旭化成ネットワークスとNEC 延岡データセンターにローカル5Gネットワーク基盤を構築

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2021年11月16日

 旭化成ネットワークスと日本電気(NEC)は15日、旭化成ネットワークスが宮崎県延岡市で運営するデータセンター(DC)にて、スタンドアローン(SA)方式・Sub-6帯無線周波数のローカル5Gを活用した最先端の無線ネットワーク基盤の構築を開始したと発表した。

延岡データセンターサービスと各種IoTサービスを接続するネットワーク基盤

 旭化成ネットワークスは、自社のDC事業の付加価値向上・サービス強化に加え、旭化成グループでのスマートファクトリー化推進、地域製造業のスマート化、周辺自治体と連携し住民に向けた行政サービスのDX化、その他地域課題解決を見据えて、今年8月にノン・スタンドアローン(NSA)方式・28G㎐帯無線周波数での免許を取得し、実証実験を進めている。

 一般的に、SA・NSAそれぞれの方式で使用される無線周波数帯の特性上、その性能には長所・短所があり、用途による使い分けが必要とされる。旭化成ネットワークスでは実証実験を通じ、各方式・各無線周波数帯の性能の比較や、運用・マネージメント方式の確認を行い、それぞれの方式の特性、効果的な利用用途の検証を行う。実証実験で得られるノウハウを基に、最終的にはそれぞれの周波数帯でのサービス、利用方法のすみわけを行い、早期に具体的なDC事業のサービス形態の確立を進め、将来のスマートファクトリーへの展開などに向けたノウハウの蓄積につなげる。

 一方、NECは、ローカル5Gネットワークに必要な機器や運用保守サービスをトータルで提供する「ローカル5Gマネージドサービス」を同基盤に提供。また、ネットワーク利用のユースケースとして音声で作業手順を指示して実績入力できる人作業ナビや、電波を使って情報を非接触で読み書きするRFIDを利用した通い容器管理といったアプリケーションなどと組み合わせたシステムの提供も予定している。これにより、比較的難易度が高いとされる製造現場活動のデジタル化に貢献する。

 旭化成グループは、中期経営計画の中で、DXの推進を事業高度化のためのアクションの1つに掲げ、研究開発・生産・品質管理・設備保全・営業・マーケティング・事業戦略・新事業創出など、幅広い範囲でDXに取り組んでいる。DX推進に必要となるローカル5Gについては自社での利活用だけでなく、関連機器に使用される機能樹脂や半導体向けの材料など、グループの幅広い製品群・技術でその普及を後押ししていく。

三菱ケミカル 漁網からの再生ナイロン、糸として販売を開始

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2021年11月11日

 三菱ケミカルは10日、サーキュラーエコノミー(循環型経済)やSDGs実現に貢献する取り組みとして、廃棄された漁網由来の再生ナイロン樹脂を混合した新しいナイロン糸「KILAVIS RC(キラビス アールシー)」を開発し、量産体制を整えたと発表した。

廃漁網からナイロン糸へリサイクル

 「キラビス アールシー」は、廃漁網から再生したリファインバースのナイロン樹脂「リアミド」を、三菱ケミカルのナイロン糸「キラビス」に特殊紡糸技術を用いて混合した新しいナイロン糸。日本で発生した廃棄物を日本国内で再利用する〝地産地消〟を促進することで、製品のアップサイクルとCO2排出量削減に貢献していく。

 また、「キラビス アールシー」は、国内生産のため安定供給が可能であり、原着(原料段階で着色)することで染色工程が不要となるため排水の問題が解消されるとともに、使用する水・電気などのエネルギーを削減できる。ナイロン繊維の特長である 優れた摩擦堅牢度をもち、さらに長繊維であるため遊び毛の発生も少なく、カーペットとして使用した場合の掃除も簡単になる。

 三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる中長期経営基本戦略のもと、サーキュラーエコノミーの推進を KAITEKI実現のキーエレメントと位置付け、製品などのリサイクルはその重要な取り組みの一つと捉えている。今後も、自社だけでなく顧客における使用時のリサイクルにも配慮した製品設計を進めることで、SDGsの達成や持続可能な社会の実現に貢献していく。

日本酸素 アジア地域の半導体材料ガスの製造能力を増強

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2021年11月10日

 日本酸素ホールディングスは8日、日本、韓国、中国において電子材料ガスであるジボラン(B2H6)ガスの製造能力を2023年末までに順次増強することを決定したと発表した。韓国は2022年上期、日本と中国は2023年末の完成を予定しており、3拠点とも製造能力を倍増する計画だ。

 ライフスタイルの変化、5G、IoTの普及によるデータ通信量の増加や自動車向け半導体需要の増加などを背景に、半導体デバイスの需要は増加傾向が続いている。

 ジボランガスは、ロジック(演算素子)、メモリ(記憶素子)から、ディスクリート(個別半導体)まで、幅広い半導体デバイスの製造において不可欠な材料であり、半導体メーカー各社の製造能力の増強に合わせてその需要が急激に拡大している。

 同社は、これまで「トータルエレクトロニクス」の戦略に基づき、顧客の需要伸長に対応。日本国内のみで製造していたジボランガスについて、韓国、中国での製造を開始し、供給能力を増強してきた。

 同社は今後も、需要の伸長が見込まれるアジア地域でさらなる投資を推進し、半導体メーカーの需要増に応えていくとともに、グローバルサプライチェーンの強化も進めていく。

出光興産 次世代電池向け固体電解質、実証設備の稼働開始

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2021年11月9日

固体電解質の実証設備

 出光興産はこのほど、次世代電池として有望な全固体リチウムイオン電池向け固体電解質の商業生産に向けた実証設備について、主力事業所の1つである千葉事業所内に建設し、稼働を開始したと発表した。全固体リチウムイオン電池はEV向けなどに早期の実用化が求められており、そのキーマテリアルである固体電解質に対するニーズが近年ますます高まっている。同社は、今回の装置を使って固体電解質の量産プロセス実証を進めていく考えだ。

 近年、世界各国において厳しい環境規制や脱炭素社会の実現に向けた目標が掲げられ、EVや定置用電池などの市場が急拡大している。その中において、全固体リチウムイオン電池は、航続距離の拡大・充電時間の短縮・安全性向上などに寄与する、EV普及の鍵を握る次世代電池として実用化開発が進み、EV以外の様々な用途への適用範囲拡大も見込まれている。

 こうした中、同社は全固体リチウムイオン電池のキーマテリアルである固体電解質を開発。石油化学事業で培った高純度の硫化リチウム製造法を確立し、さらに硫化リチウムを原料とする硫化物系固体電解質について数多くの特許を保有している。 これまで蓄積してきた技術を実用化し、原料からの一貫生産と安定供給体制の構築を目指すべく、固体電解質の商業生産に向けた実証設備を建設し、稼働開始に至った。

 今後は固体電解質の量産プロセス実証およびさらなる性能向上などを図り早期事業化を推進していく。

デンカ コロナ抗原迅速診断キット、一部を自主回収へ

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2021年11月9日

 デンカは8日、新型コロナウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ-COVID19Ag」について、一部ロットの自主回収を開始すると発表した。

 一部の使用部材不良により、製造後時間の経過とともに偽陽性率が高まる可能性があることが判明した。当該製品の自主回収を実施することとし、納入施設にロットの情報提供を開始している。

 自主回収の対象は、使用期限が今年末までで、新型コロナウイルス抗原の有無を約15分で抗原を判定する製品。現在販売している判定時間8分の製品は対象ではないとしている。

ダウ 世界初、炭素排出量ゼロのエチレン工場を計画

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2021年11月8日

 ダウはこのほど、スコープ1、2のCO2排出に関して、世界初となる炭素排出量正味ゼロの統合型エチレンクラッカーおよび誘導体工場を建設すると発表した。

 カナダのアルバータ州フォート・サスカチュワンに所在する既存設備を改修するとともに、エチレンおよびポリエチレン(PE)の生産能力を3倍に増強する。年間約10億ドル(またはD&A水準の3分の1)の設備投資を工場ごとに段階的に実施し、2030年までにエチレンクラッカーは約180万tの生産能力を追加。誘導品の生産能力や設備改修を通じて、低炭素またはゼロ炭素排出の認証を受けた約320万tのPEおよびエチレン誘導体を生産・供給できる見込みだ。

 これにより、2030年までに、ダウの世界のエチレン生産能力約20%が脱炭素化される一方、PEの供給は約15%増加し、バリューチェーン全体で約10億ドルのEBITDA増大が見込まれる。

 今回のプロジェクトは、同社のTX-9(米国テキサス州)投資に関する成功に基づいている。TX-9のクラッカーおよび誘導体装置と比較して、約15%低い資本集約度の実現が期待される。フォート・サスカチュワンの拠点を選択した理由として、炭素回収インフラの存在、競争力のある原料、政府との魅力的なパートナシップなどが挙げられる。

 同社は、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指し、2030年までに炭素排出量を約30%削減(2005年比)することを掲げている。今回のプロジェクトは、その取り組みを大きく推進すると見られる。

デンカ がん治療用ウイルス製剤を発売、東大と共同開発

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2021年11月8日

 デンカはこのほど、東京大学と共に商用製造工程の開発を進めてきたがん治療用ウイルスG47デルタ製剤「デリタクト注」(一般名:テセルパツレブ)について、第一三共が国内での販売を開始したと発表した。デンカは、第一三共から委託を受けて同品を製造し、10月に出荷開始している。

 同品は、がん治療用ウイルスG47デルタ製剤であり、悪性神経膠腫を対象として世界で初めて承認されたがん治療用ウイルス製剤。生きたウイルスそのものを製剤化したものであるため、その製造には、大規模なウイルス培養技術や特殊な試験技術の確立が必要であり、長年にわたりウイルス感染症ワクチンとウイルス検査試薬の開発・製造を行ってきたデンカの技術やノウハウが十分に活用されている。

 デンカは、同品の商用製剤供給を通じて、アンメット・メディカル・ニーズが高い悪性神経膠腫における新たな治療の選択肢を提供することで、医療の発展に貢献する。デンカは、国内医療機関からのニーズに確実に応えて、安定供給を実現するとともに、同品の製造工程開発で得た技術・ノウハウを生かして、ウイルス製剤などの医薬品製造開発受託企業(CDMO)としてのプレゼンス確立・拡大に向けた取り組みを推進する。

JSR ポリマー型抗菌成分、糸・不織布で性能を確認

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2021年11月8日

ポリマー型抗菌成分添加の糸と不織布

 JSRは5日、国立感染症研究所と共同開発した薬剤耐性菌に効果を発現するポリマー型抗菌成分を、糸および不織布に添加し抗菌性能を確認したと発表した。

 作製した糸および不織布は、黄色ブドウ球菌と大腸菌を99.9%以上低減。さらに糸では新型コロナウイルスとネココロナウイルスに対して99%以上のウイルスの数を低減させる効果が認められた。

 ポリマー型抗菌成分は、高い耐熱性と両親媒性による樹脂との良好な相溶性がある。そのため、既存の加工プロセスを用いて、ポリプロピレン(PP)のマルチフィラメントによる紡糸、メルトブローン法による不織布、溶融押出法によるフィルムの作製が可能。

 また、既存の汎用プラスチック(PP、ABS樹脂、ブタジエンゴム、アクリル樹脂、ポリウレタン、3Dプリンター用樹脂)を製造する際に使用する添加剤として活用することもできるため、医療現場における院内感染抑制や在宅医療や介護現場での衛生状態の向上に貢献することが期待される。

 同社は今後、ポリマー型抗菌成分が含まれる汎用プラスチックのSIAA「抗菌マーク」の取得に向けた申請を予定している。

ダウ 循環型プラの生産能力を拡大、22年から供給開始

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2021年11月5日

 ダウはこのほど、プラスチック廃棄物の抑制、GHG排出削減、化石燃料由来のバージン・プラスチックと同等の性能をもつリサイクルプラスチック製品を顧客へ提供する取り組みが進展しており、2022年から、完全循環型ポリマーを顧客へ初期供給することができると発表した。

 同社は、気候変動およびプラ廃棄物に対応するために、サステナビリティ目標の達成に向けて重要な段階を進めている。2030年までに、直接またはパートナシップを通じて100万tのプラを回収、再利用、リサイクルし、2035年までに包装用に販売される製品の100%を再利用またはリサイクルを可能にする目標を設定している。

 具体的な取り組みとして、オランダでは、フエニックス社との間で循環型プラ生産の拡大に向けた初期契約を拡大し、第2工場をヴェールトに建設する。同工場では2万tの廃プラが熱分解原料油に加工処理され、ダウの生産拠点(テルネーゼン)において循環型プラの生産に使用される。また、グンバー社との間では同原料油を精製する最終契約を締結。今年からクラッカーに対応した原料をダウに供給する。

 ダウも、同原料油の精製能力を拡大するために、テルネーゼン拠点において市場開発規模での精製装置の設計、エンジニアリング、建設を進めている。また、米国では、ニューホープエナジー社(テキサス州タイラー)との間で、リサイクルプラ由来の熱分解原料油の供給について複数年契約を締結し、ダウはそれを原料に循環型プラを生産する計画。さらに、循環型プラ製品の認定取得にも力を注ぐ。欧州各国および米国の主要拠点において、国際持続可能性カーボン認証(ISCC)の取得を進めている。

 一方、ダウは高度なプラスチックリサイクルソリューションの世界的パイオニアであるミュラ社と提携した。ミュラ社の新しい高度リサイクルプロセスである「HydroPRS」(熱水プラスチックリサイクルソリューション)は、これまでリサイクルできず焼却や埋め立て処分されていた包装軟質プラをはじめ、あらゆる形態のプラスチックがリサイクルできる。

 現在、ミュラ社は同プロセスを用いた世界初の工場を、英国のティーズサイドで建設中。2023年には年間2万tの最初の生産ラインが稼働を開始し、ダウはリサイクル原料として供給を受ける予定だ。

ユニチカ 植物由来PTT使用、紡績糸の開発を開始

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2021年11月5日

 ユニチカトレーディングはこのほど、デュポンの37%植物由来PTT樹脂「Sorona」を使用し、独自の特殊複重層糸技術「パルパー製法」で環境に配慮した二層構造糸「パルパー」の開発を進める中、今回、「パルパー Made with Sorona Polymer」の新ラインアップを開発したと発表した。

 「オーガニック綿 with Sorona(ecoタイプ)」は、芯にリサイクル原料を使用したPETと、植物由来のPTT樹脂を使用し、鞘にオーガニックコットンを使用した、人と地球環境にやさしい素材。このほかにも「オーガニック綿 with Sorona」、「超長綿 with Sorona」、「リヨセル with Sorona」、「防縮ウールwith Sorona」などを揃える。

 同社は今後、日本以外でもユニチカグループのアジア(中国・インドネシア・ベトナム)での生産体制を活用し、同ラインアップの本格的な展開を図る構え。なお、これらの新素材は、東京ビッグサイトで開催された「第1回サステナブルファッションEXPO秋」(10月19~20日)の出展を機に、販売をスタートさせた。売上高目標として2022年度に3億円、2024年度以降には20億円を目指す。

 さらに同社は、オーガニックコットン、リヨセル繊維「シルフ‐KF」などを使用したサステナブル素材を進化させる。ユニチカの異なる2つの素材を合わせる技術「パルパー」方式を用いることで、独自のハイブリット素材を開発・提案する。