デンカ バイオスティミュラント販売開始、作物を活性化

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2021年10月22日

 デンカはこのほど、バイオスティミュラント「レコルト」を、JA全農グループを通じて全国へ展開すると発表した。腐植酸液状複合肥料として、独自製法の活性フルボ酸により作物の活性化効果を付与し、収量増に貢献する。

バイオスティミュラント「レコルト」

 バイオスティミュラントとは「植物やその周辺環境が本来もつ自然な力を活用することにより、植物の健全さ、ストレスへの耐性、収量と品質などに良好な影響を与える様々な物質や微生物」と定義されている。

 同社は50年以上にわたりバイオスティミュラントの1つである腐植酸を使用した肥料「アヅミン」を販売。2019年にバイオスティミュラント市場への本格参入を決定以降、「アヅミン」で蓄積した技術的知見を基盤に新製品開発を推進してきた。

 今回上市する「レコルト」は、独自の製造プロセスを駆使することで開発が可能となったユニークな製品。社内外の様々な条件下での実証実験を通じて良好な効果が得られたことから、全国への展開を決定した。

 「レコルト」とはフランス語で収穫を意味する言葉であり、農家の実り多き収穫に役立ってほしいという思いを込めている。世界におけるバイオスティミュラントの市場規模は、来年には約33億ドルへと拡大し、その成長率は年率10.4%になると予測されている。

「レコルト」 活性フルボ酸により作物の活性化効果を付与

 人口増による農産物需給のひっ迫、地球温暖化と気候変動の影響による農産物被害の深刻化に対する解決手段の1つとして大きな期待が寄せられており、欧州では普及に向けた標準化、規格化などの法整備が進められている。

 同社が海外で展開するバイオスティミュラント「PRULA」も、南米・中国・北米・欧州で行っている栽培試験において良好な結果が得られてきたことから、順次各地域への本格的な販売展開を開始する予定だ。

旭化成ファーマ 骨粗鬆症の疾患啓発活動「骨検週間」を実施

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2021年10月22日

 旭化成ファーマはこのほど、昨年12月より始動した骨粗鬆症の疾患啓発活動「骨検(ほねけん)―骨にも検診プロジェクト―」の取り組みの一環として、骨粗鬆症の疾患啓発活動「骨検週間」(10月20~26日)を実施する。

「骨検週間」記者発表会 青木喜和社長

 日本では、骨粗鬆症の患者がおよそ1280万人存在するといわれている。しかし、骨粗鬆症は痛みなどの自覚症状がないことも多く、骨折するまで気づかないというケースが少なくない。

 そこで、「骨検」では、多くの人々に、骨粗鬆症が自身や家族に及ぼす影響を正しく理解してもらい、少しでも症状が疑われる場合には、検査が受診できる医療機関に足を運ぶきっかけになることを目的に、骨粗鬆症の疾患啓発に特化した活動を推進。

 その一環として、世界中で骨粗鬆症に注目が集まる10月20日の世界骨粗鬆症デーに合わせて、骨粗鬆症の疾患啓発活動を行う週間「骨検週間」を開始した。

 同日開催された記者発表会において、青木喜和社長は

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産総研ほか 酵素機能の改良作業が計算科学で数百倍向上

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2021年10月21日

 産業技術総合研究所(産総研)と神戸天然物化学はこのほど、酵素反応を制御するアミノ酸部位を予測する計算手法(MSPER)を世界に先駆けて開発した。

 これにより、改変すべきアミノ酸部位の機能検証実験数は大幅に減り、目的化合物の生成率も大幅に向上した。医薬品、食品、繊維、プラスチックなどの化成品製造分野で、「酵素を利用したものづくり」は常温・常圧・水系溶媒など低環境負荷技術として注目される。

 酵素反応は、酵素と基質(原材料)が特定の複合体を形成することで化合物を生成する。しかし酵素や基質によっては他の複合体を作り副産物を生成するため、目的物の生成率は低下する。その解決には、酵素を構成する数百~数千個のアミノ酸の中から酵素機能に関与するアミノ酸部位を見つけて改変する必要があり、膨大な検証実験を要する。

 今回開発したMSPER法は、酵素・基質複合体をシミュレーション解析で再現し、それらの構造情報から副産物生成に関与するアミノ酸部位を予測する計算手法だ。産総研の分子動力学シミュレーションによる分子構造学的な酵素の機能向上・改変に関する研究を、神戸天然物化学の酵素シトクロムP450を中心とした物質生産技術に適用した。

 多数の複合体のデータから酵素を構成する各アミノ酸と基質の接触率を計算・比較し、副産物を生成する複合体で基質と接触するアミノ酸を特定。これを別のアミノ酸に変えて基質との結合を阻害し、副産物の生成を抑制する。MSPERにより、目的化合物の生成に影響が少なく副産物生成時に基質が触れるアミノ酸の接触率の順位付けをし、高い順に改変酵素を作製・評価すれば、効率的に改変酵素が得られる。

 今回、計算時間に数日~1週間程度要したが、最も時間とコストのかかる検証実験数は170分の1~1000分の1へ大幅に削減できた。また酵素P450と基質Sリモネンから2種類の香料原料を作る検証実験では、提案された6カ所のアミノ酸部位すべて目的化合物の生成率を向上させ、最大6.4倍に向上した。今後、他の酵素での有効性の検証、酵素反応の生産性向上などの高機能化に関する解析法を開発し、企業との共同研究により酵素を利用したものづくりに貢献していく考えだ。

ダイセル 新規改質セルロース開発、産学共同研究に採択

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2021年10月21日

 ダイセルと金沢大学はこのほど、科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)産学共同(本格型)の新規採択課題として、「バイオマスプロダクトツリーを実現する新規改質セルロースの開発」が採択されたと発表した。研究期間は今年10月~2023年3月を予定している。

 両者は長年、セルロースを中心に共同研究や人材交流を続けており、2018年には包括連携協定を締結、2019年には「先導科学技術共同研究講座」を設置し、セルロース系の脱ヒ素浄化材の開発研究や、バイオマス由来の脱石油系合成プラスチックの製造を目指した基礎研究に取り組んできた。

 そして、昨年12月には「金沢大学新産学協働研究拠点(仮称)」を設置することで合意。利用の進んでいない森林資源や、農業・水産業の副産物、廃棄物など、一次産業から生じる天然資源を、環境にやさしい次世代化学変換プロセスによって、様々なバイオマス新素材に変換する技術を共同研究し、「バイオマスプロダクトツリー」の実現に向けた取り組みを進めている。

 今回採択された課題は、人類がこれ以上地球に負荷をかけることのない未来社会を目指すバイオマスプロダクトツリー構想を実現するために、木材や綿花などのバイオマス資源から効率的に製造される、成形加工性と海洋分解性に優れた新規改質セルロースを開発すること。

 具体的には、新規改質セルロースの連続製造プロセスのセンシング技術、低コスト・省エネルギー化、ワンウェイ用途のプラスチック製品に対応した成形加工性を実現する物性制御技術などについて研究開発を進めていく。

東レ 感光性導電材、低抵抗化・低反射化技術開発

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2021年10月21日

シート抵抗が8分の1、次世代デバイスへも展開

 東レは20日、感光性導電材料「RAYBRID(レイブリッド)」について、シート抵抗を従来比8分の1に低減する低抵抗技術、および配線黒化プロセス構築による低反射化技術を開発したと発表した。同技術を用いた開発品は、

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NEDO 小規模地熱発電事業者向け、支援ツールを開発

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2021年10月20日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、電力中央研究所(電中研)とエンジニアリング協会(ENAA)が、小規模地熱発電事業の設備の最適な運転管理を支援するツール「GeoShink(ジオシンク)」と、収益向上を後押しする「事業性評価支援ツール」を開発したと発表した。

 今後、これらをさらに使いやすいツールへ改良し、事業者の収益向上を支援するとともに、地熱発電事業への普及拡大と地熱資源の有効利用に取り組んでいく。

 再生可能エネルギー導入拡大が望まれる中、地熱は安定したエネルギー出力が得られるため、ベースロード電源としても注目を集めている。特に日本は世界第3位の地熱資源ポテンシャルをもち、地熱発電技術の開発に大きな期待が寄せられている。

 こうした中、NEDOは2013年度に「地熱発電技術研究開発」事業を立ち上げ、地熱資源の利用拡大につながる技術開発を実施してきた。今回、そのテーマの1つである「IoT-AI適用による小規模地熱スマート発電&熱供給の研究開発」(2018~2021年度)において、電中研とENAAが小規模地熱発電事業の最適な運転管理を支援するツールを開発した。

 「ジオシンク」はIoT技術を活用しバイナリー発電設備を一元的に状態監視する。電中研が開発した発電プラント向け熱効率解析ソフトと連携することにより、機器などの異常予兆を検知するとともに、最適な運転管理を支援する。

 一方、「事業性評価支援ツール」は、事業収支の観点から設備の点検・修理時期を最適化するとともに、点検情報やトラブル事例をデータベース化することにより、関係者間での部品調達などの最適化、トラブルの再発防止などに寄与する。これらのツールによって事業性や運転効率を〝見える化〟することで、従来コスト面の課題から大規模事業者と同等レベルの運転管理が困難であった小規模事業者でも事業収益を向上させる効果が期待できる。

日亜化学工業 小型・高電力変換効率の深紫外LEDを上市

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2021年10月20日

 日亜化学工業はこのほど、深紫外LED(ピーク波長280㎚)の新製品「NCSU434B」の量産を開始した。製品サイズは3.5mm角と小型で、同サイズの深紫外LEDとしては業界最高クラスの電力変換効率と放射束をもち、高密度実装での単位面積当たりの放射束は従来品の約3倍だ。

 日立造船と長崎大学感染症共同研究拠点安田二朗教授によるマイクロ飛沫状の新型コロナウイルス(アルファ株、英国型変異株)の不活化実験で、1回通過させるワンパス試験で、約1mJ/㎠の積算光量で感染価が10分の1以下(ウイルス生存率4.5%)になることが確認された。

 深紫外線の不活化メカニズムはウイルスRNAの直接変性によるため、デルタ株をはじめ英国株以外の新型コロナウイルスの変異株にも同等の効果が期待できる。マイクロ飛沫状の各種ウイルスの不活化や細菌の除菌にも有効であり、今後、空間除菌に加えて水除菌、近接表面除菌など広く用途展開し、安心して生活できる社会の構築に貢献する。

 同社は今後も引き続き、より性能を向上した深紫外LED製品の開発に注力していく考えだ。

積水化成品工業 非フッ素系分散剤、サンプル提供を開始

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2021年10月19日

非フッ素系分散剤の特長

 積水化成品工業はこのほど、東北大学が開発に成功した、フッ素系樹脂粒子を水に分散できる「非フッ素系分散剤」のサンプル提供を開始したと発表した。

 フッ素系界面活性剤は生態蓄積性や環境残留性が指摘され、欧州などで規制が強化されつつある。そのため、フッ素系界面活性剤を代替する非フッ素系分散剤が工業的に求められていた。

 こうした中、東北大学材料科学高等研究所の藪浩准教授(ジュニアPI)は、ムール貝の接着現象に着想を受け、フッ素元素を含有しない代替分散剤の開発に成功。同研究の分散剤を用いることで、疎水性粒子を水に分散させる際に廃液へのフッ素元素の溶出がなく、生態や環境への負荷を低減した工業プロセスが実現できる。

 同社は「テクポリマー」「テクノゲル」を中心とした高機能性ポリマー製品において環境貢献開発に注力しており、その一環として、今回の研究成果を技術導入し、非フッ素系分散剤の実用化を目指す。

 非フッ素系分散剤の特長として、①ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子などの低表面自由エネルギー粒子を水に分散可能、②粒子表面を被覆することで水などの環境負荷の少ない多様な溶媒に分散可能、などがあげられる。

 同社は、非フッ素系分散剤のサンプル提供を開始しており、製品化に向けた市場開発を進めていく。そして様々な分野に応用展開を進めることで、「環境リーディングカンパニー」として環境保全に積極的に貢献していく。

積水化学工業 見守りセンサーと介護福祉業務支援ソフトを連携

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2021年10月19日

 積水化学工業の高機能プラスチックスカンパニーは18日、介護施設・病院向け見守りセンサー「ANSIEL」について、NDソフトウェア社の介護・福祉業務支援ソフトウェア「ほのぼのNEXT」システムとの連携を可能にしたと発表した。

見守りセンサー「ANSIEL」
見守りセンサー「ANSIEL」

 この連携により、介護現場における記録などの工数削減につなげるとともに、迅速かつ正確な心拍・呼吸データの把握により管理レベルを向上し、利用者の健康維持に貢献する。

 高齢化が進む中、介護現場では、各種ケアの実施内容やバイタルデータの確認、記録などを日々行う必要があるなど、介護者の作業は多岐にわたっており負担が増大。それに対し、介護記録ソフトの出現により現場の負担が軽減されてきた。さらに、今年4月から、厚生労働省が推進する「科学的介護情報システム(LIFE)」の活用が始まり、介護記録ソフトの注目度がより一層高まっている。

介護・福祉業務支援ソフトウェア「ほのぼのNEXT」

 こうした中、積水化学の製品技術とNDソフトウェアのソフトウェア技術をシステム連携することとなった。ベッドのマットレスの下に敷いて利用する見守りセンサー「ANSIEL」は、利用者の「入床・体動・起始め・起上り」を検知し、ナースコールやブラウザ、専用アプリ画面に知らせることや、WiFi環境を活用して、専用ブラウザやアプリ経由で「在床状況の一括把握」や、「心拍・呼吸」の情報を入手・記録することができる。

 今回のシステム連携より、「ANSIEL」で検知取得した「起上り」などのイベント履歴や「心拍・呼吸」のデータ情報について、「ほのぼのIoTクラウド」を経由して「ほのぼのNEXT」の介護記録画面に同期できるようになる。迅速なデータの把握、記録漏れ・誤記の防止は管理レベルの向上につながり、利用者の健康維持への貢献が期待される。

 積水化学は今後も、利便性向上、社会課題解決への貢献につながる製品の開発、連携を進めていく。

資生堂 バイオフォトン測定で紫外線酸化ストレスを確認

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2021年10月18日

 資生堂はこのほど、光電子増倍管による肌のバイオフォトン測定技術を応用し、紫外線による肌の酸化ストレス研究の結果を、「生体医工学シンポジウム2021」で発表した。

 酸化ストレスが高まると、肌本来がもつうるおい、透明感、ハリなどを保つ機能が低下する。バイオフォトンは肌から発生している極めて微弱な光で、酸化ストレスに伴い増加する。同社は2018年に、超高感度冷却CCDカメラによるバイオフォトンの撮影で、肌を傷つけることなく酸化ストレスの高精度での可視化を可能にした。

 従来は肌から採取した細胞や角層を試薬を用いて評価していたが、今回の評価法は酸化ストレスを直接評価できるため、従来法では困難なメラニン量が異なる皮膚組織や酸化ストレス状態の経時変化などを、詳細に評価した。その結果、紫外線による酸化ストレスは、皮膚組織のメラニン量に関わらず生じること、紫外線照射直後に急激に発生するが、照射2時間後も完全には消失せず持続することが分った。

 この結果は、健やかで美しい肌を維持するためには、日焼け止めを塗るなどして紫外線を防ぎ、肌の酸化ストレスの発生を抑制することや、紫外線を浴びた後に適切にダメージをケアすることが重要であることを科学的に示すものだとしている。