三井化学 バイオマスナフサ、来月に大阪工場で投入開始

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2021年11月29日

 2050年のカーボンニュートラル達成に向けて取り組みを加速する三井化学は、来月、そのバイオマス戦略の一環として大阪工場のナフサクラッカーでバイオマスナフサの投入を開始する。25日に同社が開催した経営概況説明会で、橋本修社長が明らかにした。当初は10月に計画されていたバイオマスナフサ投入だが、船便混乱の影響により11月の到着を予定するも、結果的に12月にずれ込む形となった。

 バイオマスナフサを原料とする誘導品・製品群は、マスバランス(物質収支)方式により任意のバイオマス度を割り当てるが、それにはISCC(国際持続可能性カーボン認証)が展開する国際的なISCC PLUS認証が必要となる。

 同社は子会社のプライムポリマーとともに両社大阪工場での同認証を取得。また将来のバイオマスナフサ導入に向け、市原工場や三井化学東セロについても同認証取得の準備を進めている。第1ロットとなる12月のバイオマスナフサの投入は3000tを予定。投入前だが顧客からの誘導品などへの引き合いは多く、第2ロット分の発注も終えている。

 今回使用するのは、フィンランドのバイオマス燃料製造会社、ネステ社のバイオマスナフサ。植物油廃棄物や残渣油を原料に製造されており、石油由来原料を使用しない100%バイオマス由来のナフサになる。石油由来品に比べれば割高感のあるバイオマスナフサ由来品のコスト吸収や、今後投入量が増えれば原料調達の課題も抱えるが、まずは日本初のバイオマスナフサ導入により、三井化学は製品提供を通じたグリーンケミストリーを推し進めていく。

理化学研究所 マイクロ波と光の協働で合成反応を促進

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2021年11月26日

 理化学研究所はこのほど、東京大学と京都大学との共同研究グループが光とマイクロ波の協働的な触媒的化学合成反応系の開発に成功したと発表した。

 マイクロ波には、電子レンジに応用されているような局所的・効率的な加熱効果がある。近年、マイクロ波を照射したときにだけ観測される化学反応や反応の加速効果が数多く報告され、加熱効果とは異なる原理による「非熱的マイクロ波効果」の機構解明や応用研究を行う「マイクロ波化学」という新しい研究分野も確立されている。固体表面上の反応に関する機構は解明されつつあるが、有機単分子でのマイクロ波効果についてはほとんど知られていない。

 今回、フェニルアセチレンを光触媒とするジメチルスルホキシドの酸素酸化反応系で、有機分子に対するマイクロ波効果の観測に成功した。まず光照射により、フェニルアセチレンの基底状態S0の電子はS1準位に励起され、速やかに隣のT1準位へ移動する。このT1準位の電子は酸素分子を活性化し、この活性酸素によりジメチルスルホキシドは酸化され、牛乳や穀物などに含まれ健康食品などに使われるジメチルスルホンになる。このT1準位は3つの副準位に分かれている。

 光励起した電子のほとんどは中位のT1(2)準位に入るが、寿命が短いため酸素分子の活性化収率は低い。これらの副準位間のエネルギー差に相当する2.45㎓のマイクロ波を照射することで、電子が長寿命の副準位T1(1)、(3)に移動すれば、酸素分子の活性化収率が上がりジメチルスルホンの収率が上がることが期待される。1気圧の酸素雰囲気下、光量450㎚・30㎽/㎠、50℃、48時間反応させたときの収率は、マイクロ波ありで77%、マイクロ波なしで21%、光なしで0%、触媒なしで4%であった。この反応系では光と触媒が必須であり、マイクロ波が反応効率の向上に大きく影響していることが分かった。

 光・マイクロ波協働効果により低出力のマイクロ波で効率的に光触媒反応を促進させることが可能で、省エネルギー合成法として注目されるマイクロ波化学反応の機構解明や、新たなカーボンニュートラル合成法の開発への貢献が期待される。

ランクセス 淡色アミン系酸化防止剤、台湾で能力増強

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2021年11月26日

 ランクセスはこのほど、台湾の拠点で淡色アミン系酸化防止剤の生産能力を数千t増強すると発表した。アジア太平洋地域における需要の増加に対応するため、数百万ドルを投資して設備を拡張する。なお、この増産計画は2022年末までに稼働を開始する見込みだ。

 同社は、アミン系酸化防止剤を「ナウガルーブ」のブランド名で販売。今回の台湾拠点への投資は、フラッグシップ製品の「ナウガルーブ 438L」のグローバル仕様を後押しするものとなる。同製品は、様々な乗用車用潤滑油や工業用潤滑油として使用されている液体酸化防止剤で、優れた耐熱性をもち、油の酸化を抑えるとともに、潤滑油の寿命やサービスの間隔を伸長させる。

DIC 生産現場の技術伝承、AIシステムの運用開始

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2021年11月26日

教師型AIシステムによる技術伝承のイメージ

 DICはこのほど、LIGHTz社(茨城県つくば市)と共同で、熟練者の知見を言語化し、新たな不具合発生時に現場オペレーターの要因解決につながる事例を迅速に引き出すことが可能な、教師型AIシステム「Prism(プリズム)」を開発し、運用を開始したと発表した。

 国内の生産現場では、少子高齢化による労働人口の減少や高齢化を背景とした熟練者の技術伝承が共通課題。DICでも生産現場での技術伝承を課題と認識し、その解決策として生産部門におけるDXの活用を検討してきた。

 2019年にプロジェクトを発足し、すでに顔料の生産現場で設備保全の不具合情報をデータベース化しAI導入の下地があった鹿島工場をモデル工場に位置づけた。

 同社は、技術伝承という観点から、単に過去のデータから答えだけを導き出すのではなく、熟練者の複雑な思考を言語化することで「言葉と言葉のつながり」を可視化し、「気づきや閃き」を与えることに長けた〝教師型AIツール〟であるLIGHTz社の「オルジニアス」の導入を決定。同AIツールと鹿島工場の膨大なデータを連携させるため、フロントエンドシステムとして「プリズム」を開発した。

 特長として、①既存の設備保全データをベテラン社員の思考の見える化(言語化)に変換することにより、保全ノウハウをより自然な形で次世代に技術伝承可能、②ノウハウを汎知化することで常に現場オペレーターに学ぶ意識を醸成、③解を導き出すプロセスから新たな気づきを促す「ホワイトボックス型AI」、などが挙げられ、中長期的な視点で同社の生産現場での設備保全に係る課題解決に貢献することが期待される。

 同社は、同システムを今年6月から鹿島工場の顔料生産現場に導入し、まずはシステム定着とさらなる活用方法の検討を進めている。実績と成果を積み上げた後には、同社の他工場や事業所への水平展開も予定している。

ダイセル 大豆由来エクオール含有素材、製造能力を増強

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2021年11月26日

 ダイセルはこのほど、大豆由来成分の腸内代謝物エクオール含有食品素材「フラボセルEQ‐5N」について、製造設備を追加すると発表した。製造能力を増強して安定供給体制を構築する。

大豆由来の腸内代謝物「エクオール」含有素材「フラボセルEQ-5N」

 昨今、更年期対策サプリメント市場は堅調に伸長している。同社は、2013年からサプリメントメーカーに向けて販売してきた従来品「フラボセルEQ‐5」の製法を、今年変更し「フラボセルEQ‐5N」として販売している。今回の追加設備で製造する製品は、来年初めより供給を開始する予定。

 エクオールは大豆に含まれるイソフラボンの一種「ダイゼイン」が腸内細菌によって代謝され、体内生成される物質で、女性ホルモン様作用を示すことが確認されている。

 女性の更年期症状の発現には、環境要因や気質要因のほか、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌減少が大きく関係する。女性ホルモン様作用が期待できるとして、大豆イソフラボンを含む大豆製品が注目されてきたが、最近の研究ではエクオールがダイゼインに比べてより女性ホルモン様作用を発揮しやすいことが報告され、注目を集めている。

デンカ 放熱シートの生産能力を2倍、渋川工場に新設備

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2021年11月26日

「デンカ放熱シート」

 デンカは25日、グループ企業である九州プラスチック工業で生産している放熱シートについて、電子材料の中核生産拠点と位置づける渋川工場(群馬県渋川市)に生産移管するとともに、新規生産設備を導入し生産能力を2倍に増強することを決定したと発表した。投資金額は約17億円で、2024年度上期の稼働開始を予定している。

 同社は、今後の車載・通信市場における放熱シートの需要拡大に対応するだけでなく、放熱材料をはじめとしたスペシャリティー事業をさらに強化する考えだ。

「デンカ放熱シート」 半導体素子/トランジスタ使用イメージ

 同社の放熱シート「デンカ放熱シート」は、シリコーン樹脂に機能性フィラーを高充填することで高い絶縁性や放熱性の機能をもつ。その性能から、車載製品や通信基地局など様々な電子機器に使用されている。xEVなどの車載電装機器や5Gを中心とする通信基地局向けに放熱シートの需要は拡大する見通しであることから、渋川工場への生産移管および新規設備導入による生産能力の増強を決定した。

 

 渋川工場は1951年に塩化ビニル系樹脂の生産工場として操業を開始。以降、時代のニーズに合わせて高熱伝導メタルベース基板をはじめとする放熱材料、半導体製造工程用仮固定テープ、アクリル系接着剤など電子材料を中心とした生産拠点に変化し、今年で操業70周年を迎えた。今後は自動生産プロセスの導入や、工場内にある研究開発部門を強化し、車載・通信で求められる高熱伝導・高耐熱・接触熱抵抗低減・高耐圧などを持ち合わせた次世代スペシャリティー製品の開発も行っていく。

「デンカ放熱シート」 を移管する渋川工場

 同社は今後もSDGsを羅針盤に、誰よりも上手にできる仕事で全ての人がよりよく生きる世界をつくる、社会にとってかけがえのない企業を目指していく。

産総研 PETボトルのリサイクル、常温原料化法を開発

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2021年11月25日

 産業技術総合研究所はこのほど、PETボトルなどに使用され廃棄されたPET樹脂を、従来よりも大幅に低い温度で分解し、原料であるテレフタル酸ジメチル(DMT)を高収率かつ高純度で回収する触媒技術を開発したと発表した。

 同技術は、炭酸ジメチルを使用した新しいアルカリ分解法によって、常温・短時間で効率よくPET樹脂の分解が進行し、原料であるDMTを90%以上の収率で得ることができる。200℃以上の高温処理が課題となる現行法から大幅に低温化できるため、PETボトルの「ボトルtoボトル」リサイクルの低コスト化が期待される。

 使用済みPET樹脂のマテリアルリサイクル(MR)は、選別後に樹脂のまま溶融・再成形する手法であるが、不純物の影響でリサイクル前の品質に戻すことが困難となる。一方、ケミカルリサイクル(CR)は、PET樹脂を一度低分子化合物へと化学的に分解することで、原理的に元のPET製品と同じ品質で製造することができる。しかし、この方法は分解処理のために高い温度が必要であり、高コストなプロセスであることが大きな課題だった。

 こうした中、産総研触媒化学融合研究センターは、資源循環型社会の推進に貢献するため、様々な未利用資源を活用するための触媒技術開発を推進。今回、プラスチックごみを効率的にリサイクルするための触媒技術開発に着手した。PET樹脂の効率的なCRとしてエステル交換反応に着目し、副生成物の捕捉により平衡反応をコントロールする独自のアイデアによって、反応温度の大幅な低温化を実現に成功した。

 今後、同リサイクル法の社会実装を目指し、触媒の改良、反応のスケールアップ、種々のPET含有製品への適応可能性を検討する。また、PET樹脂以外のプラスチック材料をリサイクルするための触媒開発についても鋭意検討を進めていく。

日本ガイシ 産業排ガス向けCO2分離膜、分離精度5倍

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2021年11月25日

サブナノセラミック膜

 日本ガイシはこのほど、産業排ガス向けのCO2分離膜を開発、CO2分離精度を従来型ゼオライト膜の約5倍に向上させた。

 同社はこれまでDDR型ゼオライト膜の開発に成功し、原油随伴ガスや天然ガスからのCO2分離の実証試験を進めている。これは分子の大きさの違いで分離するため、CO2より大きな分子であるメタンを主成分とする原油随伴ガスや天然ガスからは、CO2を容易に分離できる。

サブナノセラミック膜の分離のしくみ

 一方、産業排ガスの主成分である窒素や酸素はCO2と分子サイズが近いため、CO2を高い精度で分離することは難しい。工場などから排出される産業排ガスについてもCO2を分離回収する技術の社会的なニーズが高まっていることから、同社の大型膜・均一膜製造技術を生かし、産業排ガス向けCO2分離膜を開発した。

CO2と窒素(N2)の分離精度比較

 これは、分子の大きさではなく分子の吸着性(親和性)の違いを利用して分離するため、窒素や酸素からのCO2分離精度はDDR型ゼオライト膜の約5倍(CO2/N2比は約300)に向上した。苛酷な条件下でも使用できるセラミックスの特長を生かし、高温の産業排ガスをターゲットにさらなる分離性能の向上などに取り組み、実証試験を経て2030年の実用化を目指している。

東レ 食品やバイオ向け中空糸膜モジュールを開発

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2021年11月25日

独自技術で外圧式を実現、耐熱性で省エネに貢献

 東レはこのほど、食品飲料製造やバイオ分野で精製・濃縮工程に使用する高耐久性の中空糸限外ろ過膜モジュールを開発した。同モジュールにより、従来食品分野の濃縮に使われている熱濃縮法と比較してCO2排出量で8割以上の削減となる省エネルギー化が実現できる。本格的な量産化に向けた開発を加速し、今後幅広い用途に向けて展開を進めていく考えだ。

新規中空糸膜モジュール 低圧損の特徴とCO2 削減効果

 中空糸膜は分離性に優れ、膜の集積度が高く設置面積を縮小でき、高面積利用効率の点から液体ろ過に広く使われている。同社の中空糸膜は、水処理用途分野に強みをもち、独自の高強度PVDF(ポリフッ化ビニリデン)中空糸膜技術により、高い耐久性と優れた分離性を実現し、広く採用されている。今回、これまで培った技術を生かし、

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INPEXと大阪ガス 大規模メタネーションの実証事業

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2021年11月24日

 INPEX(旧国際石油開発帝石)と大阪ガスは共同で、「ガスのカーボンニュートラル化に向けたCO2‐メタネーションシステムの実用化に向けた技術開発事業」を開始する。INPEXが新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)で採択されたINPEXの助成事業の下、大阪ガスは業務委託の形で参画する。

 メタネーションとは触媒によりCO2と水素から都市ガス主成分のメタン(合成メタン)を作る方法で、再生可能エネルギーで作った水素を使うことで都市ガスをカーボンニュートラル化できる。合成メタンは都市ガスの既存インフラ・機器をそのまま使え、「グリーン成長戦略」では2030年までに既存インフラへ合成メタンを1%注入することが目標だ。

 サバティエ反応によるメタネーションの基本的要素技術は確立されており、今後、合成メタン製造コストの低減と設備の大規模化などの実用化に向けた技術開発が必要だ。2024年度後半から2025年度にかけて、INPEX長岡鉱場内で回収したCO2から合成メタンを製造する実証実験を行い、同社の都市ガスパイプラインへ注入する予定だ。合成メタン製造能力は約400N㎥/hで、世界最大級の規模。INPEXは2017年から長岡鉱場で行っている合成メタン製造能力8N㎥/hのメタネーション基盤技術開発の経験を生かして事業全体の取りまとめや設備のオペレーションを担う。

 大阪ガスは、石油系原料からの都市ガス・代替天然ガス製造で培った省エネルギーメタン製造の触媒技術やスケールアップの設計ノウハウなどのエンジニアリング力を生かし、設備設計とプロセス最適化を担う。また名古屋大学は、反応挙動把握のための反応シミュレーションの技術開発を行う。

 並行して、オーストラリアなどの再エネ由来のグリーン水素製造が安価な国でメタネーションを行い日本へ輸入する事業性評価や、環境価値の国内移転に向けた制度検討なども行う。将来的には、海外で商用規模(1万N㎥/h)の実証事業を行い、さらに6万N㎥/h規模での商用化を視野に入れて取り組んでいく。

 同事業を通じて、INPEXと大阪ガスの両社は、CO2-メタネーションによる都市ガスのカーボンニュートラル化の早期社会実装に向けて取り組んでいく考えだ。