DNPと東京大学 スキンディスプレイのフルカラー化に成功

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2020年7月16日

 大日本印刷(DNP)と東京大学の染谷隆夫教授の研究チームは、独自の伸縮性ハイブリッド電子実装技術を進化させ、薄型で伸縮自在なフルカラーのスキンディスプレイと駆動・通信回路および電源を一体化した表示デバイスの製造に成功した。

 薄型で伸縮自在なフルカラースキンディスプレイ。
薄型で伸縮自在なフルカラースキンディスプレイ。

 同装置は、皮膚上に貼り付けたディスプレイに外部から送られた画像メッセージを表示できるコミュニケーションシステム。人に優しいスキンエレクトロニクスによって、スマートフォンやタブレット端末よりも情報への利用しやすさが大幅に向上し、子どもから高齢者まで、全世代のQOL向上への貢献が期待される。

 ウィズコロナ・アフターコロナの社会では、距離を隔てた状況でのコミュニケーションのあり方が重要になる。相手を身近に感じる効果を期待し、体表に近いところで情報を見たり、センシングしたりできる技術として、スキンセンサーやスキンディスプレイの開発が進められている。

 今回の研究のポイントとして、①曲面形状に追従できる伸縮性ハイブリッド電子実装技術で使用できる部品の選択肢が広がり実用化に目途。スキンディスプレイの表現力を高めるフルカラー化に成功した。②配線の信頼性を向上し、駆動・通信回路や電源も一体化したことで、様々なものに簡易に貼り付け可能。③遠隔コミュニケーションでの感情伝達を補う効果として、今までにない姿の応援メッセージを送るなど、情報伝達の利便性を発揮できる、などが挙げられる。

 両者は今後、これらの体表面に近いところで表示するセンシングデバイスのコミュニケ―ションに与える効果について検証する研究も継続。またDNPは、間もなくスキンエレクトロニクスの実用化検証を開始する予定だ。

帝人フロンティア ウイルス2次感染リスクを減らすシェルター発売

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2020年7月16日

 帝人フロンティアはこのほど、ウイルスによる2次感染リスクを低減する陰圧「エアロシェルター」を開発し、8月下旬から販売を開始すると発表した。

陰圧「エアロシェルター」の外観
陰圧「エアロシェルター」の外観

 空気を注入し設営する超軽量大型テントの「エアロシェルター」は、内気圧を外部より約3パスカル低い陰圧状態に保つことで、ウイルスなどに汚染されたテント内の空気の流出を低減する。さらに、空気清浄装置に搭載する酵素HEPAフィルターを通して、テント内部の空気を浄化するとともに、1時間あたり6回以上の換気を確保することで、米国疾病予防管理センター(CDC) のガイドラインをクリアすることが可能だ。

 こうした機能から、感染症の疑いのある患者の検査や診察に適しているほか、発熱者の待機場所や一時的な隔離施設としての利用など感染症対策への貢献が期待される。サイズは、幅8.40m×長さ6.57m×高さ3.9mと広い空間を実現しながらも、本体重量は約38kg(乾燥時)と軽量。ポリエステル100%の素材を使い、7色(蛍光ホワイト、蛍光オレンジ、蛍光イエロー、蛍光グリーン、パープル、サックス、グレー)をラインアップした。本体価格は380万円(税別)。医療機関や官公庁などを対象に、今年度に5機、2025年度に30機の販売を目指す。

陰圧「エアロシェルター」の内観
陰圧「エアロシェルター」の内観

 「エアロシェルター」の他の特長に、空気注入によるテント本体の展開が約5分、空気清浄装置への接続を含めても大人2人で約30分と、迅速な設置への対応がある。また、内部の有効面積約40㎡の標準タイプでは、テント内に医療用ベッド(83cm×191cm)を4台収容できる一方で、平常時は空気を抜くことで70cm×70cm×80cm程度のコンパクトな収納が可能。

 テント内部には、患者同士のプライバシーを保護するファスナー脱着式の間仕切りを備え、独立電源を利用した除菌・防臭・防カビ効果を発揮するLED照明(6本まで)、スポットエアコンの使用を想定した熱風の排気口なども装備する。

VEC 斉藤会長「リサイクル含め環境対策に注力」

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2020年7月16日

1-6月期総出荷7%減、輸出回復も国内低水準

 塩ビ工業・環境協会(VEC)は15日、理事会後に定例記者会見を開催した。その中で、新会長に就任した斉藤恭彦会長(信越化学工業社長)は、「当協会としては、リサイクルを含めた環境対策など、取り組むべき課題が多くあり、それらを効率的に進めていきたい。日本だけではなく、欧米やアジア地域の同様な活動を行う団体と連携を図りながら、また

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DIC 全事業対象に「サステナビリティ指標」を設定

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2020年7月15日

 DICはこのほど、全ての事業を対象に「環境負荷の低減」と「社会への貢献」を測るものさしとして、グループの「サステナビリティ指標」を設定した。

DICグループのサステナビリティ指標概念図
DICグループのサステナビリティ指標概念図

 同社は、中期経営計画「DIC111」に基づき、利益貢献につながる「経済的価値」と社会貢献につながる「社会的価値」が両立する事業領域の確立を目指しており、化学メーカーとして様々な社会課題に対する解決策を提供することで持続可能な社会の実現に取り組んでいる。

 今回策定したサステナビリティ指標は、廃プラスチック問題などに代表される社会課題に対し、同社が為しうる「社会的価値」を客観的に示す指標となるもの。具体的には、バリューチェーンでの原料調達から製品出荷までにかかる「環境負荷の低減」と、製品出荷から使用後までに果たす「社会への貢献」の2つの要素を同時に評価することで、事業と製品が社会的価値の向上につながっているかを、全てのステークホルダーに客観的かつ分かりやすく示していく。

 同社ではすでに食に関する社会への貢献をテーマに、「脱プラスチック」「フードロス削減」「食の多様化・バリアフリー」などにつながる技術・製品開発に注力しているが、今回設定したサステナビリティ指標を通じて、こうした社会への貢献に重点化した事業ポートフォリオへの転換を一層促進していく考えだ。

 今後は、全ての事業がサステナビリティ指標の評価対象となるため、各事業の評価を行った上で、2022年度から始まる次期中期経営計画にグループの目標値を設定する計画。

 DICのサステナビリティへの積極的な活動は、評価が高い。代表的なものでは「ダウジョーンズサステナビリティインデックス アジアパシフィック(DJSI AP)」の構成銘柄に5年連続採用されるなど、国内外のESG投資の構成銘柄に選定されている。これからも、サステナビリティ指標の運用を通じて、バリューチェーン全体に関わる同社のリスクと機会を特定し、的確な対策を進めることで、世界的な取り組み「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に貢献し、社会から愛され、尊敬される企業を目指す。

 

ハイケムなど CO2からPXを製造する技術開発に着手

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2020年7月15日

 C1化学を進展させ川上・川下の事業拡大図るハイケムは14日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「CO2を原料としたパラキシレン(PX)製造に関する技術開発」事業に参画し、共同開発に着手すると発表した。

 同事業では、CO2を原料としたPX製造に向けた画期的な触媒の改良や量産技術の開発、プロセス開発を実施するとともに、経済性やCO2削減効果を含めた事業性の検討を行う。PXはポリエステル繊維やペットボトルなどの生産に必要となる重要な化学品だが、これをCO2から工業的に製造する実用的な技術はまだ確立されていない。

 同事業にはハイケムをはじめ、富山大学、千代田化工建設、日鉄エンジニアリング、日本製鉄、三菱商事の6者が参画。カーボンリサイクル技術の世界最先端の取り組みを通じてCO2を原料としたPX製造の実用化を目指す。事業期間は今年度から2023年度まで。予算は19億9000万円。

 火力発電などから排出されるCO2の削減は気候変動対策として重要であり、またCO2を資源として捉えて回収し、有効利用する「カーボンリサイクル技術」の開発が求められている。経済産業省は昨年6月「カーボンリサイクル技術ロードマップ」を策定し、その中でCO2を素材や燃料へ利用することなどを通して、大気中へのCO2排出を抑制していく方針を示した。こうした中、NEDOは、既存の化石燃料由来化学品に代替することを目的とする化学品へのCO2利用技術の開発として、今回の取り組みを開始し、共同研究者6者を委託先として採択した。

 PXは、高純度テレフタル酸(PTA)を経由してポリエステル繊維やペットボトル用樹脂などに加工される化合物であり、工業上、極めて重要な基礎化学品。その組成から、化学品を製造するカーボンリサイクル技術の中では水素原料の使用量を抑えながらCO2を固定化できる特長があり、経済的観点と環境的観点、いずれの意味でも大いなる可能性を秘める。PXの世界需要は約4900万t/年あり、仮に現在の世界のPXの需要を全てCO2原料に切り替えた場合のCO2固定量は1.6億t/年に上る。

 ハイケムらは今回の共同事業を通じ、CO2からPXを製造するための画期的な触媒の改良、量産技術の開発やプロセス開発に加え、全体の経済性やCO2削減効果を含めた事業性検討を行い、実証段階への道筋をつける。

現在の工業的パラキシレンおよびポリエステルの製造の流れ(上)と、今回の新事業の狙い(下)
現在の工業的パラキシレンおよびポリエステルの製造の流れ(上)と、今回の新事業の狙い(下)

昭和電工 高耐湿・高熱伝導の窒化アルミフィラーを開発

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2020年7月15日

 昭和電工は14日、半導体デバイスなどの放熱フィラー用の高耐湿・高熱伝導窒化アルミニウムフィラー(窒化アルミフィラー)を開発し、サンプル提供を開始したと発表した。

窒化アルミニウムフィラー
窒化アルミニウムフィラー

 半導体の高性能化によりデバイス内で発生する熱は増加しているが、デバイス自体の小型化、高集積化の進展により、発生した熱を外部に放熱することが難しくなっている。蓄積された熱は、デバイスそのものだけでなく、これらを組み込んだ電子機器の性能の低下や信頼性、安全性に影響を及ぼす恐れがあり、こうした熱による悪影響を避けるため、発生した熱をいかに素早く除去するかが非常に重要な課題となっている。

 窒化アルミニウムは高い絶縁性、シリコンと同程度の熱膨張係数、半導体製造時に使用される塩素系ガスに対する耐性といった優れた特性を持ち、アルミナや窒化ホウ素などの他のフィラー材料に比べて熱伝導率にも優れている。ただ、水分が付着すると加水分解を起こして腐食性のアンモニアが発生することが問題となっていた。

 こうした中、同社では、窒化アルミニウムの表面に独自の極薄膜による表面処理を行うことで高耐湿性・高熱伝導性のある窒化アルミフィラーの開発に成功。樹脂に充填したときの熱伝導率を低下させることなく、表面処理をしていない窒化アルミニウムに比べてアンモニアの発生を1万分の一に抑えることが可能となった。今後サンプル提供を通じて市場を開拓し、2023年から量産を開始する計画だ。

 同社グループは、個性派企業(収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体)の実現をVision(目指す姿)として掲げている。5GやCASEの進展で今後も高い成長が見込まれる半導体デバイス市場に対し、最適なソリューションを提供し顧客の要望に応え、個性派事業の確立を目指す。

 

ポリスチレン 上期国内出荷は前年同期比11%減

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2020年7月15日

室園会長「PSの有用性とリサイクル特性を訴求」

 日本スチレン工業会は14日、定例会見を開催した。新たに就任した室園康博会長(PSジャパン社長)は、「環境問題が高まる中、ポリスチレンが有用であり、リサイクル可能な環境に優しい素材であることをアピールしなければならない」とした上で、「日本プラスチック工業連盟などと協力しながら、リサイクルの仕組みづくりや技術革新に取り組んでいく」と抱負を語った。

 続いてポリスチレン(PS)とスチレンモノマー(SM)の出荷実績について説明を行った。2020年1-6月期のPSの国内出荷は前年同期比11%減の29万2000tだった。室園会長は、「1-3月期は比較的堅調だったが、4-6月期はコロナの影響により国内出荷が減少した。また7月の

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北海道コカ・コーラ 自動販売機に抗ウイルス・抗菌施工を開始

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2020年7月14日

 北海道コカ・コーラボトリング(札幌市)はこのほど、同社の自動販売機・ディスペンサーへの訪問時のアルコール消毒に加え、ヤマモトホールディングス(千葉県松戸市)の抗ウイルス・抗菌ガラスコーティング「Dr.ハドラスコーティング」による抗ウイルス・抗菌施工を実施すると発表した。 

商品取り出し口 塗布施工イメージ
商品取り出し口 塗布施工イメージ

 消費者の安全・安心につながる取り組みとして、今月上旬より行う。対象は北海道全域の自動販売機(缶、PET機、カップ機)とディスペンサー2000台。公共性の高い施設(公共交通機関、病院、福祉施設など)から始め、順次拡大する予定。抗ウイルス・抗菌ガラスコーティングを商品選択ボタン、コイン・札投入口、おつり返却口、商品取り出し口などに塗布施工し、「SIAAマーク」(抗菌製品技術協議会)を貼り付ける。

 「Dr・ハドラスコーティング」は、対象物に塗布すると、空気中の水分と反応してナノレベルの超薄膜・緻密・高純度無機ガラス膜を作り、ウイルスや菌の増殖を抑制し接触感染を予防する。浸み込む物以外ほとんどの物にコーティング可能で、紫外線に強く、防汚・防キズ効果もあり、使用環境にもよるが5年間持続する。産学連携研究によるもので、今年3月に「SIAAマーク」を取得した。

実施済みステッカー
実施済みステッカー

 今回の施工は同社が行うが、建物内のドアノブやエレベーターの押しボタン、ベンチ、テーブルなどあらゆるものの除菌・抗菌に使用できるため、今後は取引先などへのサービス提供事業として拡大する予定。

 同社は「北の大地とともに」をスローガンに、どさんこ企業として北海道の魅力向上、地域課題の解決、子どもたちが将来の地球の姿を考える場の提供、安全で安心な地域づくりの応援など、事業活動を通じて継続的に推進する考えだ。

AGC 次世代パワー半導体酸化Gaウェハの実用化を加速

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2020年7月14日

 AGCはこのほど、次世代パワー半導体材料開発会社ノベルクリスタルテクノロジー(NCT:埼玉県狭山市)への追加出資を決定した。これにより、2023年のの実用化に向けて開発スピードをさらに加速させる考えだ。

4inch 酸化ガリウム基板(販売中)4inch 酸化ガリウム基板(販売中)
4inch 酸化ガリウム基板(販売中)

 NCTは、タムラ製作所と情報通信研究機構(NICT)により2015年に設立されたベンチャー。17年にはタムラ製作所との共同で、世界初の酸化ガリウムエピタキシャル膜使用のトレンチMOS型パワートランジスタを開発。4インチまでの酸化ガリウムウェハの開発・製造・販売にも成功し、100%近い世界シェアを持つ。

 パワー半導体は、サーバー、自動車、産業用機械、家電製品など様々な電気・電子機器の電力制御を行う電子部品。電力制御モジュールの省エネ化、軽量・小型化に直結するため、低電力損失で耐電圧・大電流特性に優れた半導体材料が求められている。酸化ガリウムはシリコンと比較し、3000倍以上のパワー半導体性能指数(電力損失指数)を持つ次世代パワー半導体材料で、競合のSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)と比べても、より高電圧・大電流で使用できる可能性がある。

6inch 酸化ガリウム基板(開発中)
6inch 酸化ガリウム基板(開発中)

 同社はNCTの高い技術力に、同社がガラス製造で培った高温溶解、研磨加工、洗浄などの無機材料量産技術を生かし、酸化ガリウムの早期量産化と、さらなる高品質化、大型化を目指す。

 AGCグループは、経営方針「AGC plus」でエレクトロニクス事業を戦略事業の1つと位置づけている。成長が見込まれる半導体関連事業に積極的に開発・投資し、半導体産業の発展に貢献していく考えだ。

アジア石化市況 エチレンは上値900ドル/tに上昇

2020年7月14日

 

芳香族はスプレッド悪化、SM市況は回復基調に

 アジア地域の6月第4週の石化市況では、エチレンは、下値ステイ、上値50ドル高の820~900ドル/tでの取引となった。上値が900ドル台となったのは、昨年9月第3週以来約9カ月ぶりとなる。一部顧客でエチレンの引き合いが強まった影響で価格レンジが広がったようだ。ただ、各センターの定修が明け供給が増加してくることから、これまでの騰勢が弱まるとの見方も出ている。スプレッドも

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