クラレ NISSHAと共同で「クラリーノ」の成形技術を開発

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2019年12月23日

 クラレは20日、NISSHA(京都市)と共同で、人工皮革「クラリーノ」を使用した「マテリアルインサート」として、「『マテリアルインサート』with『クラリーノ』」を開発し、両社の販売チャネルを通じて販売を開始すると発表した。

立体的な造形にも対応できる
立体的な造形にも対応できる

 「クラリーノ」は高級感がありながら、機能性やメンテナンス性に優れたクラレの人工皮革。「マテリアルインサート」は布や木など素材の持つ触感や特性を、そのまま活用することが可能な、NISSHAのインサート成形技術である。光透過やタッチスイッチなどの機能付加にも対応できる。

 NISSHAの持つ高度な印刷・成形技術と、「クラリーノ」の持つ素材特性のコラボレーションにより、高い質感と信頼性、美しさを兼ね備えた「『マテリアルインサート』with『クラリーノ』」が生まれた。これにより、「クラリーノ」を自由な形状にインサート成形することができる。

 複雑で立体的な造形や機能付加にも対応し、シームレスかつスタイリッシュなデザインと設計に貢献する。主な対象市場として、CASEの潮流の中で、シームレスな内装や新たなユーザーインターフェースへの需要が高まっている、自動車などのモビリティ、ライフスタイルに調和する外装が求められている、コンシューマー・エレクトロニクスなどを想定している。

ダイセル・北大 AD予防に植物性セラミドの有効性を発見

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2019年12月23日

 ダイセルはこのほど、北海道大学との共同研究により、同社の機能性食品素材である植物性(こんにゃく由来)のセラミドが、アルツハイマー病(AD)の発症を予防する効果を持つことを発見したと発表した。

 こんにゃくセラミドは全身のうるおいを保つ効果を持ち、美容サプリメントや飲料などに使用されている。ダイセルと北大は、2016年に同学内の「次世代物質生命科学研究センター」内に共同で設置した産業創出講座を中心に、こんにゃくセラミドなど、同社の機能性食品素材の効能を研究してきた。そして今回、北大の五十嵐靖之招聘客員教授、湯山耕平特任准教授らとの研究により、こんにゃくセラミドにAD発症の予防効果があることを発見した。

 ADの発症は「アミロイドβペプチド(Aβ)」が脳内に過度に蓄積することが原因の1つとされる。五十嵐教授らのグループは、Aβが「エクソソーム」という物質と結合することで分解・除去されることを解明してきた。

 今回の研究では、Aβが過剰に発現したマウスに対し、こんにゃくセラミド1日1㎎の経口投与を2週間継続したところ、血液・脳内のエクソソーム量の上昇などが確認され、こんにゃくセラミドに神経細胞由来のエクソソーム分泌を促す作用があることを確認。さらに、増加したエクソソームがAβを分解・除去し、脳内のAβ濃度が低下して、短期記憶の改善効果が認められた。

 こんにゃくセラミドは、AD発症を防止できる可能性があり、今回の知見は新たな機能性食品や新薬開発に繋がることが考えられる。両者は今後、さらにヒト介入試験により、こんにゃくセラミドの認知機能改善効果について検証していく予定だ。

 なお、この研究の成果は、11月14日公開の「Scientific Reports誌」に掲載された。ダイセルは今後も、社会的課題の解決に貢献する素材を提供していく考えだ。

東レ 5G回路基板向け革新的なPPSフィルムを開発

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2019年12月20日

 東レは19日、従来に比べて40℃以上耐熱性を高め、融点に近い温度でも変形しにくい寸法安定性を持つPPSフィルムを創出したと発表した。

PPSフィルムを使用したロールサンプル(右)とFPCケーブル
PPSフィルムを使用したロールサンプル(右)とFPCケーブル

 同開発品を5Gなどに用いられる高速伝送用のフレキシブルプリント基板(FPC)に適用することで、通信デバイスの高周波での伝送ロスを低減し、高温・高湿度などの幅広い環境での高速通信を安定させることが期待できる。すでにパイロットスケールでの技術確立が完了。今後、2020年度中に量産体制を整え、急拡大する5G向け通信機器の早期普及に貢献していく。

 5Gは、高速・大容量・多数の同時アクセス、低遅延を可能にする次世代の通信技術として注目が高まっている。ただ、FPCを構成する基板材料には、高周波数帯域で伝送ロスを少なくする誘電特性と、回路基板加工時のはんだに対する耐熱性などの特性が要求される。すでに、液晶ポリマー(LCP)フィルムが実用化されているものの、高コストに加え加工性に課題があった。

 こうした中、同社はオンリーワン製品である二軸延伸PPSフィルム「トレリナ」の特性を維持しつつ、5Gに対応する製品開発に注力。PPSフィルムは、優れた難燃性・耐薬品性に加え、高周波数でも伝送損失が小さく、特に温度や湿度の影響を受けにくいといった性質を持つ一方、高温域ではフィルム自体が変形しやすく、回路基板への加工時のはんだ耐熱性が不足していた。

 そこで同社は、PPSフィルムの結晶構造を制御する独自技術を開発し、耐熱性を大幅に高めることに成功。開発品は、250℃の加熱テストでフィルムが変形しないことを確認しており、耐熱性を高めたことで既存の加工設備が使用できるようになった。

 一方、長年蓄積してきたフィルム内の分子鎖の配向を制御する技術により、低い厚み方向の熱膨張係数98ppm/℃も実現。これにより回路基板の多層化による小型化設計が可能となった。これらの特長を生かし、5G用の伝送ケーブルやアンテナなど幅広い用途への展開が期待できる。

 同社は、開発品の高い熱寸法安定性とコスト競争力のメリットを生かし、まずは5Gスマートフォンを中心としたFPC市場での採用を進める。すでにサンプルワークを開始しており、顧客からは高い評価を得ているもよう。さらに車載用途や基地局用途など、5Gの普及に合わせ用途展開に注力し、5、6年後には同製品の売上規模20億~30億円を目指していく考えだ。

ソルベイ AM用新製品「ソレフPVDF AM」を発売

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2019年12月19日

 ソルベイはこのほど、高品質付加製造(AM)用材料製品として、「ソレフPVDF(ポリフッ化ビニリデン)AM」フィラメントを発売した。

 この新しい高機能製品は熱溶解フィラメント製法(FFF)向けに開発されたもの。優れた耐薬品性や耐紫外線性、耐候性、耐酸化性など、120℃以下で長期的安定性を発揮する。しかも、きわめて高純度の素材である。

 これらの特長から、とくに屋外の用途や刺激の強い化学物質に曝露される部材に適している。同社のAM材料用Eコマースプラットフォームで、世界中のどこからでも購入できる。

 同社は新製品を通じて、高品質3Dプリンターや印刷ソフトウェアの世界的メーカー、ウルティメーカー社によるマテリアルアライアンス・プログラムに参加している。

 ウルティメーカー社のプリンターを使った業務用3D印刷を最適化するために、現在、「ソレフPVDF AM」フィラメントの印刷プロファイルがウルティメーカー・マーケットプレイスで販売されている。

 同社のマテリアルアライアンスは増大する業務用3D印刷材料の需要に対応することを目的としており、印刷プロファイルの無料ダウンロードサービスを提供する。

 ソルベイのAM用材料には、新製品以外にも医療用グレード・炭素製品充填グレードを含む「キータスパイアPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)」や、「レーデルPPSU(ポリフェニルサルホン)」もある。

NEDO・埼玉大 樹脂素材にも対応できる組み立てロボット開発

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2019年12月16日

 NEDOと埼玉大学はこのほど、興電舎とワコーテックの協力を得て、世界で初めてハイダイナミックレンジ(HDR)力覚センサーを用いた組み立てロボットの開発に成功したと発表した。

HDR力覚センサーを用いた組み立てロボット02
HDR力覚センサーを用いた組み立てロボット

 従来比10倍となる10g重から20㎏重までの力の検出範囲(ダイナミックレンジ)をもつセンサーと、微小な力感覚を認識する人工知能(AI)技術を新たに開発して搭載したことで、ロボットが微小な力を調整しながら繊細な組み立て作業を行えるようになった。

 これにより、傷つきやすい樹脂素材などの対象物でも、力を抑えて組み立てられるほか、組み立て動作の完了を知らせるクリック動作も検知でき、ロボットによる組み立て作業の高度化が期待できる。

 力覚センサーを搭載するロボットが増えているが、力覚センサーのダイナミックレンジが狭いため、微小な力を計測できず、細やかな力加減ができないことが大きな課題となっていた。そこで、NEDOと埼玉大学は2018年度から、高次組み立て動作の自動化を目的に、HDR運動解析技術に基づく組み立てロボットの研究開発プロジェクトを開始した。

 その中で、ワコーテックと協力し、微小な力から大きな力まで広い範囲で検出できるHDR力覚センサーを開発。さらに興電舎の協力も得ることで、同センサーを用いた組み立てロボットの開発に成功した。

 極めて敏感な力感覚をもっているので、羽根のような繊細なものを使ってロボットに触れても検知できる。棒の形状をした部材を同サイズの穴に挿入するペグインホール動作では、樹脂素材でも傷つかない微小な力で触れながら組み立てられる。蓋の組み付けなどの高度な組み立て作業では、成功率を高めるためには作業が成功したか否かを認識し、失敗時には作業をやり直すことで成功率を高められる。

 AIの深層学習により、組み立て作業が成功しなかった場合、動作を微修正してやり直すようにした。人間は繊細に力加減を調整できるようにするために体の剛性を調整していることが知られている。この知見に基づき、組み立て作業に適したロボットの剛性を、強化学習で自律的に学習するAI技術を開発して搭載した。

 今後は、特に樹脂素材や割れやすい素材の組み立てと、複数の手順で構成されるような複雑な組み立てにこの技術を応用する予定だ。

JNC・関学 新たな有機EL青色発光材の説明会を開催

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2019年12月13日

 JNCと関西学院大学は11日、本社で次世代有機EL青色発光材料「ν‐DABNA」の技術説明会を開催した。JNCの松下哲也常務は「短期間で上市できたのは畠山教授のご指導に加え、産学連携により基礎研究と実用化開発の両輪が上手く機能した成果だ。有機ELデバイスの表示特性を向上させたことで、低消費電力化に貢献できたと自負している」と語った。

JNC松下常務
JNC松下常務

 JNCは2011年から同大学の畠山琢次教授(当時京都大学)との共同研究を開始。2014年にはホウ素系青色ドーパントの開発に成功し、2016年に世界最高レベルの効率と色純度を持つ熱活性化遅延蛍光(TADF)材料として論文を発表。2018年にホウ素系青色ドーパント「DABNA」を上市し、大手ディスプレイメーカーのスマートフォンに採用された。

 そして今年7月には、窒素とホウ素の特性を生かして、量子ドットやLEDを超える色純度を持つ「ν‐DABNA」を発表。有機ELディスプレイの高色域化、高輝度化、低消費電力化、ブルーライトの低減などが期待されている。

 畠山教授は「優れた特性を生かし

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NEDO 障害者が文字情報を音声取得できる技術開発

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2019年12月12日

 NEDOはこのほど、「課題解決型福祉用具実用化開発支援事業」に関し、エクスポート・ジャパンが、視覚障害者が商品パッケージなどに印刷されたQRコードから、自分のスマートフォン(スマホ)の設定言語に合わせて、食品の原材料や医薬品の用法用量などの音声情報を得られる技術を開発したと発表した。

 具体的には、視覚障害者がスマホで簡単に読み取りが可能なQRコードや商品パッケージの仕様を、実証実験データの分析・活用により導き出し、これまで点字の利用が困難であった食品や医薬品などに応用することで、視覚障害者が、原材料などの情報を音声取得できるようになった。

 NEDOは、福祉用具の実用化開発を推進し、高齢者や障害者の生活の質(QOL)の向上や介護者の負担軽減を目的とする「課題解決型福祉用具実用化開発支援事業」に取り組んでいる。今後も福祉用具の実用化開発を推進し、高齢者や障害者の積極的な社会参加(ノーマライゼーション)を支援し、豊かさを実感できる社会の実現を目指す方針だ。

凸版印刷・GSIクレオス 生分解性のレジ袋を共同開発

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2019年12月9日

 凸版印刷とGSIクレオスはこのほど、生分解性プラスチックを用いたレジ袋を開発したと発表した。

生分解性プラスチックを使ったレジ袋・ごみ袋・カトラリー
生分解性プラスチックを使ったレジ袋・ごみ袋・カトラリー

 GSIクレオスが供給する生分解性に優れた樹脂「Mater‐Bi(マタビー)」を原料として、凸版印刷がフィルム製造や成型の製造技術力・開発力を生かし、製品化に成功した。従来の石油由来のレジ袋に替わる、自然環境の中で容易に分解されるレジ袋として、コンビニエンスストアなどでの普及を見据えている。

 凸版印刷は、生分解性プラスチック製品を販売品目に追加し、今月からレジ袋やごみ袋、日用品を中心とする製品などの販売を開始する予定だ。生分解性プラは、地中に埋めても微生物によって水と二酸化炭素に分解され、廃棄物発生を抑制する効果が期待されており、環境規制の厳しい欧米では様々な製品で使用されている。

 中でも、植物由来ポリマーやトウモロコシ澱粉を原料とする「マタビー」は、最も欧州で使用実績のある生分解性プラ。海洋分解性をもつことも判明しており、環境負荷を低減する原料として注目を集めている。

 今後、環境規制が強化される社会情勢を背景に、生分解性機能を生かした製品の存在価値は、ますます高まっていく。日本国内でも広く使用されている農業用資材のほかに、今後はレジ袋やカトラリーなどの日用品にもその用途は広がっていくと予想されている。

 凸版印刷とGSIクレオスは持続的な社会の実現のため、環境負荷低減に貢献する製品・商材を提供しており、プラ加工製品についても、製品の調達から廃棄・リサイクルまでのライフサイクル視点で環境・社会的リスクを最小限に抑えるソリューションを展開。今回の共同開発を通じて開発した技術を環境負荷低減のためのソリューションに追加し、様々な社会的課題の解決を図っていく。

 また、両社は今回の共同開発から得た、生分解性プラスチック製品製造技術を活用するとともにさらなる研究を推進。多様なフィルム製品や成型品を開発し、2025年度に関連受注を含め20億円の売上を目指す方針だ。

宇部興産建材 コメ保管に新提案、珪藻土アイテムを発売

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2019年12月6日

 宇部興産建材はこのほど、ナノテクノロジーを用いた国産のスーパー珪藻土で作られた、コメの形をした珪藻土アイテム「なのらぼ お米の守り神」の販売を開始した。同製品を使用することで、コメの保管の悩みであるニオイや虫を防ぐことに加え、珪藻土ならではの調湿機能で、コメを長期間美味しく保つことができる。

 一般的にコメにとって最適な湿度は60%、最適な水分量は15%と言われている。通年を通してこの環境を一般家庭で作り続けるのは困難だが、今回、開発した「なのらぼ お米の守り神」は、吸湿と放湿を繰り返し、いつでもコメを美味しく食べられる状態を維持することができる。

 また、コストパフォーマンスも高い。他のコメ用の防虫アイテムと違い、効果期限がなく、繰り返し使用できることから、単純に防虫・脱臭効果をコスト比較すると10年間で約13倍も違ってくる。なお、販売価格は890円(税別)。詳細はホームページ(https://www.ub-soukai.jp/SHOP/)まで。

カネカ くも膜下出血治療用の脳動脈瘤塞栓コイルを発売

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2019年12月4日

 カネカはこのほど、血管内治療に用いる医療機器である脳動脈瘤塞栓コイルの新製品「i‐EDコイル」を開発し、先月から日本での販売を開始したと発表した。同製品は、カテーテルの中を通して動脈瘤内に送り込み、動脈瘤に血液が入らないようにする。

塞栓コイル(i-EDコイル) 
塞栓コイル(i-EDコイル)

 脳動脈瘤とは脳の動脈に発生するこぶで、破裂すると、致死率が高く極めて危険なくも膜下出血を発症する。治療方法としては、開頭して金属製のクリップで破裂した動脈瘤を挟み込むことで再出血を防ぐ外科治療や、カテーテルを使って血管の内側から破裂した動脈瘤内に塞栓コイルを詰める血管内治療がある。

 最近では、体への負担が少ないことから塞栓コイルを使う血管内治療の割合が年々高まり、くも膜下出血治療の第一の選択肢になりつつある。

 また、画像診断技術の発達により、未破裂の動脈瘤がくも膜下出血発症前に発見される事例が増えており、こうした未破裂の動脈瘤の破裂を予防するために、塞栓コイルを使う血管内治療が行われる割合も高まっている。

 同社は今回、塞栓コイルの原材料になる金属線の太さの最適化や構造の工夫などにより、コイルの柔軟性を世界最高レベルに高めた製品を開発した。同製品の使用により、動脈瘤内にコイルをより高密度に詰められるだけでなく、動脈瘤の壁の一部が突出したような不規則な形状の動脈瘤にも対応できることから、動脈瘤の破裂のリスクを低減できる。

 高齢化の進行、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の増加により、患者数はさらに増えることが予想される中、脳動脈瘤に対する治療効果の向上が期待されている。

 同社は今後も、塞栓コイルをはじめとする脳血管疾患用の血管内治療製品のラインアップ拡充を進めるだけでなく、診断や予防といった治療以外の領域に対するソリューションを提供することで、脳血管疾患への様々な課題の解決に貢献していく考えだ。

 なお同製品は、米国食品医薬品局(FDA)に申請中で、承認を取得後は米国でも販売を開始する予定。2023年にはグローバルでの売上高100億円を目指す。