新しいコンビナート形成を加速、新事業発掘はグループ一丸で
━2023年の振り返りと今年の見通しについて。
石油化学は物が動かない中で、中国では多くのコモディティ関連のプラントが立ち上がり、オーバーキャパシティ問題が顕在化してきた。つまり中国で作った製品が自国内で消費できず、アジアに流れ、アジアの製品がまた他の地域に押し出されていくという、非常に厳しい状況になっている。数年間はこの認識に立たなければいけないと思っている。
2024年1月17日
2024年1月5日
新たな収益源の創出に注力、石化再編の機運も上昇
わが国化学産業は、汎用分野、高付加価値分野とも厳しい状況が続いている。国内では、インバウンドやサービス需要が戻りつつあるものの、原燃料価格の高止まりや円安進行が物価高を引き起こしており、消費者の買い控えが続いている。海外では、中国の景気低迷の影響によりアジア全体の石化製品の需要が盛り上がらないことに加え、金利引き上げが欧米経済の重荷になっている。対面市場では、自動車分野は生産台数の増加に伴い、関連製品が回復傾向にあるのに対し、半導体はデバイスの落ち込みを背景に、メモリを中心に在庫調整が続いている。今年は事業環境の改善が期待されているものの、各社にとって新たな収益源となる事業の創出が大きなテーマになりそうだ。一方、カーボンニュートラル実現に向けて、脱炭素化に向けた動きが加速している。バリューチェーン全体でCO2排出削減への取り組みが進むとともに、原燃料のバイオマスへの転換や、プラスチックのケミカルリサイクルといった実証事業が活発化する。
こうした中、石化事業は、中国の能力増強計画による輸出環境の悪化に加え、環境対策も重荷となり、コンビナートの構造改革が求められている。センター各社の間でも再編の機運が高まっており、今年は何らかの方向性が打ち出されることが想定される。今回の新年特集号では、化学業界を代表する首脳の方々に、生き残っていくための戦略について話を聞いた。
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◇特集インタビュー◇
旭化成 代表取締役社長 工藤幸四郎氏
▽変化への対応と自らの変革がテーマ、成長基盤を構築
三井化学 代表取締役社長 橋本 修氏
▽2万人のリソースをフル活用、変革に粘り強くチャレンジ
積水化学工業 代表取締役社長 加藤慶太氏
▽長期ビジョン実現に向け成長を加速、挑戦する姿勢が重要
東ソー 代表取締役社長 桒田 守氏
▽スペシャリティの利益拡大に注力、安全対策も重要課題
JSR 代表取締役CEO兼社長 E・ジョンソン氏
▽半導体材料業界の競争優位性に一石、非公開化で成長強化
東亞合成 代表取締役社長 髙村美己志氏
▽川崎新研究所を事業創出拠点に、研究と営業の垣根なくす
2024年1月5日
2024年1月5日
2024年1月5日
2024年1月5日
2024年1月5日
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2023年11月17日
社会実装へ技術開発加速、行政の支援と環境整備が重要
次世代エネルギーとして、再生可能エネルギーや水素に注目が集まる。日本はFIT制度でメガソーラーが拡大し、太陽光発電導入量は世界3位を誇る。ただ住宅屋根に採用が進まず、都は2025年から新築物件への設置を義務化する。また、設置問題を解決するペロブスカイト太陽電池も実証が進んでおり、政府も日本発の技術として事業化に力を注ぐ。
一方、水素はコスト高が課題。普及拡大には、需要創出、供給量増加、コスト低下といったサイクルを回す必要がある。燃料分野でも、合成燃料、合成ガス、メタン、SAFなどの開発が進むが、企業にとって技術開発や実証設備への投資が負担になる。政府は先行投資を支援するGX移行債の発行を計画しており、資金を活用することで社会実装に向けて技術開発が加速することが期待される。今回の特集では、次世代エネルギーの課題や進捗について、経済産業省や東京都、団体、企業などを取材した。
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◇インタビュー◇
経済産業省 製造産業局素材産業課長 土屋 博史氏
▽原燃料転換を中核にGX推進、「連携」深め国際競争力を強化
【東京都の挑戦】~ゼロエミに向け、再エネと水素の取り組み強化
東京都産業労働局産業・エネルギー政策部 池上佐知氏/村野哲寛氏
▽水素の普及拡大に注力、都内でグリーン水素SCの構築目指す
水素バリューチェーン推進協議会 事務局長 福島 洋氏
▽水素普及には需要創出とコスト低下がカギ、支援策も重要
【リファイナリー】
ENEOS
▽次世代エネルギー戦略 SAF、合成燃料、CO2フリー水素
出光興産 CNX戦略室 大沼安志氏/鹿野祐介氏/木村達郎氏
▽バイオ・合成燃料のSCを構築、元売りの供給責任果たす
【各社の取り組み】
積水化学工業 PVプロジェクト 副ヘッド 森田健晴氏
▽PSCで国産エネとCNに貢献、日本モデルで海外に展開
大阪ガス 企画部カーボンニュートラル推進室長 桒原洋介氏
▽既存インフラを最大活用、e‐メタンで都市ガスを脱炭素化
ユーグレナ 執行役員エネルギーカンパニー長 尾立維博氏
▽バイオ燃料の商業プラントを計画、ユーグレナの量産急ぐ
2023年11月17日