンモデル」の外観

 積水化学工業は14日、住宅カンパニーが、セキスイハイム誕生50周年記念商品として、「新スマートパワーステーションFR GREENMODEL」(新グリーンモデル)を今月23日から発売すると発表した。販売エリアは全国(北海道、沖縄、多雪地域および一部離島地域を除く)で、販売目標は年間1600棟を掲げている。

 現在、2050年までに脱炭素社会(カーボンニュートラル)の実現、2030年にGHG削減の新目標(2013年度比46%削減)が国により示され、環境意識の高まりに応えることがこれまで以上に求められている。

 同社は、今年4月からスタートした「スマートハウスナンバーワンプロジェクト」において、スマート、レジリエンスに特化した商品開発を推進しており、今回、50周年モデルの集大成として「新グリーンモデル」の発売に至った。

 同商品は、「できるだけ電気を買わない、先進の暮らし」を実現するエネルギー自給自足型住宅の最新モデル。新開発の大容量電池「e‐PocketGREEN」と大容量太陽光発電システム(PV)により、「環境貢献」「経済性」「レジリエンス」の三つのスマート性能が大幅に進化。昼も夜もPVで発電した電気を十分に使え、できるだけ電気を買わないエネルギー自給自足型の暮らしを実現する。

 特長として、①環境貢献:年間約260日分相当の電力をPVのクリーンな電気で賄うことができ、エネルギー自給自足率は昨年モデルの約66%から約73%に向上(PVの売電をCO2排出の削減とみなすと、CO2排出量は年間マイナス約1060kg)、

 ②経済性:太陽光発電の余剰電力を優先的に売る暮らしで経済性が全国で年間約1~3万円優位。寒冷地や電気料金単価の高いエリアなどでも、家計にやさしい暮らしが可能、

 ③レジリエンス:停電時でも「e-PocketGREEN」に貯めた電力では、すべての電源コンセントで最大3500W(PV発電時は最大5500W)まで同時に使用が可能、などが挙げられる。

 同社は今後、「新グリーンモデル」を中心に新しい暮らしのスタイルをユーザーに提案し、脱炭素社会に貢献していく。

日本触媒など 耐水性の抗菌・抗ウイルスGO複合膜を開発

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2021年10月15日

 日本触媒と北海道大学病院歯周・歯内療法科の宮治裕史講師のグループは14日、新規ナノカーボン材料である酸化グラフェン(GO)と抗菌・抗ウイルス剤を組み合わせることで、水に濡れる環境などでも種々の菌や新型コロナウイルスの不活化効果を発揮するGO複合膜を開発したと発表した。

酸化グラフェンの原子間力顕微鏡像

 抗菌・抗ウイルス分野では、耐水性が高く、長期に安定な抗菌・抗ウイルス効果を簡便な手法で発揮する技術が求められてきた。しかし、一般的な除菌法や抗菌・抗ウイルス法では抗菌・抗ウイルス効果が持続しない、耐水性が低く水周りや結露しやすい環境に弱い、といった課題がある。

 ナノカーボン材料の一種であるGOは、その形状と多くの酸素官能基をもつことから各種基材へ高い付着性をもち、様々な分子、ポリマーなどと強く相互作用することが可能。この特性から、単独では付着性の低い物質をGOと複合化させることで基材密着性(耐水性や長期安定性)を向上させることができる。

 今回両者が開発した、GOと抗菌・抗ウイルス剤(例えば塩化ベンザルコニウム)を複合化した複合膜は、①耐水性と抗菌・抗ウイルス性の両立が求められる環境で役立つ、②種々の抗菌・抗ウイルス剤と組み合わせることが可能、③無色透明で基材の色味を損なわない、といった特徴がある。

酸化グラフェンの基材と物質(各種有効成分)との相互作用

 実験では、抗菌・抗ウイルス剤を基材上に定着させ、水に濡れる環境などでも効果を発揮することを確認した。この無色透明なGO複合膜を利用することで、シンクや風呂場といった水周り環境、結露しやすい窓ガラス、サッシなど、耐水性と抗菌・抗ウイルス性の両立が求められる環境・材料においても、色味を損なうことなく、長期に抗菌・抗ウイルス効果を維持させることが期待できる。

ダイセルと京都大学 包括連携協定を締結、低炭素社会を実現

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2021年10月14日

 

循環型・低炭素社会実現に向け包括連携協定を締結

 ダイセルと京都大学はこのほど、自然と共生する低炭素社会の実現、新産業創出に役立つことを目的に包括連携協定を締結した。この協定の下、包括的研究連携協定を締結するとともに、「バイオマスプロダクトツリー産学共同研究部門」を京大宇治キャンパス内に設置する。

 包括的研究では、ダイセルのリサーチセンターと京大の5部局(大学院農学研究科、大学院人間・環境学研究科、化学研究所、エネルギー理工学研究所、生存圏研究所)とが連携し、バイオマスの新しい変換プロセス「新バイオマスプロダクトツリー」実現に向けた研究開発と、持続的循環利用を共通テーマとした基礎的研究と研究成果の社会への還元を目指す。 

 一方、「バイオマスプロダクトツリー産学共同研究部門」は、京都大学生存圏研究所、化学研究所、エネルギー理工学研究所とダイセルの共同ラボとして、国内外の多様な分野から優秀な人材が集い、学術分野、産業界、地域を繋ぐハブとして機能する研究拠点とする計画。

 ダイセルの主力製品である酢酸セルロースは、木材由来のパルプを原料とするバイオマス製品だが、木材などの天然高分子は元来溶けにくく、その製造プロセスには多くのエネルギーを消費する。同社ではこの課題に対し、京大との共同研究によって、常温常圧で木材を溶かす技術の確立を目指している。

 この技術により、セルロースに加え、木材に含まれるヘミセルロース、リグニンなども活用した「新バイオマスプロダクトツリー」が実現し、高機能製品の開発につながることが期待される。

 さらにその先に目指すのが、「バイオマスバリューチェーン構想」だ。共同研究中の新技術では、木材に限らず、農林水産業の廃棄物からも有益な成分の抽出が可能。有価で処分される素材を二次産業の原料として活用することで、一次産業の経済性を向上させ、一次産業と二次産業に循環を生む新しい「産業生態系」が構築できる。

 この経済循環によって、林業を復活させ森を再生するとともに、山・川・海を含む自然の生態系の回復にも寄与する。両者は、産学官の垣根を越えて、この構想の実現に向けて取り組んでいく。

東レ 軟包装印刷用水なし平版開発、環境に貢献

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2021年10月14日

独自技術で高精細と低コスト実現、採用拡大図る

「IMPRIMA FR」を使用した軟包装材

 東レは12日、新たに軟包装EB(電子線)オフセット印刷用に特化した水なし平版「IMPRIMA FR」を開発し、10月に上市すると発表した。同社は、コンバーター、インキメーカー、印刷機械メーカーとの連携を強化し、軟包装水なしEBオフセット印刷のトータルソリューションを提案することで、今年度中の実用化を目指していく考えだ。

 食品包装に使用されるフィルムの印刷には、グラビアやフレキソが採用されるケースが多い。しかし、

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産総研と日亜化学 全方向型標準LED光源の試作に成功

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2021年10月13日

 産業技術総合研究所(産総研)と日亜化学工業は、LEDを使用した全方向に可視波長全域の光を放射する標準光源の試作品を共同開発した。照明産業の持続的な発展への貢献と、照明光源の評価の高精度化が期待される。

 照明光源の明るさの指標である全光束は、標準光源との比較測定で決定される。標準光源には、主に白熱電球形の標準電球が使われるが、全方向光放射に適した形状のフィラメントやガラスバルブなどは熟練職人の手作りである上、LED照明の普及による白熱電球生産の縮小・停止の影響もあり、代替の標準光源が必要とされている。

 標準光源には光強度の安定性や再現性、可視波長全域をカバーするスペクトル、光を全方向に放射する配光性が求められるが、これら全てを高い次元で満足する代替光源はまだない。

 両者は産総研の「スペクトルの定量的精密測定・解析技術」と日亜化学工業の「高度なLED製造技術」を組み合わせ、可視波長全域の光を前面に放射する標準LEDを2016年に開発。そこで培われた光強度安定化技術とスペクトル最適設計技術に特殊な光学系を組み込むことで、可視波長全域の光を全方向に均等に放射する全方向形標準LEDの試作品の開発に成功した。

 複数のLED素子と蛍光体の組み合わせを最適化し、広い可視波長範囲と安定した光強度、十分な光量を得た。温度制御機構で発光部の温度を一定に保つことで、連続点灯、複数回繰り返し点滅、周囲の温度変化に対する光強度の変動は、既存の標準電球と同程度だ。また、光を後方に導くキャップ型の光学系を組み込み、標準電球のフィラメント形状に起因する細かな凸凹のない、滑らかで均等に全空間に広がる配光を得た。

 こうして全光束測定用の標準光源として理想的な配光特性を実現できた。市販の電球形LEDランプの全光束測定を想定し、それと同程度の大きさだ。今後は、全光束値と光源の大きさのバランスを見極めつつ、必要な全光束値を得るための点灯電流レベルに応じた放熱機構を最適化し、実用化を目指す。また全方向形標準LEDでの測定精度を上げるため、全光束や分光測定方法の高度化を進める考えだ。

SABIC 難燃性PCがスマホの超薄肉部品に採用

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2021年10月13日

 SABICはこのほど、難燃性PC樹脂が中国Realme社のスマートフォンのバッテリー用エンクロージャーの成型素材に採用されたと発表した。

 新たに施行された消費者用電気機器向け安全規格「ICE62368-1」では、リチウムイオン電池などの危険を伴うエネルギー源は安全装置に封入し、使用者にエネルギーが伝わらない必要があり、より高性能な難燃材料が求められる。

 ポリカーボネート(PC)シロキサン共重合樹脂をベースにした「LNP ELCRES(エルクレス)EXL7414」は、0.6㎜厚でUL-94規格V-0の難燃性に準拠。Realme社のスマートフォン「C25」に搭載された、急速充電可能な高出力6000mAHリチウムイオン電池のカバーに採用された。

 同スマホの薄型(約9.6mm)軽量(約209g)設計に対応した薄肉射出成形部品で、「EXL7414」の薄肉難燃性、薄肉成形を可能にする優れた流動性とリリース性、落下損傷に耐える高い低温延性(マイナス40℃)、紫外線硬化塗装にも対応する高耐薬品性が貢献している。標準的PCに比べてサイクルタイムは短かく、安全重視の一環として、非塩素・非臭素系難燃剤を使用している。

 SABICは、世界的に厳しさを増す規制に迅速に対応しコンプライアンスに準拠できるよう、特殊材料の開発を続けていく。画期的な素材ポートフォリオの拡大にとどまらず、動きのはやい業界のアプリケーション開発を後押しするために、豊富な技術サービスと専門知識を提供していく考えだ。

三井化学東セロ 抗菌フィルムの抗ウイルス効果確認

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2021年10月13日

 三井化学東セロはこのほど、衛生・抗菌フィルム「パルフレッシュ」の抗ウイルス効果を確認したと発表した。日本繊維製品品質技術センターの検査により、人の体温に相当する35℃の環境下で、同フィルム表面のウイルスを99.98%以上減少させることが確認された(測定方法:ISO21702を準用)。

使い切り手袋や粘着加工フィルムへの用途を想定
使い切り手袋や粘着加工フィルムへの用途を想定

 今回の検査結果を受け、「抗菌、抗ウイルス」の付加価値を付与できることから、今後は使い切り手袋や、粘着加工フィルムによるドアノブ、エレベーターボタンのカバーなど、生活商材への用途展開を訴求していく考えだ。

 「パルフレッシュ」は、抗菌・抗ウイルス性を発現させる特殊成分を含んだポリオレフィンベースのフィルム。抗菌・抗ウイルス性発現の仕組みは、表面の成分がウイルスのタンパク質膜を破壊すると考えられている。また、包装袋の内面、外面でもヒートシール性能をもち、かつ柔軟性が高く加工しやすいといった特長もある。

 これまでは、主に鮮度保持包材として食品包装に使用され、フードロス削減に貢献。食品衛生法(日本)、FDA(米国)、GB(中国)に適合し、抗菌フィルムとしてもSIAA(抗菌製品技術協議会)に登録されるなど、高い安全性を備えることから、リンゴ輸出用袋や真空加熱野菜、宅配野菜などへの採用実績も多い。

「パルフレッシュ」の抗菌・抗ウイルスメカニズムの概念
「パルフレッシュ」の抗菌・抗ウイルスメカニズムの概念

帝人フロンティア 寝装寝具向けポリエステル原綿を展開

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2021年10月13日

 帝人フロンティアはこのほど、抗ウイルス性能と抗菌・防臭性能を併せもつ寝装寝具向けのポリエステル原綿を開発し、「ウイルサラバ」ブランドとして展開していくと発表した。

「ウイルサラバ」原綿を使用した掛け布団

 同社は昨年7月より、抗ウイルス性能をもつカーテン向けのテキスタイルとして「ウイルサラバ」を販売していたが、コロナ禍において抗ウイルス性能に対するニーズが拡大。ただ、ポリエステル原綿に抗ウイルス剤を均一に付与することは難しく、これまで抗ウイルス性能をもつ寝装寝具向けのポリエステル原綿が上市されたことはなかった。

 こうした中、同社は、抗ウイルス剤を原綿に均一に付与できる生産と加工の技術を開発。原綿に適した抗ウイルス剤を用いることで、安定的に抗ウイルス効果を発揮する寝装寝具向け原綿の量産化を世界で初めて実現した。来年春夏向けに布団や枕、クッション用中綿として販売を開始する。

 特長として、①高い抗ウイルス性能を発揮、②中空でランダムなスパイラル構造で嵩高・軽量性を実現、③リサイクルポリエステル繊維「エコペット」を使用しており環境にやさしい、などがあげられる。

 同社は今後、この素材を使用した布団や枕、クッション、カーテンおよびラグなどの製品も開発し、抗ウイルス性能をもつインテリア・寝装寝具向けの素材から製品に至るまでの総合ブランドとして「ウイルサラバ」を展開していく。「ウイルサラバ」原綿として、2021年度に売上高3700万円、2025年度に売上高1億5000万円を目指す。