ランクセス 3Dプリンティング向け高機能樹脂の提供を開始

, ,

2020年2月5日

危険度低く加工が容易で生産性向上

 ランクセスは3Dプリンティング(アディティブ・マニュ ファクチャリング)用の樹脂に配合できる、次世代の低遊離(LF)イソシアネートウレタンプレポリマーの提供を開始した。さらに、3Dプリンティングの企業複数社と協業し、この樹脂の製造を始めている。

 「Adiprene(アディプレン)LF pPDI(パラフェニレンジイソシアネート)」プレポリマーをベースにした高性能樹脂は、加工が容易で、メーカーだけでなく一般家庭・オフィス・小売でも安全に使うことができる。

 デスクトップ3Dプリンティングの一般的なユーザーは生産性を高めるため、シンプルで使いやすい樹脂を求めており、樹脂は室温で液体あるいは低融点(40℃未満)で、非常に低い粘度(3000cP未満)でなければならない。高性能「LF pPDI」プレポリマーは、より低い粘度に設計することができる。

 また、LF技術によりインクの反応性を制御でき、生産性向上のためにゲル化時間を調整することも可能だ。樹脂を硬化させることなく数日間安定に保ち、使用時に数秒で硬化を引き起こすこともできる。「アディプレンLF pPDI」プレポリマーには室温での硬化のほか、紫外線と熱の両方を使用する二重硬化系の配合もある。

 LFプレポリマーで作られた印刷可能な樹脂は、より高い安定性、より良い表面仕上がりを実現するとともに、必要なポストキュアが最少となるように設計できるため、生産性をさらに向上させられる。また、「アディプレンLF pPDI」プレポリマーの残留イソシアネート量は0.1%未満であるため、危険有害性区分での危険性が低下し、ユーザーを潜在的な暴露から保護する。

 3Dプリンティング技術の主要なユーザーであるフットウェア業界では、ミッドソールやアッパー、かかと・つま先などの構造用部材に3Dプリンティングを利用している。フットウェアの部材は非常に柔らかいエラストマーと、より硬いエラストマーの両方が必要な設計になっている。

 LFプレポリマーは印刷可能な樹脂に配合する際、幅広い柔軟性を備えるため、クッション用の非常に柔らかいエラストマーから構造上必要な部材まで、様々な硬度で印刷することが可能となる。これにより、3Dプリンターによる大量生産のカスタマイゼーションを促進する。

 ランクセスはLFイソシアネートのpPDIベース・プレポリマーシステムを提供する唯一のメーカーであり、グローバルな製造能力を持つ。今後も顧客の固有のニーズに適した迅速な製品カスタマイゼーションを提供していく。

 

旭化成ホームプロダクツ ディズニーキャラのジップロックを限定発売

, ,

2020年2月4日

ディズニーキャラクターをあしらったジップロック
ディズニーキャラクターをあしらったジップロック

 旭化成ホームプロダクツは3日、ディズニーキャラクターをあしらった限定商品「ジップロック フリーザーバック」「ジップロック イージージッパー」「ジップロック スクリューロック」「ジップロック コンテナー」の4種5製品を、3月2日から発売すると発表した。

 毎年、春とハロウィーンに期間限定で登場する人気のディズニーキャラクターデザインの「ジップロック」シリーズが、スポーツテイストで今年も登場。近年高まりをみせているスポーツ気運に合わせ、〝ミッキーマウス〟や〝ミニーマウス〟〝ドナルドダック〟〝デイジーダック〟のディズニーの仲間たちが、テニスやサッカー、野球、水泳、柔道など人気スポーツを楽しむ様子がデザインに施されている。

 「ジップロック」は、昨年5月に整理・収納に便利な新商品「ジップロック スタイル」を発売し、食品保存に留まらない様々なシーンで愛用されている。今回のデザインも、春のピクニックやスポーツ観戦など様々なシーンで活躍しそうだ。

NEDO 小型軽量な自然冷却型有機熱電モジュール開発

, ,

2020年2月4日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、有機熱電材料で作るモジュールの熱と電気の抵抗を最適化し、自然冷却が可能な有機熱電モジュールを世界で初めて開発した。

 100~120℃の低温熱源に設置するだけで、測定データなどを無線通信するための十分な電力が得られることを実証した。さまざまな場所の未利用の低温熱源から電力を得ることで、IoT社会に欠かせない無線センサーネットワーク機器への実装が期待される。

 さまざまな情報をリアルタイムで相互通信するIoTは加速的に実用化が進むと期待されており、その市場規模は今年8兆円を超えると予測されている。IoTには、無線通信技術が必須だが、電源が有線であっては意味がないため自立型電源の開発も必要となる。

 有機熱電材料は、非常にフレキシブルな熱電材料で、加えて安価な原料と簡易なプロセスで素子が作製できるため、製造コストの低さと製造時の省エネルギー効果からも有望な材料。NEDOは有機熱電変換材料の開発とモジュール化の技術開発事業に注力しており、今回、産総研は電気抵抗と熱抵抗を最適化した構造の有機熱電モジュールを製作した。

 導電性高分子として知られる「PEDOT/PSS」を基本材料にしたモジュールの導電部材(金属)の熱伝導が大きいことがモジュール全体の特性を制限していることに着目。導電部材の電気抵抗と部材間の接触電気抵抗をできるだけ増やさずに熱抵抗を可能な限り高める新たな設計を行った結果、この有機熱電モジュールを100~120℃の低温熱源に設置するだけで、測定データなどの無線通信に十分な電力が得られることをスマートフォン用無線温度・湿度センサーを用いて実証した。自然冷却で無線通信用電源として動作できる有機熱電モジュールは世界初となる。

 今回開発した有機熱電モジュールは、放熱フィンなどを使わない自然冷却でも無線センサー用電源として利用できるため、小型・軽量で製造コストが低い上に、冷却のためのコストとエネルギーが不要。熱さえあればすぐに使えるため実用範囲が大きく広がり、様々な場所の未利用の低温熱源から電力を得られるので、無線センサーネットワーク機器などの電源として搭載することで、IoT機器の実用化が加速的に進むことが期待される。

 今後、NEDOと産総研は、有機熱電材料のさらなる特性向上とモジュール構造の改良を行い、より低温の熱源で使用できる有機熱電モジュールの設計開発を進めていく。

大日本住友 AI活用の新薬候補でフェーズ1試験を開始

, , , ,

2020年2月3日

 大日本住友製薬は英国のExscientia(エクセンシア)との共同研究を通じ、人工知能(AI)を活用して創製した「DSP‐1181」のフェーズ1試験を日本で開始した。今後、大日本住友製薬は強迫性障害を予定適応症として同剤の開発を進める予定。

 同剤は大日本住友製薬のモノアミンGPCR創薬での創薬経験・知識と、エクセンシア独自のAI創薬プラットフォームの融合による共同研究を通じて見出だされた。その高い相乗効果により、業界平均4年半を要するとされる探索研究を、12カ月未満で完了した。

 同剤は長時間にわたりセロトニン5‐HT1A受容体に作用する強力なアゴニスト。大日本住友製薬は研究重点3領域の1つである精神神経領域で、アンメット・メディカル・ニーズに応える開発パイプラインを拡充することができた。

 大日本住友製薬の木村徹取締役常務執行役員シニアリサーチディレクターは「この研究で、非常に短期間に新薬候補化合物を生み出した成果にとても満足している。エクセンシアの優れたAI技術と、当社のモノアミンGPCR創薬に関する深い経験値が、相乗的に働いた大きな成果と言える」と話している。

東レ ナノ積層技術で正面透過・斜め反射フィルムを創出

, , , , , ,

2020年1月30日

HUDのデモ。左側は「ピカサスVT」を貼っているため、風景も文字情報もはっきり見える
HUDのデモ。左側は「ピカサスVT」を貼っているため、風景も文字情報もはっきり見える

 東レは29日、正面からの光はガラスのように透過し、斜めからの光は鏡のように反射する世界初の光学機能を備えたフィルム「PICASUS(ピカサス)VT」を創出したと発表した。

 従来の材料では不可能だった機能により、市場拡大が見込まれるAR(拡張現実)やMR(複合現実)用途でのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)やHUD(ヘッドアップディスプレイ)向けや、のぞき見防止フィルム、ディスプレイ用フィルムなどへの展開が期待できる。

 一般的な光学材料では、透明なガラスやプラスチックのように正面・斜めいずれの方向から入射した光もほぼ透過する素材や、金属膜のようにいずれの方向からも入射した光を反射する素材がある。一方、正面からの光は高い透過率で透過し、斜めからの光は高反射するといった光の指向性をコントロールできる光学素材はこれまでなかった。

 今回、同社が開発した「ピカサスVT」は、独自のナノ積層技術を駆使するとともに、新規の光学設計に基づいた樹脂屈折率の高精度制御により、正面からの光を透過し、斜めからの光を反射するという全く新しい機能を発現させることに成功した。

 従来のナノ積層フィルム「ピカサス」は、ナノメートルスケールの厚みの層を数百~1000層重ねることで特定の波長の光を反射させる機能を備えているが、今回の「ピカサスVT」では、特性の違う2種類のPETを組み合わせことで、さらに光の反射・透過の指向性までを制御したものとなった。

 この新規光学フィルムをAR・VR用のHMDやHUDに用いた場合、透明なガラスやプラスチックと同様に風景の視認性は維持しつつ、従来に比べて、投影情報をはっきりと表示することが可能だ。

 他の用途としては、正面透過性と全方位からの光を反射する機能を生かしたPCやスマートフォン向けの覗き見防止フィルムや、後加工・組み立てに適した平面性と全方位に対する集光機能を生かしたディスプレイ用集光フィルムなどが想定され、ディスプレイの機能向上に貢献することができる。

 今後、展示会への出展などにより周知を図り、顧客ニーズを探っていく。そして、ビジネスモデルを含めた研究開発やサンプルワークを進め、3年後の実用化を目指していく方針だ。なお、同技術は東京ビッグサイトで31日まで開催されている「nano tech 2020(第19回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議)」で展示している。

NEDOなど 陽電子放射断層撮影装置検査用に結晶の製造技術を確立

, , , , ,

2020年1月27日

直径4インチのCe:GAGGシンチレーター結晶
直径4インチのCe:GAGGシンチレーター結晶

 NEDO・C&A・東北大学は、陽電子放射断層撮影装置(PET)検査用のセリウム添加ガドリニウムアルミニウムガリウムガーネット(Ce:GAGG)シンチレーター結晶を、直径4インチ径で製造する技術を確立した。

 この技術を活用することで、PETに使うシンチレーター結晶の高速時間応答・高発光量・高感度化などが見込まれ、PETの解像度が向上することから、より早期での小さながんの発見が可能となり、がん患者の医療費削減とQOL(生活の質)向上に寄与することが期待される。

 がん細胞の検知やアルツハイマー病の部位の同定で、PETによる検査が行われている。PET検査ではポジトロン(陽電子)を発生する薬剤を体内に注入し、ポジトロン核種が放出する放射線を特殊なカメラで検出することで、脳や心臓などに薬剤が集積する様子を断層写真に収める。

 PETのセンサーヘッドは、ポジトロン核種からの放射線を光に変換する結晶(シンチレーター結晶)と受光素子から成る、放射線検出器で構成されているため、PETの高性能化には、高速時間応答・高発光量・高感度で高いエネルギー分解能を持つ、シンチレーター結晶が必要だ。

 現行のPET用シンチレーター結晶には、セリウム添加ルテチウムイットリウムオルソシリケートなどが使われているが、精密な温度制御が要求されるほか、原料の大部分を中国産に依存していることに加え、価格が高騰しているなど、供給が不安定という課題があった。

 Ce:GAGGは従来のPET用シンチレーター結晶材料と比べ2倍程度の発光量を持つため、PET用シンチレーター結晶の高発光量化・高感度化によるPETの特性向上が見込めるが、蛍光寿命が長くPETには適していなかった。今回、最適な共添加剤とその最適濃度を見出だし、高い発光量を保ちつつ蛍光寿命を短くすることで、高速時間応答を実現し、PETにも適用できるようになった。

 すでに乳がん用PETだけでなく、局部用PETや環境モニター用コンプトンカメラ、欧州原子核研究機構(CERN)の次世代検出器、イタリア国立天体物理学研究所(INAF)の放射線天文学用検出器などへの採用の検討も本格的に始まっており、引き続き世界の放射線検出器・非破壊検査装置・医療画像装置への採用を目指す。

大日本印刷 5Gスマホ向け超薄型放熱部品を開発

, ,

2020年1月27日

 大日本印刷(DNP)はこのほど、第5世代通信規格(5G)スマートフォン(スマホ)向け放熱部品事業に本格参入し、従来品に比べて、同等以上の放熱性能を保持しながら、厚みを約3割薄くした0.25㎜厚の放熱部品「べーパーチャンバー」を開発したと発表した。

 放熱部品の薄型化により、バッテリー容量の大型化に必要なスペースを確保することが可能になり、スマホの薄型化と発熱対策を両立するソリューションをスマホメーカーに提供していく。

 5Gに対応したスマホの普及が見込まれる中、大容量・高速通信によるデータ処理量の増加に伴うアプリケーションプロセッサや通信用ICなどの過熱への対策が課題となっている。また、5G化によって搭載部品の点数が増え、消費電力の増加によりバッテリーサイズが大きくなる一方で、消費者から薄型スマートフォンへの強いニーズがあり、より薄い放熱部品が求められている。

 「べーパーチャンバー」は、平板状の金属板を貼り合わせた中空構造で流路が配置され、内部には純水などの液体が封入されている。この液体が蒸発と凝縮を繰り返しながら熱を輸送することで、ICなどの熱源部分の温度上昇を抑制する機能がある。

 今後、DNPは、今秋までに今回開発した0.25㎜厚の超薄型「べーパーチャンバー」の量産を開始し、さらに薄い0・20㎜厚の製品開発を行い、2025年度に年間200億円の売上を目指す。

神戸大など 糖で微生物を制御しポリマー原料生産向上

, , ,

2020年1月24日

PMPE技術による大腸菌を用いたモノづくりのイメージ図
PMPE技術による大腸菌を用いたモノづくりのイメージ

 神戸大学などの研究グループは、糖を使い分けることで微生物の増殖と物質生産を独立してコントロールする「Parallel Metabolic Pathway Engineering(PMPE)」という新しい技術を開発し、ナイロンの前駆体となるムコン酸の生産性向上に成功した。

 神戸大学大学院工学研究科の藤原良介博士後期課程学生(日本学術振興会特別研究員DC1)、田中勉准教授、理化学研究所環境資源科学研究センターの野田修平研究員らの研究グループは、科学技術振興機構(JST)などの助成を受け新技術の開発に取り組んだ。

 同研究では、食糧生産と競合しないリグノセルロース系バイオマスの、主な加水分解物の糖であるグルコースとキシロースに着目。このグルコースをモノづくりに、キシロースを微生物の増殖に使えるような代謝デザインを施した大腸菌を構築した。

 微生物を利用したモノづくりでは、原料が微生物自身の増殖などに利用されるため目的生産物の生産性が低下する一方、増殖を制限すると微生物が弱り全体の生産量が減るという問題がある。これは、通常の微生物では、取り込んだグルコースとキシロースを1つの代謝系で代謝し、目的物質を生産すると同時に微生物が生きるために使用するため。

 そこで、PMPE技術では、微生物の代謝を2つに分けて糖代謝を独立させることにより、グルコースは全て目的物質の生産に、キシロースは微生物の生育・維持のために使われるようにした。グルコースは生育・維持のためには一切使われないため、収率を大きく向上させる。

 同研究では、改変した大腸菌にムコン酸生産経路を導入し、グルコースとキシロースからムコン酸生産を行い、最終的にムコン酸を4.26g/ℓ生産することに成功した。その収率(理論上の最大収量に対する実収量)は世界最高値となる、1gのグルコース当り0.31gとなった。

 さらに、PMPE技術の他の目的生産物への応用を検討した結果、芳香族化合物であり必須アミノ酸でもあるフェニルアラニンや、食品や医薬品の添加剤として用いられる1,2‐プロパンジオールの生産性を向上することにも成功。PMPE技術が様々な物質の生産性・収率の向上に有効であり、汎用性の高い技術であることを示した。

 糖を使い分けさせることで微生物の代謝を制御するPMPE技術により、さまざまな糖類が混在する実バイオマスの有効利用にも大きく貢献できると考えられている。

宇部興産 グループ2社が射出成形機の新シリーズ発売

, , , ,

2020年1月24日

射出成形機の新シリーズ機「emⅢ」
射出成形機の新シリーズ機「emⅢ」

 宇部興産グループのU‐MHIプラテックとU&Mプラスチックソリューションズはこのほど、射出成形機の新シリーズ機「emⅢ(イーエム・スリー)」を開発し、販売を開始したと発表した。

 従来の「emⅡ」シリーズに比べ、省スペース・省エネ性能をさらに進化させ、12年ぶりの新シリーズとして上市した。「em」シリーズは型締構造が2プラテン式の電動射出成形機として、2001年に誕生。2008年にはさらに「emⅡ」「emR」の両シリーズを相次いで発売し、国内外の顧客に納入してきた。

 新製品は従来のシリーズと同様に、自動車や二輪、家電、産業資材、住宅設備など、国内外の幅広い業種の顧客に向けてPRする予定だ。

 型締力1300tのタイプに続き、型締力1050tも年内に販売開始する計画。省スペース性は2プラテン機の特長だが、「emⅢ(1300t)」は、さらにマシン全長を短縮。トグル式射出成形機の650tクラスのコンパクトな機長を実現した。設置スペースの確保がしやすく、工場内のレイアウトがより検討しやすくなる。

 また、マシンの高さを下げ、「emⅡ」では必要だった作業床を不要にした。操作盤、型盤内へ簡単にアクセスでき、作業性・メンテナンス性がアップした。消費電力は従来機より20%以上低減。作動油量やグリス消費量も減り、ランニングコストを低減させた。

 ドライサイクルは、従来機に比べ30%短縮し、業界最速を実現。ハイサイクル成形により生産性向上に貢献する。オプションで工場監視・稼働実績・アラーム履歴・品質管理・品質分析に対応する。

BASF PPSUで新製品、射出成形の流動性を向上

, , ,

2020年1月24日

 BASFは低粘度グレードである「ウルトラゾーンP」の製品ラインアップを拡充している。

 「ウルトラゾーンP2010」は新しいポリフェニルスルホン(PPSU)で、「ウルトラゾーンP」の優れた機械特性を維持しつつ、射出成形での流動性を向上した。これにより、外食産業や航空機内での使用に適した洗練されたデザインの食器や耐熱容器など、より大きく複雑な形状の部品を製造することが可能になった。

 さらに、低い射出圧力と温度で充填できるため、原材料を加工する際のエネルギー消費量と部品重量を減らすことができる。「ウルトラゾーンP2010」ナチュラル(透明色)を、現在グローバルで販売している。

 新素材は高い耐薬品性と134℃までの過熱蒸気滅菌への耐性、耐火性、既存の「ウルトラゾーンP3010」が持つ優れた衝撃耐性と安定性をも兼ね備えている。ノッチ付き衝撃強度は、他の非晶質構造を持つ耐熱素材に比べ約10倍で、高温でも耐性を発揮するため、洗浄と消毒を繰り返してもほとんど影響がない。

 透明高耐熱プラスチックは、EUと米国で食品の接触に対する適合性が認められている。最適な用途の1つが外食産業や航空機用設備。容器や鍋は調理だけでなく、食品の保存や保温にも使用できる。

 ホテルやレストランでは、滅菌と洗浄剤に対する高い耐性が求められ、航空機内では耐火性が特に重要となる。このため、火災時に熱や有害物質の放出が少ない難燃性の特殊プラスチックは、食器だけではなく、座席や照明器具、通気孔、頭上の荷物棚などにも理想的だ。

 「ウルトラゾーン」はポリエーテルスルホン「ウルトラゾーンE」、ポリスルホン「ウルトラゾーンS」、ポリフェニルスルホン「ウルトラゾーンP」を含む、BASFのスルホン系樹脂製品群の登録商標。これらの高性能素材は、電子機器・自動車・航空宇宙産業にとどまらず、ろ過用メンブレンや、温水や食品と接する部品にも使われている。

 「ウルトラゾーン」ブランドは優れた特性により、熱硬化性樹脂・金属・セラミックの代替として利用されている。