日本プラスチック工業連盟がこのほど発表したプラスチック原材料・製品の生産・輸出入状況によると、確報となる4月のプラスチック原材料生産は、前年同月比12%減の75万9000tと2カ月連続で減少した。5月の速報でも同12%減で推移。主要品目のポリエチレンやポリプロピレン、塩化ビニル樹脂は3カ月連続、ポリスチレン(AS樹脂、ABS樹脂含む)は6カ月連続でそれぞれ減少した。
4月のプラスチック製品生産は、
2020年7月9日
2020年7月9日
三井化学は、ヒトの肌に近い感触を備えるゲル新素材を使い、ヒトの拍手に近い音を再現する拍手ハンドを開発し、このほど、バイバイワールド(東京都品川区)のエンターテイメントロボット「ビッグクラッピー」の2020年モデルに採用された。
「ビッグクラッピー」は、拍手と音声で楽しませてくれる拍手ロボット。店頭での販促をはじめ、飲み会やスポーツ観戦など各種イベントでその場を盛り上げてくれる。
よしもとロボット研究所チーフクリエーターも務めたバイバイワールドの髙橋征資代表は、よりヒトに近い拍手音の再現を追求していた。こうした中、東京都中小企業振興公社の紹介が契機となり、両社間で拍手ハンドの開発を開始。三井化学は拍手音を最適化するため、「ビッグクラッピー」の音響テストを実施し、ゲル素材の分子構造を変えることで、様々な硬度や反発性の異なる拍手ハンドを製作した。さらに、音響テストによる時間周波数特性解析を比較することで、ヒトの拍手音に合った広い周波数帯の再現が可能になった。
近年、ロボットをヒトへ近づけていくために、柔らかい素材でできたロボット部品のニーズが高まっている。ゲル新素材は、三井化学の分子設計技術をベースに、10年以上を費やし蓄積したヒトの肌に近い物理特性を自由に制御する技術により開発した。同社のロボット材料事業開発室では、革新的なロボット向けにプラスチック部品の製造販売を行う。
今回の拍手ハンドは、ゲル新素材と金属を一体成型して製造。また、ゲル新素材は、眼科手術練習シミュレーターの眼球モデルへの採用実績もあり、サービスロボットや医療分野など、ヒトの肌に近い柔らかな触感が求められる様々な製品へ応用を図っていく考えだ。
革新的な新商品を生み出すチャレンジには、新しい素材が欠かせない。三井化学は今後も、世の中のイノベーションを促進するため、長年の素材の知見を生かし、新規事業やベンチャー企業をサポートしていく。
なお、「ビッグクラッピー」は、赤い扇風機の羽根の部分をタコの頭にしたような外観で、頭上に掲げた両手でパチパチと拍手するロボット。コミカルな大きい目と、音声に合わせて動く分厚いピンクの唇も特徴の1つ。サイズは高さ900㎜×幅300㎜×奥行340㎜。2個の人感センサーを内蔵し、ヒトの動きを感知して拍手と音声が作動する。電源はACアダプタ仕様。現在、レンタル・販売中。
2020年7月9日
大日本印刷(DNP)は8日、ICタグ(RFID)の導入に向けた効果検証を効率的に実施できるトライアルキット(リーダライタとアプリで構成)を開発し、ICタグを活用した業務効率化の効果をPoC(概念実証)で検証できる「DNP RFID導入検証支援サービス」を開始すると発表した。
新型コロナウイルスの感染防止対策の一環で、非接触での業務が増加しており、数メートル離れていても複数のIDを読み取ることのできるRFIDの導入を検討している企業に対し、計画から評価まで一連の概念実証をスムーズに実施できるよう支援していく。
製造や流通・小売りの企業では、サプライチェーンの中で製品の流れや在庫を可視化し、業務を効率化するRFIDの活用が注目されている。またRFIDで取得したデータの分析から、生活者が求める商品を生産し、店頭に配置して効率よく販売することで、サプライチェーンの各工程で価値を生み出す有用性が期待されている。
RFIDの活用は、事前の導入効果検証や運用を想定した課題の抽出が重要な成功要因だが、これまでは機器の購入や簡易システムの開発など検証準備にかかる負荷が大きく、検証作業の障害となっていた。こうした中、DNPは、効果検証を短期間かつ安価で実施できる導入支援サービスを開始。現場でRFIDを導入するためのPoCを簡易に実施できるようにするために、システム・機器の貸し出しと、現場でのRFID読み取り環境構築のノウハウを提供し、2つのアプリを用いて検証・評価レポートの作成を支援する。
RFIDの読み取りを検証評価する「RFID読取評価アプリ」では、ハンディリーダライタ、据え置き型リーダライタの2タイプの機器を使用して、①RFIDとバーコードとの読み取り速度を比較し、導入効果試算に役立つデータを作成、②RFIDの貼付位置やリーダライタのアンテナの位置の違いによる読み取り速度の差を比較し、最適なRFIDタグの貼付位置や、アンテナ設置位置などを導出、③RFIDを貼付した複数の商品の同時読み取り状況を可視化し、最適な商品の積み付け方を導出、の3つの機能を提供。一方、クラウドサービスである「サプライチェーン業務系アプリ」では、製品の入荷・出荷・棚卸の結果を可視化し、ステータス管理が行える。
今後、DNPは同サービスにより、企業のRFID導入のサポートを通じて、様々な業種・業態でサプライチェーン全体の最適化・スマート化を推進し、生活者を豊かにする社会の構築に貢献していく。
2020年7月9日
三井化学の大牟田工場(福岡県大牟田市)は、同地域を襲った記録的な大雨により今月6日に受電設備が浸水したため、全プラントの生産を停止している状況だ。生産体制の復旧時期は現時点では未定としており、出荷については、当面保有在庫による対応を予定する。8日、同社への取材で分かった。また、同市では相次ぎ浸水被害に見舞われたが、当該地区の同社従業員やその家族の安全は確認済みとのことだった。
大牟田工場では現在、「最高品質光学プラスチックレンズ原料」「地球環境にやさしい農薬」「広範な応用可能性を秘めたウレタン」を3本柱として、メガネレンズ用材料「MR」シリーズ、殺虫剤原体「トレボン」「スタークル」、ウレタン原料「TDI(トリレンジイソシアネート)」などを生産している。
2020年7月9日
PETでトップシェア強化、BSFなどにも期待
東レは、フィルム事業において、コロナ禍や米中貿易戦争の影響により不透明で不安定な状況が続くものの、成長分野での高付加価値品拡大や新製品・新用途の開発・創出の加速により、中期経営課題(2020~22年度)の最終年度には2019年度比で売上収益を20%拡大させる方針だ。
フィルム事業本部長の井上治専務取締役は事業説明会の中で、「自動車ではxEV拡大や自動化の進展で、車載用MLCC(積層セラミックコンデンサ)やバッテリーセパレータフィルム(BSF)、フィルムコンデンサの需要が拡大し、また5GやIoTなど情報インターフェイスの進化により、
2020年7月8日
2020年7月8日
東洋紡をはじめ、プラスチックのバリューチェーンを構成する12社はこのほど、使用済みプラスチックの再資源化事業に取り組む共同出資会社「アールプラスジャパン」(横井恒彦社長、東京都港区)を設立し、先月から事業を開始した。
東洋紡のほか、サントリーMONOZUKURIエキスパート、レンゴー、東洋製罐グループホールディングス、J&T環境、アサヒグループホールディングス、岩谷産業、大日本印刷、凸版印刷、フジシール、北海製罐、吉野工業所が参画している。具体的には、ペットボトルを含むその他一般のプラスチックを、直接原料(ベンゼン・トルエン・キシレン・エチレン・プロピレンなど)に戻すケミカルリサイクル技術を推進。油化(熱分解)工程を経由せずにCO2排出量とエネルギー消費を抑えた再資源化プロセスの実用化に挑む。
東洋紡グループは、創業者・渋沢栄一の精神を受け継いだ企業理念「順理則裕」(じゅんりそくゆう:なすべきことをなし、ゆたかにする)の下、創業以来一貫して社会課題の解決に寄与する事業活動を旨とし、様々な製品・技術を提供してきた。主力のプラスチック製品では、リサイクル樹脂や植物由来原料の使用比率向上に注力するとともに、高い機能性を保持するバイオ樹脂の実用化に取り組むなど、環境負荷を低減する製品・技術の積極的な展開を通じて、持続可能な社会実現への貢献を目指している。
同社は、米国バイオ化学ベンチャー企業・アネロテック社が開発を進める、木材からポリエステル原料を作る技術に注目。2017年からは、アネロテック社がサントリーグループを中心とした国内外各社とともに実施中の、植物由来原料100%使用ペットボトルの開発プロジェクトに参画した。このプロジェクトで生まれた技術を応用することで、使用済みプラを効率的に再資源化できる可能性が見出だされており、幅広いプラスチックの循環利用に役立つ画期的な手法として普及への期待度が高い。
今回設立した「アールプラスジャパン」は、アネロテック社とともに、この環境負荷の少ない効率的な使用済みプラの再資源化技術開発を進める。世界で共通となっているプラスチック課題解決に貢献するため、回収プラスチックの選別処理、モノマー製造、ポリマー製造、包装容器製造、商社、飲料メーカーなど業界を超えた連携により、2027年の実用化を目指していく。また、同新会社は今後も広く出資を募る予定で、現在、住友化学なども出資への検討を進めている。
2020年7月8日
岩谷産業は7日、細胞を立体的に積層する独自のバイオ3Dプリンティング技術を活用し革新的な再生医療製品の実用化を目指すサイフューズ(東京都文京区)と、再生・細胞医療分野での業務資本提携を締結したと発表した。
サイフューズは、独創的なバイオ3Dプリンティング技術を血管再生や骨軟骨再生、神経再生などの再生医療に応用するこれまでにない3D細胞製品の開発に取り組んでいる。現在、サイフューズでは、この新たな治療選択肢を1日でも早く多くの患者へ届けることを目指し、細胞のみで作製した細胞製人工血管の臨床試験を開始するなど、3D細胞製品の実用化に向けた開発を進めている。
今回の業務資本提携を通じて、再生医療などへ向けた製品の実用化を目的として、岩谷産業が培ってきた製造・保管・輸送インフラの技術・知見・ノウハウを最大限に生かし、サイフューズが開発を進める3D細胞製品の事業化を加速していく。
岩谷産業は、再生・細胞医療分野の基幹インフラを構築することで、新産業の創出と市場発展に貢献していく考えだ。
2020年7月8日
2020年7月7日
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と福島県はこのほど、「低炭素水素の利活用拡大に関する連携・協力に関する基本協定」を締結した。
福島県浪江町で再生可能エネルギー(再エネ)を使った水素製造実証に取り組むNEDOと、「再生可能エネルギー先駆けの地」の実現に向けて再エネの導入拡大と関連産業の育成・集積を進めている福島県が包括的な協定を締結することで、①再エネ由来水素の活用およびそれを通じた再エネ導入の推進と研究開発に向けた相互協力、②再エネ由来水素および福島県内の再エネの広報・啓発活動、を連携・協力して進めていく。
なお、期間は6月19日から2022年3月末まで。すでに、福島県が設置した、あづま総合運動公園(福島市)とJヴィレッジ(楢葉町)にある純水素型燃料電池に、今年3月に開所した世界最大級の再エネ水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」から水素を供給し、施設内の一部電力供給を開始している。