日本芳香族工業会は12日、昨年のBTX(ベンゼン・トルエン・キシレン)需要実績と今年の需要見通しを発表した。昨年のBTXの需要合計(輸出含む)は、ベンゼンとトルエンの内需減少の影響により、前年比3%減の1301万2000tとなった。2017年の過去最高値に比べると減少しているが、15、16年の実績を上回っており、1300万t超の高い水準を維持した。
ベンゼンの内需については、スチレンモノマー(SM)、フェノール/クメン、シクロヘキサン/ヘキセン、その他が
2019年3月13日
2019年3月12日
2019年3月11日
貿易統計によると、インドの2018年の塩ビ樹脂(PVC)輸入は前年比68.7%増の195万6000tとなった。インドのPVC需要は年間約300万tでその約半分を輸入していると見られていたが、昨年のインド市場は7~8%の高成長となったもようで、国内で設備の新増設がないことから輸入量が大幅に増加している状況だ。
2017年は、前年に高額紙幣が廃止された影響や、また7月に物品サービス税(GST)が導入されたこともあり、輸入量は116万t程度だった。それに対し2018年は、おう盛な需要を背景に1年を通して高水準な輸入が継続。5月と10月が月間14万t台だったものの、その他の月は16~18万t台で推移した。
以前はモンスーン期(6~9月)に、農業用パイプの需要が落ち込み輸入量が減少する傾向があったが、建築用途向けやインフラ整備向けなどにも引き合いが強くなっており、季節要因がなくなってきている。今年についても、インドのGDPは7%程度が見込まれており、PVC市場の成長により輸入量はさらに拡大するとの見方が強い。
一方、昨年の輸入を国別でみると、
2019年3月8日
2019年3月8日
ドイツの特殊化学品メーカーのランクセスは、逆浸透(RO)膜エレメントの製品群の拡充を図っている。逆浸透技術は淡水化と浄水に使われ、pH値や塩分濃度などのパラメーターが急に変動する可能性がある、工業用水・都市用水・廃水の再利用で急速に成長している。
新製品の「レバブレンHP(高性能)」シリーズは、高い除去率とエネルギー効率の両立を実現するエレメント。イオン交換樹脂「レバチット」と組み合わせて使用することで、より低い運転コストで高水準の透過水を実現する。特に ROプロセスがイオン交換のような、他の分離プロセスと組み合わせて設計されている場合、より低い運転圧力、より高い除去率、負荷低減による設備の高寿命化を可能にする。
新製品は2012年に発売した、高架橋ポリアミド複合膜をさらに進化させた。99.7%の平均塩除去率と高透過性を備えている。製造工程でポリアミド架橋を制御することで、電荷にかかわらず、高い溶質阻止率をもつ微細な「孔径」を実現した。また、プロセスの最適化によって、透過水質を損なうことなく流束を改善。これにより、パラメーターが変動しても、優れた流束率で高い除去率が可能になった。
代表的な用途としては、発電設備でのボイラー水製造や超純水製造などの複合プロセス、廃棄物ゼロを目指した「ゼロ・リキッド・ディスチャージ」を目指した設備が挙げられる。また、同社が開発した、RO膜とイオン交換樹脂システム用の総合的なデザインソフトウェア「レバプラス」は、使いやすく信頼性の高い水処理設備の設計を可能にする。
顧客が無料でダウンロードできるこのソフトウェアは、イオン交換とRO膜のシステムを別々に、あるいはハイブリッド化システムとしての設計を支援する。これまでのランクセスの知識と経験の蓄積に基づいており、あらゆるニーズを満たすための一助として、システム設計者に情報を提供する。最新の2.0.9バージョンでは、すでに新製品の「レバブレンHP」に対応している。
2019年3月7日
2019年3月7日
帝人は6日、自動車の軽量化、強度やデザイン自由度の向上、製造工程の短縮化などに貢献する、コンポジット製の座席ドアモジュールを開発したと発表した。同社はすでに試作品の開発にも成功しており、今月12日からフランス・パリで開催される世界最大のコンポジット展示会「JECワールド2019」で初公開する(出展ブース:ホール6、G28とJ28)。
世界的な環境規制の強化を背景としたEV(電気自動車)化の加速により、特に欧州を中心に、樹脂などの軽量・高度素材を用いたモジュール化が進んでいる。
今回開発したドアモジュールには、炭素繊維やガラス繊維に熱硬化性樹脂を含浸させシート状にしたCF-SMCやGF-SMC、一方向性のGFRP(ガラス繊維強化樹脂)といった複数の素材を組み合わせた。
座席ドアに求められる強度を保ちながら、スチールを使用した従来のドア部品に比べて約35%の軽量化。アルミを使用したドア部品と同等の製造コストで、アルミでは実現が難しかった、角部分に半径3mmの丸みをもたせた深さ70mmの型押し加工による深絞り成形を行い、デザイン性も向上させた。
さらに、高い耐熱性が求められる電着塗装(E-Coat)工程にも適応可能なため、従来の金属部品の塗装工程ラインを活用でき、生産性の向上にも寄与する。
同社グループは、自動車部品の軽量・高強度コンポジット化の加速に向け、さまざまな取り組みを推進している。
今回開発したドアモジュールについても、2025年までの実用化を目標に、グループ内の素材や技術を結集し、顧客ニーズに沿った最適な設計と改良を重ねていく考えだ。
また今後も、マルチマテリアルでの部品供給メーカーとして、ソリューション提案力の強化を図り、2030年近傍には、自動車向け複合材料製品事業で売上20億ドル規模を目指す。
2019年3月6日
三井化学は5日、同社グループの中国の製造拠点である三井化学複合塑料(中山)〈広東省中山市〉に、ガラス長繊維強化ポリプロピレン(長繊維GFPP)の生産設備新設を決定したと発表した。生産能力は年産3500t。2020年2月に完工、9月の営業運転開始を予定する。
同拠点は、日本・米国に続く3つ目の製造拠点。今回の設備新設によりグローバル供給体制の強化を図り、生産能力は合計で年産1万500tとなる。
プライムポリマー(三井化学:65%、出光興産:35%)が開発した長繊維GFPPは、繊維状のガラスとポリプロピレン樹脂を溶融・混練して得られる複合材料。軽量で、ガラス繊維が長いことによる剛性や、耐衝撃性のバランスに優れていることに加え、外観性が良いことから、無塗装による自動車向けバックドアインナーなどに採用されている。
昨今の環境規制の強化やEV化の進展を背景に、自動車にはより一層の軽量化が求められている。こうした中、バックドアなどの金属代替素材として、繊維強化樹脂の需要は増加が見込まれる。
三井化学は、世界的に拡大する需要を的確に捉え、重点分野の1つであるモビリティのさらなる事業拡大を進めていく考え。なお、同社では長繊維GFPPを環境貢献価値が高い製品に位置づけ、展開している。
2019年3月5日
帝人は4日、航空機のエンジン関連部材などをターゲットに、高い耐熱性と耐衝撃性を兼ね備えたビスマレイミド(BMI)系プリプレグを開発したと発表した。プリプレグは、炭素繊維シートに樹脂を含侵したもので、炭素繊維複合材料(CFRP)の中間材料として使用される。
開発品の最大の特長は、BMI系樹脂を使用しながらも、高耐衝撃性を付与した国内初の技術にある。BMI系樹脂は、一般的に耐熱性を向上させると耐衝撃性が低下し非常に脆くなるため、衝撃を受けた際に発生する炭素繊維層と樹脂層の剥離やクラック(亀裂)など、CFRPの損傷が問題となっていた。加えて、流動性が高く、成形が困難な場合があった。
そこで、同社が培ってきた技術をもとに樹脂組成を適正化。ガラス転移温度が280℃以上、衝撃後圧縮強度が220MPa以上と、これまで世界的に難しいとされてきた高次元での耐熱性と耐衝撃性の両立を実現した。また、線膨張係数が小さく、低温・高温のいずれの状態でも優れた寸法安定性を維持・発揮できる。さらに、樹脂粘度を調整することでレジンフロー(成形工程での加圧によりプリプレグ中の樹脂が流れ出す現象)を適度に制御し、BMI系樹脂を使用した従来のプリプレグに比べて成形性を向上させるとともに、硬化処理に要する成形時間の短縮にも成功した。
同社は、未来の最新鋭航空機に求められる技術として、炭素繊維原糸から織物基材、熱可塑性樹脂を使用した中間材料などの用途開発やラインアップ拡充と、これらを活用した市場展開を強力に推進している。今回の新開発品・熱硬化性プリプレグを加え、さらには先月に買収を発表した、航空機向け耐熱複合材料事業を展開する米国レネゲード社のノウハウを活用し、航空機のエンジン部品など、高温下での用途に向けたグローバル展開を加速していく考え。
今後もマーケットリーダーとして、川上から川下までのソリューション提案力をいっそう強化し、2030年近傍までに航空機用途で年間9億ドル超の売上を目指す。
2019年3月5日