三菱製紙 撥水・耐油性向上の「撥水耐油板紙」を上市

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2020年10月14日

 三菱製紙はこのほど、耐水耐油板紙より優れた撥水・耐油効果を発揮する白板紙「撥水耐油板紙」を今月から生産販売開始すると発表した。

 海洋プラスチック問題などを背景に容器包装に対するプラスチック削減の高まりに対し、従来の耐水性・耐油性板紙の耐水性を大幅に向上させた白板紙を開発し、「撥水耐油板紙」として上市することとした。

 従来品の耐水耐油板紙との比較では、裏面の性能は撥水性が0から8に、耐油性を示すキット値が7から最大値の12にまで向上している。紙の利用を通じてSDGs(持続可能な開発目標)に貢献できるFSC森林認証紙も対応できる。

J&J ヤンセンファーマの新型コロナワクチン、第Ⅲ相試験開始

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2020年10月14日

 ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)はこのほど、ヤンセンファーマが開発中の新型コロナワクチンの大規模検証試験として、複数国で展開する第Ⅲ相臨床試験(ENSEMBLE試験)を開始したと発表した。ENSEMBLE試験の開始は、第Ⅰ/Ⅱa相臨床試験の中間解析で得られた結果とFDA(米国食品医薬品局)の話し合いに基づき、3大陸で最大6万人のボランティアを登録し、コロナワクチンとプラセボの比較で有効性を検証する。

 J&Jは、引き続きワクチンの製造能力を拡大しており、毎年10億回分のワクチンを供給するという目標に向けて順調に取り組みを進めている。同社は緊急のパンデミック下での、非営利として、広く購入可能な価格で多くの人々にワクチンを提供することを約束しており、新型コロナワクチンは、その安全性と有効性が確立された場合、来年初頭に緊急使用認可が認められる状況下で利用可能になる見込みだ。

 J&Jは、高い倫理基準と健全な科学的原則に従ってコロナワクチン候補の開発・試験を実施している。同社は、試験実施計画書を含め、第Ⅲ相ENSEMBLE試験に関する情報についても透明性を確保しながら共有するとしている。

エア・ウォーター ごみ焼却炉CO2回収設備の開発着手

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2020年10月14日

 エア・ウォーターはこのほど、環境省の実証事業「清掃工場から回収した二酸化炭素の資源化による炭素循環モデルの構築実証事業」で、ごみ焼却炉排ガスからCO2を回収する商用規模の設備の開発に着手した。清掃工場から回収したCO2のメタネーションによるエネルギー資源化は世界初の取り組み。代表事業者である日立造船からCO2の分離・回収に係る事業範囲の再委託を受け、2018年度の事業開始当初から参画し、設備の設計・製作・実証を担当してきた。

 神奈川県小田原市環境事業センターでの小規模実証試験で所定のCO2純度・回収率を達成したため、今年から規模を拡大する。設備仕様はCO2純度80%以上、回収量125N㎥/hの予定。

 同社グループは長年、産業ガス事業で培ってきたガステクノロジーや多彩な事業領域に対応する技術開発を深化させ、脱炭素社会に対応し環境負荷の低減に貢献する取り組みを進めている。

 

ICEF第7回年次総会開催 女性参加とコロナに焦点

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2020年10月14日

 ICEF(アイセフ、イノベーション・フォー・クールアース・フォーラム)事務局はこのほど、第7回年次総会をオンラインで開催し、最終日の8日にステートメントを発表した。

 経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がエネルギー・環境分野のイノベーションによる気候変動問題解決のために、世界の学界・産業界・政府関係者間の議論と協力を促す国際的プラットフォームとして2014年から開催。今年は分科会を含め、80の国と地域から1300人以上が参加した。

 今年のテーマは「男女平等に焦点を当てた、COVID-19を踏まえた「ビヨンド・ゼロ」排出社会に向けた行動」。COVID-19により、今年の世界のCO2排出量は前年比8%減の見込みで、1.5℃の温暖化排出経路に必要な削減率とほぼ同等。経済減速と日常生活の不便さなど、この経路の困難さとイノベーションの重要性が再認識された。低炭素社会確立には変革が不可欠で、国・各組織間の強固な関係が必要になる。日本政府の「環境イノベーション戦略」は、2050年のカーボンニュートラルに向けた世界の温室効果ガス(GHG)排出量と大気中CO2の削減、「ビヨンド・ゼロ」のための革新的技術の確立を目指す。

 女性の参加がイノベーション推進に果たす役割は大きく、女性参加率の高い組織ほど気候変動に対するパフォーマンスが高いと報告された。実証的分析では気候変動はジェンダーニュートラルではなく、女性参加の気候変動対策への貢献が期待できる。IT機器利用の加速は女性参加を促す。女性のスキル向上、開発途上国の女性教育の促進にコミットすべきとした。

 イノベーションのための資金調達は重要で、景気刺激策などすべての機会を官民の投資、パートナー企業からの資金調達、内部炭素価格設定による自己投資の動機づけなどの資金調達手段に使用する必要がある。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)などによる透明性の向上で、市場と投資環境の改善が期待できる。持続可能なインフラに対するグリーンエクイティの使用を強く推奨した。エネルギー転換、運輸、産業、分野横断領域、農林水産業・吸収源など10の分科会と3つの本会議でこれらトピックスについて議論し、有益な発見と提言がなされた。

 ステートメントでは最後に、ジェンダーと気候変動の相乗効果の可能性の点で、GHG低排出社会に向けた企業の効果的な行動と決定の支援のために、ジェンダー投資と気候変動投資の橋渡しも検討の価値がある。産業界、政府、学術界、投資家が協力して研究・開発・投資を促進する必要がある、と結んだ。

帝人 航空機向けCFRTP、米コリンズ社の認定を取得

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2020年10月14日

 帝人は13日、炭素繊維「テナックス」を使用した中間材料が、世界有数の航空機向け構造材メーカーである米国コリンズ・エアロスペース社の材料認定を取得したと発表した。今回認定を取得した炭素繊維中間材料は、熱可塑性複合材料織布「テナックスTPWF」と炭素繊維強化熱可塑性樹脂積層板「テナックスTPCL」で、帝人が展開する炭素繊維強化熱可塑性複合材料(CFRTP)。

テナックス TPWF
テナックス TPWF

 「テナックスTPWF」は、炭素繊維織物に熱可塑性樹脂を付着もしくは含侵させたシート状の材料で、「テナックスTPCL」は、「テナックスTPWF」を積層させ、熱と圧力をかけて成形した板状の部品となっている。いずれも母材である樹脂にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を使用しており、高い耐熱性、耐衝撃性、および耐疲労性をもっている。また、成形時間が短いことからコスト効率や生産性の向上にも貢献し、航空機の構造材など、優れた機械特性が求められる部品の大量生産に適している。

テナックス TPCL
テナックス TPCL

 帝人グループでは、これまでコリンズ社に対して、米国で炭素繊維事業を展開するテイジン・カーボン・アメリカが航空機のブレーキ材向けに耐炎繊維「パイロメックス」を供給。繊維サプライヤーとしては世界で唯一「サプライヤー・ゴールド」の認定を受けるなど、強固なビジネス関係を確立している。

 今回、「テナックスTPWF」と「テナックスTPCL」が新たに認定を取得したことにより、その供給を通じて、テイジン・カーボン・アメリカはさらなる関係強化を図っていく考えだ。

旭化成 LEDなどでコロナ対策ソリューション事業化へ

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2020年10月14日

 旭化成は13日、同社の高出力殺菌用深紫外線LEDの技術や、センサー、画像編集技術を組み合わせた、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)対策ソリューションの事業化に向けた取り組みを本格的に開始したと発表した。高出力殺菌用深紫外線LEDのCOVID‐19に対する有効性についてすでに確認を行っており、また、環境センサーとライブカメラを使った「3密見える化ソリューション」の試験販売を開始する。

三密見える化ソリューションのコンセプト画像
3密見える化ソリューションのコンセプト画像

 同社のマーケティング&イノベーション本部では、センサーによりCO2濃度や温熱などの状態を把握し、快適な教育環境を探る実証実験や、高出力殺菌用深紫外線LEDを活用した流水殺菌の事業化などに取り組んでいる。また、世界的なCOVID‐19の拡大に伴い、それらの技術を活用した密閉・密集・密接といった3密対策や殺菌用途に注力し、COVID-19による様々な課題へのソリューションとして事業化のスピードアップを進めている。

 このほど、米国グループ会社のCIS社はボストン大学NEIDLとの共同研究を通じ、CIS社が製造・販売する深紫外線LED「Klaran」の発光する260~270㎚の波長が、これまで論文などで確認されている280㎚の波長に比べ、より少ない紫外線照射量で新型コロナウイルスを不活化させることを確認した。窒化アルミニウム単結晶基板製造技術と膜結晶成長技術により、細菌やウイルスの不活化に最も効果が高いとされる同発光波長帯域で世界最高出力を実現している。

施設に設置される環境センサーとライブカメラを用いた三密見える化ソリューションの画面イメージ
施設に設置される環境センサーとライブカメラを用いた3密見える化ソリューションの画面イメージ

 一方、「3密見える化ソリューション」は、CO2濃度計測機能を搭載した環境センサーとプライバシー問題を解決したライブカメラ「透け撮るんSKETOLN」を組み合わせることで、3密の見える化を実現した。CO2濃度が基準値を超えたときに管理者にメールで通知する機能も備える。

 旭化成は、より安全な環境づくりに取り組む店舗やイベントなどの運営者へのCOVID‐19対策ソリューションの提供を通じて、社会の安心・安全や経済の活性化への貢献と「持続可能な社会への貢献」を目指していく考えだ。

 

エレファンテック 日清紡メカトロニクスと自動車材で合意

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2020年10月14日

技術融合しADAS車向けに23年の量産目指す

 プリンテッド・エレクトロニクス分野のスタートアップ企業であるエレファンテックはこのほど、日清紡メカトロニクスとの間で、ADAS(先進運転支援システム)搭載車に向けた「配線一体型成形部品」の開発について基本合意を締結した。日清紡メカトロニクスグループがもつ樹脂の射出成形技術と、エレファンテック独自のインクジェット印刷による樹脂への立体配線技術「IMPC技術」の融合により、2023年の量産開始を目指していく。

IMPC技術の導入例。曲面状の樹脂にインクジェット印刷で配線したオーバーヘッドコンソール(車内灯)。タッチセンサーに触れるとライトが点灯する
IMPC技術の導入例。曲面状の樹脂にインクジェット印刷で配線したオーバーヘッドコンソール(車内灯)。タッチセンサーに触れるとライトが点灯する

 7日にリモートで行った記者説明会で、エレファンテックの清水信哉社長は、「今回の合意の最大のポイントは

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東工大ら 強誘電体の薄膜化で不揮発性メモリの応用期待

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2020年10月13日

 東京工業大学と産業技術総合研究所、東北大学はこのほど、最高の強誘電性をもつ窒化アルミニウムスカンジウム=(Al,Sc)N=について、Sc濃度を下げると強誘電性が増加しかつ10㎚の薄膜でも強誘電性を保持することを世界で初めて確認したと発表した。低消費電力で動作する不揮発性メモリへの応用が期待される。

 強誘電体は、電圧の印加方向に従って安定な結晶状態(分極状態)を取り、電源切断後もその分極状態を保持する物質。無電力で分極状態を保持するため、不揮発性メモリ(無電源の記憶保持素子)を作製できる。酸化ハフニウム系などの強誘電体が交通系ICカードなどに広く実用化されているが、複雑形状の基板への3次元膜の作製が難しく、一部の用途に限られてきた。

 現在スマートフォンの高周波フィルターに使われている(Al,Sc)Nは、膜厚150㎚で高い強誘電性を示すが、メモリ動作の低消費電力化のために薄膜化した場合、「サイズ効果」による強誘電性の喪失が懸念されていた。

 (Al,Sc)Nは気相のScとAl金属を窒素ガスと反応させて作るが、今回ScとAlの比率を変えて試料を作製。その結果、Sc濃度が低いほど残留分極値(電源切断後に残る静電容量)が大きく、抗電界(分極状態の反転に必要な電圧)と最大電界(印加できる電圧)の差が広がり、分極状態を安定して繰り返し反転できることも分かった。薄膜化についても、膜厚48㎚まで残留分極値は変わらず、9㎚でも強誘電性を示すことを非線形誘電率顕微鏡法で確認した。

 (Al,Sc)Nは最大級の強誘電性を持ち、使用温度は最も高く、作製も容易。動作電力は最小で、データ保存にも電力消費しない不揮発性メモリである。さらに3次元形状への成形が不要で電極で挟むだけの単純構造のメモリができ、コスト削減につながる。今後、広い用途のメモリへの応用が期待できる。さらに(Al,Sc)Nの圧電性に分極方向の制御も加わり、従来にない新規応用も期待できる。

 

東洋インキ UV硬化型抗菌ニスにSIAAとバイオ追加

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2020年10月13日

 東洋インキはこのほど、UV硬化型抗菌ニス「FLASH DRY(FD) AMB OPニスシリーズ」「FD AMBコートニスシリーズ」でSIAA抗菌マークを取得し、さらにバイオマスタイプなどの新たなラインアップを追加したと発表した。

 印刷物の衛生ニーズが高まる中、再生可能な植物由来原料使用のバイオマスタイプの「FDカルトンBIO抗菌OPニス」「FD FL BIO抗菌OPニス」や、デジタル印刷物保護用の「FD AMBコートニスPOD」など、新たなUV硬化型抗菌ニスを開発し、幅広い印刷物への抗菌性付与が可能となった。「AMB」は、JISの抗菌性試験に基づく大腸菌、黄色ブドウ球菌に対する有効性を確認。抗菌製品技術協議会(SIAA)が制定する抗菌性・安全性・適切な表示を満たした製品のみに表示できる、品質と安全性に関する情報開示マーク「SIAA抗菌マーク」を取得した。

  今後、軟包装パッケージ用途で要望の多いグラビア印刷、フレキソ印刷用抗菌コート剤の開発を進めるとともに、引き続き新型コロナウイルス感染症の拡大でニーズが高まる抗ウイルス性ニスの開発にも注力する。同社は各種機能性ニスの提供を通じて「大量かつ高速で薄膜塗工が可能」な印刷の最大メリットを最大限活用し、印刷物への新たな付加価値実現をサポートしていく考えだ。

 

ダウ日本 テラサイクルと地域参加型リサイクルを実施

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2020年10月13日

 ダウ・ケミカル日本とテラサイクルジャパンはこのほど、循環型社会の実現に向けて地域と連動した清掃活動、環境教育と回収した廃プラスチックをリサイクルするプログラムを実施すると発表した。実施期間は9月から1年間。

リサイクルプログラム 清掃活動
リサイクルプログラム 清掃活動

 ダウがグローバル規模で海洋プラスチック汚染問題に取り組む活動「#PullingOurWeight(自らの責任を果たす)」の一環として、これまでパートナーシップを組んできた国際環境NGOバードライフ・インターナショナル東京に加え、廃棄物問題に取り組む環境ソーシャルベンチャーのテラサイクル(米国、2001年創業、21カ国で事業展開)と連携し、バードライフと社会連携活動を実施するJリーグ鳥の会参加クラブ(鳥をクラブマスコットとする9クラブ)の協力で活動する。

リサイクルプログラム 回収されたごみ
リサイクルプログラム 回収されたごみ

 同プログラムは、地域コミュニティと連携した清掃活動を複数回実施。ごみを拾うだけではなく、海洋プラスチックなどの環境問題、集めたごみのリサイクルの仕組みを学び、循環型社会に向けた環境教育プログラムを子どもたちに提供する。回収したプラスチックごみはごみ袋などにリサイクルし、今後の地域清掃活動に活用する予定。

リサイクルプログラム 環境教育授業
リサイクルプログラム 環境教育授業

 第1回は9月17日に、ギラヴァンツ北九州、北九州市立曽根東小学校の児童、地域の人々と連携して曽根干潟のクリーン作戦を実施した。第2回は10月から12月にかけ、習志野市谷津南小学校で環境教育の特別授業の一環として実施予定。10月から来年5月の期間、テラサイクルはJリーグ鳥の会の9クラブの地域清掃活動と連携し、集めたごみからリサイクル可能なプラスチックごみを収集しリサイクルする。

 ダウが2018年から始めたクリーンアップ活動「#PullingOurWeight」では、参加者が1人1日の平均排出量である1.8kgのごみを回収することに挑戦。昨年は、各地の同社従業員やパートナー団体と連携し、世界中で80t近いプラスチックを回収した。